疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す   作:サニキ リオ

76 / 408
第76話 海風のイタズラ

 着替えを済ませた俺は、先に更衣室を出て、海の風に当たりながらみんなを待っていた。

 潮風が心地よく、俺はふと遠くを眺める。夕方の気配が近づくこの時間帯は、どこか懐かしさを感じさせた。

 なんだか、小学校のときに近所のプールへ行っていた頃を思い出す。

 あのときもヨシノリは、面倒だからと水着を服の下に着こんでいた。懐かしい思い出だ。

 そんなことを考えていると、ふと違和感がよぎった。なんか、既視感がある。

 何があったか思い出せそうだったそのとき、女子更衣室から。

 

「お、お待たせー……」

 

 ヨシノリが、アミと喜屋武に挟まれるような形で出てきた。

 だが、その表情が妙にぎこちなく、顔が赤い気がした。夕陽のせいではなさそうだ。

 

「ヨシノリ?」

 

 俺が首を傾げると、ヨシノリは耳まで真っ赤にして俯いてしまった。

 そして、俺はすぐに察する。

 ヨシノリは服の下に水着を着ていたが、替えの下着を忘れたんだろう。

 つまり、今の彼女がぎゅっと抑えているオレンジ色のスカートの下には……何もはいてない。

 俺は軽く息を吐きながら、自分が羽織っていた七分丈のシャツを脱ぎ、ヨシノリに差し出した。

 

「薄手で心許ないだろうけど、腰に巻いとけ」

 

 ヨシノリは一瞬驚いたように俺を見つめる。

 

「今は割と風強いし、スカートをガードしとかないとやばいだろ。ほれ」

 

 彼女は黙ってシャツを受け取り、きゅっと腰に巻いた。袖の部分を前で結び、スカートが風で翻らないよう、しっかりと固定する。

 

「……ありがと」

「お前、小学校のときも夏休みにプールで同じことしてたもんな」

「うぐっ……!」

 

 違うことがあるとすれば、あの頃は平気な顔してノーパンで帰っていたことくらいだろうか。

 

「まるで成長していない」

「バスケやってるあたしにそれを言うのは皮肉のつもりか……!」

 

 彼女は口を尖らせて言い返すが、顔はまだ赤いままだ。

 そんなやり取りをしていると、不意に海風が俺たちの間を吹き抜けた。

 

「ひゃっ」

 

 ヨシノリが小さく声を漏らす。

 腰に巻いたシャツのおかげで後ろのガードは大丈夫だった。しかし、それが仇となった。ヨシノリのスカートは前側の布地だけが風に煽られ、ふわりと舞い上がる。

 

「わわっ!?」

 

 ヨシノリが慌ててスカートを押さえようとする。しかし、時すでに遅し。

 オレンジ色のスカートが風に舞い上がった瞬間、視界に飛び込んできたのは、水着の日焼け跡がくっきりと残るヨシノリの素肌だった。

 大きく広がった太もものラインは、夕陽に照らされて淡い琥珀色に輝いている。

 水着で隠れていた部分との境界線がはっきりと浮かび上がり、その先には何の隔たりもなく、一度だけ見たことのある秘めた部分が露わになっていた。

 なんというか、ちゃんと処理とかしてんだなぁ……。

 俺は反射的に視線を逸らそうとしたが、一瞬の出来事に脳が処理しきれず、視線が宙を彷徨う。

 

「……見た?」

 

 ヨシノリの震える声が、俺の耳に届く。彼女の顔は真っ赤な顔で、ゆっくりと俺を睨む。

 

「いや、俺は何も――」

「見たよね! 絶対見たよね!?」

 

 真っ赤な顔のまま、ヨシノリは俺に詰め寄ってくる。左手はスカートを抑え、右手の拳はぎゅっと握りしめられた。

 

「~~~っ!」

 

 次の瞬間、ヨシノリは殴り掛かってくる……かと思いきや、俺の胸元に軽く拳を押し当てるだけだった。

 

「……えっち」

 

 かすれる程小さな声でそう呟くと、ヨシノリはそのまま俯いてしまった。

 俺は一瞬、何が起きたのか理解できずに硬直する。

 ヨシノリは顔を上げず、恥ずかしさを振り払うように深呼吸をした。

 

「……ほら、行くよ。帰りは責任もってスカートガードしてよね」

 

 まだ頬を赤く染めたまま、そっぽを向いて歩き出すヨシノリ。

 

「おう……」

 

 俺も脳裏にちらつく先程の光景をかき消しながら、彼女の後に続いた。

 潮騒の音が、どこか遠くから響いていた。

 




もしよろしければ、感想などいただけますと励みになります。
評価やお気に入り登録もいただけましたらモチベ爆上がりになりますので、良ければ応援のほどよろしくお願いいたします!

評価リンクはこちら
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。