エアプタシンおじさん   作:てとるマン

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こんばんわ・・・予約投稿にしようとして寝ぼけて投げてしまった主です。


ぐでたま&なめこ様、誤字指摘ありがとうございますなのです。


では、どうぞ。




ある少年の証言、黒幕の暗躍、ある龍達の集い

 

 

 

 小さかった頃、僕にとってタシンおじさんは父と仲のいいおじさん、という関係でしか無かった。そんなタシンおじさんとの関係が変わったのは僕の父さんが死んだ時だった。

 

 

 周りの大人達はただ父さんがが死んだ事に悲しんで、僕の心配をする程度だった。でも、()()()()だけは違った。タシンおじさんは幼かった僕に父さんが命を賭けて僕を救おうと足掻いていた事、親友として・・・そして一人の親として立派な存在、まるで()()であったと教えてくれた。

 

 

 

 まだ小さかった僕はその時タシンおじさんが語ってくれた小さな英雄(父さん)の話を全て理解できた訳ではなかったけど、それでも思いは伝わった。

 

 

 

 そうして父さんにもう会えない事を理解して悲しむ僕を、何も言わず優しく抱き止めてくれた。その日から僕はタシンおじさん(もう一人の父さん)と一緒に暮らす事になった。

 

 

 

 タシンおじさんと一緒に暮らし始めて、最初は父さんの事を思い出したりして辛かったけど。とれーにんぐ?で身体を動かしたり、タシンおじさんが色々な遊びを教えくれて・・・一緒に遊んだりして、そんな日々がとても楽しくて、いつの間にか辛かった思い出とも少しは向き合えるようになれていた。

 

 

 

 そんなタシンおじさんがよく子守唄の様に語ってくれた英雄の物語に、僕は強く惹かれていたのを今でも思い出せる。

 

 

 

 人よりも数倍の体躯を持つモンスター(理不尽)に挑む、ハンター(英雄)の物語・・・いつしか、そんな存在になりたいと憧れる様になっていた。

 

 

 

 

 そうした平和な日々がいつまでも続くのだと、僕は思っていた・・・()が現れるまでは。

 

 

 

 

 

 

「逃げるんだ!ナタ!!」

 

 

 

 

 奴は僕らの住む里に()()()()()、僕の大好きだった場所を、思い出を・・・全てを蹂躙した。

 

 

 

 僕は・・・逃げるしか無かった。タシンおじさんに手を引かれ、何とか合流出来た里のみんなと必死に走って、走って・・・そんな僕らを(白の孤影)は見逃さなかった。

 

 

 

 洞窟の様な場所に追い詰められ、みんな悲観に暮れていた・・・ただ一人を除いて。

 

 

 

「いいかいナタ、ここを通って外に・・・地上に出れたら、太陽が沈む方向に進みなさい。そして人を頼るんだ、いいね」

 

 

 

 洞窟の奥にあった小さな穴から僕だけでも、とタシンおじさんは逃がそうしてくれた。

 

 

 

「嫌だ!みんなを・・・タシンおじさんを見捨てて行くなんて・・・僕には出来ない!!僕はおじさんが話してくれた英雄みたいに」

 

 

 

「馬鹿な事を言うんじゃあない!!!」

 

 

 

 戦うと言おうした所でタシンおじさんの声に・・・怒声の遮らてしまった。そんなタシンおじさんの顔はとても苦しそうだった。それでも言葉を続けた。

 

 

 

()()()()()()()()・・・力がない者達が生き残るには、繋いでいくしかないんだ・・・思いを、託して」

 

 

 

 そうタシンおじさんが言うと僕の背中を押し、僕はそのまま穴から滑り落ちてしまった。

 

 

 

「タシンおじさん!!」

 

 

 

()()()!!」

 

 

 

 タシンおじさんはそう言うと穴を岩で塞いでしまい、僕は・・・叫ぶ事しかできなかった。

 

 

 

「おじさーん!!!!」

 

 

 

 そうして僕はタシンおじさんやみんなを置いて・・・ただひたすらに歩いた。何度も、戻ろうと考えた。

 

 

 

 でも、ダメだった。僕には力がない!!そう頭では理解していた僕はモンスターに襲われない様、警戒しながらおじさんに言われた通り、地上を目指して歩いた。

 

 

 

 食べ物はおじさんがこの地域に自生している食用の植物だったり、キノコを教えてくれたおかげで何とかなった。

 

 

 

 それでも、寝る事は出来なかった。モンスターが闊歩するこの大地で、僕は心を休める事が出来ず、歩き続けるしかなかった。

 

 

 

 そうして僕は砂が広がる大地、おじさんの話では砂漠という場所に出で、太陽が沈む方角・・・西の方角に向かって歩いた。

 

 

 

 おじさんの話では、僕達以外の人は西側の地域にいるのだと。ハンター(人の守護者)がいるのだと・・・

 

 

 

 だからこそ、僕はその希望(英雄)を目指すしか選択肢がなかった。

 

 

 

 そうやって歩いている最中、僕は体力の限界を迎えて倒れている所を皆さんに助けて貰いました・・・・アルマさん。

 

 

 

 

 

 

  ◯

 

 

 

 

 

 

 

「皆んな!落ち着くんだ!!」

 

 

 

 ある一人の男の叫びが、慌てふためく人間達の声を静まらせた。

 

 

 

「この状況が・・・我々の運命なのだと、受け入れ様・・・さあ、皆んな集まって最後に祈ろうじゃないか・・・先祖に・・・そして託した者(ナタ)に」

 

 

 

 その男の言葉に一人、また一人と寄り添っていき、その場にいた者が集うと目を瞑り、独特な手法で祈りを捧げ始めた。

 

 

 

 そうして数秒が経過した後くらいか。突如、人々が集うその中心で煙が・・・いや、()()()()()がその場にいた全員を一瞬で包んでしまった。

 

 

 

 それからまた数秒後、ガスが晴れるとそこに広がっていたのは、ガスを吸い込み倒れた(眠ってしまった)人々の光景であり、その中で一人だけ立っている者がいた。

 

 

 

 

 シュコー・・・シュコー・・・

 

 

 

 

 やぁみんな、タシンおじさんだよ。

 

 

 

 

 自家製のガスマスクを被っているだけの黒幕おじさんさ。

 

 

 

 

 どうやら、ネムリガスガエルの濃度を高めたガスの効果は絶大だった様で、私以外の人間は声一つ上げる事なく、夢の中だ。

 

 

 

 

 さて、これで後は()()()がいなくなれば、計画の第一段階は終了だ。

 

 

 

 私がそう考えていると、この洞窟の唯一の出入り口に巨大な影を伴った何かがいた。

 

 

 

 

「ああ、来たか。お疲れ様だったな」

 

 

 

 私の言葉に対して、その影・・・[護竜アルシュベルド]は命令の完遂を報告してくる。

 

 

 

 因みにこいつは[アルシュベルド]ではなく、アイツの血で私の支配下に入った。繭の中にいた個体だ。

 

 

 

 計画の第一段階では里の人間に危害を加えるつもりはなかったが、里を()()する必要はあった。アイツは【如何なる命令でもお応えしましょう】と言っていたが、私は・・・あいつ(ナル)の面影を感じる[アルシュベルド]に、他の誰よりも里を愛していた・・・あいつの愛する者が眠る地を破壊させる事なぞ、出来る筈も無かった。

 

 

 

 そうして()()()()がたったのが、この[護竜アルシュベルド]と言う訳だ。

 

 

 

 流石に[アルシュベルド]の様な細かな命令は出来ないが、それでも今回の私の命令をやり遂げてみせた・・・頭ぐらい撫でてやるか。

 

 

 

 私は次の命令を待ち続ける[護竜アルシュベルド]に近付き、何の足しにもならないだろがその頭を優しく撫でてみる。心なしか嬉しそうな気がする・・・気のせいだろうが。

 

 

 

「しかし・・・これが護竜の力か・・・」

 

 

 

 たった一匹のモンスターが私の命令一つで、人類の営みを()()()()して見せた。私の力としてみれば、とても素晴らしい事なのだが・・・

 

 

 

「何故、古代人は護竜を作る必要があったんだ・・・」

 

 

 

 それは私の認識の阻害が外れてからの最大の疑問であった。以前にも話したと思うが古代人が残した手記や実験の記録は全て日本語であった。

 

 

 

 そして、[耳の方]が語った話の中でも出てきた[白]の言った『()()()()()()()()』と言う言葉から古代人は私と同じ、日本人であった事が窺えた。

 

 

 問題はその日本人達は例外なく、皆、狂気に飲まれていた。何故それが分かるのかと問われれば、彼等の手記に書かれた文章・・・いや、文字から分かるその異質と言わんばかりの復讐心や怒りに加え、その他にもありとあらゆる感情が文章に込められ、実験を行っていた事を()()()()()()()

 

 

 

 

 だからこそ、私は怖いのだ・・・いつか、私もあの者達と同じ道を辿るのではないかと・・・それでも、狂気に飲まれようとも・・・私は待つ。

 

 

 

 

 私という存在(黒幕)打ち倒す(狩る)英雄(ナタ)を・・・私はいつまでも待っている。

 

 

 

 

 

  ◯

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、調子はどうかしら?」

 

 

 

 ここはありふれた西側諸国、人間の生活圏にある街での、ある出来事。

 

 

 

「ちっ・・・貴様、先日(十数年前)の仕返しか?どうやらサービス(隕石)がまだ足りていなかったらしいな」

 

 

 

 いつも通りの平和な日常が流れるこの街で[(赤衣の男)]と[(白い少女)]が出会っていた。

 

 

 

「ふふっ、違うわよ。私は何処かの誰かさんとは違って、広い心を持っているの。だから私の()ノック(爆撃)されたくらいで何かしようとは思わないわ」

 

 

 

「ふん、どうだが」

 

 

 

 [白]のお前がした事等、()()に等しいという言葉に、皮肉でも一つでも返してやろうかとも考えたが、[赤]は要件(わざわざ目の前に現れた理由)を聞き出す。

 

 

 

「ならば()()来た。理由を言え、私は忙しい」

 

 

 

「釣れないわね・・・貴方に聞きたい事があって来たの」

 

 

 

 こいつ(祖龍)が聞きたい事だと?十中八九面倒事だな。

 

 

 

 [赤]はそう決め付け、どうにかしてこの[(傲慢な王)]を撒く手段を模索する。

 

 

 

「勿論、お礼はするわ・・・私の最近のお気に入りの人間(オモチャ)の話はどう?」

 

 

 

()()()

 

 

 

 先程迄の()()は何処へやら、面白い唄のネタがあれば地獄の門(祖龍の頼み)も潜ってみせると宣うこの龍は、本質を問えば、何ら[白]と変わりの無い(クソトカゲ)であった。

 

 

 

 

 

  ◯

 

 

 

 

 

「・・・それで、最近は竜都の護竜、全てを掌握したって訳なの」

 

 

 

 

「ほう・・・あの都の竜達を・・・か」

 

 

 

 立ち話ではなんだと言いながら近くのカフェのテーブルに座り、物語を語り終えた[白]とコーヒーを飲む[赤]がいた。

 

 

 

 それにしても、少々手を加えた(手助けした)様だが、それでも只人が行って来た偉業とも言える(物語)は[赤]の関心を引く事に成功していた。

 

 

 

「まあまあだな。いいだろう、聞きたい事とは何だ?」

 

 

 

 前払いで報酬を貰った[赤]は対価を払うべくして、[白]に改めて要件を聞く。

 

 

 

「聞きたい事は、その人間とも関係がある事なのだけどね」

 

 

 

 [白]は少し間を開け、言葉を続ける。

 

 

 

「何故、異世界から来た転生者達が()()に飲まれてしまうのか・・・私の人間(オモチャ)にも同じ事が起きると、せっかくの余興(反英雄の物語)が台無しになってしまうから。()()()と親交のあった貴方の意見が聞きたかったの」

 

 

 

 その言葉に対して[赤]は直ぐには答えず、[白]に問い返す。

 

 

 

 

「・・・そもそも、異世界からの転生者はどう言った存在だと貴様は思う?」

 

 

 

 

「そうね・・・()()()()()()()()()()()・・・かしら?」

 

 

 

 

「そうだ。本来なら人は死ねば、魂がその世界の輪廻の輪に乗り、その流れに従ってまた別の存在へと同じ世界で転生するのだ・・・だが偶に、その流れから()()()()()()()()がいる。大抵は放り出された段階で魂は形を失い消滅してしまう」

 

 

 

 魂の循環については勿論[白]も把握している・・・問題はこの先だ。

 

 

 

「その中でもごく少数の()()()()を持つ者がいる。その者達は魂の形を失う事なく、世界の壁を乗り越えて別世界の輪廻に組み込まれてしまう・・・それこそが異世界からの転生者達の正体だ」

 

 

 

 成程と[白]は思った。だがその理論では可笑しな点がある。

 

 

 

「だとしたら、この世界にはあらゆる世界の異世界人がいてもおかしくない筈・・・なのに、この世界に災いもたらす兵器を作り上げてきた古代人達は・・・・あの子(タシン)を含めて皆、()()だったわ。その理由も知っているのかしら?」

 

 

 

 

「当然だ。何しろあいつ(かつての友)共、その話をよくしていたからな」

 

 

 

 [赤]はそう言うと喉を潤わす為か、コーヒーを一口飲み、話を続ける。

 

 

 

「幾ら強靭な魂とは言え、身一つで世界を跨いだ()()は凄まじい物だ・・・本来なら転生した段階で魂が崩壊して皆、力尽きてしまう。そうした中であいつとその同郷の者だけが生き続ける事が出来たのは・・・この世界が、()()()()()だったからだそうだ。だからこそ、他の者達が力尽きていく中で、異世界転生という()()()()()を持ったその心が、崩壊する魂を繋ぎ止め、生きる事が出来たのでは無いかと我々は結論付けた」

 

 

 

 状況証拠しかないがなと付け加える[赤]に[白]は一定の理解を示し、続きを促す。

 

 

 

「それで?そこからどうやって狂気に堕ちていくのかしら?」 

 

 

 

「簡単な事だ。魂を繋ぎ止めていた、()()()()()()()()()()()()()、その者は狂気に堕ちる」

 

 

 

 カップに入ったコーヒーを全て飲み干した[赤]は答えを示していく。

 

 

 

「憧れを抱いた所で、元々この世界の魂ではないのだ。この世界の常識に身体がついてこず()()する者、或いは身寄りの無い自分を支えてくれた愛する者が居なくなってしまった()()、そこから転生者達は狂い始め、元々の魂自体は強靭な為に完全に壊れる事も出来ず、最後は皆、狂気の狭間へと堕ちていくという訳だ」

 

 

 

 自分が考えていた予想とほぼ同じ答えを出した[赤]に[白]は最後の疑問を打ち明ける。

 

 

 

 

「なら、あの子も堕ちてしまうのかしら・・・古代人のように」

 

 

 

 

 その疑問に対しては[赤]は、先程聞いた話からの推測で答える。

 

 

 

 

「それに関しては心配する必要は()()だろう」

 

 

 

 

 予想外の[赤]の答えに[白]は珍しく驚いてしまう。

 

 

 

「あら?どうしてかしら」

 

 

 

「お前がその者と契約する際に血を分け与えたのだろう?ならばその時に微量あろうがお前の()()()()がその者の中に入り込んだ筈だ。何度か感情を揺さぶられるタイミングがあった様だが、それでもお前の人間(オモチャ)は狂気に堕ちる事なく、前へと・・・自分の信じる道をこれからも進んでいくと私は思っただけだ」

 

 

 

 

 全て語り終えたと言わんばかりに[赤]は立ち上がり、一言別れを告げる。

 

 

 

 

「これで俺が知っている事は話した。いいネタをありがとう・・・我が王」

 

 

 

 

 そうして[赤]は人混みに紛れ込んだかと思ったのも束の間、姿を消し去っていった。

 

 

 

 

「・・・ええ、さようなら。貴方の唄、楽しみにしているわ」

 

 

 

 

 

 

 そうして舞台は西から東へと移る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






 
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