川尻浩作、Fly High with キヴォトス 作:堂廻り 眞くら
アビドス高等学校は現在、たったの五人の生徒らによってのみ運営されている。
三年 小鳥遊ホシノ
二年 十六夜ノノミ
砂狼シロコ
一年 黒見セリカ
奥空アヤネ
五人! 離島の小学校だって全生徒かき集めれば野球くらいはできる。でも五人じゃ身を寄せ合って大富豪してるのがせいぜいだ。当然、学園の運営は風前の灯火であり、それに伴う廃校の危機に対する抜本的対策を、彼等は持ち合わせてなどいなかった。
彼等は『アビドス廃校対策委員会』を結成。廃校を阻止するべく尽力。しかし、全くと言っていいほど打つ手なし。廃校寸前まで棒読みである。どころか金目の学校の備品などをかすめ取ってくる暴徒を鎮圧するので手一杯と言った限界状況に瀕している始末であった。
そして、外部に援助を要請しても全く聞く耳を凭れないので、そのうち対策委員会は、まともな解決策を考えようと努力することを、放棄した。
正確に述べると、委員会の最古参であり、実質的な委員会のリーダーでもある【小鳥遊ホシノ】は、事態を解決することを、諦めた。他のメンバーの手前、表向きは頑張ってるフリをしているが、内心では諦めていた。その頑張るフリも、もうすぐ終わるはずだった。
でも、どうやらあと少しだけ続けなくちゃぁいけないらしい。
ある晴れた平日の午前である。噂の【連邦捜査部シャーレ】が対策委員会の援助要請に応じて、【先生】が遠路はるばるここ対策委員会の部室までやってきた。先生は軽い挨拶を済ませた後、こう言った。
「私はシャーレに所属する先生の一人、川尻浩作。以後よろしく……」
小鳥遊ホシノは机に伏せていた頭を上げて、そいつを眠気眼で見やった。そいつは頭に真っ白なターバンを巻いており、そしてこれまた真っ白なスーツと、若干趣味の悪い黒を基調としたネクタイを身に着けていた。顔はギリシャ彫刻のように、ぞっとするほど整っているが、小鳥遊ホシノの好みからは全く外れていた。だけれど黒檀のように真っ黒の瞳には、どういう訳か意識が不意に吸い込まれるかのような錯覚に陥らされる。とはいえ、しかし、それ以外は、顔が整っていること以外には、特にこれと言った特徴は何も感じない、平凡な中年といった雰囲気であった。わざわざこんなところまでご足労いただいたのは感心で好感もモテるが、はっきり言ってそれ以外は何もかも期待外れである。顔が不細工だとか加齢臭がキツイといったマイナスポイントは無いが、かといって加点ポイントも特にない。プラスマイナスゼロの男である。無味乾燥なシナモンスティックのような人間だ。つまり、あっても無くても使いようのない奴だ。
小鳥遊ホシノは、こいつは全く微塵も頼りにならなさそうな大人がやってきたぞ、と脳がぶるぶると自分に訴えかけ来るのが分かった。ホシノは続いて対策委員会の面々を伺った。各々が一様の反応を浮かべていた。
次の投稿、若干遅れるカモしれません(忙しいから)。遅れたら申し訳ない……。