死に戻り戦場もの   作:mbclmbo

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第1話:全ての元凶

空から砲弾が降り注ぐ。

 

轟音とともに大地が裂け、泥と血と硝煙が渦巻く。この世の終わりを思わせる破壊の雨に、人間の命など紙よりも軽い。

 

戦場では砲を「女神」と呼ぶ者もいる。だが、いざ敵として相対すれば、それはただの冷酷な審判者だ。慈悲もなく、選別もなく、誰彼構わず粉砕する無機質な暴力。

 

俺のいるこの場所は、比較的安全だとわかっている。だが、その「安全」という概念も今や薄氷の上のものだ。何かひとつでも狂えば、即座にこの肉体ごと吹き飛ぶ。それを考える暇もなく、俺はただ砲弾の雨を耐えながら、息を潜める。

 

手元にあるのは、泥にまみれて使い物にならない小銃と、一本のスコップ。これが俺の生死を分ける道具。間もなく、砲撃の後を追うように敵が雪崩れ込んでくる。血に飢えた狼の群れのように、俺たちを仕留めるために。

 

生き残れるのか――また、この地獄を抜けられるのか。

 

過去の俺は、こんな戦場をどこか遠い世界の出来事のように見ていた。無知ゆえに戦争を軽んじ、己の選択を誇りすらしていた。

 

――愚かだった

 

その代償を、今ここで払い続けている。

 

 

 

 

 

 

 

それは、特に変わらない日常の中で起きた、明らかな異常だった。

 

 昼寝でもしていたかのような感覚で、気がつけば光に包まれていた。

 

 目を開けると、そこには見知らぬ風景。そして、周囲には俺と同じように呆然としている日本人らしき奴ら。

 

 訳がわからないまま、前を向けば──神と名乗るヤツがいた。

 

 「異世界の魔物との戦争に勝つため、お前たちを一時的に召喚した」

 「今のお前たちは弱すぎるので、訓練を施す」

 「訓練を終えたら、身につけた力で魔物と戦ってもらう」

 

 なんかすごいことをサラッと言われた。

 

 いやいやいや、異世界召喚って普通、もっとワクワクするやつじゃないのか!? 王女様に迎えられて、いきなり勇者認定とかさぁ!

 

 なのに、いきなり軍事訓練!?

 

 周りの人たちは、ざわざわと戸惑いの声を上げている。

 

 「ちょっと待て、どういうことだよ!?」「元の世界に帰れるのか!?」「訓練って、どんなのをやるんですか?」

 

 質問攻めにされても、神は淡々とした態度を崩さない。

 

 「帰還については、戦争が終結した際に考慮します。訓練内容については、各自が選択する訓練場によって異なります」

 

 つまり、帰れる保証はないってことか? いや、まあどうせなら、しっかりやるしかねえか!

 

 しかも、どうやら訓練の世界は難易度を選べるらしい。

 

 ……なるほど。

 

 最も難易度の高い世界で訓練を積めば、俺は最強になれるのでは!?

 

 俺は閃いた。チートな力を手に入れるなら、ぬるい環境では意味がない。ここは、最も厳しい世界を選ぶしかないだろう。

 

「さて、それではどのような世界に行きたいですか? ちなみに今は普通くらいの難易度を選ぶ人が多いですよ」

 

 ふっ、これは俺TUEEEEができてしまうかもしれない。最高じゃん。

 

「神様、それでは私が考える最高難易度の世界。世界大戦の戦場、特に塹壕戦に送っていただきたいです!」

 

 神の顔が「うわぁ……こいつマジか……」みたいな表情になった。え? なんでそんな反応?

 

 「なんか色々言っても意味がなさそうなのですけど、一応確認しますね。あそこは本物の地獄がこの世に顕現したようなもの、いや、地獄すらも生ぬるいかもしれません。本当に、よろしいですね? 神といえど、あなたの精神までは守れませんよ?」

 

 あれ、そんなにヤバいの!?

 

 でもまあ、俺は強さに貪欲だからな! 普通の異世界じゃ物足りないんだよ!

 

 周りを見れば、他の召喚者たちはおとなしく「普通」や「簡単」な難易度の世界を選んでいる。だが、俺は違う。ぬるま湯で過ごすつもりはない。

 

「お前、本当に後悔しませんね?」

 

 あれ、そんなにヤバいの!?

 

 でもまあ、俺は強さに貪欲だからな! 普通の異世界じゃ物足りないんだよこれがなぁ!まぁ、他の軟弱なやつらとは違うんだなぁこれがぁ?

 

「問題ありません! 最強になります!」

 

 かくして、俺は地獄に飛び込んだ。

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