疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
夕食の片付けも終わり、俺たちはコテージのリビングでくつろいでいた。
「せっかくの旅行だし、ちょっとしたゲームでもしない?」
そう言い出したのはヨシノリだった。テーブルの上にはいつの間にかトランプが置かれている。
「お、いいね! ポーカーとかどうだ?」
ゴワスが提案すると、ヨシノリも興味ありげに頷いた。
「じゃあ、負けた人には罰ゲームね」
「何を賭けるんだい?」
ナイトが冷静に尋ねると、ヨシノリがニヤリと笑う。
「そうねぇ……買い出しとか?」
「それはいいな。どうせ明日の朝食とか飲み物も買わなきゃだし」
こうして俺たちは買い出しをかけたポーカー勝負を始めることになった。
賭けるのはお金ではなく、最終的な勝敗を決めるためのポイントだ。
「よーし、いっちょ勝ちに行くぜ!」
ゴワスが意気込んでカードを手に取る。
俺は冷静に手札を確認し、場の流れを読む。ポーカーは運の要素が強いが、確率と戦略を駆使すれば勝ちやすい。
それから最終ゲーム終了後。俺の手元には大量のポイントがあった。
「嘘だろ! またお前が勝つのかよ!」
「ちょっとカナタ強すぎない?」
「……カナタ。君、カードカウンティングしてるだろ」
ふいに、ナイトが静かな声で指摘してきた。その目は笑っていなかった。いつもの淡々とした調子だが、その奥にある冷たい視線が、心の奥まで射抜くようだった。
「何のことだ」
俺は何食わぬ顔で答える。が、ナイトの視線は揺るがない。
「お兄ちゃん。ポーカーフェイスの使いどころが間違ってるよ……」
横から、愛夏が呆れたようにため息をついた。肩をすくめ、またかと言いたげな顔だ。
「カードカウンティングって何さー?」
喜屋武が首をかしげながら聞いてくる。わかっていない顔が、逆にその場の空気を少し和らげる。
「既出のカードを記憶して、それ以降に出るカードを予測することよ。ちなみに、これカジノでやったら出禁になるらしいわ」
ヨシノリがさらりと説明を加える。彼女の口調は穏やかだったが、言葉の端々に小さな棘が潜んでいた。
「イカサマってことですか?」
アミが真顔で問いかける。その純粋な目が妙に痛い。
「別にカードに仕込みをしたわけじゃないんだからいいだろ。ここはカジノじゃないんだし」
俺は開き直るように言い返すが、ヨシノリが呆れたように俺にジト目を向けてきた。
「カナタ、そういうとこ。みんなでわいわいやるトランプでカウンティング使うのは非常識でしょ」
ヨシノリの言葉が静かに刺さる。正論過ぎて反論の余地がない。
「難しいもんだな」
「あの、カウンティングするほうが難しいと思いますけど?」
アミの柔らかいツッコミが飛ぶ。笑いもせず、ただ真面目に言っているのが余計にこたえる。
「よし、決定。カナタ、罰ゲームで買い出し」
「勝ってたのに?」
「ズルしたから当然でしょ」
こうして、俺は買い出し組に強制加入させられた。ちくしょう。
「うっ……負けちゃいました……」
アミがしょんぼりと肩を落とす。
「……わんも負けてしまったさー」
喜屋武もがっくりと肩を落とす。
「じゃあ決まりね。買い出し組はカナタ、アミ、鳴久でよろしく!」
「はぁ、あんまり重いもの持てないんだけどな」
俺たちは渋々財布を持って立ち上がる。
「それじゃ、気をつけて行ってきてねー!」
見送るヨシノリたちの笑顔は、妙に笑顔だった。