やぁみんな、タシンおじさんだよ。
あの後ナルを正気に戻し、彼を正しい道に戻す事が出来たおじさんさ。
さて、先ずはあのタコ事、シーウーの対処について話そう。
先ず守人の服装を是正しようかとも考えたが、余り現実的ではないという事で却下した。
却下した理由として、私達が最も手近で唯一手に入る布・・・というより革は護竜達の物しかない為である。
これにより私が最初にしたのは里の住人達にシーウーの存在を伝え、奴が出るであろうポイントには近づかない様にする事である。
若干一名、冷めた目で此方を見ている者がいたが、私は華麗にスルーした。
次にやった事は里の外縁部及び住人達が里外に出た際に訪れるであろう場所に[こやし玉]を粉末状にした奴をばら撒いた事だ。
あのタコに鼻なんて物があるか分からないがやらないよりはマシだろうと実践してみた。
その甲斐あってか、私が襲われてから後に里の誰かが襲われたという事はなく、心中ほっとした事である。
私自身は深層及び探索の際は縄張り争いで負けたらしい・・・確か名前はゲリョス・・・だったか?の亡骸を見つけていた為、その時採取していた皮を加工してポンチョの様に被り、いざ護竜達が私に近付いてきたらそれを脱ぎ、身を隠すという方法で対処していた。
そんなこんなで奴の対策に少々骨が折れたが何とか形にする事は出来た。
ではそろそろ現在の私の研究がどれ程進んだかについて話すとしよう。
私の研究自体は、昔採取したドシャグマの血と、偶にいる群れていないセクレトを罠にかけ、反晶を使って弱体化させた所を血や皮膚の一部を貰い、護竜の解析を続けていた。
その結果としては護竜の機構についてほぼ全体を把握する事に成功した。
そこから護竜の製造について当たりをつけた私は本日、護竜の製造実験をする事にしたのだ。
用意する物は先ずは製造したい護竜の血、次に製造した護竜の使役者となる者の血・・・勿論私の血であり、最後に里付近に生息していた環境生物[ネムリガスガエル]である。
実験の内容としては最初に護竜の血と使役者の血を混ぜ、生物にその血を注入すれば・・・その生物は注入した護竜へと変貌する・・・と思われる。
これは私の護竜の血を解析した結果と先日、私が見つけた深層の遺物の中にあった書物から護竜の製造に関する記述の一部に書かれていた事からの推測である。
本来なら護竜にしたいモンスターのDNAを解析した上で、更にそこから護竜の機構取り入れてという段階を踏まないといけない様だが、変貌させるタイプの護竜が既に存在しているなら、その血を使えばそのステップは省略出来ると思われる。
まあ、物は試し・・・実験はトライアンドエラーで進めなければ何も進まないのだ・・・始めるとしよう。
私は最初のステップである、[護竜セクレト]の血と私の血を混ぜ合わせる、その後混ぜ合わせた物を自作の注射器に充填し、捕獲していた[ネムリガスガエル]に注入する。
さぁて・・・どうなるか・・・
私は期待しつつも何が起こるのか分からない為、直ぐに対処出来るように観察する。
すると[ネムリガスガエル]の様子が変わり、身体が震え出したかと思うとその粘膜が張った皮膚から鱗へと変貌していくのが観測出来る。
「こ・・・これは、成功か?」
だが、私の期待とは裏腹に[ネムリガスガエル]が苦し悶える様な仕草をしたかと思うと唐突に身体が弾け、肉片が周囲に散った。
「・・・何が原因なのだ・・・」
最初の実験後、私はカエル以外にも捕獲出来る限りの生物を使い実験をしたが、どれも結果は変わらず、手詰まりとなってしまった・・・
「・・・しょうがない・・・気分転換も兼ねて探索でもするか・・・」
流石に生物が弾ける姿を見続けた私の気分は最悪と言っても過言では無かった為、私は先日護竜の製造法が書かれた書籍を見つけた深層辺りをもう一度探索する事にした。
◯
「確かこの辺だった?」
私は先日探索した遺跡後から何かないかを探した・・・出来れば先日発見した書籍の欠けていた部分が見つかればいいのだが・・・
「ん?・・・これは・・・」
私は布で包まれていた物体を掘り起こし、布を取り外し中身を確認する。
「み、みつけたぞ!!」
私の握った書籍・・・いや、レポートにはこう書かれていた・・・[造竜レポート第十三回目実験記録]
その後私は急いで深層の仮拠点へと戻り、レポートの中身を確認する事にした。
「この中身が把握出来れば・・・私の研究の完成は間近であろう・・・」
私の胸は自然と高鳴りレポートの最初のページをめくる。
「・・・・・・・」
そこから数分、数十分と経つにつれて私の心中は暴走を始めた。
「・・・けるな」
そうしてレポートを掴んでした私の指は震え出し、私の心の内を声に出してさらけ出す。
「ふざけるなぁ!!ゴミ共がぁ!!」
私は持っていたレポートを感情の赴くままに地面に叩きつけ、それでも治る事の無い感情に従い声を上げる。
「人間として・・・人としての誇りはないのか!!」
私が何故こんなにも憤っているのか・・・それは実験に使われていた物に起因する。
「人間を・・・それも生きた素体での実験だと!!その様な事が罷り通っていたのか!!」
どうやら古代人達も私と同じ様な失敗をし、悩んだ様である。
理論は間違ってはいない・・・なら何がいけないのか・・・そう綴られていた文字の後に書かれていた内容に私は戦慄し、そして怒りを覚えた。
「そうか!人を素材にすればいい!!」
もし私がその場にいたとしたら、その様な発言を聞いたであろう。
そうして実験が進み、最終的には量産が出来る程、製造に関しては安定した様だが・・・私はそこまで読み進める気にはなれなかった。
憤り過ぎて我を忘れた私が次に意識がハッキリした時には私は研究室の外にいて、レポートを燃やしていた時だった。
最初は少し勿体無い事をしたかと思ったが、だがあの様な下劣な物がこの世に存在しているだけでも私は許せそうには無かった為、私の判断は間違いではないと今でも思う。
「私は・・・誇りだけは・・・捨てん・・・」
私とて生物を使い実験しているのだ・・・他人から見れば、レポートの古代人としている事に何も変わりはない・・・だが、それでも人である事を今はまだ・・・止めるつもりはない・・・
[造竜レポート実験記録]以下から一部を抜粋
◯月△日
実験結果:失敗
モンスターを使った造竜の実験は中々前に進む事はない・・・いっその事、着眼点を変えてモンスター以外の生物を素体にしてみるのも悪くないこれ以降の実験では捕獲してきた生物も実験の対象にする事にしよう。
◯月▷日
実験結果:一部成功
や、やったぞ!!一部だが生物がモンスターに変貌する事が確認できた!!だが、素体となった生物は全て身体を保つ事が出来ず、崩壊してしまった・・・これより実験の主旨は身体の崩壊を防ぐ方向にシフトしていくであろう。
◯月✖️日
実験結果:失敗
駄目だ。あらゆる生物を実験に使ったがとうとう、あと一種を除き全て失敗した・・・このままでは私の責任を問われ、投獄されるかもしれない・・・何とかせねば・・・
◯月◇日
実験結果:失敗
不味い、最後の一種だったのにこの生物でも駄目だった・・・もう、試せる生物は残っていない・・・私はお終いだ・・・いや待て、まだいるじゃないか・・・試していない生物が・・・それを試してからでもここから逃げ出すことは遅くはない・・・
◇月△日
実験結果:成功
やったぞ!!遂に成し遂げた!!私はやり遂げたのだ。成程、器に限界があったから今までは悉く実験が失敗したのか、と私は納得した。
だが、素体として実験した内の半数近くは変貌せずに身体の崩壊してしまった物がいた。この結果を受け、生産の安定化の実験を続けていくとしよう。
▷月△日
実験結果:成功
遂に造竜の安定した生産方法を確立させた・・・どうやら人間の中でも強靭な肉体・・・いわば[ハンター]の素質がある者が適合者だったらしい・・・と言っても分かる者などいないだろうが・・・
だが遂に!!とうとうここまで来たのだ!!
このまま性能を突き詰めていけば、ゆくゆくはあの憎き[黒]を・・・イヤ、あの[赤]や[白]にさえ、我が牙が届くであろう!!
見ていろ!!私が世界を支配する時は近い!!