私は廃墟マニアじゃないので、廃墟に来ても別にワクワクはしない。これはトリビアなんだけれど、廃墟に落ちている下着は、そういうマニアが捨てに来たものだ。ヤンキーがいたりするので、廃墟は危ない。床が抜けたり天井が落ちてきたりするリスクをとってまで、廃虚探索なんかしたくない。
「くぅー疲れました。これにて完結です」
「完結じゃないって! まだ私たちの物語は始まったばっかりなの!」
「帰ってオナニーでもするか。自慰バイブルはエッチだったね」
「エッチなのはダメ! 死刑! じゃなくて! まだ帰らないから!」
「"もしかして、ミテルは廃虚が苦手?"」
先生の発言に、私は固まってしまう。いや、ほら。人には苦手なものが有るんですよ。廃虚にいるヤンキーとか怖いじゃん。C&Cのネルさんとか苦手だわ。
前世のせいか、痛いのも争いも苦手なんだよね。
「……苦手です。怖〜い」
「"くっつかれると、危ないよ"」
「先生って薄情なんですね」
先生の腰に、私の腰をぶつけようとしていたら、ロボットが出現した。先生はホッとした表情を浮かべていた。えっちごっこをしようとしただけなのに……
ロボット如き、このミレニアムセミナー庶務の敵ではない! 愛銃である銃剣付きショットガン、邪剣夜を構える。
「邪剣夜。行きましょうね」
「"みんな、ミテルを援護して"」
私の戦法は近づいてショットガンでぶっ放す。もしくは銃剣でぶっ刺す。単純明快だ。
「動くと当たらないだろ!」
ロボットをぶっ壊す。やべ。ヘイトが全部こっちに向いた。
「痛いッ!! 痛いんだよ!」
弾がバチクソ当たっている。痛い。痛くなければ覚えませぬなので、モーマンタイ。ロボをバチボコに倒したが、次々湧いてくる。ヤバい。
「"みんな工場に逃げ込むよ"」
先生の指揮で、目的のG.bibleがある工場へと潜り込む。この女先生、デカい胸が揺れててエロいな。空力特性に優れたフォルムをしている自分と比べてしまう。
幼少期の私については知らない。中学の時に色々有って、私が生えた感じだ。辛い時には例のアレが1番だよね。
「先生、おっぱい痛くないの?」
「"…………ちょっと、痛い"」
ロボットくんは、工場内部に押し寄せて来なかったのでセーフだ。天井にカメラが有るようなので、ショットガンで潰す。
「ぬわーっ!?」
「"床が!?"」
よくわからないまま床が抜けた。落ちた先はそれほど高さは無かった。咄嗟に私を庇った先生の顔が私の股の下にあった。そうだね顔面騎乗位だね。
私もふらついた振りをして、先生の股間に顔を埋めようとした。69だ。ゲヘナには便利屋69という風俗店があるらしい。行ってみたい。
「ちょ、ちょっとミテル何してるの!! 先生がミテルのお尻で潰れちゃう!」
「あっ、そっかぁ」
モモイの邪魔が入ったので、先生の顔面からどいた。先生の髪が乱れていて、セクシー! エロい!
「"息が止まるかと思った"」
「先生、もう私お嫁に行けません。先生のお嫁さんになります」
「"ごめんね。咄嗟に庇おうと思ったら変な体勢になっちゃった"」
「……私と結婚を誓ったのは嘘だったんですか?」
「"誓ってないよ"」
先生と漫才をしていたら、モモミドが何かを発見したらしい。視線の先にあったのは全裸の美少女だ。髪が僅かに隆起した胸を覆い、微かに覗いた桜色を隠している。
「ふーん。エッチじゃん」
「うわっ、最低」
「今の発言は人としてダメだよ」
「"もしかしたら怪我をしているのかも"」
みんなから非難されたんだが……脳内が淫夢に犯されているせいで、私の常識がおかしくなっているのか…? いや、美少女が全裸で寝てたらエロいと思うんだけど。
コイツら、人のこと銃でガンガン撃つくせに、常識人ぶりやがって…!
「ミテルは変なことしそうだから、外を見張ってて」
「ん、おかのした」
上に取り残されたユズとやり取りをしていると、全裸美少女が服を着ていた。彼シャツっぽいのと、上着を腰で巻いた感じ。ちょっと面積が足りなかったのか、パンツが隙間からチラチラ見えててエッチだ。
ミドリの愛用してる綿素材の猫パンツを履かせたらしい。ユウカの勝負下着とは大違いだ。
途中ロボットに追われながら、私たちはなんとか廃墟を脱出した。AL-1Sと表記されていた元全裸美少女は、モモイによってアリスと名付けられた。
学校で、色々な身体テストなどを行った結果、アリスがパワー系記憶喪失美少女アンドロイドだと判明した。なるほど。属性が多い。
ジョン・ロックが唱えた白紙論というものがある。生まれたての赤ん坊は真っ白な存在で、経験により色が付いていくという話だ。タブラ・ラサとも言う。
人間は、遺伝と環境によってその人が成り立つ。では、限りなく人に近いアンドロイドであるアリスはどうなのだろうか。ゲーム開発部という環境が、アリスを上手く育てられるのかは分からない。
「……ミテル。もしかしてアリスに変なもの見せようとしてる?」
「まさか。何も知らない子どもに見せるものじゃないよ。知らなければそれで良い存在だ」
「じゃあ、手に持ってるソレはなんなの?」
「映画だよ。アリスと映画を観たいと思って持ってきたんだ」
モモイとミドリの顔に、釈然としないと書かれていた。アリスを淫夢漬けにしても良い。その結果、アイスティーを飲ませてくる私よりも力の強い淫夢ロボが爆誕してしまう。普通に怖い。
そうなるよりも、ロードムービーとか見た方が良い。人間としての情緒を身に着けて、美しいものを見てから汚いものを観たほうが良い。
「……ミテル、変なものでも食べた?」
「食べてないよ! 私をなんだと思っているんだ!」
「だって、いつも言動がキモいのに、今日はマトモじゃん」
「否定は出来ないな」
「そういえばさ、なんでいつも変な言動をしてるの?」
「んー。内緒。話すと長くなるし面倒くさいから」
「えー。ケチー」
アリスと映画を観て、軽く会話をした。彼女はマトモだった。リオ会長が懸念しているようなモノではないように思えた。
「コユキさん。あの廃墟に眠る奴の情報ってまだ掘れる?」
「当たり前だよなぁ?」
「おっ、そうだな」
「はっ!? 今の発言はなし。私はあんなモノ好きじゃないから!」
コユキの口から語録が飛び出した。なんてことだもう助からないゾ♡ コユキが淫夢にハマったのだ。うれしい。
「コユキ。例のアレの良さが分かったんだ?」
「ち、違うから。監禁されて余りにも暇だったから、ついお前に渡されたタブレットで見ちゃっただけだから」
「それ、ハマってるって言うんだよ」
「うわー。うそだーー」
自己嫌悪に襲われたのか、コユキがゴロゴロ転がっている。落ちるところまで落ちたな。向こうとインターネットが繋がる理由はよくわからない。神秘ってスゲーって感じ。
コユキとニコニコ動画を観ていたら、ユウカが入ってきた。明らかに機嫌が悪い。
「ゲーム開発部が、また、あの廃墟に行ったわ。先生も一緒。ミテル、何か吹き込んだんじゃないの?」
「まさか。ゲーム開発部は究極のオナニーのための自慰バイブルを探しにあの廃墟に向かったんだ」
私の嘘にユウカの頰が赤くなる。騙されてやんの。なんだよ自慰バイブルって。そんなバカなモノが有るわけないだろう。
「相変わらず破廉恥よね。もう良いわ」
照れからか、プンスコゲージが下がっている。手を振って見送った。
「ユウカ先輩。それってミテルの嘘ですよ」
コユキ、余計なことを…! 私はコユキの失言のせいで、彼女と2人まとめてお説教を食らった。正座したせいで、フトモモがユウカになりそうだった。