貞操逆転って何ですか? 作:永遠のスランプ
「それでは持ち物検査しますね?服全部脱いでくださーい」
婦警さんが当たり前の様に言うのを聞いて、この世界ってもしかして頭おかしいのかな?って思いました。いや、間違ってないのか?そうか、武器とか隠し持ってたら危ないからか。
『え、いやそれは恥ずかしいし』
「すいません。こっちもお仕事なのでね。すいませんねぇ……」
そう言いながら、上半身を舐め回す様に見ながら、体を触られる。
何でこうなったんだっけ。
──えっと、そうだ。ニンジン。二人の食欲が止まらなくて。それで買い出しに来て、そうだ。セッ……の話題になったから。誤魔化して逃げて来たら迷子になって。それで。
「……お。戻って来たね」
『それは俺に言ってます?それとも下?』
俺に言ってる様で彼女の目線は下半身の一部分からピクリとも離れない。
「君達は二人で一つなの?一人で二つなの?」
『中々、難しい難問ですね。あの、股間ガン見するの辞めてくれません?』
「市民の安全を守るのが警察官の役目です。無事かどうか確認しなきゃいけないでしょ?」
そのセリフを
『ズボン脱がせようとするの辞めません?』
「確かに、非効率的だもんね。それに、男の子はズボン下ろしてしないんでしょ?」
駄目だ。手段が変わっただけで、やる事は何も変わってない。淡々とジーパンのチャックを下ろさないで?仕方無い。何故か分からないけど、この人は俺の股間を狙っているらしい。なら簡単だ。俺は馬鹿じゃないからこの問題の解決法が分かった。
『男?』
「?」
『いや俺、男じゃないですけど?』
サナに聞いた話によると、確かこの世界は男性が少ないって言っていた気がする。つまり、俺はレアという事だ。多分このまま警察に捕まったら、アニメや漫画でしか見た事無いガラスの水槽みたいなのに入れられて色々実験されるのかもしれない。そうなったら俺の目標の達成が難しくなる。
だから、ここはどうにかして乗り切らないといけない。女性になりきれ俺。
「あ、そうなの?髪も短いし、ナヨナヨしてるし。見るからに男っぽいけど。それに俺って言ってるし」
『あー、男の子ホルモンが多めらしくて。それに女でも俺って言いますよ?生き物としてはメスなので。もう良いですか?』
そのまま立ち去ろうとする。なんか前、何処かで見た気がするけど。確かこういうのはニンイだった筈。テレビのインタビューみたいに忙しかったら、断っても良いって書いてあった。
「待って。最後に、女の子なら見せれるよね?同性だしさ。全部脱いでよ!大丈夫、同性の裸なんて皆興味無いから。ただ、おっぱい小さっ……とか思われる程度だろうし」
『あ、えっとさっきも言ったんですけど、恥ずかしくて』
「大丈夫、大丈夫。ついてるモノ同じなんだから恥ずかしく無いよ。女同士裸の付き合いといこうよ」
ズボンにしがみついてくる変態に、必死に抵抗する。
『離してください!警察呼びますよ!!』
「はい」
『クソッ!』
警察。まともな、人をッ!入れろよ!
クッソ離せ!思いっきり腰を捩らせると何かから解放され、動きやすくなった。何故かは分からないが、これはチャンスだ。
「あ」
先程まで煩かった変態が何かに驚いた事が気になるが、そんな事を気にしている場合じゃない。俺のにんじんをウ●娘が求めているんだ!
「ねえ、それ何?」
いつの間に前に移動して、指された指を追えば。
下着のみの股間がそこにあった。そこには膨らみがあり、ナニかがあるのは隠せなかった。
『ア、ああ』
「ねえ、それは何?何なんだろうねぇ!取り敢えず、話は署まで聞こうか!!と言うか性別詐称罪で、現行犯逮捕しても良いんだよ?」
『や、辞めてください』
な、なにか無いか。男じゃないと言えてこの場から無事逃げられる物は。
……男ホルモン、女……股間?
これだ!!!!
『先ほど言いましたよね?男ホルモンが人より多いって。だから生えてるんですよ。いわば、ふたなりですね。だから、嫌だったんです。そうやって誤解されるから』
蹲って、鼻水を啜る音がそのフロアに響き渡る。この光景、側から見たらどう思われるだろうか?
市民の味方の警察官が、絶滅危惧種に近い男を泣かせた。と思われる筈だ。そのまま顔を伏せて、涙声で俺は何とかその場を離れる事が出来た。一応、名前を聞かれて罪悪感のあまり、答えてしまったのが失敗だったな。
世の中にまだキラキラネームが知られる前に、貰った俺の名前。あまり、言いたくないけど親はちょっとおかしいと思う。なんせ……まぁ、詳しくはまた今度。今日はもう疲れた。
『あ、メッセージが』
二人から何処にいるのかと尋ねるメッセージと電話が来ていた。……そうだ。名前、なんか考えないとな。キラキラしない様な。もう、山田太郎とかで良いかな。逆に浮くか。