疎遠になってた元ガキ大将のムチムチポニテ幼馴染との青春を高校生活から書き直す 作:サニキ リオ
シーワールドの入り口に到着すると、目の前には観光客で賑わう広場が広がっていた。
「おー! めっちゃデカい!」
ゴワスが両手を腰に当てて感嘆の声を上げる。入り口にあるシャチのモニュメントに、全員のテンションが上がっていた。
「水族館なんて久しぶりです!」
アミが目を輝かせながらパンフレットを手に取り、館内の案内をじっくりと眺めている。
「まずはショーの時間を確認しようか」
その隣でナイトが冷静にスケジュールをチェックしていた。
「よし、入場する前に集合写真撮ろうぜ!」
ゴワスがスマホを取り出して提案すると、全員が賛成する。入り口の大きなシャチのモニュメントをバックに、インカメラでスマホを構える。
「じゃあ、撮るぞー! はい、チーズ!」
カメラのシャッターが切られ、全員の笑顔がスマホの画面に収まる。
「いい感じに撮れたさー!」
喜屋武が画面を覗き込んで満足げに頷く。そんな中、俺は無意識に手元のパンフレットを広げ、館内のマップを確認する。
「ん、この匂いは……」
ヤニの香り……喫煙所はどこだ?
「いや、まだ吸えないんだった」
一周目ではヘビースモーカーだったせいか、つい習慣で喫煙所の場所を確認してしまう。
ヤニの香りから〝喫煙スペース〟を探してしまうのはヤニカスの悲しき習性なのである。
「何見てんの?」
横からヨシノリの声がして、俺はハッとする。とっさにパンフレットを閉じ、適当に誤魔化す。
「いや、館内の施設をチェックしてただけだ」
「ふーん?」
ヨシノリがじとっとした目で俺を睨む。
「カナタ。まさかタバコ吸ってないよね?」
「今はまだ、な」
「はぁ……」
ヨシノリは呆れたようにため息をつく。
「将来吸えるようになったら、ってこと?」
「そんな感じだ」
「ダメ。却下。健康に悪いし、服に臭いつくし、絶対にダメ。あたしはタバコ嫌い」
「うっ……」
ヨシノリのジト目は鋭く、逆らう余地がない。背筋に冷や汗が伝うほどの圧だ。
この視線を浴びせられると、どんな言い訳をしたところで無意味に思えてくる。
「タバコはやめたほうがいいですよ? 健康に悪いですし、吸わないほうが絶対にいいと思います」
アミまで真面目に説得してくる。
お前は未来じゃ吸ってただろうが! よくもまあ、タバコで喉がやられているのに、あんな綺麗な歌声が出てたもんだ。
「そうだよ、お兄ちゃん。肺とかやられてから後悔しても遅いんだから」
トドメとばかりに愛夏も釘を刺すように口を挟む。くっ、四面楚歌か。
俺は観念し、素直に頷いた。
「わかった、もう気にしないようにするよ」
「よろしい」
ヨシノリは満足げに腕を組み微笑んだ。
でもなぁ、タバコ吸ってるときが一番アイディア降ってるんだよなぁ……。
脳内で言い訳を並べながら、俺はそっとパンフレットを鞄にしまった。
「そろそろ入るか!」
ゴワスの一声で、俺たちはシーワールドの中へと足を踏み入れた。
ヤニの香りに後ろ髪を引かれながらも、俺はみんなと共に館内へ進む。