【本編完結済】女先生に愛を伝えて結婚するだけの話   作:秋月 ヒカリ

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 母の日には間に合わなかったけど、投下ぁッ!!


【サオリ】after story 「特別な日に惚気を一つ」

 ---「母の日」

 

 それは日頃の感謝を込めて、母を労る日である。

 

 その日、タクミは娘の「城戸アカツキ(13歳)」から今年は母へ手作りのご飯を食べてもらいたいから、手伝ってほしいと言われて父娘二人、並んで料理をしていた。

 

 

 「ところでさ、父さん」

 

 「どうした娘よ?」

 

 「父さんは母さんのどこに惹かれたの?」

 

 「突然だな。こういうのって、大体は母親とする話題なんじゃないの?」

 

 「だって母さん、こういう話題になると恥ずかしがって教えてくれないんだもん」

 

 「納得」

 

 

 タクミは娘が妻のサオリへ、自分達の馴れ初めを聞いている場面を想像してみた。

 

 ---ほわんほわんほわん・・・。

 

 

 『ねえ、母さん』

 

 『ん?どうしたの、アカツキ?』

 

 『母さんと父さんって、どんな恋愛してきたの?』

 

 『んぐっふ!?・・・ど、どうしたの?急に?』

 

 『んー・・・いや、普通に両親の馴れ初めを聞いてみたいなって』

 

 『そ、そうなのね。でも、こういう話題って娘とはいえ口にするのはちょっと・・・恥ずかしくて』

 

 『えー・・・』

 

 『も、もうっ!この話は終わりっ!あー!お母さん、夕飯の買い出しに行かなきゃなぁー!忙しい忙しいー!』

 

 『照れ隠し可愛いかよ』

 

 

 ・・・うん!こんな感じかな!

 

 ん?サオリの口調が変?ああ、それは前話でサオリの不安を吹き飛ばすためにサプライズしたろ?その時から今みたいに、ほんわかしたというか、ゆったりとした性格と口調に変わっていったんだよなぁ。

 

 あ、でも怒った時なんかは偶に、昔の雰囲気と口調に戻ります。(45敗)

 

 ちなみに娘の方は、昔のサオリにそっくりで、性格は真面目でちょっと奔放な気質でありつつも、ユーモアに富んだ感性を持っている。

 

 

 「・・・で?馴れ初め話、聞かせてくれるの?」

 

 「いいぞ」

 

 「いいのっ!?」

 

 「なんで聞いてきた方が驚くんだよ・・・」

 

 「だって男の人ってこういう話、あんまりしたがらないんじゃないの?」

 

 「人によるんじゃないか?父さんなんか寧ろ、母さんへの愛を娘に聞かせたくて、ウズウズしてるぜ!」

 

 「・・・あれ?私、選択肢ミスった・・・?」

 

 「先ずはそうだな・・・。父さんが母さんに惚れたのは、初めて会った時に見せた母さんの笑顔が、父さんの心にずきゅん!ばきゅん!と突き刺さったのさ!」

 

 「なんか、そのまま駆け出しそうな表現だね」

 

 「ん?なんで?」

 

 「・・・わかんないなら、気にしなくていいよ?」

 

 「???」

 

 

 肩透かしを食らったような顔で目を逸らすアカツキ。

 

 なぜかその後ろに半透明の馬耳、馬尻尾を装備した女の子が見えた気がした。

 

 

 「話を戻すぞ?後はな、普段はしっかりしているのに、ふとした瞬間に見せるポンコツ具合だろ?それになにより、お母さんは芯が強くて愛情深い女性なんだ」

 

 「この止まらない親の惚気よ」

 

 「あれはアカツキがまだ、母さんのお腹の中にいた時の話だ・・・」

 

 「あ、また何か始まった・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ---13年前

 

 

 春先の少し肌寒さの残る頃。一人の女性が桜の木の下で、大きくなった自身の腹部を優しい手付きで撫でながら、備え付けのベンチに腰掛けている。

 

 その表情は穢れを知らない無垢な少女のようでもあり、全てを包み込んでくれるような、慈愛に満ちた聖母の様でもあった。

 

 少なくとも今、その女性に駆け寄っている男にはそう見えていた。

 

 

 「---サオリ!」

 

 「ん・・・あぁ、あなた。迎えに来てくれたの?」

 

 

 名を呼ばれ振り返る女性は「城戸サオリ」。今しがた彼女を呼んだ彼女の夫である「城戸タクミ」の妻である。

 

 サオリは自身を呼んだ夫に、ふわりとした笑みを浮かべて問いかける。

 

 

 「それもあるけど、お説教だ。たくっ・・・いつも言ってるだろ?出歩くときには声をかけてくれって・・・。もう君だけの身体じゃないんだから・・・・・・」

 

 「あら、大丈夫よ。とっくに安定期には入っているし、ミネさんにも言われたでしょう?無理のない範囲で、少しは運動をしないとって」

 

 「わかってるけど、心配なんだよ・・・。昔に比べて比較的に治安が良くなったとはいえ、ここはキヴォトスだ。何かあったら、俺は悔やんでも悔やみきれない・・・・・・」

 

 「ふふふっ・・・。ごめんね、心配かけて。でも、昔は私があなたに振り回されていたのに、今じゃ逆転しちゃったね?」

 

 「茶化すなよ・・・。あの頃は、その・・・初めての彼女に浮かれてたんだよ・・・。若かったの!」

 

 「今も十分、若いじゃない?」

 

 「・・・父親になるくらいには、老けたさ」

 

 「えぇー?それって、私もオバサンになったって言いたいのー?」

 

 「なっ・・・!君はずっと綺麗なままだっ!さっきだって、桜の木の下でベンチに腰掛けている君は、一枚の絵画の様で儚げで、美しくて・・・」

 

 「や、やめて・・・!それ以上は私が恥ずかしくて、聞いていられないからっ!」

 

 「むぅ、これからが良いところだったのに・・・」

 

 「はぁ・・・。やっぱりまだ、あなたには振り回されっぱなしかもね」

 

 

 そう呆れつつサオリは、タクミに自身の隣をポンポンと叩いて座るよう促す。

 

 横に座るとサオリは、タクミの肩に頭を預けながら話しかける。

 

 

 「ねえ、私たちの子供はどんな子に育つと思う・・・」

 

 「そうだな・・・。きっと君に似て、真面目で仲間想いの優しい子になるんじゃないかな?サオリはどう思うんだい?」

 

 「私は・・・タクミに似て(おお)らかで、迷っている誰かの手を取って一緒に進んでくれる心の強い子に育つと思う」

 

 「・・・まあ、どんな子に育つにしても、俺たち親がしっかりと愛情を注いで、元気に育ってくれたならそれでいいかもな」

 

 「ああ・・・。この子には、私の幼少期のような思いはさせない。タクミと私、二人でどんな困難にも立ち向かえる心と、この世にはあなたを愛してくれる人が沢山いるのだと・・・祝福を伝えたい」

 

 「その口調、久し振りに聞いたな?」

 

 「あっ・・・。あの頃を思い出してたら、自然とそうなってたみたい・・・」

 

 「ま!俺はそっちの口調で話す君も、愛してるんだけどね?気にしなくていいさ」

 

 「まったく・・・タクミは本当に、私の欲しい言葉ばかりをくれるな。・・・あなたの隣だと、私は穏やかでいられる。ありがとう、タクミ・・・」

 

 「ありがとうは、俺の台詞だよ。・・・さ、あまり身体を冷やしてもなんだから、そろそろ帰ろうか?」

 

 「ええ、今度は家族三人で来ましょうね?」

 

 「ああ、今から楽しみだな!」

 

 

 夫婦が寄り添いその場を去る姿を、桜の木だけが静かに見つめていた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「---と、いう感じでだなぁ・・・どした?」

 

 「~~~っ!父さんはもう少し恥じらいを持ってよっ!私たち家族の事、大好きかっ!?」

 

 「大好きだが?」

 

 「~っ!もうっ!私も大好き!いつも感謝してます!」

 

 「はははっ!嬉しいけど、今日は母さんに感謝する日だろう?」

 

 「・・・ちなみに、その母さんがあちらです」

 

 「ん?」

 

 

 真っ赤な顔を片手で隠しながら、後ろを指差すアカツキ。

 

 そちらを振り向くとサオリがしゃがんで、ぷるぷると身体を震わせながら顔を両手で隠している。

 

 

 「サオリ?」

 

 「娘に自分達の惚気を聞かせるとか、やめてよっ!?恥ずかしいぃ~・・・!」

 

 「なんか・・・ごめん?」

 

 「今夜は覚えてなさいよ・・・?」

 

 「なんて?」

 

 「さ!ご飯にしましょうか!今日は何を作ってくれたのかなぁ~?」

 

 

 その後三人で食卓を囲み、皆で美味しい料理を食べてプレゼントを送ってゆったりと過ごした。

 

 その夜、俺はサオリに美味しく食べられた。

 

 ---その後、この家族に新たな家族が加わるのは・・・また別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~サオリafter...おわり~




 サオリについて解釈違いという意見は受け付けます!

 サオリには穏やかな生活を過ごしてほしかったんや・・・。
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