拝啓 第四水雷戦隊各位
みんな、元気に過ごしていますか?
この手紙はトラック泊地に到着した日に書いています。
ここはとても暑いです。
みんなも遠征でブルネイとかに来るから
いまさら言うほどでも無いかもしれません。
でも遠征はせいぜい30分くらいしか赤道直下にいないけど、
私はこれからずっとここにいることになるから、
それを思うとちょっと憂鬱です。
トラック泊地は今、艦娘は第九戦隊の5人しかいません。
提督とか駐在の自衛官の人たちはいるけど、
艦娘とは別のところにいるから、
艦娘の宿舎はスペースが結構余ってて、みんな一人部屋です。
なので、今まで部屋には阿美がいたり、
部屋を出てうろうろしているとみんながいたけど、
こっちはそれに比べるとすごく寂しいです。
まあ、これから第九戦隊の人たちと仲良くなれたらいいのかな。
みんなの話を聞かせてください。
由良
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拝啓 由良さん
夏バテ?みたいになっていませんか?
遠征でちょっと暑いところに行くぐらいなら、
いつもと違う天気、空気を味わって、
ついでに日本じゃ買えないお菓子を買ったりする
楽しみもありますけど、
ずっといるのって大変そうですよね。
私たちはいつもどおりです。
由良さんがいなくなった分、私たち四水戦の艦娘も
提督もちょっとさみしいですけど、
でも由良さんに心配かけないように頑張ってます。
ここのところは大きな作戦もありませんし、
遠征ものんびりしています。
でもそれは、私たちよりも前線で戦っている
由良さんのおかげなのかもしれません。
けど、怪我とか無理は絶対にしないでください。
早く元気なまま会いたいですね。
恋梅
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拝啓 第四水雷戦隊各位
恋梅ちゃん、返信ありがとう。
他のみんなも元気にしてますか?
相変わらず毎日暑いけど、建物の中は冷房完備だし、
艦娘として訓練とか戦闘とかしているときは暑さを感じないので、
意外と暑いのも気にならないかな―、と最近思っています。
それよりも、空がすっごく高くて、
海は水晶みたいに澄んでるのを
ゆっくり見られるのは悪く無いかなって思ったり。
でもやっぱり日本の、みんなのいる
ところが一番いいよね。
ちょっと出撃の話をしますと、
ここはやっぱり、ちょっと強い敵が多いです。
けれど第九戦隊の人たちはみんな強いので、心配いりません。
次は誰がお返事くれるのかな?
みんなの近況、楽しみに待っています。
由良
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拝啓 由良お姉ちゃん
青い海!
白い砂浜!
輝く太陽!
ってやつよね。
私は暑いのそんなに苦手じゃないから、
たまには遠征でも作戦でもなく、
南に行って海で遊びたいなあって思ってるんだけど。
でももし敵と戦うことになったら大変だよね。
私たちがみんな揃っていれば
南方海域の敵だって怖くはないと思うけど
「けど――なんだろう」
阿美は自室の机に広げた便箋を前に、
途絶えた文章に気力も途絶え、机に突っ伏した。
――本当に書きたいことはわかっている。
けれど、それは書いても詮無きことなのだ。
伝えたいことは一つ。
「由良お姉ちゃんに会いたい」だ。
1月前までは由良と2人部屋だった阿美の部屋は、
由良が転属になって以来、誰も来ていない。
2人分の部屋に1人でいる寂しさ。
けれどもその寂しさを埋めるのは誰でも良いわけではなく、
阿美はただ由良の帰りを待っている。
そんな思いを本当は切々と文に綴りたいところだが、
泣き言をひたすら書くほど自分は子供ではないと
阿美は思っていた。
それに阿美は今や第四水雷戦隊の旗艦であるのだ。
由良が転属するときも、しっかりやるように頼まれている。
なのに泣き言を言うようでは姉と慕う彼女を
不安がらせてしまう。
「……はぁ」
2段ベッドの上段に登り、転がる。
布団の敷かれていないそこは、由良のスペースだった。
微かに彼女のにおいが残っているような気がして、
板敷きの上をごろごろと転がる。
しかし気分は晴れず、恋しさと寂しさが募るばかりだった。
こんなんじゃだめだ。
阿美は自分を叱咤し、とりあえず気分を帰るために
便箋を掴んで部屋を出た。