アインズ様を怒らせたクズ男(改)   作:黒郎丸

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冒険者となったクズ男 【閲覧注意:残酷描写】

 

 (いやぁ、この世界も”リアル”と同じでチョロいぜェ)

 

 

 そのクズ男、プレイヤー名『狂也』は、これまでの過去を振り返っていた。

 

 

 (ゲームがサービス終了して、突然この世界に来ちまった時はどうしたもんかと柄にもなく焦っちまったが……)

 

 

 竜王国の門の近くに転移した狂也はトントン拍子に国の中へ入り、あっさりと冒険者登録を済ませ、初日でビーストマンの群れを殴り殺して一気にランクを上げていた。

 

 

 竜王国は長年にわたるビーストマンの脅威による慢性的な人手不足で、来るもの拒まずだ。

 入国料を払う必要がなく、身分証明もいらなかった。

 

 

 他国の冒険者ギルドであれば、時間をかけて面倒な採取やら清掃やらをこなし、適正ランクを上げなければ討伐依頼を受ける資格を与えられないが、この斜陽の国では低ランクの新人冒険者であっても、無理やり戦場に送り出す有様だ。

 

 

 だが、現地民にとって過酷な大地は、レベル100のプレイヤーにとっては天国だった。

 

 

 何も考えずに、ただ貧弱なケモノを殴り殺すだけで好待遇を得られる。

 

 さらに元居た世界に比べて、この世界の人間は美女ばかりだ。

 なので、このクズ男は楽して大金を稼いで高級(この貧しい国の基準で)娼館に入り浸っていた。

 

 

 これが普通のの冒険者であれば朝早くにギルドに到着し、少しでも生存率の高い割のいい依頼を奪い合う。

 さらに、武器防具の手入れ、薬の調達、同僚へのあいさつ回り、パーティ内での会議などもこなす必要がある。

 

 

 それに対し、この男は昼近くに起き、のんびりとギルドに出かけ、誰もやりたがらないような危険な依頼を受け取り、圧倒的な身体能力により短時間で現場に移動し、自分基準で弱いケモノを殴り殺し、楽に大金を得るという極上の生活を送っていた。

 

 

 元の『リアル世界』に生きる大多数の人間からすれば羨ましすぎる働き方なのだが、生まれてこのかた働いたことのない、それどころか苦労の一つもしたことのない男では、その有難みを理解できていなかった。

 

 

 「まあ、欲を言えば、ゲーム時代の装備やら金貨やらも一緒に転移してくれていれば最高だったんだがなァ……」

 

 

 ゲーム時代は、『リアル』での資金力にものを言わせて最高級の装備を揃えていたが、この世界に持っては来れなかったようだ。

 なので、この世界原産の魔法武具(クリスタル・ティアからの戦利品)などを代用で装備していた。

 

 とはいえ、それすらも使う必要のない弱者ばかりなので、かつての装備がなくとも全く問題はないが。

 

 

           ■

 

 

 「止マレェ! コイツガ、ドウナッテモイイノカァ!?」

 

 

 狂也に追い詰められたビーストマンが、檻に入れられていた人間の女性を引きずり出して人質にした。

 

 だが、そんな事お構いなしにクズ男は躊躇することなく人質もろとも、そのケモノを殴殺した。

 

 

 「メルゥゥゥゥウ!!」  

 

 

 どうやら、周囲にいる村人たちの中に人質の家族がいたようだ。

 

 

 「なんで殺したんだ!? てめぇのせいで!!」

 

 

 遺族である夫が、クズ男に問い詰めるが……、

 

 

 「うるっせぇなぁ……」

 

 

 そう、つぶやきながら彼を殴り殺した。

 

 

 「な、なんて奴だ……」

 「ひどい……」

 

 

 この凶行に周囲の人間たちが非難や恐怖の目を向けるが、クズ男はそれをうっとおしく思った。

 

 

 「おいッ! 竜王国の大英雄たる、この俺様になんて態度だ!?」

 

 

 元の世界でも傲慢な性格だったが、この世界で強大な力を振るっているうちにプライドが更に肥大化してしまっていた。

 

 

 クズ男は、その辺に落ちていた石を彼らに投げつけた。

 一人を殺して脅すつもりだったが、レベル100の戦士職のプレイヤーが投げた石は強烈な空気の圧力に耐えきれず分裂し、散弾銃の如く他の村人にも当たって多数の死傷者を出してしまった。

 

 

 「うわぁぁあッ!?」

 「いだい、いだいぃぃ……」

 

 

 その様子を見ていた一人の村娘が、ふらふらと地面に膝をついた。

 その娘に目をやると、なかなか自分好みの女だと気づいた。

 

 

 「おい、お前こっちに来いっ! 英雄様が可愛いがってやるからよォ!」

 「い、いやっ」

 

 

 娘は抵抗するが、敵うはずもなく引きずられていく。

 そこで、クズ男はふと我に返ると、他の生き残りに目を向ける。

 

 

 (この女とシケこんでる隙に報告されるのも不味いか……)

 

 

 そのように愚考したクズ男は、またもや近くにあった石をいくつか手に取ると、先ほどの要領で石を分裂させながら村人に大雑把に当てていった。

 

 

 「ぎゃぁぁぁッ!?」

 「だ、だれか……」

 

 

 ほとんどの村人が倒れるが、適当に狙ったために生き残りがいたようだ。

 息も絶え絶えになっている彼らに近づき、丁寧にとどめを刺していく。

 

 

 (これで口封じにはなったな!)

 

 

 改めて娘の腕をつかみ、行為がしやすそうな場所を探し回る。

 娘はもはや抵抗する気力もなく、うつろな目でクズ男に引きづられていった。

 

 

 

            ■

 

 

 行為の後、娘は口封じに殺された。

 

 自分がいなければ、どのみち村人は化け物に食い殺されていたんだし、助けてやった自分が殺しても玩具にしても何の問題もない。クズ男は本気でそう信じていた。

 

 

 (ギルドには「化け物に殺されてました」っつっとけばいいよな!)

 

 

 自分の犯行はバレてないと思い込んでいるようだが、実はギルドが派遣した監視役に一部始終を見られていた。

 このようなギルド史上最凶の問題児に監視を付けないなんて有り得ないのだが、世間知らずなクズ男では考え付くはずもなかった。

 

 

 当然、これまで行ってきた全ての蛮行は、この国の女王や高官にも詳細に報告されている。

 

 暴行、窃盗、恐喝、殺人、強姦、虚偽報告、器物損壊、死体遺棄など、ビーストマン駆除の()()さえなければ、もう20回は処刑されても不思議ではないほどの犯罪に手を染めている。

 

 それでも罪に問われないのを、この男は完全犯罪を成し遂げたからだと思い込み、やはり自分は天才なのだと、おめでたい頭で自画自賛していた。

 

 

 若い外見のアバターを使用しているため、見た目こそ10代後半の若者だが、実際はもう30年は生きている。

 

 だが、苦労した経験がないので、現在の若い外見以上に、その精神は幼かった。

 

 

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