光坂のワグナリア   作:こなひー

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 さて、ここからは佐藤さんのキャラが自分の知っている佐藤さんとだいぶキャラが異なるためかなり改修を行います。


15.夜遊び?

 今日は春原は何処かへ行く用事があるようで、流石に主人がいないのに俺が居座るというのも気が引ける。かといって一人では、もうほとんどの思いつく場所には行き尽くしてしまった。今更目新しい物も無いだろう。

 

「……退屈だ」

 

 学校で何もすることもなく、終わってからも夜遅くまで何をするでもなく無碍に時間を潰す。やりたいことなんて無いし、何か目的をみつけることもできない。そんな生活に、俺も疲れていた。

 

 家には、絶対に夜まで帰らない。関係が崩壊したあの家には、できるだけいたくない。特に親父は、顔も合わせたくないから。

 

 頭の包帯を煩わしく感じながら時計を見ると、時刻はすでに10時を回っていた。風営法では高校生でどこかにいると退去させられる時間だ。俺がそんな法律を知っているのも、俺自身がその法律にお世話になったからというところが皮肉なところだ。

 

「ふぅ……」

 

 途中、昨日とはまた違う公園にたどり着いた。病院の傍にあるちょっと街から離れたこの公園は、昼の時間帯であれば散歩する入院患者たちでいっぱいらしい。しかし今は夜中。だから、誰もいないのが当然だ。

 

「……誰か居るな」

 

 そのはずだったのだが、誰かが背もたれの無い少しくたびれたベンチに座って、煙草を吸っている男がいた。少し遠めからでも良くわかる金髪に、長い髪の毛。格好は黒ストールに白いシャツで、七分のジーンズを着こなしていた。

 

 第一印象で言えば、不良だ。俺が言えた事ではないのだが、俺よりもよっぽど不良な見た目をしている。

 

「……ま、関係ないか」

 

 別に先客がいたところで、この公園で時間を潰そうという予定に変更はない。その男の居るべンチの隣、比較的新しいベンチに座った。気にしないようにと思ったのだが、つい視界に入れてしまう。

 

「ん?」

 

 チラッと俺が男を見たタイミングで、向こうも俺に気が付いたようだ。制服姿の俺を見ての配慮なのか、煙草を地面に落とし靴で踏みつぶす。ずざざ、という砂利を磨るような音が聞こえるのが少し小気味良い。

 

 そこで俺は目線を男から外した。男が学生の俺を見たところで、特に何も怒らないだろうと思っていた。しかし、男は俺の予想外な行動をしてきたのである。

 

 

「なあ。お前、高校生か?」

「……っ!?」

 

 いつの間にか俺の近くまで来ていた男が、何を考えているのか俺に話しかけてきた。声がした方を見ると、男の表情からはいまいち何を考えているかわからない。

 

 つい先日、ガラの悪い男に首を突っ込んだせいでろくな目に合わなかった。その経験が頭をよぎったため、男の質問を受け流すことに決めた。

 

「そうだけど」

「そうか。……帰りづらい、とかか?」

「……は?」

 

 思わず口から短音が漏れた。絡まれるのかと思ったら、俺の事情を心配している様子だった。なまじ当たっているだけに、上手い返しが浮かばない。

 

「アンタには、関係無いだろ」

「……」

 

 何故か、俺は突き放すような答え方をしてしまった。俺にとって、『親』という単語はトラウマのようなものだったからだ。これ以上触れないでほしいという俺の気持ちは、どうも男には伝わっていない様子。

 

「……確かに関係は無いけどな、学生はもう帰る時間だろ」

「何なんだよ、アンタは。俺が何処にいたって、どうでもいいだろ」

 

 ピリッとしたせち辛い空気が、男との間に流れる。居心地が悪い。こないだのラジカセ男といい、どうも変なやつに絡まれてしまっている。いい加減うんざりだ。誰も俺に関わらないでほしいとまで思えてしまう。

 

「まあ、そうだな。ふむ………………」

「……? 何だよ」

 

 俺の返事を聞いてなのか、男は何かを考え込んでしまった。夜の静寂に包まれた俺と男。思わず男の返事を待ってしまっていたが、別に俺には待つ義理も無い事に気がついた。

 

「……用がないなら、もう行くから――」

「いや、ちょっと待て」

 

 男が急に腕を伸ばして俺の右腕を掴んできた。驚きつつ咄嗟に振りほどこうとするが、意外と握力が強くて離れない。

 

「……っ! 離せ、よっ!」

「……! お前、意外と力あるんだな。……まさか、店長と同じタイプの人間か?」

「はぁ? 何の話だよ?」

 

 よくわからないことを言った後、男は踵を返してどこかへ歩いていく。先を見てみるとそこには5人乗りの自家用車が見えた。おそらくあれは男の車なのだろう。説得を諦めて帰るのだろうか、などと思ったのだが男はまだ俺に話しかけてくる。

 

「まあいい。おいお前、今暇か?」

「……は?」

 

 車の一歩手前で振り向くと、男は俺にそう投げかけた。口には新たに火をつけたばかりの煙草が赤く燃えて煙を排出している。

 

「帰る気は無いんだろ? なら時間はあるって事だよな?」

「別に、用事はないけど」

 

 時間なんて、嫌気が指すほどある。もし潰せるというのならお願いしたくなるほどだ。しかし一体何をするつもりなのだろうか。未だに真意の読めない男は、そうかと言った後に助手席の扉を開けて、親指で指しながら俺にこう言ったのだ。

 

 

 

「そうか。それなら丁度いい。ドライブにでも付きあってくれ」

「…………は?」

 

 ここ数日は、どうも奇妙な経験が続いている。そう思わざるを得なかった。




 元SSの佐藤さんはかなり硬派というか、店長たちヤンキー組といっしょにいても違和感が無さそうなキャラな印象です。
 自分が本編を見た限りでは、時々口は悪くあまり表情が変わらないため怖い印象を持たれがち。けど実は優しく胃薬を常備するほどの小心者という感じですね。
 
 なので佐藤さんの今後の立ち位置や振る舞いは相当変えてしまいます。
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