こんにちわ・・・主です。
slothful-soma様、紺乃瑠璃様、誤字指摘ありがとうございます。
実は先日から閲覧数とお気に入りの伸びが倍増・・・と言うか3倍以上になっていた為、何が起きているのか調べた所・・・日間ランキングに自分の作品があった事に気づきました・・・驚きすぎで昼御飯がむせました。
本日の話は長くなり過ぎたので2部構成になりました。
身体中が痛い・・・くそ、意識が飛んでいた・・・何があった?
俺は何とか動く目だけで周囲の状況を確認する。
俺の目に映ったのは、怒り狂い視界を失っているらしいリオレウス・・・ああ、そうだ思い出した。
俺は確かナタの病気を治す為に薬草を取ろうとした所で・・・あのモンスターが起きたから閃光で目を眩ませて、反晶を撃とうとしたんだ・・・
俺は視線を自分の腕に移しね見てみれば、そこには破損して動かなくなった射出機があった。
そうだ、射出機が壊れて慌てている隙にあのモンスターが破れ被れで突進して来て避けきれず・・・このザマって訳か・・・
自分の油断による失態に軽く笑ってやろうかとも思ったが・・・骨が内臓に刺さっているのか、笑おうとするだけで痛みが走る・・・
死ななかったのは幸運か?意外と俺の身体も頑丈だったな・・・身動きが取れなければ意味ないが・・・
どうやら出血も酷いらしく、辺りの地面が血で染まっていくのが見え、奴に止める刺されるにしろ、見逃されるにしろ自分が助からない事を悟る。
おっと、時間切れらしい。奴の視界が回復したのか、頭を振ってその一対の目で俺を視界に捉えているのがよく分かる・・・どうやら俺を見逃す気は全くないらしい。
咆哮を上げ、その大口を開き俺を噛み砕かんと近付いてくるモンスター、いや[護竜リオレウス]・・・
そういえば、この状況何処かで見た事あるな・・・と場違いな思考をしていると、俺と奴の間に何かが投げ込まれた瞬間・・・その空間が輝く。
「グオォォォ!?!?」
二度目の不意打ちに流石に面を食らったであろうリオレウスは悲鳴と困惑を混ぜた咆哮を上げ、その場でたじろぐ。
リオレウスが戸惑っている間に距離を詰めて来たらしい何かが俺の前に来ると、またもやリオレウスに向かって何かを投げている様だ・・・そうするとリオレウスは明らかに嫌がる素振りを見せ、最終的にはその翼を羽ばたかせて飛び上がり、何処かへ飛んで行ってしまった。
そうしてリオレウス追い払った何者か・・・その男の名前はタシン・・・俺の幼馴染の一人で俺の・・・親友だ・・・
リオレウスを追い払ったタシンは奴が戻って来ない事を確認したのか、俺の側まで近付いて来て必死に声を掛けてくる。
「ナル!!おいしっかりしろ!!」
うるさい・・・そんなに叫ばなくても聞こえてるよ。
俺がまだ生きている事に気付いたらしく、タシンは俺の腹当たりを自分の両手を使い押さえている様だ・・・恐らくそこから出血しているのだろう・・・もう、手遅れだろうが・・・
傷は相当深いらしく、タシンが押さえても血はじわじわと溢れ出して止まらない。
「ナル・・・ナル!!」
ああ、タシン・・・そんな顔を・・・そんな目をしないでくれ。俺は・・・嫌、俺達はお前のあの目が好きなんだ・・・初めて会ったあの時の目が・・・
◯
俺の物心がついた時の最初の思い出は父との会話だ。恐らく、5歳くらいの時だろうか?正直父との会話の内容自体の記憶は殆どない・・・だが、父のあらゆる生命を尊重し、守人の・・・先人達が受け継いで来た役目に誇りを持っている姿を俺は幼心ながらカッコいいと思った。
そうして俺も父から役目を継いで守人の誇りを背負い生きていくのだと思った。
そんな俺に転機が訪れたのは7歳になった頃だろう、俺と同い年ぐらいの子供は親の仕事を手伝うか、大人から教わった遊びをするのが普通だったが、一人だけ誰にも混ざらずにいつも何処かに行く姿を見つけたんだ。
俺は気になり周りの友達にあれは誰か聞くが
「あいつ誘ってもいつもどこか行っちゃうんだよ」
誰もあの子供について詳しく知る奴はいなかった。俺は気になり、あの子供が何処かに行くタイミングで後をつける事にした。
俺はあいつの後を追うが道が悪く、何とか食らいつこうと歩くスピードを上げようとすると
「ま・・・待ってよ・・・ナル・・・早いよ・・・」
俺はその声で足を止め、不満を混ぜた声で答える。
「だからついてくんなって言ったんだよイタ!!ついてこれないなら置いてくぞ!!」
「や!あたしも気になるもん!!」
俺とイタは元々家族ぐるみの付き合いでよく一緒にいる事があったが、どうやらイタもあの子供が気になったらしく、道が悪く足が取られながら必死に着いてくるのだった。
そんな足手纏いを連れ、俺達が辿り着いたのは里はずれの人気のない広場のような場所であった。
「あ!あそこにいるわよ!!」
俺が辺りを見渡しているとイタが先にあの子供を見つけたらしく、イタが指差す方向を眺める。
「・・・・ん?」
広場の端っこの方には一本の木が生えており、追っていた子供が俺達に背を向け巨木に対して何かしている様であった。
「・・・何の音だ?」
「何か叩く音じゃない?」
イタに言われてみれば確かにそんな音だな・・・そう思った俺は音の出所と思わしき巨木に近付く・・・そんな俺の背中にイタが張り付いて来る・・・
「・・・・・・」
「なによ?何か文句ある訳?」
「・・・・別に・・・」
こういう時のイタに反論しようものなら後が面倒くさい事を知っていたので特に何か言う事は無く、目的の子供に近付く。
「おい!何してんだ!!」
どうやら俺達には気付いていなかったらしく、一瞬身体を震わせて動きを止めた。
「・・・何って」
その言葉の意味はあの時分からなかったが、そいつが振り向いた時に見せたその目に俺は
「ハンターになる練習!!」
今までに見た事がない・・・輝きを感じたんだ・・・
◯
「ねぇ?タシンは何で・・・はんたー?になりたいの?」
あの出会いの後・・・俺達はよく遊ぶ様になり、一緒にあの里はずれの広場まで行き、太めの棒でちゃんばら?ごっこをしたり、おにごっこなんて遊びをタシンから教えてもらい、よく遊んだものだ。
そうやって一緒に遊び始めて三年が経ち、俺達が10歳になった頃・・・いつもの様に広場に集まって遊んだ俺達が座って談笑していた時にらふとイタがタシンに尋ねたんだ。
「ふぇ!?覚えてたんだ・・・イタ・・・」
「そうよ!気になってたのにあなた達と遊ぶのが楽しくて聞くのを忘れてたのよ!!」
その時の俺もタシンの言っていたハンターなるものが気になった為、イタに同調した。
「俺も気になるから教えてくれよタシン」
「な、ナルまで・・・しょうがないな・・・」
そうやって話すのを躊躇する様な素振りを見せつつ、タシンは語り出した。
「なぁイタ?もしモンスター・・・護竜が里に来たらどうする?」
「私なら・・・こわくて隠れちゃうわ!」
「そうか・・・ならナルは?」
俺は少し考えたがイタの様に隠れるか、逃げるしか思いつかなかった。
「そうか・・・まあ、普通はそうだよなぁ・・・」
俺の答えを聞いたタシンは一人納得した様にうんうん頷いていた。
「タシン!もったいぶらないで話してよ!!」
痺れを切らしたイタがタシンに続きを催促し、それにごめんごめんと謝り、再び語り出す。
「里の・・・何も力がない人達が護竜達の所為で危ない目に会った時、そんな時に皆んなを助ける存在がハンターって言うんだよ。」
タシンのその言葉に俺は疑問が浮かび、特に考える事なく俺はその疑問を口にした。
「ん?それって結局ハンター?って何をするんだ?」
「うっ!?」
俺の疑問にタシンがそれを聞くのか!?っという反応しながら、俺の疑問に答えていく。
「その・・・だな・・・。危険な護竜を狩るって事だよ・・・」
「ええ!?ころしちゃうの!?」
タシンの言葉にイタ同様、俺も驚いた。
「それって守人のやくめ?からハズレちゃうんじゃないの?」
そうだ、俺達守人はただ見守る存在だ・・・それに俺はいつも父親からあらゆる生命を大切にしろと教わっていた・・・今まで考えもしなかった事に俺は混乱しているとタシンが補足をする様に俺達に聞かせる。
「確かにそうだよ・・・でもね僕達の手、人の手も自然の営みの一つなんだ・・・僕達がいる事で植物が育ち、その植物達の命を頂いて最後に僕達は土へと帰るんだ・・・でも偶にその営みから外れて好き勝手暴れちゃう人がいるんだよ。そんな事をしたらこれまで育んできた営みが壊れちゃう・・・だからこそ、自然をその流れを守る為に存在するのがハンターって事なんだ」
タシンの言葉に俺は理解するのに時間を要した。何せ今まではただ命を大切にと学んで来た頭には衝撃が余りにも強過ぎたんだ・・・だが、俺はその言葉よりも気になる事があった・・・それは
「タシン・・・あなたの目、すごくキラキラしてたわ!!」
そう、俺が気になったのはタシンがハンターについて語った時に見せたその目であった・・・生き生きとした、それでいて眺めている周り人間を笑顔にさせる・・・そんな目をしていた。
「そ、そうか・・・ハンターは僕の憧れで夢だから遂語り過ぎちゃったみたいで恥ずかしいなぁ・・・」
「そんな事ないわ!!あなたの目を見ていると応援したくなるもの!!」
「あ、ありがとう・・・そんな事言ってもらうのなんて初めてだ・・・」
少し困惑している様だが身体から嬉しさが見え隠れるするタシン・・・こういう時に素直で言葉を真っ直ぐ言えるイタが僕は羨ましいと思った。
「ねえ、タシン?」
「な、なんだいイタ?」
今度は何を言われるんだ!?という風に身構えるタシンに俺はフッと軽く笑ってしまう。
「あなたの夢・・・叶うといいわね!!」
その言葉を受けてタシンは少し動揺した様だが、その後笑いながらイタに言う。
「ああ・・・頑張るよ!!」
その日から俺とイタはタシンの夢を応援する様になったのだ。
◯
「こんにちは〜!タシンいますか?」
「あら、ナルじゃないさね!ウチの子かい?見てないねぇ」
あれから五年程達、俺達は15歳になったが付き合い自体は幼い頃のまま変わらず。今日もまたタシンの家まで訪ね、タシンのお母さんであるラナーさんに挨拶をしてアイツが何処にいるのか尋ねる。
「たく・・・ラナーさんの手伝いもしないでどこほっつき歩いてんだか・・・」
「あっはっはっ!!子供は遊びが仕事さね!ナルはウチのボンクラに比べで立派だね!」
全く、あのバカに勿体無いくらいのいい母親だなと思った。どうやら夫を早くに亡くしたらしく、殆ど一人でタシンを育てたそうだが・・・立派な人だと今でも思う。
「ならいつもの所か・・・ありがとうございます!失礼します!」
「あいよ〜ウチの子をよろしくねぇ」
恐らくあの場所だろうと当たりをつけた俺はラナーさんにお礼を言いつつ、その場を後にする。
そうして当たりをつけた場所・・・里はずれの広場に到着するが、タシンの姿は見当たらなかった。
「あれ?おかしいな・・・いつもならここでトレーニングをしている筈なのに・・・」
最近のアイツはハンターになる為、この場所に来ては身体を鍛える様になっていたが・・・何分俺とイタは家業が忙しくなり、昔程遊べる事は少なくなったのもあり、アイツが何処で何をしているか偶に分からない時があった。
「まあ、イタもいないし家に帰るか・・・」
俺がそう考えていた時、遠くから声が聞こえて来た。
「いた!!おーい!!ナル〜!!」
噂をすれば・・・声の主であるイタはどうやら走ってきたらしく、息を切らしながら俺の側まで来て立ち止まる。その後、息を整えたのか勢い良く顔を上げ、俺に告げる。
「大変なの!!た、タシンが大怪我したらしくて、今里の入り口に・・・」
この世の理不尽を・・・
◯
イタの知らせを聞いた俺は、イタと共に全力で里の門がある場所まで走った。
門が見えて来ると里の住人達が集まっているのが見え、その集団に近付き俺は尋ねた。
「タシンが大怪我をしたって本当か!?」
「ああ、本当さ・・・何でも小さい護竜に襲われたらしくてね」
「でも、無事で良かったわよ・・・大人達の助けが遅かったら今頃・・・」
「馬鹿!助かったんだからそんな事気にする事はないだろ!!」
どうやら大怪我をした事が事実だと確認した俺は、タシンが何処いるのかを聞き、どうやら自宅にいる事を突き止めるとその場を後にし、俺達はタシンの家へと向かった。
「ラナーさん!!いますか!?」
俺とイタが家を訪ねると、玄関の扉を開いたのは里唯一の薬師の男であった。
「何だ・・・ナルとイタか・・・タシンの見舞いか?」
「タシン・・・ああ、そうだあいつ大怪我したんだろ!?具合はどうなんだ!?」
俺の質問に対して薬師は深刻な面持ちをし、俺とイタに告げる。
「命に別状はない・・・最善は尽くしたが、それ以上はダメだった・・・すまんな」
薬師はそう言うとそのままタシンの家から出て行ってしまった。
俺とイタはお互いを見やり、覚悟を決めてタシンの家の中に入った。
「・・・なんだい・・・あんた達か・・・」
俺達を出迎えてくれたのは、先程と比べ明らかに憔悴しきった様子のラナーさんであった。
「ウチの子の見舞いだろ?ありがとうねぇ。ちょいと待ちな・・・」
ラナーさんが立ち上がるとタシンの部屋の前まで行き、中にいるであろうタシンに問いかける。
「タシン、ナルとイタが来たよ。顔見せてやんな」
「・・・ああ、入っていいよ」
少し間を置き、帰って来た返答に俺は唾を飲み込み、意を決して扉を開き、部屋の中に入る・・・そうして部屋に入った瞬間、その光景に俺とイタは絶句する。
ベットから上半身を起こしていたタシンの身体は・・・至る所を怪我をしているのか全身に包帯を巻き、その包帯は滲み出る様な血で汚れ、その下にある傷がどれ程深いのかを悟る。
俺はその様子に声が出ず、励ましの言葉すら俺の口は吐いてはくれない・・・どうやらイタは俺よりも重症で泣くような声で囀っていた。
そんな沈黙を破ったのはタシンであった。
「いや〜まいったまいった!!あんなに小さいのにちゃんと護竜なんだなって改めて実感したよ!!見てよこれ!たった一回戦っただけでこのザマだよ!!」
どう見ても俺達に気を遣って、空元気で強がっている様にしか見えなかった・・・本来なら俺達が励まさなくちゃならない筈なのに俺の口から出た言葉は
「・・・ごめん・・・ごめんな・・・俺が・・・側に入れば」
お前はそんな大怪我をせずに済んだかも知れないのに、そう言おうとするのをタシンが止める。
「気にするなって!!自業自得だからさ!!」
そう言うタシンの目はいつか惹かれたあの目ではなく、暗く沈む闇のような目であるような気がした・・・
◯
その後も似た様な会話が続きタシンの部屋を出た俺とイタ・・・どうすれば良いか分からずにいるとラナーさんが話しかけて来た。
「ナル・・・イタ・・・」
その呼び掛けに顔を向けるとラナーさんが指を口の前に置き、静かにしている様に言外に伝えている様だった。
俺達に伝わったかどうかを確認したラナーさんは部屋のドア越しからタシンに話かける。
「タシン・・・二人は帰ったよ・・・どうする?何か食べたいものあるさね?」
「・・・いや、何もいらないよ母さん・・・今は一人させて欲しいな・・・」
「分かったさね・・・母さん近くにいるからね・・・何かあったら大声で呼ぶんだよ・・・」
「うん・・・ありがとう」
タシンとの会話を終えたラナーさんは部屋の前から離れ、俺達にドアに近付けと伝えてきたのでドアの前まで来る・・・すると
「うっ・・・・うっっ・・・・」
部屋の中から泣くのを堪え、それでも耐えきれないと漏らす声が聞こえてくる。
「あ、あんなに頑張ったのに・・・二人にも応援・・・してもらってたのに・・・セクレトにも勝てないなんて・・・何で・・・何でこの身体は弱いんだよ?ここはモンハンの世界なんだろ?どうして上手くいかないんだ!!」
小さな声はやがて自分の出来の悪さを叱咤するかの如く、激情へと変わっていく。
「それになんだよ!!『この足じゃ例え治ったとしても日常生活は困難だろう・・・』だ!!ふざけるな!!ふざけるな!ぶざけるな・・・」
幼馴染の悲痛な叫びが心に刺さり、今このドアを開けて側に行ってやりたい・・・そんな気持ちが強くなるが、今行ったところで俺にはどうする事も・・・
何度もそうやって俺が悩んでいると、叫び疲れたのか次第に声が小さくなって行き、やがて何も聞こえなくなっていた。
◯
俺とイタはタシンの気持ちを知った後、タシンの自宅の前でラナーさんに呼び止められた。
「申し訳・・・なかったさね」
ラナーさんが一言、俺達に謝ると何故あの様な事をしたかの理由を伝える。
「誰か・・・誰でも良いからあの子の気持ちを知って欲しい・・・そんな私の我儘に付き合わちまった・・・」
俺はラナーさんの行動には何一つ、間違い等なかったと伝えようした時、俺の声を遮る様にしてイタがラナーさんに問いかける。
「あの!!ラナーさん・・・お願いがあるのだけど」
「・・・?何さね?」
イタは伝えるかどうか迷った様だが意を決して口を開く。
「これから毎日!タシンに会いに来て良いですか?」
イタの予想外だったのであろうお願いにラサーさんは一瞬、キョトンとした顔をしたが今度はラナーさんがイタに問いかける。
「どうしてさね?あの子を憐れでんかい?」
そう問うラナーさんに対してイタは答える。
「いいえ、違うの私と・・・ここにいるナルはタシンが夢を語る時に見せるあの目が好きなの、キラキラしていて応援したくなるあの目が・・・でも今のタシンはすっかり落ち込んでしまってダメダメになってしまったから。だから、彼の支えになって上げたいの!!あの目を取り戻して上げたいの!!」
ナルもそうよね?と問いかけてくるイタに俺も同意する。
「ああ、そうさ・・・俺もあいつのあの目が好きだ!!でも今のあいつの目は好きじゃないからな。俺もあいつを・・・タシンを支えたい!!幼馴染として・・・いや、親友として!!」
俺達の言葉を聞いたラナーさんは、目尻に少し涙を貯めると大きく笑い出した。
「あっはっはっはっ!!あ〜笑った!!あの子はいい友達を持ったさね!!」
そうしてひとしきり笑ったラナーさんが落ち着くと、最初のイタの問いについて答える。
「ありがとうね、イタ!ナル!どうかあの子を支えてやってくれさね・・・」
「はい!!任せて!!」
「俺も頑張ります!!」
「そうと決まれば・・・ちょいと待ってな」
ラナーさんがそう言うと家の中に入っていき、数分もしない内に何かを手に持って出て来た。
「これを・・・そうさね・・・イタ、あんたがお持ち!」
ラナーさんが渡して来た物・・・それはこの家の合鍵の様であった。
「・・・!?これ・・・いいの?」
「ああ・・・あたしも家に居ない時があるからね・・・いつでも来な、そしてあの子を助けてやってほしいさね」
◯
そうして次の日、俺は最近交代で任される様になった門番の役目をしながら、イタと今後どうやってタシンを励ますか話し合っていた。
「やっぱり、ただ励ますだけじゃダメだと思うの!私!」
「と言ってもどうするんだ?」
「そうねぇ・・・そうだわ、カブトムシ・・・カブトムシの親玉を捕まえてくればタシンも喜ぶじゃないかしら!!」
「え?あの虹色ドスヘラクレスを?いや、小さい頃ならまだ分かるが今の年齢じゃあなぁ・・・」
中々案が固まらず二人して悩んでいると背後から声を掛けられる。
「もし?今よろしいかしら?」
「え!?ああ、はいどちら様で・・・」
いきなり声をかけられて驚いた俺だが、門番の役目を果たす為、声の主の方に振り向いた時・・・俺は驚愕した。
「!!み・・・[耳の方]!?ど、どうもお久しぶりです!!」
俺の背後にいたのは交わりの峰の長である[耳の方]だったからである・・・だが、しかし
「そ、その無粋な質問だとは思いますが、いつもより訪れる時期が早い様だと思われるのですが・・・」
俺の疑問に対して耳の方は小さな子供を諭すが如く、優しい声色で答える。
「ええ、実は私は唯の案内役・・・ある方をこの場に連れて来たのが今回の目的だからね」
そう言うと耳の方は案内して来た者に話しかけた。
「ここが守人の里でございます・・・我が君・・・」
そこには[白]がいた。