ようこそ櫛田桔梗から攻略する教室へ   作:葱塩柚胡椒

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楽しんで貰えると幸いです(R18シーンだけはR18版で書く可能性あり。その場合はURLを載せます)


1.櫛田桔梗の幼馴染みの男

 そこはとある学校の敷地に設立された学生寮の一室。

 他の寮室との違いは当然なく入学して間もないために、日用品も必要最低限しかない。

 

 その部屋の中で一人の女子高生が息を吸い、胸の中に溜まっていた感情を薄く形の整った唇を開けて言葉にした。

 

「ーーマジ最悪ッ!!」

 

 可憐な少女からとても似つかわしくはない、ドスの利いた暴言が飛び出した。

 

「なんなのあいつら!?ホント死ねッ!マジでキモいんですけどッ!特にあの女が一番キモい!何から何まで存在がマジキモ過ぎるッ!」

 

 その言葉の数々は普段の彼女から余りにも乖離し、彼女を知っている人間からすれば別人に思ってしまうだろう。

 

「どいつもこいつも、あの女にばかり目を向けて……ッ、私を馬鹿にしてるの!?」

 

 誰からも好かれるように振る舞ういつもの彼女から、余りにも乖離している。

 そして際立つのはその表情だ。まるで憎悪を超えて殺意を抱いているかのような鋭い眼光は、普段の温厚で気遣い上手な彼女と同一人物とは思えない。

 ミシミシッと肩に置かれた手にもどんどん力が入っており、仮にその相手が女子ならばその痛みに耐えられないことだろう。

 

 

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「(いや、本当にギャップがエグいな)」

 

 

 それはハグと言うよりも、身体にしがみつかれていると言われた方が納得できる強さの力だった。普段から鍛えていなければ男子の自分も耐えられなかったかもしれない。

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「裏表が無いのもムカつく。私よりも頭が良いのもムカつく。私より愛想が良いのもムカつく。私よりも人気があるのがムカつく。ムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく……ッッ!」

 

 耳許で怨嗟の如く吐き出される悪態の数々は、聞いているだけで不快になりそうだが、慣れてしまえばラジオから流れてくる音声と大した違いはない。

 一番好きな原作キャラだったことも含めればこれはご褒美かもしれない……いや、やっぱり人の罵詈雑言で興奮はできないわ。

 

「よしよし、桔梗は可愛いなぁ」

 

 腹黒でストレスが溜まると、汚い口調で発散しようとするどこにでもいる普通の女の子。

 

 それこそが、櫛田桔梗という女の子でありキャラクターだ。

 

 それに対して、一之瀬帆波のような裏表が無い純真な人間なんて、希少価値もいいところであり余りにも現実味が無さすぎる。

 偶像崇拝をされてしまうほど非の打ち所が無いのも、それに拍車を掛けていると思う。

 

「(漫画やラノベのオタクの理想みたいなキャラよりは、櫛田桔梗みたいな裏表の二面性があったりする、生々しいキャラの方が個人的に俺は好きなんだ)」

 

 一之瀬に劣等感によるストレスと、承認欲求が満たされない苛立ちを抱いている彼女に接する際には、優しく受け止めることこそ一番刺さるのだと、今までの経験則と原作知識で理解をしている。

 

 それが百点満点の正解であることは、一転してうっとりとした顔をする櫛田を見れば一目瞭然だろう。

 

「……謳歌(おうか)はこんな私でも、やっぱり受け止めてくれるんだねっ!ふふっ、嬉しいなぁ……」

 

 つい先程まで般若なような顔をしていたにも拘わらず、抱き締めながら頭を撫でると、目を細めながら笑みを浮かべて気分がV字回復していく。

 余りにもチョロく感じるが、原作でも綾小路に対してこんな感じだったし、自身で自覚しているだろう腹黒い本性を相手に肯定され、受け入れられてしまうと心の扉が簡単に開いてしまうタイプなのだろう。

 

「(いや、この転生特典で貰った身体が無ければそれも無理だったか)」

 

 ーー俺が転生の神に願ったものは【女受けする理想の男の肉体】と言うもの。

 

 顔は黄金比で一見中性的に見えるが、男らしさを感じられる容貌。身長は180cmジャストで筋トレを軽くしただけでアスリート並みの肉体美。

 

「(まさか理想の肉体で頭脳も含まれるとは……まあ、臓器であることは間違いないし当然と言えば当然か。

 それに物覚えや思考回路の速さがものすごく良くなっただけで、別に斬新なアイデアが思い浮かぶ発想力だとかは身に付かなかったわけだしな。

 成績はAクラス相当でも、相手を出し抜くクラス間競争は不得手か。まあ、そこら辺は原作知識でカバーしていくしかない)」

 

 つまり、俺が貰った特典である【女受けする理想の男の肉体】の基準はーー

 

 『容姿が良い男がカッコイイ?』ーーYES or NO

 『背が高い男がカッコイイ?』ーーYES or NO

 『身体が引き締まっている男がカッコイイ?』ーーYES or NO

 『運動ができる男がカッコイイ?』ーーYES or NO

 『頭が良い男がカッコイイ?』ーーYES or NO

 

 という、それぞれの項目でYESとされたものを採用されており、その統計は『女が無意識に抱く男への理想像』の比率から算出されている。

 もちろん、反映されるのは肉体と関係あることだけであり、精神性だとかはまるで反映されていない。

 

「(男子から嫉妬の対象になるのは計算内。だからこそ、勉強やスポーツに力を入れて男子のカースト上位に入った。

 前世は頭の出来も良くなかったけど、この【女受けする理想の男の肉体】は一目見たものは完璧に記憶することができたから、苦でもなんでもない)」

 

 最初は『どんな世界であってもいいから、世界中の誰より女にモテたい!』と望んだものだが、結果的にこの世界で最も最適な願望だったと自負してるくらいだ。

 

「(だけど、『東京都高度育成高等学校』に入学する前に、他クラスに手駒となる存在を10人は欲しかったのに失敗。

 櫛田には俺を監視するようなネットワークを形成されて、堀北の攻略はこれまた失敗)」

 

 実は櫛田とは一時期恋人になったが今は解消されている。それでも、この距離感なのは理由があるのだが今問題とすべき点はそこではない。

 

「(はあ……チートありの俺がなんでチートが無い桔梗にやり込まれられてるんだ。うーん、攻略の時期をミスったかぁ?)」

 

 つまり、どれだけ恵まれた肉体(才能)があったとしても、中身が平凡ならどうしようもないということだ。

 

「(長い月日を掛けてスパダリ対応した甲斐はあった。桔梗はもういい感じに俺に堕ちてる。あとは俺の目標である『よう実』世界の女キャラでハーレムを作ること。

 桔梗がそれに諸手を上げて賛同することは無いだろうけど、もしバレても問題はない。第一、今は彼氏彼女の関係じゃないし)」

 

 自己顕示欲の怪物とまで原作で言われた桔梗だが、俺が与える性的快感でその欲求の代替ができるようになった。

 

「(気絶するほどの快楽でようやく上回る自己顕示欲は、さすがに化け物としか言いようがないわ。狂うほどの快楽を与えられたら普通はそれしか頭に無くなるんだけどな……)」

 

 一番好きなキャラであり、一番何しでかすか分からないキャラクターを俺の女にできた。これでどう転んでも綾小路の手駒にはならない筈だ。

 

「(まあ、それを覆してきそうなのが綾小路清隆って主人公の恐ろしいところなんだが)」

 

 気を抜いていたら全部取られていましたとか普通にありえる。まあ、それをされたら神様チート特典を凌駕されたということ。うん、もうどうしようもない。諦めよう。

 だが、俺と桔梗はBクラスのため綾小路と敵対するのは確定。もう逃げることもできない。

 

「(なら、とことんまで楽しんでやるさ。桔梗も一之瀬も他のエロ可愛い女キャラもその(ことごと)くを俺の女に変えてやる)」

 

「ん~~♪」

 

 『東京都高度育成高等学校』が指定する、赤色を基調とした女子制服に包まれた、メリハリの利いている華奢な身体を掻き抱くように抱き締めると、耳許(みみもと)で熱い吐息を漏らしながら桔梗も抱き締め返してくる。

 

 前世で車に撥ね飛ばされ死んでしまい、こうして生まれ変わったのだから好き勝手に生きてやろう。

 どうせ一度死んだ身。普通に生きるのは一度で充分だ。これからは目についた魅力的な女を俺のものにする。

 

 

 

 俺はライトノベル作品である『ようこそ実力至上主義の教室へ』の世界で、二枚櫛(にまいぐし)謳歌(おうか)の名前を与えられ、新しい命として転生したのだから。




・オリ主の名前
 『二枚櫛』
 歌舞伎用語である二枚目+櫛田の苗字と関連する言葉で選びました。
 ちなみに『二枚櫛』は遊女や派手過ぎの婦女が髪に二つ付けていたことが由来らしいです。そのまんまです。
 そしてそんな苗字は存在しません。
 『謳歌』
 そのまま人生を謳歌するから名付けました。
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