【本編完結済】女先生に愛を伝えて結婚するだけの話   作:秋月 ヒカリ

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 ながらく更新が出来なくてスミマセン!
 風邪と仕事に追われてと忙しくて、更新できませんでした・・・。

 またこれから更新を再開していきますので、よろしくお願いします。


彼と私の……(自覚編)

 ~夜 先生の自室~

 

 

 彼・・・城戸タクミくんと過ごすようになって、早数ヶ月。

 

 彼が仕事を手伝うようになって、私の仕事はかなり楽になった。

 

 最初こそ仕事を覚えるのに四苦八苦していたタクミくんだったが、飲み込みが早く1ヶ月経つ頃には私ではないと対応出来ない案件以外は、ほぼ全て回せるようになっていた。

 

 なお、この時のタクミの心境は「仕事を早く覚えて、先生に出来る男アピールするぜ!うおおおおぉーーー!!」という、先生への想いが思春期特有の男心を刺激した結果である。

 

 

 「タクミくん、頼りになるな・・・。というか、異性にこうやって支えてもらうのって初めてかも。・・・って、何考えてんの私!?異性ったって彼は高校生で!年下で!生徒で!私に向けるちょっと子供っぽいけど、純粋な笑顔が可愛くて!先生、先生って一生懸命、私の事を一人の女性として彼なりに頑張ってくれるとことか、ホント~に!胸がぽかぽかして・・・ってだから何言ってんだよ私は~~~っ!?

 

 

 自室のベッドの上で頭を抱えて、転げ回る私。ある程度落ち着いてから、ベッドから出て水を飲みにリビングへ向かう。

 

 

 「んく、んく、んく・・・ふぅ。落ち着いてはきたけど、顔がまだ熱いや・・・。それにしても、最近は寝ても「記憶」を視ることがなくなってきたな・・・・・・」

 

 

 不思議な事に、タクミくんが来てから私は段々と「記憶」に苦しめられる事が少なくなっていた。

 

 毎日シャーレへ出勤すると、彼が「おはようございます!今日も一日頑張りましょう!」と笑顔で挨拶をしてくれる。

 

 仕事中も「先生!根を詰めすぎです!ほら、ココア淹れたんで休憩しますよ!え?まだ仕事が?んなもん、後で俺も一緒に手伝いますから!ほらほら、休憩休憩~!」なんて気を遣ってくれる。

 

 最近では定時で仕事を終えることも出来るようになってきて、自分の時間も取れるようになってきた。

 なにより「先生、お疲れさまでした。今日も頑張る先生は素敵でした!好きです!結婚してください!」と言う彼に対して「もう、またそんなこと言って・・・。嬉しいけど、私の答えは変わりません。それじゃ、また明日ね~♪」というやりとりをして、家へ帰るのが密かな楽しみになっている。

 

 朝は笑顔で出迎えられ、仕事終わりは労いの言葉とその・・・私への好意の言葉で正直、かなり心身共に癒されていた。

 

 ・・・白状しよう。恐らく私は、「城戸タクミ」という一人の男性に心惹かれている、と思う。

 白状すると言いながら、半端な答えになったのは、やはり「大人の責任」や「先生と生徒」という関係性に起因する。

 

 と、とにかく!タクミくんとの触れ合いで、私の生活は良い方向に様変わりしたという事です!

 

 

 「やめやめ!これ以上考えてると、頭が沸騰しそうだよ・・・。もう寝ちゃおうっ!」

 

 

 ー その頃のタクミは・・・

 

 

 「明日は先生にどんな告白しようかなー!毎日同じじゃ、飽きられるしな!あー!先生に対する気持ちが止まらない!バーニングゥラァアアアブッ!!」

 

 

 ちょっと頭があれだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~ミカとの一幕~

 

 

 「・・・ああっ!もうっ!ごめん、聖園さん!」

 

 「ふぇ・・・?え・・・・・・ふぇええ~~!?」

 

 「ちょ!?タクミくん!?」

 

 「よしよ~し、聖園さんは悪くないよ~。いい娘だよ~・・・!」

 

 

 え・・・?タクミくんがミカを抱き締めてる?なんで?

 

 ・・・ああ、そっか。ミカが不安そうにしてるから、優しいタクミくんは抱き締めて上げてるんだね?・・・でも、あんまり感心はしないかな?女の子に、いくら理由があっても不用意に抱きついたら駄目だよ。ミカが勘違い(・・・)しちゃうでしょ?

 

 ・・・ほら、ミカの顔が朱くなってる。

 

 

 「ん・・・恥ずかしいけど、なんだろう・・・・・・とっても安心する・・・。可笑しいな・・・初めて会ったばっかりなのに・・・・・・」

 

 「え、あ、その・・・それなら、良かったです?」

 

 「良くないから!ほら、二人とも離れて!」

 

 「うわっ!?」

 

 「あ・・・」

 

 

 そう、何もよくないよ。見かねた私が引き離したら、ミカは寂しそうな・・・名残惜しむような表情(かお)をしていた。

 

 

 (彼は私の事が好きなのに・・・)

 

 

 っ!?私、今、何を思った?ミカに、大切な生徒にまさか・・・嫉妬した?

 

 自分の醜い感情を誤魔化すように、私はおどけて見せる。 

 

 

 「もうっ!何やってんの、タクミくん!女の子にいきなり抱き付くなんて、セクハラだよ?気をつけなきゃ」

 

 「はい…すみませんでした……」

 

 「……私は別に、悪くなかったけどなぁ~」

 

 「…ミカ?」

 

 「な、何でもないよっ!?うん、何でもないです…!」

 

 

 ・・・やめてよ。貴方は(タクミ)私を好きになったんだよね?そんな他の女を惑わすようなこと、しないでよ。

 

 ・・・ああ、気付いちゃった。

 

 私は”先生”や”大人”として、生徒達(みんな)のために自分の全てを賭けてきた。

 でも、彼と出会って触れ合って、真っ直ぐな「好き」って感情をずっと伝えてもらって、いつの間にか彼を”大人や先生”としてではなく”女”としてタクミくんを「愛」してしまってたんだ。

 

 その後、どこか距離感の近いミカとタクミくんに対して私は、ドロリとした感情を胸に隠したまま、表面上は生徒の戯れを微笑ましく見つめる。

 

 

 (そう、これでいい。私は先生で、大人だ。この気持ちは表に出してはいけない。いけないんだ・・・・・・)

 

 『先生?』

 

 『先生の顔色が優れないような気がします。どこか、具合が悪いのですか?』

 

 

 アロナとプラナの声に私は「大丈夫」と答えて、仕事に戻る。

 

 都合の悪いことから目を逸らして、逃げる自分に嫌悪感を抱きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~サオリとの一幕~

 

 

 ミカとの一幕からしばらく。

 

 今日は、サオリがシャーレへ訪れていた。そして・・・。

 

 

 「ぷっ・・・!何だそれは・・・!ははっ!自信ありげに情けない事を、堂々と・・・!あははははっ!」

 

 「サオリが、スゴい笑ってる・・・。初めて見た・・・・・・」

 

 「あのサオリを、あんなに綺麗に笑わせるなんて・・・・・・タクミくん、やっぱり不思議な男の子だよ・・・君は」

 

 「そ、そんなに笑える事を俺、言ったかなぁっ!?」

 

 「ふー・・・!ふー・・・!・・・・・・ふふっ、何だか今まで悩んでいたのが、嘘みたいに心が軽くなったよ・・・。ありがとう、タクミ」

 

 「いや、大した事なんか一言も言ってない筈何だけど・・・。なんで・・・?」

 

 「その大した事ない言葉が、私の心を軽くしてくれたのさ・・・・・・。そうか、悩んだらこうやって友人や信頼できる大人に、相談すればよかったんだな・・・・・・」

 

 

 綺麗だった。

 

 私から見ても、サオリの笑顔はとても魅力的で、見惚れてしまうほどに・・・。 

 

 そして見てしまった。そのサオリの笑顔に見惚れている彼を。

 

 ・・・ああ、まただ。また、私の中にドロドロとした黒いものが・・・・・・。

 

 

 「先生!愛してますっ!結婚して下さいっ!!」

 

 

 ほ、ほぁーーーっ!?!?告白!?告白なんで!?!?

 

 

 「いや、何でこのタイミング!?タクミくん、壊れた!?」

 

 

 つい今しがた感じていた黒い感情も忘れて、私は混乱してしまう。

 

 

 「は・・・はぁあああーっ!?何、タクミくん先生が好きだったのっ!?きーいーてーなーいーっ!!」

 

 

 叫びながら、がくんがくんとタクミくんの襟首を掴んだまま前後に揺さぶるミカ。

 あ、あのミカ?タクミくん、白目向いちゃってるよ・・・?

 

 

 「先生とタクミは結婚するのか・・・。・・・?何だ?今、胸に痛みが走ったような・・・?」

 

 (?サオリ、今何か言ってた?)

 

 

 混乱中の私には、サオリのその呟きを聞き取ることは出来なかった。

 

 その日から、ミカに続きサオリまでもがシャーレによく訪れるようになった。

 

 サオリにはまだ自覚がないようだったけど、私には分かった。ミカにしてもそうだけど、二人はタクミくんに恋をしてる。

 

 二人は、先生を目指してって言ってるけどね。分かっちゃうよ。だって私だって、タクミくんに恋をしているんだからさ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~先生の部屋~

 

 

 ーーーあれから更に時間は過ぎて、タクミくんはどんどん交友関係を広げていった。

 

 一部を除いて、ほとんどの娘はタクミくんに惹かれている。

 

 そして、私の中の感情もどんどん歯止めが効かなくなってきている。

 

 今でも変わらずに、私に告白をし続けてくれる彼。それに応えられず・・・ううん、違う、よね。いつまでも彼の気持ちと、自分の気持ちに生徒と先生なんて言い訳を続けて、向き合えていないだけの自分。

 

 

 「・・・そのくせ、彼に近づく娘達には嫉妬心を向けてしまう。ホント、何が”生徒の味方”だよ・・・反吐が出る」

 

 

 どんどん自分が嫌いになる。その反面、どんどん彼を好きになっていく自分。

 

 

 「プレナパテスは・・・もう一人の私は今の私を見たら、失望するかもな・・・・・・」

 

 「・・・ん、それは考えすぎ。もう一人の先生(プレナパテス)は、むしろ今の先生を見たらきっと怒ると思う」

 

 「し、シロコっ!?一体どこから・・・!?」

 

 「ん?私にはワープがある。今回は先生が拗らせすぎてて見てられなかったから、強引だけど押し掛けた」

 

 「拗らせっ!?言い方ぁっ!?」

 

 

 突如、私の部屋に現れたシロコ*テラー。彼女は勝手に部屋を物色し、自分の分のコーヒーを淹れると椅子に腰掛け一口啜ると口を開く。

 

 

 「ふぅ。あ、先生も飲みたかった?」

 

 「人の家で自由すぎるだろ、君」

 

 「ところでさっきの話だけど」

 

 「よくこの流れで、普通に話せるね!?」

 

 

 シロコの自由さに突っ込み続ける先生。そんな先生に「落ち着いて先生」と声をかけて再度話し始めるシロコ。

 

 

 「で、話の続きだけど。先生は難しく考えすぎ。何で、先生自身の幸せを優先しちゃいけないの?」

 

 「何でって・・・それはタクミくんは年下で、生徒で・・・・・・」

 

 「先生は大人だから?」

 

 「・・・そうだよ。それに、彼はまだ世間を知らない。たまたま私に出会って、その・・・私を好きになっただけで、世の中にはもっと素敵な(ひと)が沢山いる。それこそ、彼が出会った生徒達みたいなさ・・・・・・」

 

 「・・・面倒くさい性格だね、先生って」

 

 「面倒って・・・だって、それが普通でしょう!?シロコに何がわかっ・・・」

 

 「気付いてる?先生。先生の言ってることって、正しい事を言ってるようで、結局・・・自分の事ばかりで、彼の想いも存在も全てを否定してるんだよ?」

 

 「っ!?そんな事、ない・・・!!」

 

 「彼の先生への気持ちを無視して・・・ううん、無視してるようにみせかけて、本気で拒絶しないで、付かず離れずで自分の都合の良い距離に彼を置いて利用して弄んで。その癖、自分は生徒達に嫉妬して悲劇のヒロイン気取り・・・ねぇ、先生は何様のつもりなの?」

 

 「わ、たし、は・・・」

 

 

 そうだ。私は何だかんだと理由をつけて、タクミくんの想いを受け取らないくせに、自分に向けられる想いが心地よくて・・・。

 でも、他の女の子と親しそうにしていると勝手に嫉妬して、自己嫌悪して・・・シロコの言う通りだ。私は・・・”先生”とか”大人”と以前に、”人”として失格・・・・・・。

 

 

 「・・・ん、また面倒くさくなってる」

 

 「シロコ・・・?」

 

 

 私が負の感情に支配されていると、シロコがぎゅっと抱き締めてくる。

 

 

 「先生?先生は先生の前に、一人の”人”なんだよ?確かに、私の先生は貴女に私と生徒を託した・・・で、プレナパテスは怒るって言ったよね?何でだと思う?」

 

 「それは、私がシロコが言ったみたいに自分の事しか考えてないから・・・」

 

 「それもあるね。けどね、先生?一番は、先生が生徒の想いを自分を理由にして、蔑ろにしてるからだよ」

 

 「・・・?」

 

 「う~ん・・・分かり難いかな?えっと、彼は先生を好き。それも本気で結婚を考えるくらいに。で、先生もそんな彼を好きになった。大事なのは、ここ。先生が彼を何とも思ってないなら、いいよ?けど、相思相愛なのに自分を殺して、相手の想いも殺す・・・そんなの、生徒の事を”本気で考えてる”なんて言えないよ。少なくとも、彼は先生の事を本気で考えてるのに」

 

 「シロコ・・・でも、でもぉ・・・・・・!」

 

 

 シロコの言いたいことは、理解できた。だけど、頭では理解出来ているのに、心がまだどうしても踏み出せずに、子供のように頭をやだやだと振る。すると、シロコは「しょうがないな・・・」と言って一際強く抱き締めながら私に告げる。

 

 

 「先生?良いんだよ、先生も自分の心に素直になって。相手が誰だって、好きになったならそれを伝えて良いんだよ。だって、人を好きになるのに誰かの許可なんて要らないんだから・・・」

 

 「・・・いいのかな?タクミくんに、この想いをぶつけても」

 

 「言ったでしょ?許可なんて、要らない」

 

 「・・・皆の気持ちを知ってるのに?」

 

 「彼を振り向かせられなかった、その娘達が悪い」

 

 「・・・どうして、シロコは私をこんなに気にかけてくれるの?」

 

 「・・・先生があの時、全てに絶望して自分を許せなかった私を、肯定してくれた。それで私は救われた。だから、私は何があっても先生を肯定する」

 

 「ありがとう、シロコ・・・」

 

 「ん・・・」

 

 

 シロコの胸元に顔を押し付けて、私は泣き疲れて眠るまで、子供の様に泣き続けた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~翌日 シャーレ~

 

 

 「と言うわけで、タっくんには今日から全力で私の気持ちを伝えていくね!」

 

 「!!!!????」

 

 「あはっ♪混乱して取り乱してるタっくん・・・可愛い♪」

 

 「せ、先生が俺をタっくん呼び・・・?しかも、か、可愛いって!?ほ、ほあぁああーーーーーー!?!?」

 

 「タっくん、だーい好きっ♪」

 

 

 私はもう・・・迷わない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~現在 イチカとの飲み会から数日後~

 

 

 「な~んて・・・そう思ってたのになぁ。またシロコに面倒くさいって、叱られちゃうかも。・・・にしても、イチカの言葉は効いたなぁ・・・・・・」

 

 

 何故私が、またこんなに拗らせてるのか?それは・・・・・・。

 

 

 「・・・今でもタっくんに好意を持っている娘達を見ていたら、彼の隣にいるのが私で本当に良いのかって・・・不安になったからなんて、我ながら本当に面倒くさくて拗らせた性格してるよなぁー・・・。しかも、タっくんに心配させちゃうし・・・」

 

 

 うぅっ・・・!イチカの言ってたように、私のこの態度がすごく失礼な事だってのは分かってるよ?だけどさぁ・・・。

 

 

 「・・・結局、自分に自信がないんだろうね」

 

 

 左手の薬指に填められた指輪に、太陽の光を反射させながら私は今日、何度目になるか分からない溜め息を吐き出した。




 久しぶりの投稿で、長くなりすぎた・・・。先生も結局はただの人であって、聖人君子ではないということが伝わっていれば幸いです。
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