※後半、少しパロです(映画ネタ)
カブラギの関係修復作戦は――“難航していた”。
ジャスティス・ソルジャーを購入し。
首に取り付けるタイプの神経センサーをつけた。
早速、プレイをしてみて分かったが――民度がクソ以下だった。
デフォルトのキャラでいったのが悪かったのか。
俺はあれよあれよという間に他のプレイヤーに襲われて身包みを剥がされた。
それだけならまだ良かったが。
体を拘束されて悪魔の前に吊るされて。
俺は奴らを引き付ける餌となり――死んだ。
怒りに震えた。
子供だったのか大人だったのかも分からない。
ボイスチェンジャーを使って俺を煽りに煽ってきたからだ。
血管がぶちぶちと切れる音を聞きながら、俺は復活しあのクソ共に報復に向かい――また、死んだ。
俺は怒りでパソコンをクラッシュし。
そのまま、どうすれば戦いやすいかを考えた。
あの世界で生きなければ、カブラギと接触をする事も出来ない。
接触できなければ、奴はどんどんクラスで孤立していく。
結果、俺は大金を叩いてあるものを速達で届けてもらった。
「……」
目の前で異様な存在感を放つ白い椅子。
ただの椅子では無く、機械が取り付けられていた。
これは所謂、“フルダイブVR機器”であり、これに体を任せればゲームの世界を体験できるという代物だ。
対魔局にも最近になってこういう類のものが導入されたと聞いたことがあるが。
俺はリアルで飽きるほど悪魔をぶっ殺していたので使った事は無い。
ゲームをしている人間で。
ランカーと呼ばれるような奴らは皆、VRを使っている。
リアルと同じ動きが出来るからこそ。
高いプレイヤースキルがあれば、ランカーにだってすぐになれるようだ。
ジャスティス・ソルジャーの傭兵気取りのクランの奴らも。
皆、VRを使っているらしい……これで対等だな。
これさえあれば、奴らのメッキの力にも対抗できる。
プレイヤースキルさえあれば、金の力であろうとも関係は無い。
俺の事を煽ったクソ共を先ずは皆殺しにし。
そして、それからゆっくりとカブラギと接触する。
俺はくつくつと笑いながら、早速、ゲームの世界へと旅立った――――…………
目を開ける。
すると、目の前には荒廃した建物群が広がっていた。
神経センサーありでも違和感はさほど無かったが。
アレ無しで見るゲームの世界は中々にリアルだと感じる。
コンシューマーであれば、VR機器が無くともリアルな動きをする事も可能だが。
今のように臭いや肌の感覚をリアルに感じる事は無い。
「……」
俺の装いはカソックにフードを被っていて。
腰には何の変哲もないショートソードを持っている。
ゆっくりと剣の柄に触れて引き抜く……ほぉ。
重さを感じる。
ずっしりとした感じで……が、問題ない。
その場で軽く飛んだりしてみた。
すると、若干俺の肉体とは違う違和感を抱く。
恐らくは、ある程度の抑止力が働いているのだろう。
「後は……お、此処では喋れるのかよ。すげぇな」
何と無しに声が出た。
恐らく、リアルの肉体じゃないからこそ声が出るんだろう。
そんな事を思っていれば――気配を感じた。
その場から飛びのく。
すると、俺が立っていた場所に銃弾が撃ち込まれた。
視線を弾丸が飛んできた方向に向ければ。
明らかに課金装備的なごてごてとしたものを纏うクソ野郎が五人いた。
どいつもこいつも、銃火器を携帯しており。
やはり、祓魔師というよりは兵士に近かった。
奴らは俺を嘲笑した。
「おいおいおい、プレイヤーネームが“ベルト”って……おっさんまた来たのかよぉぉ? 懲りずにリベンジかぁ?」
「そんなに俺たちにアイテムを渡したいのかぁ? だったら、さっさと裸になってくれや」
「ほらほらほらぁ早くしねぇとぉまぁぁた悪魔の餌になってもらうぜぇ……ま、どうせするけどなぁ!! ははは!」
奴らは高笑いをする。
俺はそんなクズ共を見ながら、ゆっくりと剣を構える。
奴らは俺がやる気であると感じ取り銃口を向けてきて――走る。
ガトリングガンを持つ奴が銃弾を放ってきた。
俺はその弾丸の動きを見ながら、持っていたショートソードで弾丸を――弾く。
「はぁぁぁ!!?」
初心者向けの装備は攻撃力はクソだが――耐久力は無限にある。
決して壊れない武器であり。
俺好みの装備だ。
俺はそのままガトリングの男へと近づき――剣を振るう。
「うわぁ!!?」
「……浅いな」
確かに攻撃はヒットした。
が、ダメージはそれほど無い。
俺はそれを理解して、他の奴からの攻撃を屈んで避けた。
そうして、そのままでかぶつを掴んで――投げる。
「うぉ!!? こっちくん――ぐえぇ!!?」
狙撃銃の男と抱き合って倒れる。
俺はそのまま倒れた奴らに接近し――連続攻撃を放つ。
奴らは情けない悲鳴を上げていた。
俺はそのまま奴らの足だけを狙って攻撃を続けて――足にデバフが掛かった。
どんなにダメージの少ない攻撃であろうとも。
一定時間内に連続して攻撃を浴びせればデバフがつく。
攻略サイトの載せていた情報通りで。
俺はそのままバズを放つ敵の攻撃を飛んで避けた。
仲間の悲鳴が響き、奴らがごろごろと転がっていった。
それを一瞥して敵を見れば――銃口を此方に向けていた。
「はは!! 上じゃ避けられねぇだろ!!」
敵の銃口が展開された。
そうして、エネルギーのようなものがチャージされて――放たれた。
一直線に光が飛んできて――弾く。
「ふあああぁぁぁ!!?」
どんな攻撃にも弾いたりする事が出来る判定が存在する。
その中でも、耐久力が相手の攻撃力を上回っているのであれば――全ての攻撃を弾ける。
「うそうそうそうそぉぉぉ!!! あり得ねぇだろ!!? コンマ一秒もねぇんだぞぉぉ!!?」
「嘘じゃねぇ――現実だ、ボケがぁ」
俺は笑みを深める。
心なしか、瞳が赤く輝いているように見える。
俺はそのまま戦場を駆け抜けて、奴らに連続して攻撃を放ち続ける。
悲鳴が響き渡り、俺の笑い声も響いて……あぁ、ゲームって最高だなぁ!!
「た、助けて、ください。ぼ、僕たち、が、学生で……課金した装備だけは」
「ほぉ、学生か。そうかそうかぁ……でさぁ、それってぇ……俺に関係あるの? ん?」
「い、いや、だ、だから! 大人だったら、子供をさぁ!」
奴らは俺に引きずられながら喚いていた。
そんなカス共の命乞いを聞きながら、俺は足を止める。
そうして、崖から下を見た。
そこには有象無象の魔物たちがいて、餌を求めて鳴いていた。
その鳴き声はカス共にも聞こえていて、俺はゆっくりと振り返る。
「子供だから、大人だったら……そりゃそうだよなぁ。社会ってのはそうできちまってる。どんなに生意気で、どんなに悪意に塗れたゴブリンのようなガキだろうとも、大人は助けてやらなきゃならねぇ。それが社会だよなぁ」
「そ、そうだよ!! だ、だからさぁ俺たちを」
「――でもさぁ。此処は社会じゃねぇよなぁ? 何せ、ゲームの世界だからなぁぁ!! ははは!!」
「「「ひ、ひぃぃぃ!!!」」」」
俺は奴らの紐を引っ張る。
そうして、崖から宙づりにした。
奴らはガタガタと歯を鳴らしながら、必死に助けを求めていた。
俺はそんなカス共のロープを持ちながら、救いの手を伸ばしてやる。
「……まぁ俺も、一応は大人だ……チャンスをやらねぇってのも可哀そうだろうよ……もしも、俺が満足する事を言えたら、“解放してやるよ”」
「ほ、本当か!? やる、やるよ!!」
「お、俺もだ!!」
カス共は目を輝かせる。
俺はそれならばと、質問をしてやる。
「テメェら、これからは誰も煽ったりせず、健全にゲームを遊ぶと誓うか? 俺のご機嫌な一日を潰した事を懺悔し、神に誓って煽り厨にならねぇって誓えるか? コントローラーを手入れし、ゲームを買ってくれるパパとママに感謝して、これからは毎日毎日、優等生として暮らせると誓えるか? 誓えるんだったら、宣言しろ。口から汚ねぇクソを垂れず、手でマスを掻くだけの毎日を卒業し、ご先祖様の遺影におはようの接吻するってな……さぁ、どうだ?」
「「「ち、誓います!! 神に誓います!!」」」
奴らは必死に叫ぶ。
神に聞かせる声としては落第点だが……まぁいい。
俺は笑みを浮かべる。
そうして、何度も頷いた。
「そうかそうか。それなら良いんだ。俺は満足したぜぇ。正直者は大好きだ……じゃ、解放だ!」
「「「や、やっ――――へ?」」」
俺はロープから手を離す。
すると、奴らは悲鳴を上げながら崖から落ちていった。
そうして、魔物たちに食い殺されて行き……あぁすげぇリアルだなぁ。
「約束だからなぁ、解放してやったぜぇ……はぁスッキリしたぁ」
俺は手を叩く。
そうして、これで当初の予定を進められると考えた。
足を動かして、先ずは最寄りの街を目指す。
さてさて、ロクマルイチ君は会ってくれるかなぁ。
最寄りの街へと行き、またしても民度の悪い連中に絡まれた。
俺はそいつらを半殺しにし、奴らの案内のもと奴らのクランに行った。
すると、間抜けのアホ共は俺を敵だと思っておらず油断して――皆殺しにされた。
俺はそのまま、ロクマルイチ君の出現場所を知っているだろうクランのリーダーたちを“拉致した”。
適当に入れた廃ホテルの一室。
気絶状態から復帰した奴らが周りを見て間抜けな声を出していた。
ガタガタと椅子を揺らし、ようやく縛られている事に気づいた。
俺はそんな震えるクソ共を見つめて声を掛ける。
「おはよう……あぁ、そのままでいてくれ。手間は取らせねぇよ」
「「「……っ」」」
俺は奴らの拠点からかっぱらってきた紙袋を取り出す。
そうして、中から取り出したのは――ハンバーガーだ。
「おぉ、ハンバーガーだ……お前ら、これが好きなのか?」
「「「……っ」」」
奴らは震えて何も言わない。
俺はゆっくりとハンバーガーを紙袋に戻す。
それをそっと床に置いておいた。
俺は笑みを浮かべながら奴らから奪った拳銃を出し――ぶっぱなす。
幹部の足に命中し、ダメージを負った奴は悲鳴を上げた。
奴らはこれで理解できただろう。
誰が質問をし、誰が答えなければいけないかを。
「で、だ……ハンバーガー、好きか?」
「は、はい。す、好きです」
「おぉ! そうかそうか! 現実でもそうかぁ? あぁマナー違反かもしれねぇけど確認しておきたくてな。お気に入りの店はあるか?」
「ぶ、ブルー・ブレッド……です」
「おぉ! ブルー・ブレッド! ライツだけじゃなく日之国とか中皇国にも店があるあれか! 確か、クォーターパウンドが有名だったよなぁ。俺も好きだぜぇ、追加でピクルスを増やすんだよ。野菜は大事だ、そうだろ?」
俺は笑みを浮かべながら会話をする。
すると、堪えきれなかった幹部の一人が声を荒げた。
「お、お前は何処のクランだ!? こ、こんな事をしてただで済むと」
俺は笑ったまま引き金を引いた。
俺が放った弾丸が演説者の眉間を撃ち抜く。
死体となったそれは血を出しながらぐったりとした。
「……あぁ悪いな。何か、伝えたかったんだよな? どうぞ、遠慮せず言ってくれよ。ん?」
「「「……っ……っ!!」」」
奴らはガタガタと震える。
俺は奴らに話すように促すが何も言わない。
「……あぁ聞き間違えだったか。だったら、俺もちっとばかし聞いていいか……なぁ、俺はどう見える?」
「え、え、ぇ?」
リーダーは涙目で戸惑っていた。
俺はそんな奴の眉間に銃口を押し付けながら問いかけた。
「――どう見えるかって聞いてんだよ。ネギでもしょてるか? 太った成金か? 髭を生やした純血主義者か? えぇ!!?」
「に、人間です!! ただのプレイヤーです!!」
「それからぁ!!?」
「お、男で!! 筋肉質で――あ、あ、あぁぁぁ!!?」
奴は恐慌状態に陥っていた。
俺は安心させる為に、最後の幹部を射殺する。
奴は息を飲み、白目を剥きそうになっていた。
「モーセの十戒を知ってるかぁ? 人を殺してはならない。盗みを行ってはならない。隣人のものを欲しがってはならない。だよなぁ?
「あ、あ、あ……あ、貴方、貴方も、ひ、人を、こ、ころ、ころ――」
俺は壊れた蓄音機となった男の眉間を撃ち抜く。
そうして、空になった銃を投げ捨てた。
奴らからかっぱらった煙草に火をつける。
「……てめぇらは人じゃねぇんだよ。カスがぁ」
俺はそれだけ言って去っていく……中々に、そそる世界じゃねぇか。
此処には悪魔とは違う“ゴミ”が多く存在する。
ロクマルイチを探す前に、そんなゴミ共を粛正するのもいい……ま、しねぇけどな。
お遊びは終わりであり。
すぐにでも、ロクマルイチを探しに行こう。
そう考えながら、落ちていた紙袋を拾い。
リアルなチーズバーガーに俺はかぶりついた……うめぇ。