【完結】祓魔師《エクソシスト》は休みたい   作:オタリオン

66 / 134
066:祓魔師と救世主タカハシ

 地下のシェルターから出て。

 四十五名の生徒たちは息を殺して進んでいく。

 建物を見れば一部が崩壊し、地面には血痕やクレーターが出来ていた。

 激しい戦闘の跡であり、皆が息を飲んでいた。

 そんな中で、足を止めて建物の影から七三がグランドを見る。

 

「……よし、奴はいない……すぐに取り掛かろう」

「「「……」」」

 

 無言で仲間たちが頷く……さてさてぇ。

 

 チームを二つに分けての行動。

 少人数の部隊は結界の破壊を行う奴らで。

 俺はそちらでは無く、奴の注意を引きつけながら、人質の解放を狙うチームの一員にされた。

 まぁ願っても無い事であり、俺は文句も言わずに従った。

 

 あっちのチームには、魔力や魔術を得意とするメンバーが向かっている。

 中でも、大いに悩みながらもカブラギを向こうに回したのは英断だとは思う。

 カブラギは生徒会のメンバーと比較しても、その実力は抜きんでているだろう。

 奴であれば、万が一にも敵が向かったとしてもすぐに殺される心配はない。

 つまり、奴が向こうに行ってしまったとしても人質の解放を先に行えばいいだけだ。

 人質をシェルターに連れて行くも、カブラギが言ったように囮にしてもいい。

 それは奴らの判断次第であり、今の俺が文句を言う事はしない。

 

 ただ俺はクリア条件を定めただけだ。

 その過程をどのようにするのかはこいつらの自由。

 要所要所の判断が出来るかどうかが重要であり。

 俺はそれをジッと見定めさせてもらうだけだ……まぁ可能な限りはな。

 

 全員が足早に移動する。

 そうして、目当ての巨大なコンテナのようなものを見つける。

 七三は壁に手をつきながら、何処かに入口は無いかと調べていく。

 すると、すぐにそれらしきものは発見された。

 

「……魔術により、封印が施されている……キャスリン、出来るか?」

「……か、かなり複雑そうですが……二十分もあれば、何とかします!」

 

 七三に呼ばれて出て来たのは。

 大きな杖を持った生徒会メンバーの女だった。

 赤毛のおさげであり、瓶底のような眼鏡をしている。

 親近感が湧く眼鏡だと思っていれば、奴は呼吸を整えた。

 そうして、封印が施された札に触れて――全員がびくりと体を揺らす。

 

 瞬間、空から勢いよく何かが降り立つ。

 砂煙が舞い、全員が武器を構えながら襲来した敵を見据える。

 煙を勢いよく晴らしたそれは髑髏の騎士だった。

 奴は目を真っ赤に光らせながら、雄叫びを上げる。

 我ながら敵としての風格があると思っていれば、七三が攻撃の合図を送る。

 

 前衛であるエゴンとエルナ。

 そして、七三や俺を筆頭に仲間たちが動き出す。

 

 後衛には魔術や魔力の扱いに長けたメンバーが防衛に回る。

 

 総勢で十五名のアタッカー部隊だ。

 即席のチームであるが。

 七三の考えた動きだけを意識して仲間たちは動く。

 

「そいつの攻撃は大剣によるものが多いッ!! 近づきすぎれば拳や蹴りも使ってくるだろうッ!! 一定の距離を取りながら、攻撃を続けてくれッ!!」

 

 七三の指示を受けて、全員が間隔をずらして攻撃を行う。

 Aの5名が先発として攻撃を行う。

 流れるような動きであり、威力は無いが敵のヘイトを自分たちに向けさせている。

 騎士が大剣を振るおうとすれば、七三が合図のように剣を軽く叩きならす。

 それを受けてAの奴らは大きく距離を取った。 

 

 騎士の大振りの攻撃は空振りに終わる。

 すると、次にエゴンとエルナを起点とした部隊が攻撃を行う。

 連続しての斬撃と打撃のコンボであり。

 騎士もそれを受けて体を揺らしていた。

 先ほどの奴らよりも攻撃の速度は速い上に鋭い。

 Aに溜まっていたヘイトも、すぐにBへと切り替わる。

 

「――」

「「――回避ッ!」」

 

 エゴンとエルナが叫ぶ。

 瞬間、Bのメンバーたちはバックステップで後方に飛ぶ。

 大剣が振られれば、エゴンは剣の表面を滑るように回避。

 エルナはその下をすり抜けて、奴らはそのまま魔力を溜めた一撃を――放つ。

 

「――!!」

 

 騎士が大きく後ろに下がる。

 すると、控えていた俺と七三を含むCが動き出す。

 七三はその剣に魔術を施していた。

 バチバチとスパーク音を奏でており。

 七三はそのまま硬直している騎士に向かって――剣を突き刺す。

 

 

「――自由を奪う雷刃(フェストハルテン)ッ!」

「――!」

 

 奴が剣の柄を回せば。

 スパークしていたそれが勢いよく解き放たれる。

 鎧騎士は激しい電撃を浴びせられて体を大きく揺らしていた。

 そうして、そのまま七三が離れれれば。

 俺たちは剣に魔力を流して――刺突。

 

 七三の指示通り、鎧の隙間を狙って攻撃を行った。

 これが出来るのは七三の魔術による攻撃のお陰で。

 鎧騎士は一時的に体の自由が奪われて突っ立っていた。

 その結果、俺たちは冷静に隙間を狙った攻撃が出来たという訳だ……やるねぇ!

 

 中々に、良い連携プレイだと思った。

 だからこそ、これはおまけだ。

 

 

 ――俺はそのまま勢いよく鎧騎士を押す。

 

 

「「「――え?」」」

 

 

 全員が驚いていた。

 攻撃をしていた奴らの剣はずるりと抜けた。

 俺はそろそろだと考えつつ、ギリギリまで奴らを逃す。

 すると、電撃から復帰した鎧騎士はカッと目を見開き――咆哮を上げた。

 

 離れていた状態の攻撃部隊は無傷だ。

 が、奴らを逃す為に騎士を押した俺にはその衝撃がダイレクトに伝わっている。

 

 鼓膜は裂けて、耳からだらだらと血が流れる。

 そうして、ダメージを負ったかのように体をくらりとすれば。

 鎧騎士は拳を固めて力任せに――俺を殴る。

 

「タカハシ君――ッ!!!」

 

 此処で退場する訳には行かないので。

 魔力で防御した様に見せて吹き飛ぶ。

 バウンドしながら、地面を滑り――フェンスにぶつかって止まる。

 

 全員が血だらけにの俺を見ていて――馬鹿野郎ッ!

 

「――構うなッ!!」

「「「……!!」」」

 

 

 思わず言ってしまった。

 が、それによって奴らは戦闘に戻る。

 俺は小さくため息を吐き、そのままよろよろと立ち上がる。

 

 鎧騎士は大きく飛び上がり、おさげに攻撃をしようとした。

 が、後衛の部隊はそれを許さない。

 奴らは結界ではない、魔力の障壁を前面に展開する。

 奴らの攻撃はそれに弾かれて、そのまま奴は吹き飛ばされた。

 ヤンたちが向こうに行っている以上、防衛役になるのはアデリナたちになる。

 最重要であるのは結界の破壊であり、防御を彼方に回すのは当然だ。

 まぁ防ぐだけであれば、数回限定でアデリナたちの魔力でどうにかなる。

 これもあの七三の考えであり、中々に賢い選択だと俺は感心した。

 

 ……さて、すぐに戦闘に復帰しても良いが……それもちょっと変だよなぁ。

 

 それでは、あまりにも凄すぎる気がする。

 ただでさえ、魔力によっての防御が間に合い。

 瀕死の重傷を負った中でも、俺に構うなと言ったんだ。

 そこからすぐに戦闘状態に戻れば、耐久力が化け物染みている気がする……んー。

 

 俺は剣を杖にしてみる。

 そうして、呼吸を荒くしてみた。

 血がぴゅーぴゅーと噴き出していて、片手を口を押えて――血を噴き出す。

 

 どうだ。明らかなる瀕死状態。

 あの阿保のゴリでは到底真似できない姿だ。

 これみよがしの演技ではあるが、チラリと此方を見るアデリナたちは不安げだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……ぅぁ」

 

 更に、俺の巧みな技術による満身創痍の声。

 まさにプロであり、我ながら中々の技だと思った。

 そうして、俺は――は?

 

「……ぅ、ぅぅ……ぇ? ぁ!」

「――」 

 

 捕虜を捕縛した檻の解除を行っている女に視線を向ける。

 すると、女はちらちらと戦場の様子を見ていた。

 それはまるで、戦場が気になり過ぎて集中できないと言わんばかりで――あああぁぁぁ!!

 

 俺は思わず走る。

 全速力であり、アデリナたちがぎょっとしていた。

 そうして、俺は地面を滑りながら女の傍に立つ。

 奴は俺の方に視線を向けてきて――乾いた音が鳴る。

 

 女は頬を赤くはらして目を瞬かせていた。

 何が起きたのか理解できていない顔で。

 俺は頭からだらだらと血を流しながら、女に最低限の言葉を送る。

 

「……ふぇ?」

「――集中、しろ……役目、だろ」

「……! は、はい!」

 

 女はしっかりと頷く。

 そうして、今度こそ集中して解除に取り掛かる。

 

 戦場を確認すれば、騎士との戦闘が激しくなっている。

 三チームが上手く連携を取っているが。

 やはり、Aが少し弱いように思える。

 

 俺が扮した鎧騎士は、悪魔になりきっているので。

 そういった弱い部分にはすぐに気が付く。

 だからこそ、Aが下がりBが攻撃をしようとすれば――奴は地面に剣を突き刺す。

 

「「「――な!?」」」

 

 ぐるりと剣を回転させていた。

 そうして、砂埃を発生させた。

 その結果、突風で勢いよく舞う砂煙に押されてBの動きが止まる。

 が、すぐにCがカバーに入り――待て待て待てぇぇぇぇ!!!?

 

「――俺がやるッ!!」

 

 何故か、七三は魔術を発動させた。

 恐らくは、奴の地面に剣を刺した状態での大振りの攻撃で。

 尚且つ、砂埃によって視界が絶たれた状態であるからこそチャンスだと思ったんだろう。

 悪魔は地面に剣を刺した状態ではすぐに動けない。

 あの巨大な剣を地面から抜き放ち、体勢を戻しての一連の動作が必要になる。

 だからこそ、位置が分かっている状態であれば攻撃のチャンスだと――錯覚した。

 

 視界が塞がっている状態で魔術の使用。

 だが、悪魔は基本的に全ての奴らが魔術を扱える素質を秘めている種族だ。

 魔力に関しても人間よりは遥かに扱える。

 あんなにも分かりやすい大技であれば、私は此処ですとアピールしているようなものだ。

 

 悪魔との戦闘経験が浅い奴が行うミス。

 中途半端な経験が、命取りとなる瞬間だ。

 

 

 悪魔には当然、奴の姿はバレバレであり――“光源となる的”でしかない。

 

 

「……!」

「きゃ!!」

「な、何!?」

 

 俺は地面を蹴りつける。

 まるで、砲弾のように飛んでいった。

 アデリナたちが驚くような声を上げていたが無視。

 

 此処で七三の離脱は痛い。

 今のところは上手く言っているんだ。

 此処で全てを水の泡にはしたくない。

 司令塔を失えば、チームは完全に崩壊する――俺は七三の体に頭突きをする。

 

「うがぁ!!?」

 

 奴は横に吹き飛ぶ。

 そうして、俺はそのまま――悪魔に地面に叩き潰される。

 

「「「――うあ!?」」」

 

 砂埃が一気に消える。

 すると、そこには地面に深々とめり込む哀れな俺の姿が。

 ちらりと悪魔を見れば、激しく困惑している。

 

『何してんだよ?』

『うるせぇよ』

 

 互いに思考を共有する。

 悪魔はそのまま大剣を抜き、俺にとどめを刺そうとして――エゴンが拳を突き出す。

 

「チェストォォォ!!!」

「――!!」

 

 破壊力を魔力によって底上げした一撃。

 それによって、悪魔役の俺は吹き飛ぶ。

 ごろごろと地面を転がって、エゴンの神プレイによって危機を脱する……あぶねぇ。

 

 俺はずぼりとクレーターから抜け出す。

 すると、仲間たちは無事なのかと聞いて来る。

 俺が静かに頷けば、全員が顔面蒼白で俺を見つめていた。

 

 お世辞にも無事な状態ではない。

 骨はバキバキであり、頬は大きく腫らしている。

 傷口からは出血が続いており、制服は血に染まっていた。

 奴らは仲間としてではなく化け物を見るような目で見てくる。

 俺はくるりと振り返り、半ばから折れた剣を構える。

 すると、奴らもハッとして武器を構えた。

 

 悪魔はよろよろと立ち上がる。

 そうして、怒りでわなわなと震えていて――奴が視線を変える。

 

「……! まずい!」

 

 七三がいち早く気づく。

 

 カブラギたちが行った方向だ。

 恐らくは、結界の破壊に取り掛かったところだろう。

 悪魔は少し考えて、この場から去ろうとしていた。

 が、七三はすぐに攻撃を再開する。

 

 次の一手であり、前衛部隊の全員が扇状に展開して突っ込む。

 武器に魔力を流しており、俺も魔力を流して――地面に突き刺す。

 

 瞬間、七三が魔術を発動させる。

 そうして、奴も同じように剣を勢いよく地面に突き刺せば他の仲間たちの魔力を吸収し。

 そのまま今にも飛び去ろうとした奴の足元に魔力が集中し――放電。

 

「――!!!」

 

 柱のように電撃が立ち昇る。

 その威力は先ほどの比では無い。

 全員の魔力によって威力が強化されていた。

 その一撃によって、奴の怒りは最高潮に達する。

 そうして、視線を七三の方に向けた……そうそう! それそれ!!

 

 良い立ち回りだ。

 最高火力によって悪魔のちんけなプライドを刺激する。

 奴らは頭に血が上りやすいんだ。

 奴らを邪魔するように攻撃する事によって、自然と悪魔たちは目的を忘れて自らの衝動に従う。

 悪魔たちは小賢しく、頭の回転も速いだろうが――ほとんどの奴らが異様にプライドも高い。

 

 七三はそのまま、攻撃を止めて回避に専念する。

 周りの人間たちも攻撃は最小限に。

 そのまま奴の怒りを刺激しながら、守りを固めていた。

 俺はそんな彼らを見ながら、これこそが彼らの考えなのだと理解する。

 

 逆立ちしても、この悪魔には勝てない。

 が、勝てないからといって諦めていい筈が無い。

 勝てないのなら勝てないなりに、何か役に立たなければならない。

 その為の行動をどうするのかを見て――満足だ。

 

 このままいけば、すぐに結界と人質の解放は叶う。

 そうなれば、外部の祓魔師は集合し。

 そのまま、この戦場にも介入し――ゲームクリアだ!

 

 あぁ、しんどかった。

 この日の為に頑張って準備をし甲斐があった。

 これにより、職員一同の危機感は高まり。

 悪魔に対しての見方も、より鮮明なものになるだろう。

 生徒たちもただ何となくでは無く、悪魔と言う存在の恐ろしさを認めて。

 自らの今後の人生においての大事な選択を――

 

 

「――離れろッ!!!!」

「――副会長ッ!!?」

「……え?」

 

 

 突如、この戦場で女の声が響き渡る。

 視線を向ければ、ボロボロの状態の――生徒会、副会長様がいた。

 

 何故、生きている。

 すぐに思考を共有し――会長が逃がしていたと知った。

 

 奴は拳に魔力を溜めまくっている。

 それに耐えきれずに、聖刃の中の拳から血がだらだらと垂れているほどだ。

 奴は女とも思えない殺気に満ちた顔をしていた。

 そうして、全員に離れるように指示し、奴はそのまま悪魔に向かっていき――やめろぉぉぉぉぉ!!!

 

 怒りに燃える馬鹿。

 そのまま一撃必殺である筈の拳を放ち――悪魔は躱す。

 

「……っ!?」

「――」

 

 殺気に塗れているんだ。

 明らかに危険な攻撃を放つ存在を無視する筈が無い。

 そのまま、無防備である女の体を悪魔は――蹴りつける。

 

「がはっ!?」

「副会長!!!」

 

 女はごろごろと地面を転がる。

 そうして、手ごたえを感じた悪魔は冷静さを取り戻し。

 瀕死の女を始末しようと動く。

 

 もしも、このままあの女を殺させればどうなるか。

 仮にもこの修道院のナンバーツーが殺された事によってだ。

 生徒会は勿論の事、他のメンバーたちにも恐怖が伝染する。

 そうなれば、先ほどまでの統率のとれた動きは不可能になるだろう。

 ボロボロになった状態では、悪魔は奴らを無視して封印の解除を行う女を集中して狙う。

 そのまま結界の方に向かってカブラギたちを殺しに行くルートもある。

 

 

 

 そうそう、それが合理的で――ふざけんじゃねぇぇぇぇ!!!!!

 

 

 

 俺は既にゾンビのようになりながらも。

 勢いよく駆けだす。

 そうして、悪魔と副会長の間に入る。

 およそ、ただの二年の坊が出せる力でも無ければ気合でもない。

 完全に常軌を逸した存在として見られながらも、両腕をクロスさせて頭上で構えて――奴の攻撃を受ける。

 

「……ッ!!」

「――がふ」

 

 悪魔の攻撃によって、両手は意図も容易く吹き飛ぶ。

 そのまま、勢いよく肩から引き裂かれて。

 血反吐を吐きながらも俺は立ち、周りの人間に――言葉を送る。

 

 

 

「足を、止めるな――戦え」

「「「……ッ!!」」」

 

 

 

 そのまま悪魔は大剣を抜く。

 そうして、俺は奴の横なぎの攻撃によって――バラバラにされた。

 

 肉片が散らばり、頭だけとなって。

 死体を演じながらも奴らを見れば。

 恐怖では無く戦意を漲らせていた。

 そうして、副会長の女も立ち上がり、七三の指示を聞きすぐに最適な行動をとって……や、やったぜぇ。

 

 強引な軌道修正。

 だが、確実に良い方向に向かった気がする。

 

 これ以上の介入は出来ないし、やったら絶対にバレる。

 だからこそ、俺はそのまま認識阻害と透明化を使う。

 そうして、すぐに体を再生させて元の肉体に戻る……ふぅ。

 

「――ッ!!」

「「「――ッ!!!」」」

「……」

 

 やる気に満ちた生徒たち。

 その動きは洗練されて行く。

 一人の人間の言葉。そして、その死。

 それによってかは分からないが――合格だ。

 

 

 瞬間、結界の一部に――穴が開いた事を感じた。

 

 

 そこから、祓魔師が一気に入って来た。

 動きからして、ダーメが混じっていやがる。

 大方、アイツだろうと思っていれば――奴らが現れる。

 

 一瞬にして、プロたちが敵を殺しに行く。

 悪魔か人間かの判断は――周りの状況で判断がつく。

 

 展開された奴らは聖刃の糸を悪魔に纏わせる。

 そうして、一気に縛り付ければ悪魔はそれを突破しようとした。

 が、一瞬でも動きが封じられた瞬間に。

 巨大な槌を持つ存在が上から悪魔を攻撃する。

 

 悪魔の体は勢いよく地面に埋まり。

 そのまま大槌の奴は離れて、控えていた魔術を使う祓魔師たちが同時に攻撃を行う。

 魔力の残量などお構いなしであり。

 炎による攻撃を行い――悪魔が攻撃を突破し空を舞う。

 

 魔力を迸らせながら、それは両手を広げて魔術を――発動できない。

 

 悪魔の背後に立つ存在。

 ダーメであり、奴はゆっくりと悪魔に触れる。

 そうして、静かに吐息を吹きかければ――悪魔の体はずくずくに溶けて行った。

 

 再生は出来ない。

 悪魔はそのまま地面にべしゃりと落下し。

 何とかして手を伸ばすが、魔術を使える祓魔師たちがそのまま炎による総攻撃を行う。

 それにより、悪魔は塵も残さず焼却されて――“死んだな、うん”。

 

 死んではいないが、俺自身が死亡判定を出す。

 これにより、悪魔事件は収束だ。

 見れば、解除役の女も終わったようで――扉が開かれる。

 

 すると、中からぞろぞろと――死んだはずの奴らが無傷の状態で出て来た。

 

 服装は全員が死亡を表す為に白い服で統一されている。

 そんな中で、俺とクルトは手を叩きながら出て来た。

 

 

『おめでとう、おめでとう、おめでとう』

「おめでとうございます」

「「「…………」」」

 

 

 プロたちは無言で俺を見つめていた。

 完全にジト目であり、何やってんだこいつらと言わんばかりだ。

 まぁぶっちゃければ、こいつらにだけはこっそりと“連絡をしておいた”。

 普通に来てくれていいし、結界が壊せそうなら壊しても良いと言った。

 すると、案の定、破壊がお上手の“ヤンキー紛いのダーメ様”が名乗りをあげていらっしゃった。

 

 ……まぁ結局は破壊できなかったようだがな、ははは。

 

 ダーメの黒髪ロン毛の男。

 マスクをつけ直した奴は完全に人を殺す目で俺を見ていた。

 ずんずんと歩いていき、俺の前に立ち――胸倉を掴む。

 

「おい、調子にのってんじゃねぇよ……どんなにテメェが上だって言おうとも……此処では俺が」

《――はは》

「――ッ――――…………」

 

 目に見えない速度で俺は奴の首を叩く。

 瞬間、威勢が良かった奴は白目を剥いて倒れる。

 すかさずクルトがそれを抱えて去っていく。

 残った俺は手を叩き、その場にいる全員にすぐに講堂に移動するように指示する。

 

《防犯教室、午前の部はこれにて終了とします。次は講堂にて現役の方々も交えて講義を行います。速やかに移動を開始してください》

「「「……?」」」

 

 呆けた面の奴ら。

 が、俺のクラスの奴らはすぐに順応していた。

 奴らは七三たちの肩を叩き儚げな笑みを浮かべていた。

 

 俺は隠れながら、静かに息を吐く。

 これで、俺の役目は――“終わりだ”。

 

 ゆっくりと己の存在が消失していく。

 “俺自身の中”に戻っていくのを感じていた。

 

 俺は小さく笑みを浮かべる。

 また一つ、これで、奴ら、も――――…………

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。