恋姫無双~仮面を被りし旅人   作:天月照詠

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第五話 討伐軍を討伐!? 中編

波才SIDE

 

 

 

俺は兄貴に案内され、張三姉妹の天幕に来ていたのだが……。

 

「天和様、地和様、人和様、失礼します」

 

兄貴が天幕の前でそういうと、

 

「はぁーい!どーぞー!」

 

という声が返ってきた。

何かこういう話し方を前世のどこかで聞いたことがある気がするんだが。

まぁ、許可をもらったので俺と兄貴は張三姉妹の天幕の中に入った。

 

「お久しぶりです、天和様、地和様、人和様」

 

「あー!兄貴さん!久しぶりー!」

 

「って姉さん、入ってくるときの声でわかるでしょう?」

 

「……誰?」

 

三者三様の声で歓迎?された。

 

「実は大事な話があるんですよ」

 

「もうすぐくる討伐隊のこと?」

 

「知ってらしたんですかぃ?なら話は早いんですが……」

 

「ねぇ、ちぃちゃん。討伐隊ってなんのことー?」

 

「……話聞いてなかったの?ねぇさん?」

 

「はぁ、さっき見張りの人が軍の奴らが来たって言ってたでしょ?それが討伐軍だってこと」

 

「そうなんだー」

 

「……なんて|混沌≪カオス≫な空間だ」

 

こちらが本題に入ろうとする前に目の前の張三姉妹がガールズトークに走ってしまってる。

……にしても、この三人……。

 

「討伐軍が来てるのー?どーするー?」

 

「大丈夫だって、きっとなんとかなるよ!っね!人和?」

 

「……知らんがな」

 

「「……えっ」」

 

見た目はどこぞのアイドルだな、さっきの反応もだが。

しかし会話の内容は大変なことなのにどこか漫才に見えてしまう。

確かにこんな空気を作れるのなら人気もあるのだろうな。

しかしこのままでは時間が足りなくなってしまう。

 

「……兄貴」

 

「……っと!そうだった!天和様、地和様、人和様!そんなのんきに話してる場合じゃないんですよ!」

 

「でもー、どうすればいいのー?」

 

「この距離じゃあ逃げれないわよ?」

 

「……絶望的」

 

「それに関しては大丈夫です、こいつに策があるそうですから」

 

「その後ろの|娘≪こ≫ー?可愛いねー」

 

「もしかして兄貴さんの彼女?済におけないねー」

 

「…………」

 

「あの、そうじゃなくてですね」

 

「わかってるよー?」

 

「その人に何か案があるんでしょ?」

 

「……とりあえず聞くだけ聞いておく」

 

「……わかりました、おい」

 

兄貴に促されて前に出る。

 

「はじめまして、波才です、姓も字もありません。」

 

「長女の張角でーす、よろしくねー波才ちゃん」

 

「次女の張宝です、よろしくー」

 

「……三女、張梁、よろしく」

 

「こちらこそよろしくお願いします……それと張角殿」

 

「天和でいいよー波才ちゃん」

 

「私も地和でいいよ、黄巾党に入るんでしょ?」

 

「……人和」

 

「……わかりました、では改めて天和殿……俺は男です」

 

「「「…………?」」」

 

「「「………………?」」」

 

「「「…………………………?」」」

 

「ですから、俺は男です」

 

「「「……オトコ?」」」

 

「はい」

 

「そんなに髪長くて綺麗なのに?」

 

「そんなに整った顔してるのに?」

 

「……男?」

 

「はい」

 

「「「………………………」」」

 

『…………』

 

 

「「「えええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!????」」」

 

「…………声が大きいです、三人とも」

 

「え?え?ええええええええ???」

 

「ほんとに男のなの?」

 

「…………ゲホッ」←大声出して喉を軽く痛めた

 

「……俺は間違いなく男です、それと話を戻しますが討伐軍についてです」

 

「……あとで確認しよーっと」ボソッ

 

「……私もそうしておこ」ボソッ

 

「…………」コクリ

 

「……ゴホン!討伐軍についてですが!相手はもうこちらの位置を完全に知っています。逃げれても捕ま

るのは時間の問題でしょう」

 

「じゃあ、どうするの?」

 

「簡単です、戦うんですよ」

 

「でもあっちのほうが人数は多いわ」

 

「……こっちは戦える人も少ない」

 

「確かにそのとおりです。ですがこちらには有利な条件があります」

 

「有利な条件?なにそれ?」

 

「相手は攻める側、こちらは攻められる側ということです」

 

「いや、ことです。って言われてもわからないんだけど」

 

「ようするにこちらは罠を仕掛けることができるんですよ」

 

「でもーうちにそんな道具はないよー?」

 

「道具はあまり必要ありません、俺たちが仕掛ける罠はとても単純なものですから」

 

「……単純?」

 

「落とし穴ですよ」

 

「落とし穴?」

 

「はい」

 

「でもあれだけの人を落とすには相当の大きさが必要のはずよ?」

 

「はい」

 

「そんなの誰が作るの?」

 

「黄巾党の戦いの得意じゃない方々ですよ」

 

「でも落とし穴大変だよー?」

 

「……積極的に作ってくれる人も少ないと思う」

 

「それについては考えがあるのでご心配はいりません」

 

「考え?」

 

「はい、あなたがたですよ」

 

「「「私達?」」」

 

「ええ、あなたたちが応援すればすぐにやってくれますよ、なにせあなたたちを見に来た人たちですか

ら」

 

「でも私達がいきなり落とし穴掘ってっていっても直ぐに流行ってくれないと思うよ?」

 

「事情を話せばやってくれますよ」

 

「そうかなー?」

 

「ええ、ただし、そのあとにやることがありますがね」

 

「やること?」

 

「はい、まず天和殿」

 

「あなたは応援するときに―――――――――をしてください」

 

「んーそうすればみんな頑張ってくれるー?」

 

「はい、そして地和殿ですが……」

 

「あぁ、だいたい分かったはどんなことをすればいいかはね」

 

「そうですか、人和殿は?」

 

「……なんとなくわかった」

 

「わかりました。兄貴、みんなを集めてくれ」

 

「そういうと思ってもう集めてある」

 

「……早いね」

 

「まぁな」

 

「では皆さん行きましょうか」

 

俺がそう促すと張三姉妹は天幕をでて広間に向かった。

 

 

 

三人称SIDE

 

 

 

広間に集まった黄巾党は天和から軍の討伐隊が来ていることを聞いた。

顔を青ざめるものや既に諦めているもの、逆に燃えているものなど、反応は様々である。

そこで天和が次にすべきことを伝えた。

 

「そこでみんなには落とし穴を掘ってもらいたいと思いまーす!」

 

天和のこの一言で場は一層どよめきを増していった。

そこで人和が、

 

「……討伐軍を落とすから大きなものを作りたい」

 

続いて地和が、

 

「だからいそいでつくらないといけないわ」

 

二人の言葉を聞いた黄巾党が渋々ながらも、しかし三人のお願いなので嬉々として取り組もうとしてい

た。

しかし、まだ話はここで終わりではない。

 

「みんなー!頑張ってねー!」

 

天和が飛び跳ねながら黄巾党に声をかける。

その時に揺れた胸を見て天和のファンは一斉にやる気を出した。

続いて地和が、

 

「一番頑張ってくれた人には私から~……ッポ」

 

と地和が顔を赤くしながら言うと今度は地和のファンが一斉にやる気を出し始めた。

最後に人和が、

 

「……みんな、頑張って」

 

と普通に応援した。しかし、あまりしゃべらない人和の応援は人和のファンにとってはやる気を出すには十分だった。

 

 

 

 

 

波才SIDE

 

 

 

『うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!』

 

……予想にはしていたがここまでとは。

俺が天和殿に言ったのは[飛びながら応援すること]である。

簡単にいえば、誘惑してやる気を出させろ、ということだ。

話の流れを読み取った地和殿の行動にはなんとなく予想が付いたが人和殿の行動には驚いた。

まさか普通に応援するだけであそこまでやる気を出すとはな。

しかし、穴を掘ってる最中の連中の声が

 

「もっと天和様に飛んでもらうんだーーーーーー!!!!」

 

「俺が一番掘って地和様に……ッフ」

 

「人和様が応援してくれただけで俺は十分ダーー!!!!!!」

 

など、正直くだらないことばかり言っていた。

まぁいとしていたのだが……。

そんなこんなで約一刻ほどで集落の三分のにを使った巨大な落とし穴ができた。

……兄貴の行動もそうだったがここの連中、行動が早すぎる。

ま、まぁいい、この場合は早すぎて損はしないしな。

俺は次の指示を出すため残った広場に足を進めた。

ほった土を盛り上げてステージのようなものを作ってその上の張三姉妹の下に向かった。

 

「天和殿」

 

「あっ!波才さん!」

 

……どうやらちゃんからさんにかわったらしい。

 

「どうしたの?」

 

「……いえ、次の指示をだしたいのでそれを三人に伝えようかと」

 

「わかったよ~!で、どんな内容なの?」

 

「三人にはいつもどおりに歌ってもらいたいのです」

 

「?それだけ?」

 

「いや、そうではありませんが詳しく言うと理解されるのに時間がありませんので」

 

「そういうことならちぃちゃんに任せようー!ちぃちゃーん!」

 

天和殿が地和殿に向かって手を振りながら呼んだ。

その声を聞いた地和殿がこちらに来た。

 

「何?姉さん?」

 

「波才さんが作があるみたいなんだけど詳しくはわからないからちぃちゃんに任せようかと思って!」

 

「……はぁ、わかったわ。姉さんはみんなの相手をしてて」

 

「うん!わかったよー!」

 

そういうと今度は天和様が黄巾党の方に行ってしまった。

 

「で、どんな作戦なの?」

 

「えぇ、まず先程の穴掘りの最中の叫び声で討伐軍の士気は下がっているでしょう」

 

「……まぁ、あんなやる気のある大声を聞いちゃあね~?」

 

「はい、ですがあちらにも指揮官、もしくは隊長がいるでしょうから士気を持ち直そうとするでしょう」

 

「そうね」

 

「しかし、一度落ちた士気を持ち直してもすぐにまた下がってしまうでしょう」

 

「……それで?」

 

「俺が指揮官なら我々の声がおとなしくなって来ている今、一気に突撃をさせに来るでしょう」

 

「そのための落とし穴ってこと?」

 

「はい、そして落とし穴にはまった連中を円上に囲んでもらいます。この時に先頭に戦える人を、その後

ろに戦えない人を置きます」

 

「ちょっと待って?なんで戦えない人まで置く必要があるの?」

 

「あれだけ深い落とし穴にハマるとこちらとあちらにかなりの高低差があります。そこで隙間のないよう

にひとで囲むとあたかもその後ろにもまだまだ人がいるように錯覚させることができるのですよ」

 

「へぇ~」

 

「あとは場に任せて相手を恐怖に陥れれば簡単に勝負が付きます。恐怖に落ちた人間に恐怖を覚える必要もありませんから、これを気に戦える人を増やすのもいいでしょうしね」

 

「なるほどね、実践経験を積ませるってわけね?」

 

「そういうことです」

 

「ちなみにあんたは戦えるの?」

 

「えぇ一応は、ただし、戦う時はこの格好ですけどね」

 

俺はそう言いながら黄色の外套を裏返す。

そこにはもともと内側に着ていた黒い服に加え、裏側の黒い生地によって黒さ10割の俺の姿がある。

俺はそれに加えて仮面を取り出しで身につける。

 

「……なんで黒色?そしてその仮面は何?」

 

「黄色と黒色は危険色となりますそして軍団の中に一人仮面をつけたものがいればそちらに意識が集まり他のものに対して隙ができるでしょうから」

 

「あんたに全員突っ込んできたらどうするの?」

 

「そんなの――――――――

 

 

 

 

          ―――――――みんな切り伏せるに決まってるじゃないですか」

 

後に聞いたことだがこの時の俺に顔は服装並み黒かったらしい。

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