【本編完結済】女先生に愛を伝えて結婚するだけの話 作:秋月 ヒカリ
これからも、よろしくお願いします!
「タクミ~、この前の書類って、何処に仕舞ったっけー?」
「この前っていうと確か・・・ミヤコ達が申請してた、後輩たちとの大規模演習のやつだよな?それならもうPDF化して、所定のフォルダに格納してるぞ~」
「さっすが~!相変わらず旦那様は、仕事が早くて格好いい~♪」
「スミレの事を思えばこそさ!」
「タクミ・・・」
「スミレ・・・」
「は?何この茶番・・・サオリ、濃いめのブラックコーヒー貰えない?」
「すまない、ミカ。今飲んでいる分で在庫切れだ」
「あぁ~っ!もうっ!!何で連休明けから、バカップルみたいなやり取りを見せつけられなきゃなんないの~~~っ!!」
「・・・?おかしいな、かなり濃いめにしたのに、コーヒーが甘い?不思議だ・・・」
連休明けのいつもと変わらぬシャーレのオフィス。そこでは、城戸夫婦のイチャコラを見せつけられる憐れな犠牲者(同僚)が二人、朝からブラックコーヒーをがぶ飲みしていた。
「てか、二人のお互いの呼び方も変わってるしさぁ・・・絶対に何かあったでしょ!」
「そうだな・・・。お互いにべったりくっついて、恋人繋ぎで出勤してきたかと思えば、事ある毎にイチャつき、見つめ合ったかと思えば私たちの事は眼中にないとばかりに、キスをする・・・。よし、はっ倒すか」
「ちょっ!サオリ!?わかる!気持ちはわかるけど、暴力はダメ~!?」
「ミカにサオリ?今は就業中だよ?仲が良いのは知ってるけど、そうやってじゃれ合うのは休憩中にするんだよ?」
「そうだぞ二人とも。もう大人なんだから、節度を持ってだな・・・」
「「どの口が言ってんだ、ブッ飛ばすぞ」」
青筋を浮かべながらそう口にするミカとサオリは、とても恐ろしかったです・・・。
~閑話休題~
「・・・で?二人とも、何で朝からあんなにイチャついてくれてるわけ?」
「正直、今の二人は目の毒だ。夫婦なのだから、ベタつくなとは言わんが・・・それ以上は家でやれ」
「「あはは・・・ごめんなさい」」
「ごめん、ちょっと絶好調になりすぎてた!色々あって、スミレが可愛すぎて・・・」
「私も、タクミに対する想いが溢れて止まらなくて・・・」
「スミレ・・・」
「タクミ・・・」
「だから!それを!止めろって、言ってんのぉーっ!!」
「ばに・・・ばに・・・・・・」
そんなやり取りを3回ほど繰り返し、いい加減埒が明かないとミカとサオリに強制的に正座からの事情聴取をされた。
「・・・ふ~ん、それで最近の先生ってちょっと調子悪かったんだ?・・・先生って面倒くさいねっ☆」
「ヴっ!?」
「はぁ・・・。この際だから言っておくが、確かに私もミカもタクミの事は好きだ。異性としてな?だが、私たちももう大人で、自分の気持ちの整理ぐらいつけている。スミレ先生と、タクミの仲を引き裂こうなんて事は考えてないさ・・・それはそれとして、確かに先生は面倒くさいな。私たちより大人なのに」
「ぐっはぁ・・・っ!?」
「もう止めて!スミレの大人としての尊厳はもう0よっ!!」
「あははっ♪朝から見せつけてくれたお礼だよー♪」
「ふふっ♪先生をからかうのは、存外に面白いな♪」
「た、タクミ~!二人が苛めるよ~!」
「よ~しよ~し、今日も一杯甘やかしてあげるからな~♪」
「でへへへへ~♪」
「「だから、イチャつくなと・・・!!」」
その日は同じような事を何度か繰り返し、最後にはミカとサオリに完全に呆れられていた。
ちなみに、その日の仕事はきっちり時間内に終わらせた。
~城戸夫婦自宅~
「な?心配しなくても、みんなちゃんと”大人”だっただろ?」
「うん・・・私が思うより、私より大人で立つ瀬がないくらいだったよ。ホント、自分の未熟さが悲しくなるなぁー」
「大丈夫。そういうお互いに足りない部分を補い合うのが、夫婦だろ?ちゃんと、俺がスミレを守るよ」
「うん♪私も、タクミを守るね♪・・・でさ、早速だけど昼間の約束を守ってほしいかなぁーって」
「約束?」
「・・・いっぱい、甘やかしてくれるんでしょ?」
「スミレが嫌だって言っても、止めないぞ?」
「逆に返り討ちにしてやるもんねっ♪」
「言ったな?ん・・・」
「ん・・・。来て、タクミ・・・」
---二人の仲が更に深まった!
---翌日もミカとサオリに呆れられた!
~とある日の休日~
今日も今日とて、雲一つない青空の広がるキヴォトス。
そんな爽やかな休日の朝に、我が家では一騒動が起きていた。
「た、たたたたたたたっ!?たくっ!?たいへっ!?」
「え!?なに!?どうしたのさ!?取り敢えず、落ち着いて!」
慌てふためいてリビングへ駆け込んできたスミレ。それを落ち着かせるために、深呼吸をさせてソファーへ座らせる。
「どう?落ち着いた?」
「すぅー・・・はぁー・・・。・・・うん、落ち着いた」
「それで、何があったの?」
「そ、それはね?えっと・・・」
「言いにくいこと?」
「ううんっ!そんな事ないよっ!・・・先ずはこちらをご覧下さい」
「えらく緊張してるね。どれどれ・・・って、これ!?」
「はい・・・お察しの通りです♪」
「~~~っ!!やったぁーーー!!ありがとう、スミレ!!いや・・・”ママ”!」
「あははっ♪うん!こちらこそ、こんなに喜んでくれて、ありがとう・・・”パパ”♪」
緊張した面持ちでこちらへ差し出してきた物・・・妊娠検査薬を見て、スミレの妊娠を知らされた俺は有頂天になり、スミレを抱き上げて喜んだ。
それからは忙しかった。その日のうちに産婦人科へ行き、最終的な確認をして間違いがないことを確認。
更に産婦人科へ入るところを偶々、クロノスの生徒に見られていて、その日のうちにキヴォトス中に俺たち夫婦の間に子供が出来たことが知れわたる。
そこからは各学園からのお祝いの連絡やら、友人同僚からの連絡やらと対応に追われた。
それから時間は目まぐるしく過ぎていって---
~病院~
---おぎゃぁ!おぎゃぁ!
「っ!!」
病院の待合室にて落ち着きなく待っている俺の耳に、赤ん坊の元気な声が聞こえてくる。
俺が顔を上げるのと同時に、分娩室の扉が開き助産師さんが出てくる。
「あ、あのっ!妻と、子供はっ!?」
「落ち着いて下さい、お父さん。大丈夫、奥さんもお子さんもご無事ですよ」
「よ、よかった~・・・」
「もう少ししたらお部屋に移動しますので、それまでもう少しお待ちください」
「わかりました」
しばらくの後、俺は呼ばれて部屋へ向かう。
何故か緊張し、深呼吸を一つしてから扉を開く。
「・・・スミレ、身体は大丈夫---」
「タクミ・・・ふふっ、ちょっと疲れちゃったけど、私は大丈夫だよ。それよりほら、子供達に挨拶してあげて?」
俺はスミレの身体を心配する言葉を掛けるが、目に飛び込んできた光景に胸が詰まって最後まで言葉を紡げなかった。
ベッドに横たわる、疲れきっているが慈しみの表情で我が子を見つめるスミレ。
その視線の先で、スヤスヤと寝息をたてている”双子の男女の赤ちゃん”。
その光景を見て言葉に詰まっている俺が可笑しかったのか、少し笑ったあと、声をかけて俺を呼ぶスミレ。
そこでもう俺は限界だった。
ありとあらゆる感情が押し寄せてきて、視界がボヤけ、頬を熱い雫が滝のように流れ落ちる。
ただただ”ありがとう”を繰り返すだけの俺を、スミレは愛おしそうに、優しい手つきで撫で続けてくれた。
「これからも家族4人で、支え合っていこうね・・・」
「・・・ああ!みんなで、幸せになろうな!」
---愛を叫んだ少年は大人になり、愛する人と結ばれ、父親となった。これからこの家族に待ち受ける物語は・・・おっと、少し先走りましたね。今はただ、この瞬間を祝いましょう。・・・では、また何処かでお会いしましょう。
命って神秘だよねって話。最終回のような書き方してますが、もう少しだけ続くんじゃよ。