こんばんは・・・主です。
ぐでたま&なめこ様、誤字報告ありがとうございます。
やぁみんな、タシンおじさんだよ。
とうとう禁忌の領域に踏み込んだだけのおじさんさ・・・
遂に私は成し遂げたのだ・・・新たな生命の誕生を。言わばこれは神の所業と言っても過言ではないだろう・・・これは新たなる神話に刻まれ偉大な一歩である・・・という伝記の様な物を残しておけば黒幕度が上昇するのでは?とは私は考えていたが、その思考を邪魔する者がいた。
【我が主・・・ご命令を】
ん?誰か何か言ったか?
私は疑問に思い、周囲を見渡すが誰もいない。
いや、待てまさか・・・
一つの答えに辿り着いた私は目の前いるモンスター・・・[護竜アルシュベルド]に目をやる。
「ま、まさか・・・お前が言ったのか?」
私の疑問に答える様に声が聞こえてくる。
【はい、その通りでございます・・・我が主よ】
こ、こいつ直接私の脳内に!!
と、余りにもテンプレなセリフが私の頭で再生されるが、咳払いをして一旦平静を装う事にした。
「ほう・・・因みに主というのは、私の血がお前の中にあるからでいいのか?」
【ええ・・・今も主に対して繋がり・・・の様なモノを感じます】
私は実験が思いの外上手くいった事に喜ぶ手前と同時に少し、厄介な事になったなとも思った。
私が今まで資料や手記で調べた護竜の生態・・・いや、性能と言うべきか。護竜には自我等は無く、物言わぬ機械とほぼ変わらない存在と言う風に明記されていた為、アルシュベルドの受け応えに少しばかりではあるが感情の起伏を感じ、何かイレギュラーでも起きたのかと思ったのだ。
だか・・・まあいい。
「そうか、分かった・・・これからはお前を何と呼べばいい?」
【はっ・・・個体名はありません・・・主に名付けて頂けませんか】
「そうかでは・・・ナル・・・いやすまん、忘れてくれ」
私は頭に浮かんでしまった親友の名前を直ぐに思い直し、別の名前を考える。
「よし、お前の名はアルシュベルド・・・お前の元となった原種の名だ」
【アルシュベルド・・・分かりました。我が名はアルシュベルド、これより私は主の剣となりお仕え致します】
アルシュベルドが私に伝えながらその身を屈ませ、忠誠を誓う騎士のような所作をする。
「・・・ああ、宜しく頼むよ、我が剣よ」
新たな力を得た私は笑みを浮かべ、我が新しき配下を向え入れるのであった。
◯
「凄まじいな・・・」
私は現在、竜都の跡形にある因縁と言うべき場所に[アルシュベルド]と共に訪れていた。
その目的は[アルシュベルド]の性能をテストする為だ。そしてその相手に選ばれたのが、宿敵と言ってもいい相手・・・[護竜リオレウス]である。
物語の世界に於いてマップに存在する頂点と呼ぶべきモンスターを蹂躙してみせた[護竜アルシュベルド]の実力は相当な物だが製造・・・生まれて間もないアルシュベルドに対して、相手はこの地に於いて何年にも渡り君臨して来た言わば頂点・・・勝負すればこちらが負けるのではと危惧していたが・・・
「グゥオォォォォォォ!!!」
勝利の雄叫びを上げるのは[護竜リオレウス]では無く、我が配下たる[アルシュベルド]・・・その足元で瀕死の状態で組み伏せられているは[護竜リオレウス]・・・正に圧倒的勝利とも言っていい結果で終わった。
最初は互いの咆哮から始まり、先手とばかりにリオレウスが飛び上がりながら得意のブレスを吐きアルシュベルドはそれを回避、回避先を読んでいたらしいリオレウスは自慢の鉤爪で刈り取ろうと接近して来た所をアルシュベルドが紙一重で回避しながら自身の鎖をリオレウスの足に巻き付けた。
そのままリオレウスを地面に叩きつけては浮かせ、また叩きつけるを繰り返して弱らせて最後にはジャイアントスイングで近くの壁に投げ飛ばす様に吹き飛ばし、壁にも叩きつけられたリオレウス動けなくなってしまった様だ。
【我が主・・・此奴をどうなされますか?】
初戦闘で勝利という快挙を成し遂げた[アルシュベルド]は戦闘時の興奮が引いて来た様で[護竜リオレウス]をどうするかを私に委ねる様であった。
「そうだな・・・そのまま逃してやりなさい」
【・・・宜しいので?】
確かにこいつは俺の親友を殺した・・・だが、ナルがこいつの巣に入り込んでしまった事で起きた悲劇なんだと私は考えていた。だから、私個人でこいつをどうにかしようとは考えてはいない・・・それに
「ああ、こいつと決着を付けさせないといけない相手がいるからな・・・今死なれては私が困る」
そう、こいつは私の親友を殺めた者であると同時にナタの父を殺したのだ・・・ならば決着を付けるべきは肉親の仇であるナタがやるべきだ。
【分かりました・・・我が主】
少し不満がある物言いをしながら、拘束していたリオレウスを[アルシュベルド]が解放するとリオレウスは直ぐ様立ち上がり、此方を向いて捨て台詞の様な吠え声を上げ、飛び去ってしまった。あの調子なら放っておいても死にはしないだろう。
「よし、じゃあ帰るか」
【お供します、我が主】
こうして私は心強い配下を得て、深層の拠点に帰るのであった。
◯
「ただいま〜」
「あ!お帰りなさい、タシンおじさん」
[アルシュベルド]の性能が分かり一安心した私は、一旦[アルシュベルド]を深層の拠点に置いていき里に戻る事にした。自宅の扉を開けた所で、今私が育てている親友達の忘れ形見に声を掛けられた所だ。
「おお、ナタ・・・どうだい、調子は?」
「うん!タシンおじさんから渡されたメニュー?って奴、ちゃんと終わらせたよ!!」
「ほほう・・・それは良い心掛けだ。だか、余り無理をするんじゃあないぞ・・・身体を壊しては元もこうも無い」
どうやらナタは、私が渡した育成メニュー・・・[ナタ育成計画Part2]を律儀に守ってくれている様である。[アルシュベルド]の件といい、私の計画は順調そのものだ。
「それでね、おじさん・・・また、外の世界について教えて欲しくて・・・」
それにナタには身体作りと並行して外の世界・・・この世界から見て西側に存在しているハンターの事や、その他にこの禁足地に存在しているモンスターについて話聞かせている。これは将来彼が禁足地調査隊のメンバーと相対する際に、物語よりも早くハンターになりたいという意思と興味を芽生えさせる為の作業だ。
「おっとそうだったね・・・メニューを頑張ったご褒美だ。さて、今日はどんな話が聞きたい?」
「やった!!えっとねぇ・・・ハンターの使っている武器?について聞きたい!!」
因みに護竜や竜都に加え、この里の成り立ちについては余り話してはいない・・・これはもしナタが西側で聴取を受ける際、護竜の存在やら竜都の歴史を知られた場合、向こうの欲深い連中に目をつけられ、調査隊のメンバーやナタ自身に悪影響を与えるのを避ける為だ。
人間は何千年と経とうがその本質は変わらない・・・勿論、全ての人間が悪とは言うつもりはないが、どの時代に於いても搾取する側の人間というのは存在しているのだ・・・警戒する事に越した事は無い。
「よし・・・そうだな。では今日ガンランスという武器について話そうか・・・」
そうして私は日常という平和を噛み締めながら、親友達の大切な子供を見守り過ごすのであった。