ーソラシド市ー
山の端が徐々に朝焼けに染まる頃、無名とソラは走っていた。まだ朝は空気が冷たいため、走る度に吐く息は白い。
2人がランニングを走るのは日課だ。
走ることは様々なことに役に立つ。単純なスタミナ、追う時、逃げる時のスピード、適度に動かすことにより筋肉がつき、戦闘でのパワーアップに繋がる。
朝の光のソラシド市を山の上の公園から見下ろした。ちょうど東の山から光が差し込んできた。
ソラが息を朝の吸い込む。
ソラ「おはようございます!」
無名「…」
太陽に向かって挨拶をした。
『ソラちゃ……ん……』ゼェゼェ…
息を切らしながら今日初めて朝練に参加したましろが追いついた。
ソラ「大丈夫ですか?」
ましろ「見ての通りだよ…」ゼェゼェ…
ドリンクが入った水筒を差し出しながらソラがましろに聞いた。
ましろ「ランニングして体を鍛えたらもうちょっとソラちゃんや無名さんの役に立てるかなって…」
ましろ「でも千里の道も一歩からだからね…」
ソラ「それってどういう意味ですか?」
無名「…たとえ遠き道を踏破するにも初めの一歩が肝要…つまり、何をなすにしても日々鍛錬を怠らないことが大事…という意味だ」
ソラ「無名さんが言うと説得力がありますね!早速メモしましょう!」
持ち歩いていたヒーロー手帳に書く。ソラは日々無名やましろ、そして日々の生活から得たものを書き写すようにしていた。
ましろ「えっ…えぇ?!いつの間に覚えたの?」
ヒーロー手帳にひらがなで文字を書いているの見てましろは驚いてボトルを強く握ったため、水の軌跡に虹を描いた。
ソラ「1日5文字ずつ毎日コツコツです」
取り分け外国人が覚えるのに難しい文字としてあげられるのは日本語である。日本語をマスターするには平仮名50文字、カタカナ50文字、小学生で習う漢字2000文字これを覚える必要がある。取り分け言語の習得難易度は世界の言語の中でも最上位に来るのである。
ましろ「…私も毎朝ランニングを続けたら無名さんやソラちゃんみたいに強くなれるかな?」
ソラが静かに横に顔を振る。
ましろ「だ…だよね…」
ソラ「いえ…そうではなくて…」
ましろ「…?」
ソラ「ましろさんは…今のましろさんのままでいいんです」
無名「…人には得手不得手がある…。無理に弱点を潰すより、長所を伸ばした方がいい時もある」
ソラ「そうですね」
グゥゥ…
ソラのお腹の虫がなる。
ソラ「うわぁ…」//かぁぁ
ましろ「フフフ…」ニコッ
無名「…さて…早く帰ろう」
ソラ「はい、飛ばしますよ!」
ましろ「え…うぇぇ?!」ダダダ!!
無名は息も切らさず走り出し、ソラがましろの手を引いて駆け出した。
ー虹が丘家ー
ピンポーン!
朝食の後、片付けていると、チャイムが鳴った。
ヨヨ「おや?」
ましろ「こんな朝早くから誰だろう?」
無名「…俺が出よう」スタスタ…
ー玄関ー
無名「…待たせた…」
??「うわぁ!久しぶり!!」
無名「??」
玄関の扉を開くと10代後半位の女性が無名の胸に飛び込んできた。
??「ちょっと見ないうちに背が伸びた?髪型変えた?体型も引き締まった?あれ…」
飛び込んできた女性が顔を見上げる。そこには困惑した顔をした無名がいた。
??「えっ?!誰?!」
無名「…」
??「もしかして…ましろんの彼氏?」
ましろ「ち…違うよ、あげはちゃん!」
少し顔を赤らめてエルちゃんを抱えた横から入ってきたましろに否定された。
あげは「ましろん!」
ましろ「でも…なんで?どうして?」
あげは「ちょっとこっちに用事があってさ」
ソラ「どちら様ですか?」
あげは『昔々、ソラシド市に2人の女の子がいました。名前はあげはちゃんとましろん』
あげは『2人はご近所さん同士!ところが…』
あげは『お母さんのお仕事の都合であげはちゃんは遠い町へと引っ越す事に!』
あげは『ママ嫌い!こんなうち出ていってやる!』
あげは「さて、おうちを飛び出したあげはちゃんはこれからどうなってしまうのでしょうか…」
ソラ「ど…どうなるんですか?」
ましろ「日が暮れちゃうから手短にいこっか…」
無名「…」
あげはと呼ばれた女性はましろに教えてもらった薄い板(スマートフォン)で紙芝居風に自己紹介をした。
あげは「だね。おほん…」
あげは「私は聖あげは。18歳、血液型はB」
あげは「誕生石はペリドット、ラッキーカラーはベイビーピンク!」
あげは「最近のブームはイングリッシュティーラテwithホワイトチョコレートandエクストラホイップ!」
あげは「はい、そちらのターン!」
ソラ「は…初めまして。この家でお世話になっているソラって言います。こちらは無名さんです」
無名「…よろしく」
あげは「無名…?それが名前?」
ましろ「無名さんは私たちと会う前の記憶が無いんだよ」
あげは「記憶喪失みたいな感じか…うーん…」
少し考えるような仕草をする。少し過去の事を話してみた。
あげは「起きたらこの町の裏山に…か…。手がかりになりそうなものは?」
ソラ「服装とか剣ですかね…」
あげは「剣?」
無名が背負っている剣を抜く。
あげは「おお、これは結構古そうなやつだね。でも古いものにしては新しすぎない?」
ソラ「そうなんですよね…錆とか汚れがありそうなんですが、それも見つからないんですよね…」
あげは「ん~…もっと詳しい人がいればよく分かるかな…」
ましろ「今は手がかりが少ないからね…。何か進展しないと難しそうだよ…」
あげは「そうだね…じゃあ…次はソラちゃんの番。ソラちゃんはこの街の子?」
ソラ「いえ、エルちゃんと一緒に別の世界から来ました」
あげは「別の世界?」
ましろ「ターイム!!!」
ソラが口を滑らせた。ましろの方を見ると口に指で作った『✕』を押し付けてその事は喋らないように示唆する。
ソラ「そ…そうでした!大騒ぎになるからスカイランドのことやエルちゃんがプリンセスだって言うことはない…もがっ?!」
無名「…」
ソラがしゃべり過ぎないように無名が口を押えた。
あげは「プリンセス?」
エルちゃん「エル」←頷いた
ましろ「わあ!わぁ!!わあぁ!!」
ソラ「しまった?!」
ソラ「あげはさん!今言ったことは綺麗さっぱり忘れてください!!」
あげは「隠し事~?」
あげはが口をとがらせて不満そうな態度を見せた。
ましろ「ごめんね、あげはちゃん。でも友達の秘密は言えないよ…」
あげは「…オッケー!でもいつか私にも教えてくれると嬉しいな」
あげは「というわけで…よろしくね。ソラちゃん、エルちゃん、それと…無名さん」
無名「…よろしく」
エルちゃん「エル~♪」
あげは「あはは♪可愛い~」←エルちゃんを抱き上げた
エルちゃん「エル~!」
ソラ、ましろ「はあ…」←ため息
無名「…」
ましろ「あ、そういえばあげはちゃん。用事って一体なんだったの?」
あげは「え~、知りたい?」
ましろ「う…うん」
あげは「そんなに?そんなに知りたい?」
ましろ「う…うん」
無名「…」
無名が庭の方を見るとヨヨがお茶を飲んでいた。ヨヨの対面には初めてこの家に来た時に見た鳥が座っており、目の前にカップが置かれていた。
ヨヨ「…また運命が動き出したわね」
お茶を飲みながらヨヨはそう呟いた。
ーソラシド市福祉保育専門学校ー
校長先生「どうしてわざわざうちに?今住んでいる街にも保育の学校はあるのでしょう」
あげは「ここって子供の心に寄り添った教育に力を入れていると聞いたので、入学する前に入学する前に校長先生に直接お話を伺えたらなと思いまして。よろしくお願いします」
あげは「私、最強の保育士目指してますんで!」
ー専門学校近くの広場ー
エルちゃん「エル?」
ましろ「ここはね、保育士さんの学校だよ」
無名「保育士…?」
ましろ「小さい子のお世話をする先生の事だよ。あげはちゃん、昔からずっと保育士さんになりたいって言ってたんだ~」
ソラ「そうなんですか!」
近くのベンチに座りながら3人が話す。
ましろ「なりたいもののために頑張ってる…偉いよね」
ましろ「ねぇ、エルちゃんは大人になったら何になりたいの?」
一緒に連れてきたエルちゃんにましろが聞く。エルちゃんは分からなさそうに『エル?』と答えた。
ましろ「エルちゃんにはまだ早いよね」
ソラ「ましろさんは何になりたいんです?」
ましろ「私?私はね…」
そこまで答えるとましろは黙ってしまった。
ましろ「特にない!?」
ましろ(そういえばクラスの子達は…)
ー回想ー
女子1「私、イラストレーターになりたい」
女子2「公務員かな?」
男子「俺、将来キュアチューバーになるんだ!」
ー現在ー
ましろ(いつの間にかなりたいものとか決まってないとダメなパターン?でも改めて考えると私って得意なことないし~)
無名「…ならば、自分の短所を考えてみるのはどうだ」
ましろ「短所…ですか…」
無名「本人が苦手なことは裏を返せば得意なところでもある。例えば『周りが見えない』は『得意なことに集中出来る』、『お人好し』であるならば『誰にも手をさしのべられる』とかな…」
無名は最初に出会った福耳の男を思い出した。
ましろ「短所も裏返せば長所…ですか…」
ソラ「それ、私にも言って下さりましたね!」
無名「…それでも思いつかないようなら、己が心に問いて心のゆくままに行動すればいい」
ましろ「心のままに…そうですね…少し考え…」
その言葉を言いかけた途端、ましろの言葉が途切れた。目線の先には明らかに変な格好をした豚とあからさまな罠があった。
ましろ(え?どういうこと?豚さん…?ていうか何あれ…昭和の罠?ていうかあの毒キノコ、川で見たやつだよね…)
豚「…チラ…」クンクン…
籠の罠を嗅ぎ、こちらをチラ見してくる豚。
無名も霊鳥の目を使う。あの黒い豚からやはり悪しき気配がする。
ましろ(怪しい…!どこからどう見てもこれってカバトンの罠!)
無名(…あのような罠…誰が引っかかると…)
ソラ「豚さんが危な~い!」
無名「…罠に決まっている。君子危うきに…」
その言葉を終える前にソラが豚を助ける。
ソラ「危ないところでした…。豚さん、あれは罠ですよ。近寄ってはいけません」
豚「…カバトントン」
その言葉と共にカバトンが姿を表す。
ソラ「…!あなたは!」
カバトン「グッフッフ…このカバトン様が豚に化けていたとは、あ!お釈迦様でも気がつくめぇ!」
ソラ「な…なんてずる賢い…」
無名「…そのような変装、誰にでもわかる。お釈迦様に謝れ」
ソラ「えっ?!無名さん気づいていたんですか?!」
無名(…)
※元々、中国でも仏教自体はありました(紀元前2世紀頃に伝来)。しかし、後漢、三国時代は儒学が一般的で、名士は儒学の学びのつながりで仲間意識がとても強かったのです(諸葛亮と荊州名士、荀彧などの穎川儒学者など)
無名が剣を構える。
ソラ「なんのためにこんな真似を!」
カバトン「まだ気づかないのねん?」
カバトンの手にはミラージュペンがあった。ソラは慌てて腰を確認するが、腰にあるのは無名に貰った玉璧だけだった。
ソラ「返して下さい!!」
カバトンは後ろに大きく飛ぶと…
カバトン「カモン! アンダーグ・エナジー!」パチン!!
ランボーグ『ランボーグ!!』
その言葉とともに毒キノコのランボーグが現れた。
カバトン「グッフッフ!!プリキュアになれないお前なんか怖くないのねん!」
カバトン「今日こそプリンセスエルを頂くのねん!」
ー専門学校内部ー
校長「こ…これは一体何が起こっているんだね?!」
あげは「いや先生!私に聞かれても困りますってば!」
あげはは、窓の外に剣を構えた無名とソラ、そしてエルちゃんを抱えたましろを見つけると駆け出した。
ー専門学校、外ー
ソラ(キュアスカイに変身しないとランボーグには敵わない…!無名さんだけでランボーグと戦うにしても限度がある…どうすれば…)
そうやって考えを巡られている間に触手のようなものがエルちゃんを狙う。ソラは間一髪、エルちゃんに向けられた触手を蹴って防ぐことは出来た。
ソラ「はぁ!」
無名「…!まずい、その体勢は!」
しかし、足を触手に絡まされ、ソラはそのまま捕縛されてしまう。
無名(…不味いな…このままではソラに攻撃が当たる…)
あげは「ましろん!こっち!」
ましろ「でも!」
無名「…いや、俺が食い止める。そっちは守ることに専念しろ!」
ソラ「お願いです!エルちゃんを安全な所に!」
エル「エル…」
ましろ「……くっ…!」
ましろが専門学校の校舎へと避難する。
あげは「中へ!あいつは大きすぎて校舎の中に入って来れない!」
カバトン「甘いのねん」
ランボーグの母体から2体のミニランボーグが現れる。
ミニランボーグ『ランボーグ!』
ミニランボーグ2「ランボーグ!』
カバトン「捕まえてこい!」
ミニランボーグ「ランボ…グ?!』ドカッ!!
ミニランボーグ『ランボ?!』ドカッ!!
カバトン「…やっぱり奴なのねん!」
無名「…」
そこには手甲をつけた無名が立っていた。
無名「…時は稼がせて貰う」
無名が両手を前に突き出す手甲の構えのひとつである虎の構えを取る。
カバトン「…生意気なのねん…ランボーグ、とっとと押し潰してしまうのねん!」
『『ランボーグ!!』』
2体のランボーグが無名に襲いかかってきた。
ー専門学校内部ー
あげは「エルちゃんを私に!」タッタッ!
ましろ「う…うん!」
あげは「これって何が起こっている訳?」
2人が屋上へと続く階段を駆け上がる。
ましろ(ソラちゃん…!無名さん…!)
エルちゃん「エル~…エル?」
エルちゃんはふと横を見る。階段を登っているましろの中にソラと同じミラージュペンの気配を感じ取っていた。
ー無名sideー
無名「…ハァ!!」ドガガガ!!ドガッ!!
ミニランボーグ『ランボーグ!!』
無名「…甘い」ガキン!ガン!!
ミニランボーグ『ランボ?!』
一体吹き飛ばした隙をついて攻撃してきたミニランボーグを逆に弾き返しでカウンターを決める。続けて虎の構えから気弾を出して外効を削っていく。2体まとまった所を蛇の構えに変えて2体を絡め取り、立て続けに連打を叩き込む。
無名「…好機!」
1体目が怯んだ隙に2体まとめて連打の後に回し蹴りを3回叩き込んで吹き飛ばす。相手が立ち上がる前に武芸を繰り出す。
武芸 崩山破(岩盤を打ち砕き、破片を飛ばして攻撃する。前方広範囲の敵を吹き飛ばせる)!!
地面を蹴り上げて1体目を空中に浮かせて攻撃。
無名「…片をつける」
ミニランボーグ『ランボ…グッ?!』ボシュ…
無名「…敵将、討ち取った」構え
完全に怯んだ所に一本背負いのように投げた後、肘鉄を食らわせて撃破。これでミニランボーグはろくな活躍がないまま退場する。
カバトン「…なかなかやるのねん」
ソラ「無名さん!ミニランボーグが一体中に逃げました!追ってください!」
無名「…分かった」ダッ!
残り一体となったミニランボーグを追って無名は建物の中へと駆け出した。
ー屋上ー
一方屋上に着いたましろ達はあげはがドアを固定してランボーグが中に入らないようにしていた。
あげは「大丈夫よ、エルちゃん。お姉ちゃん達が守ってあげるからね…」
ましろ「はぁ…はぁ…」
今まであまり運動してこなかった自分を少し恨む。
あげはは、バリケードと言うには心細いが、対策をした後は下で戦っている無名を見ていた。
あげは(…あの怪物に対して有利に戦ってる…あれは一体…)
あげは(…それと…あの構え…どこかカンフーににてるような…!)
あげは「ましろん! 、1体中に入った!気をつけて!」
無名が一体撃破している間に中に入ったのを見逃さなかった。
カバトン『あーあー…マイクテスマイクテス…』
カバトン『無駄な抵抗早めて出てくるのねん!今すぐプリンセスを連れて出てこい!』
まるで銀行強盗が篭城したときの警察の常套句のような降伏勧告を行う。
カバトン「ほら、お前も一言言ってやれ。『私達の負けです。カバトンさんにごめんなさいしましょ』」
ソラ「ましろさん!出てきちゃダメです!無名さんもそちらに…」
カバトン「お口チャック!」ピカッ!
ソラ「ムグムグ…?!」
カバトンの魔法でソラは声が出なくなった。
ましろ「あぁ!」
あげは「ダメ!」
ましろ「うぅ…」
ソラが人質に取られている。何より、自分には抵抗する力…プリキュアになる能力がない。
カバトン「…出てこないのねん。それじゃ…」パチン!
その合図とともに多数の触手が現れてそのうち1本がソラのほっぺを引っ張る。その様子を無名も移動しながら見ていた。もちろん助けに行く必要はある。しかし、今攻撃しても人質をられている以上ソラを巻き込んで攻撃はできない。歯がゆさを感じていた。
無名「…」タッタッ!
ー屋上ー
あげは「どこかで金属バットでも拾って戦えばワンチャン…いや無理…!」
あげは「ああもう…何か良い手は…」
あげは(やっぱり無名さんが来るまで耐えるしかない?でもそれじゃあいつまでたってもソラちゃんを解放できない…どうすれば…)
ましろ「…行かなきゃ…ソラちゃんを助けなきゃ…」
あげは「そんなの分かってる!でもどうすれば…」
ソラ目掛けて触手が迫ってくる。ソラは普段しっかりしているが、内面では怖い心を押し殺して戦っているのもましろは知っている。今の状況は相当怖いはずだ。
ましろ「…それでも…」
ましろはソラのことを思い出す。いつも自分に勇気を与えてくれる姿に…。
ましろ「それでも行かなくちゃだよ!!」
その言葉とともにましろの体から光が飛び出す。
ソラ(あの光は…まさか…!)
廊下でランボーグを追っていた無名からもその光が見えた。
無名(…この光は…)
カバトン「オイオイオイオイ…!」
すかさず毒キノコのランボーグの上にワープし、胴体を伸ばして様子を確認しに行くカバトン。見た先にあったのは、光の中からミラージュペンが具現化し、ましろの目の前に現れたところだった。
カバトン「げぇ!あれは?!ど…どうしてあんな脇役が…!」
あげは「な…なにこれ…」
エルちゃん「エル…」
ましろ「これ…私の…私が…プリキュアに…?」
カバ「や…やめろ!!」
ミラージュペンに手を伸ばそうしたところ、カバトンから声がかかる。
カバトン「脇役なんかがプリキュアになれるもんか!お前になんの力がある!」
あげは「…!」
カバトン「自分でもわかってるんだろ!ほら!!」
手を伸ばしかけたましろは何か思い詰めたようにそのまま固まってしまう。
ドン!ドン!
その時、ランボーグすぐそこまで接近し、扉をこじ開けようとしている音が聞こえてきた。
エル「エル~…」←目に涙を貯めている
ましろ「は…早くプリキュアにならなきゃだよ…でも…私なんかじゃ…」
あげは「…ましろん」
後ろで戸をこじ開けようとしている音が聞こえる。
あげは「…それを手に取ったらどうなるか、プリキュアっていうのがなんなのか…私には分からないでもそんなのどうだっていい」
あげは「そこ!うるさい!!」
あげはが一喝するとランボーグの動作が止まる。そこに無名が追いついた。
無名「…ようやく追いついたな」
無名がランボーグに攻撃を始めた。
ー屋上ー
あげは「ましろん、本当に大事なことを言わせて」
ましろ「…?」
あげは「…あの日…」
ー回想ー
それはまだソラシド市にあげはが住んでいた頃。母親の転勤で引っ越すことになった時の事だった。
あげは『こんなうち、出ていってやる!!』
家を飛び出したあげはは近くの川の河川敷で泣いていた。そこにましろが現れる。
ましろ「…ここにいたんだね…お家に帰ろう」
あげは「…」
ましろ「お手紙も出すよ、電話もするよ」
あげは「…ましろんは悲しくないの!!」
大切にしてきた親友と別れを悲しんでか声を荒らげてしまった。
ましろ「…悲しいよ…」
その言葉に振り向く。
ましろ「…でも…私が泣いたら…あげはちゃんはもっと泣いちゃうでしょ…?」
そこには目に涙をためながら笑顔を作っていたましろがいた。
ー屋上ー
あげは「…あの日、私はましろんに教わったよ。優しいってことは強いってことだって」
あげは「あたしなんか…『そんなこと言うな!』『そんなこと誰にも言わせるな!』ましろんには優しさという誰にも負けない力があるんだよ!」
ましろ「…!」
無名「…そうだな」ガンガン!!
ソラ「…」コクッ!
ソラ『ましろさんは…今のましろさんのままでいいんです』
ジョギングの時にソラにかけられた言葉を思い出す。
無名『…それでも悩む時は、己が心に問いて心のままに行動すればいい』
無名にさっきかけられた言葉を思い出す。
ましろ(…私がしたいこと…それは…)
ましろ(みんなを守りたい!!)
背後でランボーグが天井を破る。無名の攻撃を受けて天井を破ってミニランボーグが屋上へと降り立った。近くには槍に持ち替えた無名がたっている。
無名「…」
ましろが意を決してミラージュペンを掴む。
エルちゃん「…!プリキュア~!!!」バシュ!!
射出された光を掴むとソラが変身した時に使用したものが現れた。
ましろ「ヒーローの出番だよ!!」
ましろ『スカイミラージュ!トーンコネクト!』
ましろ『ひろがるチェンジ!プリズム!!』
ましろ『キラメキホップ!』
ましろ『爽やかステップ!』
ましろ『バレバレジャンプ!!』
キュアプリズム『ふわり広がる優しい光!キュアプリズム!!』
ましろはキュアプリズムへと変身した。
ソラ「ん~…!」
カバトン「キュア…プリズムだと?!」
あげは「…かっこよ!」
エルちゃん「エルル!」
プリズム「…無名さん、一緒に戦ってください!」
無名「…無論だ」
無名は槍を構えた。
カバトン「ボッコボコにしろ!ランボーグ!!」
ミニランボーグ「ランボー…グ!ランボーグ!!」
ランボーグがかかと落としを食らわせようとするが、プリズムはジャンプして、無名は回避で避ける。しかし、プリズムはまだ変身して間もないのか加減が分からずかなり奥まで飛んでいってしまった。
プリズム「えぇぇ?!パワー強すぎだ~?!」
カバトン「ニャハハハハ!!ランボーグ今だ!プリンセスを捕まえろ!」
無名「…」槍構え
あげは「…」
エルちゃんとあげはを守るように無名が構える。
プリズム「させないよ!!」
建物の壁を蹴ってプリズムがランボーグに蹴りを食らわせる。ランボーグが飛んでいく先にはカバトンがいた。
カバトン「ぐぇぇ?!」
ランボーグが衝突した際にカバトンの手からミラージュペンが落ちる。
カバトン「しまった~?!」
ランボーグ「ランボーグ?!」ドガーン!!
ソラ「…!」
プリズム「ソラちゃん!!」
屋上の鉄柵からジャンプし、手からショットを打ち出してランボーグにヒットさせる。怯んだところで拘束から抜け出し、勢いをつけて落ちてくるミラージュペンを掴むと口に貼られていた魔法を剥がした。
ソラ「ヒーローの出番です!!」
ソラ『スカイミラージュ!トーンコネクト!』
ソラ『ひろがるチェンジ!スカイ!!』
ソラ『キラメキホップ!』
ソラ『爽やかステップ!』
ソラ『バレバレジャンプ!!』
キュアスカイ『無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!』
キュアスカイはそのまま地上に着地し、ランボーグを対峙した。
カバトン「行け!ランボーグ!!」
ミニランボーグ『ランボーグ!!』
プリズム「キュアスカイの邪魔は…させないよ!」
プリズムが光の弾を作ってランボーグ目掛けて投げつけ、怯んだところを拳で押し込んだ。
ー屋上ー
あげは「すごいね…無名さんは…あれ…無名さん?」
無名「…」ダッ!
あげはが無名を探すと、助走して屋上から……ジャンプした。
あげは「え…えぇぇ?!」
普通の人間が飛び降りたら確実に怪我…最悪死ぬが、無名は空中で猫のように体制を整えると、何事も無かったように着地した。
※ゲーム本編では崖から飛び降りようが、城壁から飛び降りようがダメージは受けない。同行していた元化からは平衡感覚が優れているためと報告している。
あげは「す…すご…」
エルちゃん「エルル♪」
スカイ「無名さん!」
スカイの腰につけてある宝玉が輝く。
無名「…合わせてくれ」
スカイ「…!分かりました」
後ろではプリズムがミニランボーグにパンチを繰り出していた。
無名とスカイが一緒に走り出す。
激・無双乱舞 発動!
(宝玉を所持、または好感度が一定以上のプリキュアと出せる必殺技。通常の無双乱舞より強力な必殺技を放つことが出来る)
スカイ「『ヒーローガールスカイパンチ!!』ハァァァァァ!!」
無名「ハアアァァァ!!!」ドガーン!!
ランボーグ「スミキッタ…」
2人の攻撃をモロに食らったランボーグは消滅した。
プリズム「『ヒーローガールプリズムショット!!』」バシュ!
ミニランボーグ「スミキッタ…」
2体のランボーグが消滅したことによって壊されていたものが修復されていく。
無名「…」ダッ!
ー別の屋上ー
カバトン「つ、TUEEE…!」
スタスタ…
無名「…ケジメはつけてもらう」
カバトン「…ぐぬぬ…これも全てお前のせいなのねん!!」ブン!!
カバトンの繰り出した拳を難なく躱すと、まず槍の柄で腹を打ち、柄の先で足を膝カックンのように折りたたませると槍の穂先の腹でカバトンの顔面を思いっきり叩く。
カバトン「グバァァァ?!」
無名「…敵将、討ち取った。…これ以上、俺達に手出ししないことだな」
カバトン「く…カバトントン!!」ボシュ!!
一騎打ちで打ちのめすとカバトンは消えた。
無名(…おそらく次は何かしらの対策をしてくるだろう)
ー変身解除後ー
ソラ「ご…ごめんなさい!私が未熟なせいで…私なんか放っておいてくれれば…」
ましろ「…ダメだよ」
無名「…自分を卑下するものは戦いには勝てない。今日の反省点をしっかり学ぶ…それが大事だ」
ましろ「そうだよ。『私なんか…』なんて言っちゃダメ」
ましろ「ソラちゃんは私の大切な友達なんだから…ね」
ソラ「…はい!」
エルちゃん「エル!」
あげは「すごいすごい!凄いよ!!2人とも!」
あげは「みんな無事でよかった…というか無名さんは屋上から着地して大丈夫?」
無名「…問題ない」
ましろ「屋上から飛び降りるなんて無茶だよ?!」
ソラ「ダメですよ、メッ!」
無名「…すまなかった」
あげは「ところで…さっき大事…これだけのことを綺麗さっぱり忘れるのは無理そうなんだけど…」
無名「…他言しなければいいのではないか」
ソラ「…そうですね、見てしまったのはしょうがないですし…」
ましろ「そ…そうだよね…」
あげは「…それと…無名さんの戦いを見ておもったんだけどさ…」
無名「…?」
あげは「無名さんって…中国出身だったりカンフー習ってたりする?」
無名「…カンフー…?」
ー少し時は遡って…別のある街ー
??「…」
とある男が倒れていた。外見に傷は無いが、体が弱っているのかぐったりしている。
少女「…!大丈夫ですか?!」
少女2「な…なんかすごく苦しそう…!うわ?!めっちゃ熱高っ?!」
少女「体も冷えきっているみたい…ど…どうしよう…」
少女2「と…とりあえずちゆちーのところに連れてく?!のどかっちはこの人の荷物持ってくれる?」
花寺のどか「う…うん!ひなたちゃんは大丈夫?」
平光ひなた「平気平気。早くちゆちーの所に連れていこう!」
郭嘉「…」
別の街にて、また新たに無名武将とプリキュアの物語が幕を開ける。
今回の話はここまで。思った以上に丁寧に書いていたことや、構想を色々練っていたり、リアルの仕事が忙しかったりで更新が遅れました。
さてキュアプリズムが初変身ということで、プリキュアも2人に増えました。彼女はどちらかと言うと遠距離戦主体のため近接戦のスカイと相性バッチリですね。
さて…最後に出てきた人物、郭嘉(かくか)ですが、魏の武将です。originでは珍しく随行武将の中でストーリー中に唯一死ぬ武将となります(呂布は1周目では使えないので)。
ヒープリのメンバーと郭嘉がどのような出会いを果たしていくのか、そして無名とはどのような形で合流するのか楽しんでいただければと思います。
さて次の話ですが…皆さんに選んで頂きたいと思います。下のアンケートから読みたいものを選んでいただければと思います。御協力お願いいたします!
次の話は何がみたいですか?
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ヒープリ×郭嘉ルート
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ましろとの絆イベント
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ゆいとの絆イベント
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普通に本編進めて
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ローズマリー等のサブキャラ交流
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いい加減東方のシェフ更新しろ