【本編完結済】女先生に愛を伝えて結婚するだけの話 作:秋月 ヒカリ
んあーーーーーっ!!こっちを更新しますっ!
「それじゃ、スミレさん。今日はナギサの所に呼ばれてるから、そろそろ行ってくるね?」
「うん、気を付けて行ってきてね?・・・浮気はダメだぞ」
「しませんっ!たくっ・・・」
「タっくん?んぅ・・・」
「・・・これで安心してくれるか?」
「・・・家の旦那が、女の扱いが上手すぎて逆に不安になったかなー」
「おいおい・・・勘弁してくれよ・・・・・・」
「あははっ!冗談だよ♪でも、寂しいから早く帰ってきてね?」
「わかった。それじゃ、行ってくる」
「行ってらっしゃい♪」
ー 閑話休題 ー
「・・・と、いう事があったんだよ」
「ふふっ、先生らしいです♪幸せそうですね、本当に・・・羨ましい」
「ナギサ・・・?」
「あ、いえ!少し、昔を思い出してしまっただけですから・・・」
「ああ・・・昔といえば、ナギサと初めて会った頃は、今みたいにお茶ができる関係になるとは思わなかったなぁ~」
「そ、それはもう忘れてくださいっ!」
「確かあの時は・・・」
「わ~~!?」
~回想~
「初めまして、城戸タクミさん。本日はご足労いただき、ありがとうございます」
「あの・・・?なぜ、俺はここに呼ばれたんです?」
「ふふふ、そうですね・・・。まあ、結論を急ぐより先ずはお茶を楽しみませんか?」
「えっと・・・はい、頂きます」
目の前の少女は優雅な所作で、紅茶を口に運ぶ。・・・ていうか、この人誰?
シャーレに俺宛で、「ティーパーティー」というところからお茶会の誘いが来て、先生に相談したら「ん?ああ、ミカが所属してる生徒会だよ。そうだね・・・タクミもキヴォトスの見聞を広める良い機会かもしれないし、行ってきなよ。何かあるといけないから、ミカに迎えを頼もうか」
そんなやり取りがあり、聖園さんからは「おっけー☆」と了解を得て、今日この場所に来た。
・・・なぜか、聖園さんは目の前の人に速攻閉め出されてたけど。つまり、この部屋には俺と目の前の謎の人物しか居ないのだ。
俺が落ち着かなくて、ソワソワとしていること数分。ようやく、目の前の人物は口を開く。
「・・・そういえば、ご挨拶が遅れました。私は、ティーパーティーでホストを務めています、
「あ、はい、俺は・・・」
「そちらの事は概ね把握しております。何でも、別の世界からの来訪者だとか・・・」
(こ、怖いっ・・・!!なんでこの人、俺の個人情報知ってんの!?)
「あら、どうしました?顔色が優れないようですが・・・」
「い、いえ、何でもないですよ?」
「・・・そうですか」
それからまた、数分の静寂。・・・助けて聖園さんっ!!
「タクミさん」
「ひゃいっ!?」
「今回、あなたをお呼びしたのは・・・ミカさんの事です」
「へ?聖園さん・・・?」
「ええ、ミカさんはその・・・少し前に起きた事件の影響で、トリニティ内で微妙な立ち位置にあります。そのせいで、彼女は心を痛めていました。・・・なのに突然、最近は笑顔も増え、よくシャーレへ向かい、また上機嫌で戻ってくる・・・」
「それは、将来のためにシャーレで仕事を覚えるためで・・・」
「それは調べてわかっています。問題はそこではありません。調べていくと、錠前サオリさん・・・は、いいのですが、先生ともう一人、知らない
そこまで言って、伏し目がちだった顔を上げて俺を見つめる桐藤さん。
・・・美人さんがキツい目付きで睨んでも、美人さんなんだなぁ。と、場違いな事を考えながら続きを聞く。
「彼女は・・・ミカは、私の大切な友人なのです。過去の事件では、その、私も至らないところがあり、彼女を傷つけました・・・。ですが、だからこそミカには幸せになってもらいたいんですっ!だから・・・!」
「俺がどういう人間かを、確かめたかった?」
「・・・あなたには大変失礼な事だとは、重々承知しております。ですが・・・」
「そういう事なら、いいよ。桐藤さんの気の済むまで、話をしよう」
「・・・え?」
ナギサはタクミの言葉に、思わず素で驚き、淑女にはあるまじきポカンとした顔でタクミを見つめる。
「桐藤さん?」
「・・・はっ!・・・すみません、少し呆けてしまいました。えっと、お話をお聞かせ頂けるのですよね・・・?」
「おう!何が聞きたい?」
「そうですね・・・。では・・・・・・」
それからしばらく、俺と桐藤さんは話をした。最初はぎこちなく、探り探りだったのが最後には普通の雑談をするまでの信頼を得ていた。
「成る程、タクミさんという方がどの様な方か、ミカさんがなぜ、明るくなったのか・・・よく理解しました。タクミさん、これまでの無礼をお許し下さい・・・」
「いやいや!聖園さんは桐藤さんの大切な幼馴染みで、親友なんでしょ?逆の立場だったら、俺だって似たような事をしただろうし。桐藤さんは、大切な人を守ろうとしただけだよ。だから、気にしないでよ」
「貴方は・・・」
ナギサは思った。この「城戸タクミ」という人物は、先生と同じなのだと。
スミレ先生が「大人」としての視点で私達を導いてくれる方なら、タクミさんは私達と同じ「子供」の視点で気持ちに寄り添い、並び立ってくれる人・・・。
もちろん、細かな気遣いや判断などは先生程ではないだろう。しかしそれは、人生経験の差であろうし、何よりも「同じ目線」で話してくれる事が嬉しいのだ。
ああ・・・これは、この人の存在は私達には刺激が強すぎる。特に最近まで、悔しいが先生しか心の大きな支えがなかったミカさんだ。この人の存在は、彼女にとって大きな救いになったはずだ。
・・・ズルい、と思ってしまった。
一番最初に彼に出会った先生が、彼と楽しそうに過ごすミカさんが、サオリさんが・・・ズルいと思ってしまった。
自分の浅ましさに自己嫌悪すら覚えるほどに・・・。
「貴方が、ミカさんと仲良くなってくれて嬉しく思います。これからも、彼女をよろしくお願いしますね?」
「ああ、任せてよ!あと、桐藤さんもね!」
「私ですか・・・?」
「うん、俺たちももう友達だろ?こんだけお互いに色んな話をして、分かり合ったんだ。・・・違った?」
「本当に、ズルい人・・・ええ、こちらこそお友達として、これからよろしくお願いします。それと、今後は私の事は「ナギサ」とお呼びくださいね?タクミさん♪」
「お、女の子を呼び捨てはちょっと・・・。「ナギサさん」で手を打ちませんか?」
「うふふ♪では、今はそれで良しとしましょうか♪」
「な~ぎ~ちゃ~ん・・・?」
ビクゥッ!!と地を這うような声に驚き、タクミとナギサは声のした方へ振り向く。
「み、ミカさん・・・!」
「聖園さん!?」
「私の事を放っておいて、長い時間二人だけでお楽しみなんて・・・良い度胸じゃんね?」
「い、いえ、その・・・!これには深い訳が・・・!」
「そうなんだよ!ナギサさんは、聖園さんの事を思って・・・」
「は?「ナギサさん」?・・・タクミくん、なんでナギちゃんの事を名前呼びしてるのかな?かなぁ・・・?」
「ひっ!?そ、それは友達になったからで・・・」
「ふ~ん・・・。じゃぁ、私とは友達じゃないんだね。だって、私は「聖園」呼びだもんねっ!!」
「なっ!?違う!聖園さんはもう、俺にとって大切な友達だよ!!」
「ふんだっ!ほら、また名字呼びした!ホントに友達だと思ってるなら、私も名前で呼んでよ!」
「ぐっ!?・・・み、ミカさんっ!」
「ふぇっ!?ひゃ、ひゃいっ!」
「ミカさんは、俺にとって大切な友達だ。だから、何か誤解させたなら、謝る。・・・ごめん!」
「あ・・・ううん!こっちこそ、ごめんなさい!つい、ナギちゃんと親しそうにしてるところを見て、ちょっと嫉妬しちゃった・・・。いきなり、ごめんね?」
「・・・ああ!そうだよな、自分の大切な幼馴染みが、ぽっと出のヤツと仲良くしてたら嫉妬するよな!本当に二人は仲良しだなぁ・・・」
「え。いや、そういう事じゃないんだけど・・・ま、いっか☆」
ミカさんとタクミさんのやり取りを聞いていて、私は密かに喜んでしまっていた。
(・・・私が、タクミさんが「初めて」名前で呼んだ友人。・・・ふふっ♪)
この時に私は知ったのだ。知ってしまったのだ。心の内を曝け出せる相手が居ることの喜びと、己の中の女としての顔を・・・知ってしまった。
~現在~
「ホント、あの時はミカが凄い形相で迫ってくるんだもんなぁ・・・。今思い出しても、身震いしそうになるよ」
「ふふっ・・・そうですね。あの時は大変でした」
「でもあの時のお陰で、今でも偶に会ってお茶をするくらい仲良くなれたんだからさ。俺にとってはあれも、大切な思い出だよ」
「・・・・・・ええ、本当に、私にとっても未だに褪せる事なく輝き続ける・・・
「・・・と、もうこんな時間か。そろそろお暇させてもらうよ。今日はありがとう、ナギサ。久しぶりに、思い出話に花を咲かせて楽しかったよ!また、今度はスミレさんやミカ達も一緒に会おうな!」
「・・・・・・はい、そうですね。あ、これお土産です。スミレ先生とご一緒にどうぞ」
「ロールケーキ?もしかしてこれ・・・!」
「ええ、私の手作りになります」
「おおっ!ありがとうっ!ナギサの手作りロールケーキ食べてから、市販のヤツじゃ物足りなくてさ!すっごい嬉しいよ!」
「そうやって喜んでもらえると、作った甲斐があります。ですが、最近は忙しくて久しぶりに作ったので、味に関してはあまり自信がありませんが・・・」
「ナギサの作った物なら大丈夫だって!ちゃんと美味しく頂くよ!それじゃ、また!」
「はい、スミレ先生にもよろしくお伝えください」
こうして、久しぶりの二人だけのお茶会は終わってしまった。
「・・・さて、私も帰りますか」
彼の語った思い出。彼にとっては、純粋に友人達と過ごした大切な思い出なのだろう・・・。
もちろん、私としても同じだ。先程言葉にしたように、色褪せることのないモノ・・・。初恋と、失恋を味わった痛みを伴う思い出。
「そう、彼は先生を選んだ。いえ、違いますね・・・。出会った時には、既に彼の心の中には先生しかいなかった・・・・・・」
当時も何度思ったか分からないが、出会う順番が違えば、私が彼の一番になれたのだろうか・・・。
「なんて、浅ましい・・・」
自嘲気味にそう吐き捨てれば、後に感じるのは物寂しさのみ・・・。
彼と次に会えるのは何時になるのか・・・。
「タクミさん、他の皆さんと会うのは私も楽しみです。ですが・・・」
ー 貴方と二人だけで、仮初めの逢瀬を交わせるこの時を邪魔されたくない・・・。そう思うのは、許されない事なのでしょうか・・・?
「・・・どうかこの恋心に整理がつくまでは、貴方と二人きりで紅茶を飲むくらいは、お許し下さい」
こうして私は、いつものように彼の居ない日常へ再び足を踏み出すのだった・・・・・・。
おかしい・・・!当初だと、ギャグのノリでいく筈だったのになんだこれは!
ナギサは加湿器だった・・・?
ちなみに、もちろん先生はナギサの想いに気付いています。というか、タクミ以外の関係者は皆察してる。
・・・タクミ、生きるって、難しいね・・・・・・?