オリ主が出てきます。
『A6、変化なし』
『D4、敵勢力に動きが見られる。アタッカーに行動要請』
『オペレーター21に不調を確認。オペレーター22と交代を申請』
『A5、インプを確認。アタッカーに対応を要請』
『M6、動きに乱れを確認。対応オペレーターに修正を申請』
『A6、敵勢力の行動を確認。ゴブリン、オークの混成部隊と推測。アタッカーに情報共有』
暗い部屋の中、一人の少女がたった一つの光源から流れる声を聞きタイピングを行っていた。
カタカタと静かに打たれるそれを邪魔するものはおらず、あとは身じろぎの音だけが部屋に響く。
その光源……パソコンに映る画面は、まるでゲームのようだった。上空から眺める三人称視点で映し出されるのは下から上へと動くユニットの大群と、それに相対するエネミーの拠点。
めぐるましく変わり続ける状況に、素早くタイピングしながら指示を行い、エネミーの行動を推測する。
『─────現在の勝率、79%。推定残存率、64%と推測』
パソコンから流れる声は、無機質に自軍の勝率とそれによって残る自軍の勢力数を告げていた。
ゲームを、やっているかのように思えるだろう。実際、他所から見ればそのようにしか見えないし、それは本人たちも認めている。
しかし。
カタカタカタ
【もう少し上げられる。アタッカーにシールドを要請、その後スナイパーをE3に配置、指示が来るまで待機】
『了解。要請します……受理されました』
【それとオペレーター3と26を交代】
『了解』
彼女達は、遊びでやってはいない。
本気で、全力で、この戦いに挑んでいる。
それは、未だ戦術の域でしかなくとも、それでもやる意味がある。
幾つも展開されているウィンドウを視界に入れながら、彼女は端に寄せられていた掲示板に目を通した。
***
445:オペレーター9
つ か れ る
446:オペレーター15
文句言うな
447:オペレーター2
なんかファミリアが塩対応で草
448:オペレーター6
それは皆思ってることだから。あと言わなくて良いから
449:オペレーター7
そんなことよりすり潰されるインクブスがキモい
450:オペレーター1
スカッとする
451:オペレーター7
おおう、貴方はそっちですか……
452:オペレーター11
皆余裕ありそうだね? 働け
453:オペレーター9
今頭働かせてるんで
454:オペレーター19
A9に罠、進行方向変更して、F4にいるファミリアを苦戦中のE3と合流させて、次は
455:オペレーター6
19、漏れてますよ
456:オペレーター19
失礼
457:オペレーター2
らいこうしゃんに頼まれて来てみれば、まさか噂のサーティーンさんのお手伝いとは思わなかった。
458:オペレーター3
今休憩中だけど、こんなことやってたんだね。日本で駆逐してるのは知ってたけどまさかここまでとは……
459:オペレーター5
噂じゃ外国もNo.13狙ってるって言うし、それだけの価値があるよね。それで働いてくれるかは別として
460:オペレーター9
個人的には動いて欲しい。日本人じゃないので
461:オペレーター10
あちらを立てればこちらが立たず、でしょ?
462:オペレーター14
これ、らいこうしゃんのバックアップありきで、かつ負担を分散してこれだもんね。
No.13はどうやって処理してたんだ……?
463:オペレーター1
知らないけど、すごく気分が良い。
こんな私でも役に立てるなんて
464:オペレーター2
まぁ、それはそう
465:オペレーター3
戦闘には向かないもんね、私ら。誘ってくれて嬉しいよ。
466:オペレーター9
まぁそれはそれとして疲れるんだけども
467:オペレーター18
あ
468:オペレーター8
ん、どした
469:オペレーター18
B4の敵が崩れた
470:オペレーター2
チャンス! 攻めろー!
***
─────内容からメンタル的にもフィジカル的にも問題なさそうだと判断し、再び画面に視線を戻す。
エネミーの数はどんどんすり減っていき、それに合わせてユニットも徐々に数を減らしている。
だが。
ユニットの喪失よりも、エネミーの撃滅のほうがはるかに速い。
『B5のインプに動きを確認』
【配置したスナイパーを始動、狙撃】
『スナイパー活動開始……初撃命中』
【続いてアタッカーAに攻撃を指示】
『了解。アタッカーA、ストライク……成功』
【スナイパーは移動してB2、アタッカーAは近隣の敵へ攻撃指示】
『了解』
ユニットを動かし、エネミーを撃破する。
画面上にいる敵を倒し、より多くの味方を生かし次に繋げる。
No.13との会談により決められた方針。
インクブスの撃滅。それこそがユニットの役割。
そして。
画面から、エネミーが消え去った。
『─────敵勢力、全滅。残存率、75%。これより処理活動に移ります』
【オペレーターに作戦成功を提示】
『了解。オペレーターに情報伝達……敵拠点より生命反応を確認。非インクブスと確定、オペレーターに保護指示を要請』
【エリアに侵入するインクブスを警戒しつつ、保護対象をセーフエリアまで搬送】
『了解』
しかし、彼女のやることは終わっていない。
戦後処理が残っている。
インクブスに連れ去られ慰み者とされてしまった人達の保護。
現状ではインクブスの世界からの救出は困難であり、No.13も未だに方法を考えている。
幸いにもセーフエリアは確保されているため、そこまで連れていけばいい。しかし、そこから襲撃されて奪い返されてしまうということも何度か発生している。
襲撃対策、作戦立案、立地確認、敵勢力視認、オペレーター指示、掲示板調査……彼女個人に掛かる負担は相当なもので。
それでも、それを苦に思うことはない。
タイピングを打ち続ける。
就寝まで、まだ時間がある。
【オペレーターとサポーターへの次回作戦行動日時の伝達と、No.13への情報伝達】
『了解』
【続いて消耗したユニットを補充。それが終わり次第、敵拠点の捕捉を行い作戦立案を開始する】
『了解』
カタカタカタカタ
タイピングは止まらない。
インクブスがいなくならない限り、彼女の活動は終わることはない。
自分を壊さないようにしつつ、
ウィッチナンバー666、ライコウ。
本名、
指とパソコンを武器に戦うウィッチ。それが彼女だった。
戦えない(けどサポートチート級)主人公は喋りません。タイピングで済ませます。