恋姫無双~仮面を被りし旅人   作:天月照詠

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第六話 討伐隊を討伐!? 後編

波才の策によって討伐軍を罠にはめた黄巾党は、あらかじめ支持されたとおりに穴を書こうように円を組んだ。

 

 

 

 

討伐軍隊長SIDE

 

 

 

 

 

一体何が起こったのだ!?

我々は先程まで黄巾党の背後を取り、襲撃をかけようとしていたはずだ。

そして武器を振り上げた瞬間視界が落下したのだ。

よく見ると周りは土だらけであることから我々は落とし穴にはめられたらしい。

賊ごときの策にハマるとは何たることか!

後ろを見れば後をつけていた兵士が全員落ちていた。

おそらく兵士が全員落ちるように考えて作られていたのだろう。

だとしたらこの穴を作ったやつは恐ろしい。

なにせ我々の兵士の数を知り、その進軍の速さを計算し、全員が穴に入る形になった瞬間罠が発動するように仕掛けたのだから。

しかし、感心している場合ではない、このままでは賊の思うつぼだ。

 

「全軍、素早く立て直せ!でないと「動くな!」―――――――!!!!????」

 

俺はすぐに軍を立て直そうとしたがひと足遅かった。

すでに武装した黄巾党が穴の周りを囲んでいた。

 

「なんだ!?」「おい!ここにいる黄巾党は三千じゃなかったのか!?」「明らかにそれより多いじゃな

いか!」「これじゃ適うわけがねぇ!」「もう……ここで死ぬのか?」

 

不味いな、兵士たちが混乱している。

しかしこの状態では俺の声など届かんだろう。

俺がそう思っていると黄巾党の中に一人だけ真っ黒な奴がいた。

顔に仮面を付け、黒い外套と服を纏った(おそらく)男がいた。

その男は不思議な雰囲気を漂わせていた。

ほかの黄巾党は全員どこかしらに黄色い布を巻いている。

頭であったり、腕であったり、はたまた全身を黄色くしているものさえいる。

しかしあの男は一切黄色を持ち合わせていない。

にもかかわらず、奴があそこに立っていることに違和感を持てない。

ただひとりの異色であり、仮面を唯一付けている異端なのに、それなのに奴があの集団の中にいることに違和感を持つことが俺には出来なかった。

しかし分かることは、あいつもこの黄巾党の仲間であること。

そして、奴がその中でも最も危険であるものであるということ。

恐らく、今の俺たちではこの賊を討伐することはもう叶わないだろう。

しかし!この男のことを!この危険な男のことを知らせることはできる!

今は奴の情報を少しでも手に入れるんだ!

 

「そこの仮面の貴様!なにものだ!」

 

俺そう総仮面の男に声をかけた。

 

 

 

 

 

 

波才(仮面)SIDE    ~少し戻って~

 

 

 

 

作戦通りうまく落とし穴に討伐軍をはめることができた。

あとは作戦通り周りを囲み奴らの心を壊す。

 

「兄貴!」

 

「おう!おい!お前ら、奴らお穴の上から囲め!!」

 

『おう!!』

 

兄貴の号令と共にほかの黄巾党は討伐軍をはめた穴の周りを囲み始めた

そして黄巾党が討伐軍を囲み終えたところで俺もその輪の中に加わった。

 

「結構上手くいくものだな……」

 

眼下にいる討伐軍の兵士たちは皆、既に戦意は喪失し、こちらに恐怖を持っている。

これならばあとは攻め込むだけですぐに終わるだろう。

そう思った俺は腰に構えた剣にでを添え、背中の槍に手をやった。

この槍は旅の時に見つけたもので、服と同じく、漆黒の色合いをしている。

そして、全軍(賊?)に突撃をさせようとしたとき

 

「そこの仮面の貴様!なにものだ!」

 

という声が聞こえた。

仮面をつけているのは俺一人のはずなので俺は声のする方に顔を向けた。

声のぬしは討伐軍の中でも身なりの良いものを着ていた。

おそらくこの軍の隊長だろう。

 

「答えろ!貴様はなにものだ!この穴を作ったのは貴様か!?」

 

「俺の名は波才、黄巾党だ。この穴を作ったのはここにいる全員だが、策を労したのは俺だ」

 

「貴様がこの賊たちを率いているものか!?」

 

「ああ」

 

俺がそう答えると周りの黄巾党から驚きの視線を向けられた。

俺がそちらを見るとさっと表情を戻したので気にしないことにした。

 

「なぜ貴様らはこのようなことをする!?」

 

「いや、攻め込まれたら防ぐのは当然だろう?」

 

なぁ?と周りの黄巾党にも視線をやるが全員頷いている。

 

「そうではない!なぜこれほどの策を労する力を持ちながら賊に身を落とした!?」

 

「…………なに?」

 

こいつは何を言っているんだ?

 

「まさか俺たちが好き好んで賊に落ちたとでも言いたいのか?」

 

「違うというのか?」

 

「ああ、ちがう」

 

こいつは黄巾党が賊になった理由を知らない。

俺はこいつらが賊になった経緯を聞いていたのでそれを代表して答えてやることにしよう。

 

「貴様、名をなんという?」

 

「……名を王、姓を濬、字が士治だ」

 

「では、王士治、まず俺たちがなぜ賊になったか知っているか?」

 

「私利私欲のためではないのか?」

 

王士治の発言に怒りをあらわにする黄巾党だったが兄貴がそれを抑えてくれた。

俺は怒りが収まるのを見届けると話を続ける。

 

「確かにそういうものもいるだろう、だが俺たちは違う。俺たちが賊になったのは…………役人のせいだよ」

 

「なんだと?」

 

王士治は疑問に満ちた顔をしている。

 

「人は欲望のかたまりだ。もし、何もしなくても金を取れる方法―――――――まぁこの場合は税だな。それを

知った人間が自分のよくを満たすために何をすると思う?」

 

「それは……」

 

王士治もどういうことかわかってきているらしい。

 

「そう、増税だよ」

 

「しかし税は村ごとに決められている!変えることはそう簡単にはできんはずだ!」

 

「そんなの村の人間が知るはずもないだろう?」

 

「っ!!」

 

「それにこの増税は上には伝えられていない。おそらく賊の被害を受けた役人からの報告には[村人が急

に税に不満を持ち始め一揆を起こした]とでも書かれていたんだろう?」

 

「……そのとおりだ」

 

「そして一揆を起こした村人は村人から賊に変わる。そしてその賊は増税が役人の単独でなされたものだと知らない。ならどう思うと思う?」

 

「この国自体で増税が行われていると思う。か?」

 

「そうだ、そして国に憎しみを持った賊が集まり結束したのが我ら黄巾党の大半を占めている」

 

「そんなことが……」

 

「では聞こう!王士治よ!」

 

「なんだ?」

 

「不条理な怒りによって賊となった俺たち黄巾党をお前は討伐できるか?」

 

「……確かに、今の話を聞けば躊躇ってしまうかもしれん。それ以前にこの状況では討伐そのものが難しいだろう……だが!」

 

「俺は国に忠節を誓った兵だ!この国に害のあるお前たちを放ってはおけない!」

 

「ではどうする?」

 

「俺の命続く限り貴様らを……殺す」

 

そして王士治が後ろを向き

 

「貴様ら!何をほうけている! 早く武器を持て!賊共を殲滅せよ!そして部隊の一部はこの情報を至急国に伝えよ!」

 

『はっ』

 

王士治の言葉と同時に兵士たちに活気がもどる。

王士治……惜しい男だ。

俺は剣を抜き、槍を構えた。

 

「黄巾党、構えろ!」

 

俺の声に黄巾党は反射的に武器を構えた。

これが戦ってなかった奴らにとっての初陣だ。

 

「王士治、お前とは違う出会い方をしたかったぞ」

 

「俺もだよ、波才」

 

「「全軍……

 

 

 

 

      敵を殲滅しろ!!」」

 

そう言いながら俺は討伐軍に突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

三人称SIDE

 

 

 

 

落とし穴の中は死体で溢れていた。

討伐軍の死体もあれば黄巾党の死体もある。

しかし黄巾党の死体は圧倒的に少ない。

高低差を利用して突撃したからこその結果といえるだろう。

しかし生き残ったとはいえ重賞のものも少なくはない。

だが、生き残った黄巾党の人間はまだ穴を囲むように立っていた。

肩を貸してもらっているものや得物を支えにしているものもいる。

しかし、彼らはまだ穴の中に目を向けている―――――――否、見届けている。

穴の中央には肩で息をした王士治と銀に光る髪を真紅に染め同じく紅く染まった武器を構えた波祭の姿がある。

 

「……ここまで、か」

 

王士治がなんとか武器を構えたしかしその切っ先は揺れ、体は今にも倒れそうになっている。

対して波才は多少生きは乱れているが、まだまだ戦える様子である。

 

「実に楽しかったぞ王士治よ、お前の名はこの波才が心に刻んでおこう」

 

「こう、えい、と、思って、おい……ていい……のか?それ、は?」

 

「さぁな、だがお前は俺の最初の好敵手だったぞ?」

 

「肩で生きもしてない奴が何を言うか」

 

「顔に出ないだけだ実際にはもうフラフラだ」

 

「そう……か。では」

 

「あぁ、これで終わりだ」

 

王士治は最後の力を振り絞り剣を構えた。

同じく波才は左手にもった槍を捨てて両手で剣を持つ。

 

「このひと振りで決着だ」

 

「ああ」

 

「「いざ尋常に……勝負!!」」

 

お互いに同時に地を蹴った。

王士治は剣を振り下ろし波才の体を両断しようとする。

波才はをの剣を受け流すように再び上に上げる。

 

「はぁっ!!!!」

 

胴ががら空きになった王士治に波才は直ぐ様剣で一閃した。

こうして討伐軍対黄巾党の戦いは終わった。

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