波才SIDE
あの宴会から三ヶ月からしてたらどうやら食料が尽きかけてきた。
まぁそりゃそうだよな、俺たち食って消費してるだけだし、ということで。
「みんなにはこれから畑を耕してもらえます」
「?急にどうしたんだ?波才」
兄貴よ……そんなかわいそうな奴を見るような目で俺を見るな。
周りのやつまで同じような目で見てくるじゃないか。
結構大事なことなんだぞ?
「兄貴……俺たちが宴会してからどれくらいたった?」
「えっと確か……だいたい三ヶ月くらいだな」
「そう、三ヶ月だ、ではそれまでの食料は?」
「前の残りとかここによってった仲間の置土産だな」
「残りの食料は?」
「もってあと一ヶ月ってところか」
「そのとおりだ、それまでに仲間が寄らなければ?」
「…………餓死するじゃねぇか!」
「気づくのが遅いよ!」
「どうすんだよ!?」
「だ・か・ら・!畑を耕すっていってんだろうが!」
「俺たちは賊だぞ!?」
「そうだ!だから役人も俺たちの食料を持っていかない、作った作物は全部俺たちのものだ」
「それも……そうだな」
「そこでだ!俺は今から近くの村で作物の種とかもらってくるからそれを育てるために兄貴たちはここの土を耕しておいてくれ」
「……お前も今は俺たちと同じ黄巾党だぞ?殺されねぇか?」
兄貴ぇ……。
「兄貴、なんのために俺が仮面をつけてたと思ってるんだ?」
「恥ずかしいから」
こいつ!
俺はとりあえず槍で兄貴の頭を殴ることにした。
「そいやっ!」ブン!
「ぐぺ!?」ガスッ!←兄貴が埋まる音
兄貴はいい音を鳴らしながら地面に埋まった。
結構楽しいかもしれない。
今度襲われた時にやってみよう。
「ほい」ズボッ!←兄貴を抜く音
「うわっ!」
とりあえず兄貴を抜いておく。
「……俺が仮面をかぶってたのは正体がわからなくするためだ」
「な、なるほど」
「とりあえず俺は買い物してくるから兄貴たちは畑適当に耕しとけ」
鍬とかは沢山あるしな。
「お、おう!わかった!お前も気をつけろよ?」
「もちろん、じゃ、行ってくる」
そう言って俺は集落を出た。
兄貴SIDE
波才が一気に走って集落を出ていった。
てかはええな。
っとそんなことより俺も畑を耕させねぇと。
「おい!おまえr「あっアニキさん!」これは天和様どうかしたんで?」
仲間に声をかけようとしたら天和様が話しかけてきた。
「えっとねー、波才さんに用があったんだけど、どこいるの?」
あっちゃー入れ違いだな。
「波才ならさっき出ていきましたよ?」
「えっ!?波才さん、出てっちゃたの!?」
急に天和様が慌て出した。
こりゃあちょっと語弊があったな。
「落ち着いてください天和様」
「落ち着いてなんかいられないよー!波才さんが出てっちゃたんだよ!なんでアニキさんは平気なの!?」
「だから、誤解ですって」
「早く探さないと!って誤解?」
「ええ、波才は集落を抜けたんじゃなくって、出かけたんです」
「出かけたって何しに?」
「買い物ですよ」
「お買い物?」
「ええ、どうやら食料がなくなりそうなんで」
「えっ!?もうご飯ないの!?」
また天和様が慌て出してしまった。
いろいろ忙しい人だな。
「いえ、あと一ヶ月分はあるみたいなんですけどそれ以降はなくなりそうなんで」
「じゃあ波才さんはご飯を買いに行ったの?」
「ご飯そのものではなくその種を買いに行ったみたいです」
「種?」
「ええ、だから買い物に行ってる間に俺たちは畑をだがやしておけとのことですよ」
「そうなんだー、じゃあいそいでやらないとね」
「はい、だから声をかけようと思ったんですけど」
「そういうことなら私たちにまっかせて!ちぃちゃーん!」……タタタタタ
天和様は地和様を呼びに行ってしまった。
貴女がやるんじゃないんですね。
数分したら天和様と地和様、それと人和様まで来た。
「アニキさーん!お待たせー!」
「ちょっと姉さん!急にどうしたのよ?」
「……何かあった?」
「天和様何も話さずにつれてきたんですか?」
「おっと、そうだった、ちぃちゃん、れんちゃん聞いてそれがねー」
「何かあったの?」
「かくかくしかじかなの」
「それじゃあ伝わりませんよ!?」
「なるほど、それは大変ね」
「伝わってる!?」
「でもどうするの?」
「簡単だよ!前の落とし穴の時みたいに私たちが応援すればいいんだよ!」
「まぁ、それくらいならいいけど」
「……はぁ」
「人和様?何故ため息をついているのですか?」
「……このあとのことを考えるとちょっと」
「このあと?」
一体何があるんだ?
天和様の考えでも十分だと思うんだが?
「……後でわかる」
波才SIDE
集落を出てから大体一時間ようやく近くの村についた。
金はとりあえず持ってきたから一応帰るはずだ。
俺は種などを売っている商人を見つけるとそっちに行った。
「すまない、買い物をしたいんだが」
「はい、なんでs……」
「?どうかしたか?」
「い、いえ!?何でもありません!」
なんだ?
今の俺の格好はどこにでもいる旅人のような格好のはずなんだが?
※ちゅうい~波才君は自分の顔にそれほど興味がないよ~
……今なにかホワホワした空気が漂った気がする。まぁいい。
「とりあえずこれだけで買える分の作物の種を適当に見繕って欲しい」
「はい、かしこまりました!」
俺はそう言いながら所持金の半分ほどを出して種を買った。
それにしても元気のあるいい商人だったな。
「さて、もう少し村をぶらついてみるか」
せっかくの村だしたまにはいいだろう。
そんなこんなで俺は村を散歩することにした。
散歩を開始して十分ほどすると馬屋からなにやら声が聞こえた。
「こいつはもう、処分するしかないな」
「ええ、こうも人に懐かないんじゃしょうがないですよ」
処分?懐かない?なんの話だ?
そんなことを思った俺は馬屋の方に入っていった。
中の様子を見るとどうやら馬が一頭いてそれを連れ出そうと引っ張っている男が二人。
しかし馬の方も動くまいと踏ん張っているようだ。
「ちょっと失礼」
俺はとりあえず声をかけた。
「!?っとすいませんねぇちょっと店の方を開けちまってて」
「いや、構わない。それよりその馬はなんだ?」
「この馬ですかい?この馬はこれから処分する馬ですよ」
さっきの処分とはこの馬のことか……。
「なぜ処分するんだ?」
「こいつ客にはもちろん俺たちにも懐かないんですよ。だからこのままにしても正直邪魔なんでさ」
「そうか」
俺は馬の方を見るがこの様子だと……。
「こいつ恥ずかしがってるだけだな」
「えっ!?」
「えっと確か適当に作ったものの中に……あったあった!おい、お前」
俺は馬をこちらに向かせると顔にあるものを取り付けた。
「それがあればお前の顔を見れる奴も少ないだろう」
俺が取り付けたのは馬用の仮面、黒い体毛にぴったり合うように紫の仮面がついている。
俺がそういうと馬が嬉しそうに俺の方にやって来た。
「本当に恥ずかしがりやだったんだな」ナデナデ
俺が馬を撫でていると店主が話しかけてきた。
「なぁ、そこの嬢ちゃん」
「店主、俺は男だ」
「そうなのか?まぁいい」
俺にとっては良くないんだが……まぁいい[いいのか~!?]by作者
「ものは相談なんだがその馬、あんたがもらってくれないか?」
「俺が?」
「ああ、こいつを捨てるのは忍びないし何よりあんたに懐いてる、今なら安くしておくよ」
「ちなみにどれくらいだ?」
「そうだな……これくらいだ」
馬屋の店主が提示した額はなんとか俺の所持金でも買える値段だった。
「お前は、俺とくるか?」
「ヒヒン!」
俺がそう聞くと馬はより一層俺に顔を近づけてきた。
決まりだな。
「店主この馬をもらおう」
俺はそう言いながら金を渡す。
「毎度♪」
店主は笑顔で金を受け取った。
俺は馬の方を見ながら
「今日からお前の名前は|紫陽≪しよう≫だよろしくな紫陽」
「ヒィーン!」
どうやらお気に召したようなので俺は紫陽の背に乗った。
「紫陽、これから俺の家族を紹介しよう。行くぞ」
俺は紫陽にそう言うと後ろをむいて。
「店主いい買い物をした。またいつか」
「またのお越しを」
店主が頭を下げるのと見た俺は前に向き直り、紫陽を飛ばして集落に向かって足を進めた。