【本編完結済】女先生に愛を伝えて結婚するだけの話 作:秋月 ヒカリ
唐突にイチカを書きたくなった…。
ーーー私は昔から、大して努力しなくても何でもこなせた。
ーーーそのせいで周りの同世代の子達が夢中になるであろうものにも、私はあまり価値を見出せず、周りに合わせて情報だけは欠かさず収集し、空気を読んであぶれ者にはならないように生きてきた。
ーーーそんな私にも友達と呼べる人はいるし、慕ってくれる後輩もいる。
ーーーそれなりに楽しく、それなりに満足している生活。されど、充足してはいない人生...。
ーーーまだまだ若輩者の身で、何を悟ったような事を...。と、思わないでもないが悲しいかな、これが私...「仲正イチカ」という個人の現状であった。
「...とか、思ってたんすけどねー。先生と出会って、ちょっとは今が面白くなってきたし?先生となら私の人生、もっと楽しくなるかなぁー?とか思ってたら『彼』に出会って、私の情緒はぐちゃぐちゃっすよ...」
どうも、冒頭からシリアスっぽく登場したイチカっす。
今はお気に入りのカフェで、カフェオレに挿したストローで中身を混ぜまぜしながら物思いに耽ってます。
......思えばここまで個人の事で悩まされる事って、初めてでは?
「はぁ...。タクミに会いたいな......」
「あれ?イチカじゃん」
「ドワッジっ!?!?」
「...そんな驚く?」
「たたたたたたたっ、タクミ!?いつからそこにいたんすか!?」
「たった今だけど...。なんで?」
「いやぁー...。特には?別に?深い意味はないっすよ?」
「あからさまに怪しいんだが...。まあ、いいや。あ、相席いいか?」
「ど、どうぞどうぞ!」
「サンキュ。...ええと、メニューはっとーーー」
イチカは激しく取り乱していた。
そりゃそうだろう。「会いたいな?」なんて乙女チックな事を呟いた瞬間に、意中の相手が現れたどころか、相席までしてきたのだ。
ーーーこれはひょっとしなくてもチャンスでは...?
「んんっ!...ところでタクミ?どうして今日は此処に?」
「ん?ああ、ナギサさんに誘われてな。さっきまでミカさんとセイアさんとで、お茶会してた」
「...ティーパーティーの方々と?タクミ...一体ナニしたんすか?」
「何って、友達と集まってダベるなんて普通のこったろ?」
「そっすね。相手が“普通”の友達ならそうでしょうね」
「友達に普通も普通じゃないも、なくないか?」
「ほんっとーにっ!この人タラシは...!」
「なんだよ人聞きの悪い...。あ、店員さーん!注文お願いしまーす!」
千載一遇のチャンス!と思いきや、自分の前に他の女...しかも複数人と会っていたと聞かされ、モヤモヤとした気持ちになる。
そんな自分の事など露知らず、暢気に店員に注文をかますタクミに身勝手ではあるが、イラっときてつい文句が口をつく。
「...タクミにとっては、私もどうせ普通の友達なんでしょうねー」
「なんだよ、いきなり?」
「べっつにー?」
「...少なくとも、俺にとってイチカは特別な存在だけどな」
「...へ?」
......今、目の前の男はなんと言った?特別な存在?誰が?私が?
「あの...?今のって、その、だから、ええと...?」
「...できれば“そういう意味”でとってもらいたいんだが」
「っ!...いやぁ~私って察しが悪くて~。できればどういう意味なのか、タクミの口からハッキリ聞きたいっすねー」
「それって全部察してるやつの言葉だろ...。こほん!...俺は、イチカの事を普通の友達としてじゃなくて、一人の女の子として特別な存在だと思ってる...っす」
「うーん...。もう一声欲しいっすねー」
「ぐっ...!いいよ、言ってやるよ!男は度胸だっ!......仲正イチカぁっ!!」
「ちょっ!?流石に声が大きい...!?」
「俺は、イチカの事が好きだぁっ!!愛してんぜ、コノヤロォーーーっ!!」
「わあぁーーーっ!?わあぁぁーーーっ!?!?」
ーーー(ヒソヒソ…)あらやだ、こんな白昼堂々と告白ですって♪
ーーー(ヒソヒソ…)あらぁー♪あんなに情熱的な叫び…こっちまで若い頃を思い出して、顔が熱くなっちゃうわー♪
ーーー(ヒソヒソ…)ねぇ、あれって確か正義実現委員会の…。
ーーー(ヒソヒソ…)今時、熱くて情熱的……嫌いじゃないわっ!
ーーー(ヒソヒソ…)そのままホテルまで……イッテイイーヨ!
ーーー(ヒソヒソ…)ここからがハイライトねっ!明日の一面はこれで決まりよっ!
「...あの、取り敢えず場所を移しませんか?」
「そ、そうだな」
二人して場所を移そうと立ち上がった時、そいつはやって来た。
「ーーーお待たせしましたー!ご注文のパンケーキメガマックスと、アイスコーヒーになります!ご注文は以上で宜しかったですか?」
「......はい」
「伝票はこちらに置いておきますね。では、ごゆっくりどうぞー♪」
タクミとイチカの間に置かれたパンケーキ(爆盛り)。
二人はなんとも言えぬ空気の中、静かに腰を下ろす。
(なんでこんなバカな量を頼んでんすか!?バカなんすか!?バカなんすね!?)
(仕方ねーだろっ!腹減ってたんだ、男子高校生の食欲なめんな!)
(ティーパーティーとお茶会してたって、さっき言ってたでしょうっ!?)
(あんなお上品な量で足りるわけないだろっ!?)
(にしても、この量はないでしょうっ!?)
(なら、イチカも手伝ってくれよ!)
(んなっ!?)
小声で文句を言い合うタクミとイチカ(開眼)。
その中で、タクミの提案にイチカは頬を朱に染める。
こんな衆人環視の中で一つの料理を男女二人で分けあうなんて、そんなの......!
(バカップルみたいじゃないっすか~~!!??)
(...嫌か?)
(うっ...!)
恐らく勇気を持って提案したであろうタクミの、少し不安気な表情にイチカは怯み、頬を更に朱に染めて答える。
(......食べる)
この後周りの黄色い声を聴きながら、二人は急いでパンケーキを平らげ、会計を済ませてその場を後にした。
~イチカの家~
「あのぉ~...?イチカさん?なんで僕は、イチカさんのご自宅にお邪魔しているんでしょう?」
「そりゃ、二人きりで邪魔の入らない場所に行きたかったからっすね~」
「いやぁー、なら他にも良い場所があったんじゃ......」
「ん?」(開眼)
「なんでもないです...」
カフェを出て、イチカに手を引かれるまま歩き続けて気がつくとここに居た。
「で?なんでいきなり、あんな場所でそのぉ...こっ、告白なんてしたんすか...?」
「あれはその...実はけっこう前から、イチカの事が気になってて...。今日も本当は用事が済んだら、直ぐに帰るつもりだったんだけどな?...気付いたら、ずっとイチカを探してた。そしたら、イチカをあのカフェで見つけて、声掛けようと近寄ってったらさ...俺に会いたいって聞こえて......」
「~~~っ!?き、聞いてたんじゃないっすか~っ!?」
「あ痛っ!痛いって!ちょっ!おまっ!?我、脆弱ぞっ!?」
「あ...ご、ごめん......」
「大丈夫だから!そんなに落ち込むなって...!」
しょげるイチカを慰めて、しばらくして話を再開する。
「あの場で本当は、イチカも俺と同じ気持ちだったんだって嬉しくてさ。顔に出さないようにするので、大変だったんだぜ?」
「なんなんすかぁ~...!いつもは少しもそんな態度見せてなかったのに、なんで今日はそんなにグイグイくるんすかぁ~...!」
「あの言葉を聞いて、イチカに俺の気持ちをちゃんと伝えたいって思ったから」
(なんなんすか!なんなんすか!なんなんすか~っ!そんな事、いつも見せない真剣さで言われたら、私...っ!)
「あの時は流された感が否めなかったし、改めて言わせてくれ。...俺は、仲正イチカさんが好きです。俺と、恋人になってくれませんか?」
(プツン...)
ん?あれ、俺今ちゃんと気持ちを伝えたよな?なぜイチカさんは俯いたまま、何も言わな---
ドンッ!......ん?
「あ、あのぉ...?イチカさん?」
「ん?なんすか?タクミ」
「なぜ僕は、壁ドンされてんでしょうか?」
「それはタクミの顔を、間近でよく見るためっすね」
---ドサッ!
「イチカさん?」
「なに?タクミ」
「なぜ僕は、ベッドに押し倒されたのでしょうか?」
「それは私の気持ちが昂って、抑えが効かないからです」
---クイッ!
「イチカっ!?」
「ん?」
「なぜ俺に顎クイしてんのっ!?」
「それはね...?ん...はむっ...ちゅ...」
「!!!???」
---ぷはぁっ!
「これから、君を美味しく頂くためだよ♪」
---ちゅん!ちゅんちゅん!あさちゅんっ!!
「キヴォトスのスズメって、朝ちゅんって鳴くんだなぁ......」
「なにバカなこと言ってんすか?タクミ」
「あ、お、おはよう、イチカ...」
「ふふっ♪なんすか、そのキョドり方は?...可愛い♪」
「好きな人が自分よりカッコ良くて辛いッ!!」
なんだろう...なし崩し的にイチカに美味しく頂かれてしまったが結局、俺たちの関係ってどう表せばいいんだ?
「その、イチカ?結局、俺たちの関係ってさ、どうなるのかな?」
「あっ!昨日はタクミを美味しく頂く事しか考えてなくて、返事を忘れてた......」
「ええ...?」
「ははは...。えいっ!」
「うおっ!?いきなり抱きついてどうし...柔らかいものがぁ-っ!?」
「---私も、タクミの事が好きです。私を夢中にさせた責任、ちゃんと取ってくださいね?」
「は、はひぃ~...」
ずっと探していた、私の夢中になれるもの---。
やっと見つけました♪
~おわり~
いつもとは違って、知り合った経緯とかいろいろ省いてます。
いちゃつきが書きたいんだから、それでもいいよね...?