シンオウの昔日-翡翠英雄奇譚-   作:ヒュペルボレイオス

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シンジ湖にて。

 

 

 

 綿雲が牧歌的に空を泳ぐ昼下がり、おれはマサゴ平原でマネネを追い掛け回していた。

 

 小さくて見付けづらい上に、こちらの真似をされると不思議なことに目が離せなくなって対応が遅れる。だからこうして草むらに身を潜め、餌となるオレンのみを投げては様子を観察し、速記で纏めているのだ。

 

 幸運なことに眼前のマネネは二体。二つ投げたオレンのみをそれぞれ仲良く一つずつ手にし、無邪気に笑顔で食べている。

 食べ終わり、こちらに背を向けた瞬間を狙ってポーチから取り出したモンスターボールを投げ付けた。

 

 右隣のマネネが吸い込まれたのと同時に左のマネネの背面も取る。双方、共に会心の出来。

 高く跳ね回ったボールに嫌な予感もしたが、無事に二体とも収まった。

 

 

「……っし……!」

 

 

 思わず片手でガッツポーズ。

 餌やり二回、かつ見付からずに二体捕獲だ。調査で求められる要項を如何に効率的に満たせるか。それが初の調査で先輩方をパンクさせた後、真っ先に着目した点だった。

 

 ここでのポケモンの調査はおれのいた時代とはまるで違う。おれの知るポケモン図鑑は、一体捕まえれば名前と姿は勿論、鳴き声も生息地も概要も全て表示されていた。けれどヒスイではそれだけじゃ足りない。調査要項となる項目を満たさなければ文章として纏められない。

 

 思えば、おれのポケモン図鑑はスタンプラリーみたいなものだったのだろう。本当の意味でポケモンを調査し、図鑑に登録するというのは、こうした地道かつ回数を要する作業の果てに達成されるものなのだ。

 

 張り詰めていた緊張が解けてどっと疲れが出る。

 木に背を預けて空を見上げれば、穏やかな陽射しが風に乗っかって木の葉の隙間から漏れ零れる。

 

 ──あー……目を瞑りたい。目を瞑って、大の字に転がりたい。

 

 それが出来るのはベースキャンプの付近だけだ。この近くにはオヤブンフーディンもいる。彼らは近付かなければ襲ってくることは無いが、それでも万が一はある。てか普通に怖い。

 

 次はどのポケモンを捕まえるか。

 このままバリヤードも探してみるか。

 それともケーシィに挑むか。

 

 ケーシィといえば203番道路で初めて見た日を思い出す。

 初遭遇のケーシィを捕まえようとしてムックルに“でんこうせっか”で突っ込ませ、良い感じに体力を減らせたかと思えばケーシィは“テレポート”で忽然と消えてしまった。

 テレポートの存在も知らなかったおれは何が何だか分からないままクロガネシティに行き、民家にいた女の子と交換してもらったんだ。あの子の名前、何だっけな。

 

 既にうろ覚えな思い出に浸るおれは徐ろにアルセウスフォンの地図を表示した。そういえば、ここから真っ直ぐ行ったところにはシンジ湖がある。

 幼い頃からよく遊びに行っていた湖。まだ消えていない記憶に安堵しながら、頭の中のシンオウの地図と比べてみる。あれ、マサゴ平原ってもしかしてマサゴタウンじゃなくてフタバタウン?

 

 

「ここ……おれんち……?」

 

 

 フタバタウンの影も形もない平原のど真ん中で何を言っているのやら。けれど色褪せながらも思い出せる。おれの家、ジュンの家……真っ直ぐ行って、左に曲がって、いつもの遊び場……。

 

 気付けばおれの足はシンジ湖に向かって歩き出していた。道中にはオヤブンフーディンがいるのに、なんの因果か出遭わなかった。そのせいで引き返す理由が無くなって、シンジ湖への坂を登り出す。

 

 そんなことをしてもなんにもならないのに、おれの前を歩く金髪のあいつはいないのに、瞼の裏にシンオウの記憶を蘇らせながら息を切らして登り切って──

 

 

 つぁ、りん。

 

 

 湖の畔特有の、湿った冷たい風の中。

 瀟洒な鈴の音が小さく、けれど芯を持って響いていた。

 

 つぁり、りん。と。

 

 鈴の音はおれより小さな子。

 薄手の白い服はここ最近で見慣れた着物とは違い、おれのよく知る丈の長いワンピースに見える。水面に溶け出しそうな半透明の青い羽織が冷風にひらひらと靡いていた。

 靴は下駄とサンダルを掛け合わせたようなデザインになっていて、底は船みたいな形で踵が高い。あれじゃあつま先で地面を蹴れないからろくに走れないだろう。

 

 けれど器用にもその子は舞っている。

 長い杖の先についた鈴を、祈りのように鳴らしている。

 音楽がある訳じゃない。

 語りがある訳じゃない。

 ただひとつの鈴の音だけが、静かに響く静寂の舞。

 どこか懐かしさを感じさせ、けれども未知の音色に耳を傾ける時間は、その子が振り向いた時終わりを迎えた。

 

 

「え、っ」

 

「あっ」

 

 

 それは終わったから振り向いたのではなく、おそらく振り付けとして一回転するものだったのだろう。

 シンオウに降る雪みたいな長い白髪がふわりと軌跡を描いて、伏し目がちの金色が驚きと共に見開かれた。

 

 

「ご、ごめん! 邪魔する気は無くて……!」

 

 

 おれが一歩踏み出すとその子は二歩後退る。

 ひらひらと大きく靡いていた羽織とワンピースは、杖にひしとしがみついたことで小さなシルエットになっていた。ユキメノコがユキワラシに戻ってしまった、例えるならそんな感じ。

 混乱と怯えが見える金の眼に罪悪感が加速する。なんとか宥めようと開けっ放しの口から声を出そうとして、湖の向こうから聞こえた咆哮に二人して肩を跳ねさせた。

 

 水面に顔を出す巨大なギャラドス。

 その目の妖しく苛烈な輝きは、あろうことかいつまでも見慣れぬオヤブンのもの。

 

 いつか見たテレビの番組を思い出す。

 煽るだけ煽って結局赤いギャラドスは見付けられませんでしたなんてオチで締めたあの番組は幼心に一生許せない──なんて回想に浸っている場合じゃない!

 

 ぐんぐん畔に接近してくるお怒りのギャラドスに肝は冷え冷え、それでも少女の手を掴み「逃げるよ!!」と叫んで走り出した。

 背中に殺気を浴びて胃がひっくり返りそうになる。

 でも今この子を守れるのは自分だけだと叱責して、坂を急いで駆け下りる。二度目の咆哮が響き渡り、耳の奥がじんじんと痛む。

 

 ぽつ、と水が鼻先に落ちた。

 リッシ湖の上空に、黒い雨雲が立ち昇り始めていた。

 雷雨か、よくて豪雨が来ると悟ったおれはすぐさま笛を取り出してアヤシシ様に嘆願する。

 林の奥から現れてくれたアヤシシ様に飛び乗り、少女を自分の前に乗せる。こういう時は後ろに乗せそうなものだけど、それは絶対振り落とすから。

 

 

「アヤシシ様お願いします!!」

 

 

 嘶きと共に疾走が始まる。

 雨雲との追いかけっこで優位に立てたのは最初だけ。勢力を増し続ける黒雲は遂に空を覆い、バケツをひっくり返して豪雨を降り頻らせた。

 うひゃーっと情けない叫び声がまろび出る。顔面に叩き付けられる雨が冷たいを通り越して最早痛い。

 なんとか駆け込んだベースキャンプでもてんやわんやの状態だった。

 

 

「ああテルくん! よかった無事でしたか! これからコトブキムラに戻ります!」

 

「ハイ!! ありがとうございます待っててもらって!!」

 

 

 二人とも飛んでいきそうな帽子を手で抑えながら、警備隊の人に囲まれつつコトブキムラまで撤退する。

 黒曜の原野を抜けた辺りで雨の終わりを見たものの、警備隊もラベン博士もずぶ濡れだ。嗚呼おれが集めたポケモン資料……。

 

 

「そういえばテルくん、そちらの子は?」

 

「あ、そうでした。この子シンジ湖の畔で……どうしたの!?」

 

 

 手を引いていたユキワラシっ子はがたがたと体を震わせている。どうしたも何もあるか、全身ずぶ濡れで体温調節が上手くいってないんだ。低体温症を引き起こしている可能性も充分ある。

 事態を察した警備隊の人が彼女をひょいと横抱きにすると、大股で走っておれ達より速く本部の中へと消えていった。

 

 

「あら? 博士にテル。おかえりなさい、調査はもう終わりですか?」

 

 

 本部に戻ったおれ達をショウ先輩が出迎えた。

 背中まで伸びた綺麗な黒髪を結び直していた最中だったのか、ほっかむりは帯締めにひっかけられている。

 

 

「ただいまショウ先輩。凄い雨に見舞われたんで、切り上げて帰ってきたんです」

 

「実にファンタスティックな豪雨でしたよ。資料は守れるだけ守りましたが……」

 

「うわぁ、ぐちゃぐちゃ……あたしが運んでおきますから、お二人は着替えてきてください」

 

 

 半濡れの資料が破けないよう慎重に受け取ったショウ先輩のお言葉に甘え、家で体を拭いて替えの服に着替えてから本部に向かう。明日には乾いていてほしい。せめて明後日には。

 

 

 シマボシ隊長に帰還報告をしてから、ラベン博士の研究室で資料を元に図鑑のページを作っていく。他の調査隊員が『蹄鉄ヶ原』でもマネネの調査をしていたようで、好きな餌や持っているものなども収録できた。

 不用意にアゲハントに近付いてはいけないと鬼気迫る顔で主張する隊員に深く頷きながら、あーでもないこーでもない、あれは伝えるべきこれは誤解かもと情報を精査していく。

 

 

「……あの子、大丈夫かなあ」

 

「先程医務室に運ばれた子供のことですか?」

 

「ショウ先輩も見たんですね」

 

「テル程ではありませんが少々見慣れない格好でしたので。何があったんですか?」

 

「ボクも気になりますよ」

 

「ええと……」

 

 

 それからおれは包み隠さず──隠すようなことは何も無いから──話した。

 シンジ湖の畔で舞う彼女を見付けたこと。

 目が合ったら硬直してしまい、そんな時にオヤブンギャラドスに目を付けられたこと。

 それからは無我夢中で逃げてきたこと。

 

 話し終えるとショウ先輩は勿論他の先輩たちも顔を青くして「オヤブンギャラドス……」と戦慄していた。うん、あれは流石におれも怖い。戦わなくても力の差は歴然だったから。

 

 

「湖の畔で舞……ボクの知らない習慣です。コンゴウ団やシンジュ団の方でしょうか」

 

「コトブキムラで見たことが無いとなるとその可能性は高いですね。そもそも習慣なのでしょうか?」

 

 

 手を動かしつつあの子への憶測が飛び交う。

 人見知りレベルマックスな感じだったからコンゴウ団やシンジュ団でやっていけているのかも気になるところだ。いや、むしろコンゴウ団かシンジュ団みたいな身内にだけ心を開いているタイプかも? セキさんに懐いている姿を想像すると存外違和感が無い。

 

 中断したからこれまでと比べて量が少なく、数時間で作業は終わった。餌を食べるマネネの絵も可愛く描けた。これで怖いイメージを払拭できる。

 新しく登録したポケモン、更新されたポケモン。シマボシ隊長に再度報告をして今日は終わりかな……と考えていると、にわかに医務室の方が騒がしくなり始めた。

 廊下を早足で歩く医療隊の人に「何かあったんですか?」と訊ねたら「それがね……」と困り果てた顔で切り出される。

 

 

「運び込まれた女の子が目を覚ましたの。体が冷えているからスープを飲んでほしいんだけど、怖がっちゃって全然飲んでもらえなくて……」

 

 

 医務室に立ち入ると、そこには病衣に着替えたあの子がベッドの上で縮こまっていた。キネさんが落ち着かせようとしているが、ちょっと手を伸ばすと泣き出しそうになって上手くいかない。

 部屋に人が増えたことで更にパニックになったのか、決壊寸前だった両目からぼろぼろと涙が溢れ出してしまった。

 ぎょっとして医務室から撤退しようとしたおれ達の前に、またしても新たな声が現れる。

 

 

「こんにちはー! 少々お訊ねしたいのですが!」

 

「ウォロさん!? スミマセン今ちょっと立て込んでて……!!」

 

 

 底抜けに明るい笑顔で彼は「おや」と小首を傾げた。今この場において最も子供と関わる姿が想像できない人物は誰かと言われたら、おそらく満場一致でこの人になる。

 多分薬の在庫を確認しに来たんだろうけど後にしてほしい。そんな気持ちとは裏腹に彼は医務室に踏み込むと、奥のベッドを眺めて小さく口角を上げた。

 

 

「──見付けましたよ、クレィア」

 

 

 え、と部屋の全員が固まる。

 知らない音のそれは名前に思えて、ウォロさんの視線の先にはベッドの上から弾かれるように下りたあの子がいて、親を見つけた子供みたいに彼に向かって飛び込んだ。

 

 

「もー、心配したんですよ? 知らぬ間に黒曜の原野は土砂降りですし、心情(シンジ)湖には見当たりませんし! こちらに運び込まれていたのですね」

 

 

 その口振りからして、誰かの代理で探していた訳ではないのだと悟る。彼は間違いなくこの女の子と知り合いで、土砂降りの原野から彼女を探してここへ来たのだ。

 え、てことはもしかしてこの子の所属はコンゴウ団でもシンジュ団でもなくイチョウ商会ってこと?

 

 

「すみませんね、彼女はひとりでいると人見知りが大層激しくなってしまうので。今落ち着かせますから」

 

 

 そう言ってウォロさんは泣き続けるその子の目を片手で覆う。目隠しされた子はそのまま体を半回転されこちらを向いた。

 

 

「いいですか、クレィア。彼らはギンガ団。ポケモンの調査をしている団体です。中でもここは医務室ですね。アナタに危害を加える方はいらっしゃいません」

 

 

 ウォロさんは目隠しを続けたまま、少女の耳元で穏やかに説明する。目を塞いだのは情報量を少なくするためなのだろう。少女の呼吸は目に見えて落ち着きを取り戻す。

 

 

「アナタが着替えているのは、ずぶ濡れのままだと体が冷えてしまうからです。決して身包みを剥がされた訳ではありません。杖も置いてありますよ。……安心できましたか?」

 

 

 少女が小さく頷くとウォロさんは隙間なく揃えていた指の間隔をゆっくりと広げる。そのままそっと手を退けると、怯えと混乱の色がすっかり消えている金の眼がおれ達を映し出した。

 

 

「さ、クレィア。ご挨拶できますか?」

 

 

 少女の肩に手を添えてにこりと笑う。

 その子は一旦瞑目すると、ウォロさんから分けてもらったように薄い笑みを湛えて目を開けた。

 

 

「──こんにちは、ギンガ団のみなさん。ムラの人間ではないわたしを助けていただき、ありがとうございました」

 

「喋った……!」

 

「具合いはどうですか? 症状は言えそうですか?」

 

「もう大丈夫です。あ、でもおなかが空きました。さっきのスープ、飲んでもいいでしょうか?」

 

 

 キネさんは「勿論」と笑って、お盆に乗せたスープを用意する。ショウ先輩が小さめの椅子を持ってきて「どうぞこちらに」と案内すると、少女はお礼を言って腰を掛けた。

 スープをゆっくり飲み始めたところで、一同の安堵が溜め息となる。

 疎らに人が散り始めてしばらく、スープを飲み終えた少女がキネさんにお礼を言った。数時間ぐっすり眠っていたこともあり、もう心配は無いらしい。

 

 

「テルさん、あとはジブンが引き受けますので」

 

 

 にこりと笑ったウォロさんにおれも安心する。どういう関係なのかとか、なんでシンジ湖にいたのかとか、気になることはあるけれど初対面の子についてそこまで踏み込むのはなんだか気が引けた。

 

 シマボシ隊長への進捗報告もしたいところだったおれは挨拶もそこそこに医務室を後にする。

 ふとギャラドスの殺気を思い出してしまい、悪寒なのか寒気なのか分からないそれに身震いした。シンジ湖に近付くのは控えよう。そうしよう。

 

 ──黒曜の原野の雨はしばらく降り止まず、幾日後の夕方にようやく薄く斜陽が射した。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 ヒスイ地方の北東。

 コトブキムラからは天冠山の脈を挟んだ東側、『紅蓮の湿地』のどこか(・・・)にある隠れ里。

 流れる小川と小さな畑に生活を支えられながら、ひっそりと賢者が暮らしていた。

 

 

「コトブキムラでゆっくり遊ばせてやればよかったものを」

 

「あの状態では土台無理な話でしょう。そも本来ムラに連れて行くのはもっと別の、自然に馴染める頃合いを狙っていたのです」

 

「面倒じゃのう……」

 

 

 氷雪の如き白銀の髪を纏めた賢者は庵のベッドに横たわる小さな(カンナギ)の頭を撫でる。

 誰からも忘れ去られ寂れるばかりの里よりも、賑わいを増していく新たなムラの方が子供の退屈を慰めてくれる。賢者はそう呟いたが、(カンナギ)は──ワタクシは「正気ですか?」と鼻で笑った。

 

 

河の導き手(ビッパ)の餞別さえ理解できない余所者の巣が、我らの何を慰めると言うのです」

 

「……“あらゆるものを友とせよ”、あたし達の神の教えはお主も知っておろう」

 

「知っていますよ。だから、この子にもそう教えたでしょう」

 

 

 咎めるような眼差しを涼しい顔で受け流す。賢者は小さく肩を落とすが、それで態度を改めるかと言われたら、絶対にそんなことはないとそろそろ理解してほしい。

 

 ──あらゆるものを友とせよ。

 

 嫌になるくらい美しい一節は幾度となく巫に言い聞かせた。

 決して怒らず断じて悲しまず、尊きシンオウたちの足元で万物を愛し受け入れる心。

 

 だからこそ、だ。

 

 だからこそ、自分たち以外の人間を見るなりポケモンも呼べなくなるような不安定な状態のままでは、余所者の巣には連れていけない。

 あらゆるものを友とする精神を、自分がいちいち落ち着かせなくても常に保てるようにならなければ、他人の前になど出せはしない。

 この巫──“故に我信ず(クレドクィア)”の名を与えた古代シンオウ人の末裔は、限りなく伝承に近い“カミナギの民”として育て上げなければならないのだ。

 アルセウスに到達する手段の一つとして拾ったのだから、祭具として使い物にならなければ意味がない。 

 

 

「……やはりポケモンは連れて歩かせるべきですね」

 

「ラブトロスに話してやろうか?」

 

「目立つので結構です」

 

 

 太陽の位置を確認して荷物を背負い直す。

 この程度の寄り道ならいつものサボりで通るだろう。

 庵を出ると湿地特有の湿った風が頬を叩く。

 原野の方角から山越えしたそれはいつもより冷たくて、いい加減ギャラドスには機嫌を直してもらわねばと小さく溜め息を吐いた。

 

 

 




マネネ(♂、♀)
 無邪気な性格で昼寝をよくする。のんきな性格で食べるのが大好き。オレンのみよりもちもちキノコの方が好みだけど、あればなんでも食べる。

ギャラドス(♂)
 穏やかな性格で物音に敏感。観劇中に部外者が立ち入って中断させたらキレるよねって話。

クレドクィア
 ラテン語の「クレド・クィア・アブスルドゥム(不条理故に我信ず)」から。
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