羊に転生した私と司くんのハートフルストーリー   作:Splite

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三話

司side

 

 

 ひょんな事から知り合った芽衣子さんが産んだのは低体重児だったらしい。ちゃんと予定通りに生まれたのにも関わらず低体重児だったことから、芽衣子さんは私がもっと栄養を取っていれば、と自分を責めた。俺から見れば芽衣子さんは自分が食べられる最大限食べていたし、医師も子供に栄養の行きづらい身体であっただけで仕方ない、数週間もすれば適正体重になるだろう、と言っていたらしい。

 

 芽衣子さんたちの子供ーー羊さんというらしいーーは、NICUに入り、芽衣子さんは勿論耕一さんも仕事の隙間の短い時間に通っていた。俺は部外者で立ち入れなかったが、耕一さんからちゃんと日に日に体重が重くなっていると聞き、安心した。

 

 三週間が過ぎた頃、羊さんがようやくNICUから出れることになり、耕一さんから誘われて俺もその日羊さんに会いに行くことなった。最初はそんな記念すべき日に着いていくことなど出来ないと断っていたが、芽衣子さん直々に誘われ、折れた。

 

 初めて目にした羊さんは可愛かった。少しだけ生えていた髪の毛は金髪で顔も芽衣子さんに似ていた。耕一さんに似ているのは髪の毛が少しふわっとしていてくせ毛っぽいところであろうか。

 

 暫く遠くから眺めていると、芽衣子さんにこっちに来てと言われ、近づいた。改めてじっと羊さんを見る。ーー可愛い。赤ん坊とはこんなに可愛かっただろうか。弟が二人るので、赤ん坊の頃から見ていたが、羊さんには弟たちには無い愛らしさを感じる。これが男と女の違いだろうか。

 

 暫くじっと見ていると芽衣子さんが羊さんを抱いてみないか、と提案をした。耕一さんもそれに賛成なようで、すっと羊さんを差し出そうとする。流石に家族団欒の邪魔をしているようで申し訳なくて断ると、羊さんが手足をバタバタさせた。まるで俺に抱っこしてと言っているようで、観念して抱っこする。

 

 羊さんは基礎体温の高い俺に負けないぐらい暖かくて、ぬいぐるみのように柔らかかった。なんだか、感動して涙が出てしまいそうだった。それを誤魔化すように羊さんを沢山褒めた。羊さんは褒めれば褒めるほどキャッキャッと笑ってその姿にまた泣きそうになった。

 

 それから一週間が過ぎた時、耕一さんから芽衣子さんが倒れたと聞かされた。その頃耕一さんの会社は軌道に乗ってきて忙しそうだった。俺は耕一さんの会社で事務のバイトをしていたものの、そこまで役に立っていない事を薄々感じていて何か役に立ちたいと思っていたし、コーチがいないことでスケートの練習に行き詰まっていて気分転換がしたかったし、何より羊さんにまた会いたかったので、羊さんのお世話並びに加護家の家事手伝いを申し出た。耕一さんは喜んでそれを受け入れてくれた。バイト代を出すとまで言ってくれて流石に申し訳なくて断ったが、労働に対する正当な評価だよ、と言って聞かなかったのでバイト代も貰うことになった。断りはしたが、万年金欠なのでバイト代が貰えるのは有難かった。

 

 羊さんの世話はとても楽だった。赤ん坊の世話で大変な所は事ある事に泣いて、その理由が分からない事だと思うが、こっちが心配になるぐらい羊さんは全然泣かなかった。時々泣くことはあったが、それはこちらの不手際で不快な思いをさせた時だけで、弟達が赤ん坊だった時に比べて断然手のかからない赤ん坊だった。唯一大変なのは、おしめ替えの時に嫌なのか手足をバタバタさせることだけだが、それもそこまで力が強くないし、さっと替えてしまえば問題なかった。

 

 正直羊さんのお世話より、加護家の家事手伝いの方が大変だった。芽衣子さんは体調が良くないのに家事手伝いの手伝いをしようとするし、羊さんはまだ赤ん坊で食べれないし、芽衣子さんもそこまで食べない方なのに、大人三人分きちんと料理して余らせるし、耕一さんは探し物をして家中ひっくり返してそのままにするし、その上見つからなくて俺に探してと泣きついてくるし、赤ん坊の羊さんより大人達の方が世話が焼けた。仕方がないから芽衣子さんには何とか説得して寝てもらって、勿体ないから3人前作って余った料理は持ち帰らせてもらったし、耕一さんの探し物は普通にリビングのテーブルの上にあった。まったく、羊さんを見習ってほしいものだ。

 

 羊さんがこのまま何事もなく、そういうところはどうにか両親に似ず、無事に育ってくれればいいなぁ。

 

 




原作との相違点

芽衣子さんが体調不良を隠してない
→原作では、羊さんが生まれたあとずっと体調不良を隠してきたが、今作では原作とは違い羊さんが低体重児で生まれてきた為、その分心労がたまり、隠しきれず倒れた。その時に耕一にちゃんと体調悪いなら言って欲しいと静かに叱られたため、原作とは違い隠していない。

原作と同じ点

司くんはスケートをやっていることを加護家に明かしてない
→原作と同じように明かしていない。羊さんが知ってるのは原作と同じように耕一と芽衣子さんがひっそりと応援してて、その会話内容を聞いていたから。ちなみに、羊さんは、スケートをやっていることを司が明かしてないとは知らないので喋れるようになるとポロッとスケートの話題を出してしまう。多分その時には司もスケートをやっていることを明かしてるとは思うけど。
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