疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
その後も次々とプレゼントが渡されていく。
ナイトからは履き心地の良さそうなスニーカー。
「サイズは事前に調べておいたんだ。ピッタリのはずさ」
「いや、怖ぇよ。でも、ありがとな」
ゴワスはシンプルなデザインのパーカー。
「まあ、気軽に羽織れるやつが一着あってもいいだろ」
「パーカーが一番助かる。おお、しかもオーバーサイズだ」
喜屋武からは、ぬいぐるみ――かと思いきや、姿勢矯正用の特殊なクッション付き。
「猫背対策さー!」
「見た目に反して実用的だ……喜屋武、ありがとな」
どのプレゼントも、俺の日常を支えてくれるようなものばかりだった。こうしてみんなが俺のことを考えて選んでくれたのが何よりも嬉しい。
プレゼントとは相手を喜ばせるためのもの。気持ちの籠ったプレゼントほど嬉しいものはない。また一つ小説の糧になった。
最後に、アミがギターを静かに抱え直した。
「私は……曲を作りました!」
「待って、さらっととんでもないこと言ってない?」
未来の推しが俺のために曲を作った、だと……?
「聞いてください……〝彼方へ手を〟」
そう呟いた瞬間、アミの纏う雰囲気が変わる。
普段のおっとりした空気が消え、静かな気迫が立ちのぼる。
彼女の指が弦を撫でると、鋭い戦慄が響いた。
アコースティックギターだけなのに、まるでバンドでライブしているかのような迫力。
リズムが刻まれる度に、脳内でドラムとベースの音が鳴っているような感覚。
「考える前に動け、考より行でいこう~♪」
アミの歌声は普段の穏やかさとは違った。
まっすぐで、強くて、胸をえぐるような熱さを持っていた。
「積み上げても届きゃしない~♪ 壁の高さをまた、思い知らされる!」
叩きつけるような言葉に、心が揺さぶられる。
カッコいい。心の底からそう思った。
アコギ一本でここまでやれるなら、フルバンドで演奏する彼女を見てみたい――そう思わずにはいられなかった。
もしエレキギターで弾いてベースとドラムが加わったら、もっと凄いことになるんじゃないか——そんな想像すらさせる演奏だった。
「98%の~♪ 努力しかしない奴に~♪ 負ける道理はない~♪」
そして、何よりも歌詞があまりにも俺に刺さった。
一周目の俺を知らないはずなのに、俺が文字通り血反吐を吐いて執筆していた頃の激情。それが歌詞には内包されていた。
「いまだ夢は遥か彼方~……♪」
アミが歌い終わり、静寂が戻る。
余韻が残ったまま、俺はアミを見た。
ギターを抱えたまま、ほんのりと頬を上気させた彼女が、小さく息を吐く。
「……どう、でしたか?」
答えは決まっていた。控えめに言っても最高の時間だった。
「あ……」
そう告げようと思っていたのに、冷めない興奮で頭が熱に浮かされ言葉が出てこない。
「ちょ、カナタ!?」
代わり出てきたのは涙だった。
「お、お兄ちゃんが泣いてる……!」
「執筆マシーンの目にも涙さー……」
一周目には生まれていなかった推しのオリ曲。しかも俺にガン刺さりする歌詞である。
こんなのずるい。ずるすぎる。
それから俺の涙はしばらく止まることはなかった。