轟零翔(左投左打)
野手能力
ミートC
パワーD
走力B
肩力A
守力C
捕球D
チャンスA、走塁C、盗塁C、パワーヒッター、対左投手B、レーザービーム、逆境
今日の対戦相手は清和中。
スタメンは昨日の試合と同じで俺はベンチスタートだった。
1回の表、佐倉先輩が早くもツーストライクに追い込むも1番バッターが粘ってフォアボールとなり塁にランナーが出てしまった。
これでこのチームお得意の機動力野球で盗塁をされる可能性が高い。
でも、ベンチにいる俺にもある役割を任せられた。
それは、昨日の特訓の後の話………。
〜回想〜
「牽制するなってどういうこと…!?」
「どんなギャグやねんそれ!」
茂野先輩のアドバイスに戸惑う佐倉先輩とアニータ。
「盗塁は相手ピッチャーとの間合いのとり方が大事だからね…。牽制すればするほど盗塁のタイミングがつかみやすくなっていくんだ」
な、なるほど…。
俺も盗塁の練習をさせられたけど、ピッチャーをよく見てって言われたのはそういうことか…。
「だから、序盤はなるべく牽制とかはしないで情報を与えないようにした方がいい」
「あとは明日ベンチスタートの零翔くんにサインを出してもらうから、なるべくその指示に従って欲しい」
『えぇー!?』
茂野先輩のまさかの言葉に俺たち3人は驚きが隠せなかった。
「なんでこんな初心者に!?」
「そうですよ茂野先輩!」
アニータのツッコミに俺も乗っかり茂野先輩に聞き返す。
「大丈夫!今から零翔くんに頑張って貰うから!」
「……え?」
このチームで1番足が早かった俺は、盗塁の練習も兼ねてさっきまで走らされてたんだけど…?
体の次は頭も鍛えろと?
「零翔くん!これからは勉強の時間だよ!!」
“うわあ゛あ゛ぁ〜!!!”
〜回想終了〜
俺に盗塁の練習をさせたのにはランナーとしての感情等も考慮してサインを出させるためでもあったらしく、本当に茂野先輩は色々考えて野球をやっているのだなと実感させられた。
俺としてはとりあえず序盤は牽制なしでもいいと思っている。
とりあえずは佐倉先輩に牽制は投げさせずに、アニータの肩でランナーを釘付けにする。
これでいいと思う。
・頭を触れば牽制なしでバッター集中
・右手で帽子のつばの右側を触れば牽制
・左手で帽子のつばの左側を触れば投球後にアニータの一塁への牽制
・帽子のつばの前側正面を触ればウエストのボール球。
とりあえず1回の表では牽制無しで何とかしてもらう。
俺はさりげなく頭を触りバッター集中で行くことを伝える。
初球、ボール球でランナーがスタートを切るもすぐさま引き返す。
いわゆる偽装スタートと言うやつだ。
茂野先輩の読み通り、相手は慎重に攻めてきているようだ。
続く二球目も先程と同じで行き、ボールはストライク。
そして三球目に向こうは勝負を仕掛けてくる。
ランナーのリードが大きくなった…。
明らかに牽制で刺せそうだが、向こうも機動力を熟知し、相手投手の考えることもある程度把握しての作戦だろう。
俺がランナーだとして、あれほどのリードを取っても相手ピッチャーのクイックをまだ把握していないし、盗塁を狙っての作戦であれば俺なら牽制で間違いなく刺される。
なら、相手の狙いは………。
俺は左手で帽子のつばの左側を触る。
ノーボールであれば、ウエストで外すのもアリだったが足でかき乱してくるチームに佐倉先輩が動揺しないで制球を維持できるとも限らないため、そこはアニータに任せる。
佐倉先輩が投じた三球目……。
佐倉先輩が投球フォームに移った途端すぐさま帰塁。
ボールとなりすぐに手に持ち替え、アニータも構えはするものの一塁に投げることは無かった。
これで分かった。
盗塁は抑えることはできているが、相手チームはピッチャーにランナーを気にさせるのが上手い。
佐倉先輩も、ランナーのことを気にしすぎてやはり制球に苦しんでいる。
四、五球目がボール球となりフォアボールでノーアウトランナーが一、二塁。
ここは、三盗がありえる場面だけどアニータの肩ならある程度リードを小さく出来れば大丈夫なはず。
右手で帽子のつばの右側を触る。
一度気持ちを落ち着けるためにも牽制をいれる。
だが、佐倉先輩にランナーのことを意識させすぎてしまったのか続いてのバッターもフォアボールとなり、ノーアウト満塁のピンチとなり迎えた四番バッターの打席。
俺は体の前でタイムのTの文字を腕で作るがアニータはこちらを見ておらず、茂野先輩が外野からタイムの指示を出すも間に合わずにプレイ再開。
甘く入った初球をすくわれ、ライトフライとなる。
仁科が、鋭い返球をするも間に合わず1点が入り、一塁ランナーが二塁へと動いたためアニータが二塁に送球するも三塁へと進んでいたランナーがホームへ帰還し追加点を許してしまった。
次の打者を三振に討ち取り、その間に三盗を狙っていたランナーをアニータが刺してゲッツーを取り1回の表が終了した。
「おいアニータ!あんまりなめたプレーすんじゃねーよ!」
外野から帰ってきた仁科がアニータに詰め寄る。
「な、なんやねん急に!」
「1点目のクロスプレー!あんな腰高で捕球したら取れるアウトも取れねぇだろうが!」
確かに、、ホームベースの少し前で棒立ちだったからタッチが遅れたと言われればその通りかもしれない。
「それに、立ち上がりバタついてる佐倉先輩にあんなコーナーばっかり構えてたらフォアボールにもなるぜ!明らかにボール見てきてんだからサクサク追い込めばいいんだよ!」
「に、仁科…ベースコーチ…!」
「…ったく!」
丹波先輩に言われ仁科はベースコーチへと向かっていった。
相手ピッチャーは茂野先輩と佐倉先輩の元チームメイトらしく、球威のある速球と縦に割れるドロップカーブが武器の右投げピッチャー。
俺の出番はまだまだだし、変化球なんて打ちなれてないからバッティングでの活躍は難しそうだな…。
立ち上がり……
一、二番の千里と相良先輩が三振となり、三番の沢先輩がバッターボックスへと立つ。
「ん?アニータ…!」
ここで気づいたがネクストバッターサークルにアニータがまだ行っていなかった。
声をかけるも返事がなく、審判からタイムがかかりそのことを言われた。
「アニータ!」
「…あ、あぁ。ウチか……」
どこか落ち込んだ様子のアニータ。
ヘルメットとバットを持ち、向かうアニータの肩を掴む。
「?」
「取られた点は、バットで取り返せるんだから…取り返してこい!」
「…!」
そう声をかけて俺はベンチに戻る。
三番の沢先輩がセカンドとショートの間を抜けるセンター前のヒットで出塁し、ツーアウト一塁となった。
そこで、茂野先輩がアニータに声をかけに行き、アニータの打席。
ガキーンッ!
アニータは見事に速球を打ち返し、打球はグングンと伸びて行って……スタンドへと入ったのだった。
「やるじゃんアニータ!」
帰ってきたアニータに声をかけ、ハイタッチを交わす。
次の佐倉先輩が三振となり1回の裏が終わった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
3回の表…
ツーアウト一塁
俺は左手で帽子のつばの左側を触る。
アニータの鋭い一塁への牽制で、ランナーを刺し3回の表が終わった。
左バッターで死角となり、上手く刺すことが出来た!
ラッキーラッキー!
そしてお互い点がとれないまま回が進んで行き……。
6回の表……清和中の攻撃
カキーン!
先頭打者の打球がライトとセンターの間をぬけて長打となる。
……が、三塁へのスライディング時に関鳥先輩がボールをこぼしてしまい三塁側ベンチの方へと転がっていく。
すぐアニータが拾いに行き、そのままクロスプレーとなるも相手のスライディング技術が勝り、アニータの手からボールがこぼれホームインとなってしまった。
「……勝ち越された!」
そしてしばらく“0”が続いていたスコアボードに“1”の文字が……。
これはかなり大きい一点差だ…。
そして、ノーアウト一塁…。
初球ボールとなり、続く二球目…。
コンッ…。
相手は手堅くバントをしてくるも、ボールの勢いを殺しすぎたがゆえにキャッチャーのすぐ捕球できるところに転がる。
「アニータ!二塁二塁!!」
俺も思わず声を出してしまう。
よし!二塁間に合う!
するとアニータの送球が逸れて相良先輩が取り損ね、カバーで来ていた茂野先輩が拾うも一塁にいたランナーは三塁へと到達していた。
そして事件は起きた。
「…?アニータ!?」
“た、タイム…!”
審判のその声に反応して、俺もアニータの元へと駆け寄る。
「す、すんません…手首痛めてしもたみたいで」
『えっ!?』
「さっきのクロスプレーの時に?」
俺が聞くと、静かに頷くアニータ。
「そんなに痛むようなら、交代しなさい。これ以上のプレイはあまりオススメしたくはないからね」
審判の方が優しくそう言う。
「……分かりました。アニータ、大事をとって今日はベンチで休んでて、これ以上無理はさせられないから」
茂野先輩が返事をして、アニータに声をかける。
「…分かりました」
「……仕方ない、、キャッチャー椛島に変わってレフトの茂野が、そしてレフトにベンチの轟が入ります!」
茂野先輩が審判にそう告げる。
「行けるよね!零翔くん」
俺の方を振り返り、笑みを浮かべる茂野先輩。
「もちろんです!」
俺は元気よく返事を返し、グラブを取りに行きレフトへと向かう。
「あ、千里ー?」
俺はセンターに向かう途中の千里に声をかける。
「?なにー?」
「少しだけライトよりに守ってもいいからねー!」
「りょーかーい!」
これは独断だけど、さっきの一点みたく外野を抜けるのはまずいし、足のある俺と千里が広く守って外野を抜けずらくした方がいいと思ったからだ。
まあ、仁科も足が遅い訳じゃないから大丈夫だと思うけど。
“プレイ!”
試合が始まる。
こうしてピンチにレフトを守るのは、やっぱり緊張感が走るな…。
でも……やっぱり野球ができるって言うワクワクが勝っちゃうな!
まあ、両翼は強肩が守ってるわけだから外野フライもワンチャンダブルプレー狙えるしね!
そして、試合再開するも四番を敬遠。
危ないバッターを歩かせて、茂野先輩は満塁策を取ったのだった。
そして次のバッターの初球……
変化球を引っ掛けた当たりはピッチャーの佐倉先輩のグラブに収まり、ホームと一塁でアウトを取りゲッツーとなった。
そして続く六番も初球キャッチャーフライで、ピンチは思いのほかあっさり切り抜けた。
しかし6回の裏…
守備の流れを掴みきれず、三者凡退となり最終回となるのだった。
7回の表……
初球、ストライクを入れるが続く二球目…。
“デッドボール!”
デッドボールでランナーが一塁に出てしまった。
佐倉先輩にも疲れが見えてきてる…。
ランナーは、打球が外野を抜けたら終わり…1点は確実に入る。
気を引き締めておこう…。
そして次の打者…
カコーン!
打球の音と方向……!
ダッ!
“レフトー!!”
打球音的には結構詰まってる…!
ギリギリ…間に合う!
ズザァー…パシッ!!
スライディングで上手くダッシュしてきた慣性を利用し、スピードを殺しつつ捕球…。
そして、左足のスパイクの踵を立てて残りの慣性で立ち上がる。
ランナー飛び出てる…!
そのままステップを踏んで……!
「でりゃぁ!!」
ブオンッ!
“パシッ!”
投げたボールはファーストの丹波さんのミットの中へと吸い込まれて行き………
“あ……アウトォ!!”
「っしゃあぁ!」
俺は左手を高く振り上げたのだった!
“ナイス零翔ー!!”
茂野先輩の声に手を振って応え、手の指を折る。
「ツーアウトー!!」
俺は手で狐のようなマークを作り、声を出す。
〜大吾side〜
まさか、あそこまでの守備を見せるなんて…!
外野の守備の練習中心にはさせてたけど、打球が飛んで俺が声をかける前から零翔くんは動いてた。
しかも、強肩だとしても足が自慢のチームの飛び出たバッターをレフトからファーストへの送球で刺して見せた。
そして何より突然の出場で、さらにはこのピンチの場面であんな強気のプレーを落ち着いてこなして見せた……!
今年の1年生、心強すぎる……!
“ツーアウトー!!”
外野からの彼の声に、心に少し余裕ができた気がする。
このまま睦子にこの回を抑えて貰おう!
〜大吾side out〜
そして次の打者をライトフライに討ち取り、最終回の裏の攻撃……
三番の沢先輩からの打順…。
バットとヘルメットを持ってネクストバッターサークルへと向かう。
カキーン…!
沢先輩の打球はセカンドの横を通りセンター前のヒットとなった。
ノーアウト一塁……
「…スゥー、ハァー」
よし、行くぞ!
打席に立ち、バットを構える。
初球…
ズバン!
“ボール!”
アウトロー低めに外れてボール。
確かカーブは制球が効かないって言ってたから…狙うなら……。
ビュン…!
甘く入った、、ストレート!!
ガキーンッ!!!
ポテンッ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『“3対4”で風鈴中の勝ち!礼!!』
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評価https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=369980&volume=1
感想https://syosetu.org/?mode=review&nid=369980&volume=1#review
零翔くんと仲良くして欲しい人
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茂野大吾
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佐倉睦子
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相良太鳳
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沢弥生
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藤井千里
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椛島アニータ
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仁科明
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眉村渉
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眉村道塁
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茂野いずみ
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佐藤光
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郷田早苗