フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜   作:マスターBT

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浪漫馬鹿、惑星クトニオスに立つ!!

「へへっ、やっと一式揃えられたぜ……溜め込んでた小遣いとバイト代が全部飛んでいったけどそれだけの価値があるって信じてるぜ。『Frontier Spirit Wars』!!」

 

 フルダイブ型VRMMOが発売されてから、早くも数年が経過した今では当たりも外れも入り乱れているらしいけどあのゲーム大好きな虎之助がめっちゃオススメしてきたゲームだからきっと大当たりの筈……というかそうじゃないとソフトも含めて30万以上の出費をした俺の財布が報われねぇ。

 

「えーと、確かこのバイザーみたいなのを付けてゲームスタートって言えば良いんだよな。一応、ゲームに関しては多少調べたけど俺は文章読むよりさっさと試す方が性に合ってるからな。よしっ、ベッドにも横になったしこれで良いな『ゲームスタート』!!」

 

 身体が引っ張られる様なそんな不思議な感覚にちょっと、酔いそうになりながらも視界が一瞬だけ明るくなったかと思えば次の瞬間には一面、真っ青な空間に立っていた。

 どうやらゲームへのログインには問題なく成功したらしいな。

 

『ようこそ。数多の欲望が蠢くFrontier Spirit Warsの世界へ!私は貴方様にとっての初めてのお友達になる『ナビ』と申します。先ずは貴方様のお名前と性別を教えてください』

 

「おぉ……出来るOLって感じの見た目だ」

 

 えーっと、確かこのゲームはリアルマネートレードを実装してるから性別を偽るのは禁止なんだよな。

 だから性別は男で、名前か……俺の名前が一色 龍斗(いっしき りゅうと)だから安直だけどRyuっと。

 

『……はい。Ryu様ですね。このゲームに関して詳しい説明は必要ですか?』

 

「折角だから教えて貰おうかな」

 

『畏まりました。Frontier Spirit Warsの世界では人類は地球を旅立ち、宇宙へと進出して五千年が過ぎています。数々の移住可能な惑星に人々は移り住みましたがその過程で、かつての地球の文明を繋いで行こうと考える者達と宇宙に進出したのだから新しく生きるべきだと主張する者達が現れ彼らは対立。前者はアース連合国を名乗り、後者はスペース帝国を名乗り宇宙の資源を求めて戦争を行う様になりました』

 

 うーん……軽く調べた時も思ったけど、わざわざ宇宙に出てまで戦争しなくても良いじゃないか人類よ……いやまぁ、そんなこと言ったらこのゲーム始まらないんですけどね。

 なんて下らない事を考えていると、黒いスーツに黒縁メガネの『ナビ』さんのすぐ横に異なる外見をしたロボットが投影された。

 

『嘗ては惑星開発に用いられていたFrontier Spirit通称『FS』は時代を重ねる毎に戦闘用にカスタマイズされていき、現在の姿が確立されました。Ryu様から見て、右側のFSは連合国が主に使用するタイプでスタイリッシュな外見の通りバランスに優れた仕上がりとなっています。対して、左側のFSは帝国側が使用するタイプで騎士を彷彿とさせる外見の通り機動性は連合国に劣りますが、その分の装甲が確保されています。プレイヤーの皆様にはこのFSを扱うパイロットとなっていただき、両陣営が争う資源惑星『クトニオス』での領土争いに参入していく……というのがこのゲームの主題でございます』

 

 巨大なロボットを扱って、己の力量一つで生きていく鉄臭い世界観……良いよなぁ!!この浪漫につい魅入られて大金を突っ込む覚悟が出来たってもんよ。

 しかもこのFSは陣営間の縛りはある程度あるものの、自分好みにカスタマイズ出来るらしくてその辺も人気を集めてる理由らしい。

 

『此処までで何かご質問はありますか?』

 

「いや特にないかな」

 

『畏まりました。では、これからRyu様には所属する事になる陣営を選んでいただきます』

 

 ナビの言葉と共に俺の目の前には四つの選択肢が出てくる。

 幾つもの惑星が描かれ、中央には青い地球が大きく描かれた『アース連合国』の国旗。

 剣と盾が交差する様に描かれた上に皇帝が被る様な王冠が描かれた『スペース帝国』の国旗。

 人と人が肩を組んでいる様な姿が描かれた惑星クトニオス土着の組織『クトニオス抵抗戦線』の旗印。

 

 そして、何も描かれていないただの黒い枠組みに赤文字で描かれている『傭兵』、この四つの選択肢が俺の目の前に提示され一度選択すればその組織の詳しい説明が見れる様だけど、生憎と俺はこのゲームを調べた時に自分が何処で始めるかってのは決めてきているんだ。

 

『……『傭兵』でよろしいのですか?初期から始めるには難易度が高いですが』

 

「良いよ。男なら全て自分の力でってのがやっぱ浪漫でしょ!」

 

『畏まりました。では、これから貴方様の分身となるアバターの設定を始めてください』

 

 ナビの姿が消えて、こうなんというか特徴と呼べるものが全然ない男の姿が目の前に現れた。

 部位を選択して数値を弄っていくタイプみたいだけど……こういうのってあんまり得意じゃないんだよな……あ、確かバイザーのスキャン機能でリアルの顔に近いのを自動でやってくれるのあったなその機能を使ってと。

 

「流石にそのままってのは怖いから適当に髪を伸ばして、赤色のエクステとか入れとけば印象変わるかな。ん?アクセサリーで仮面とかあるのか」

 

 リアルの俺に髪を伸ばして、右側に赤いエクステを入れた程度じゃ足りないしこの目元を隠す仮面でも付けてみるか。

 結構、種類があるけど……髪と同じで赤色のこれでいっか。

 

「……うーん、仮面舞踏会に出るのか?って感じだけどこれはこれで良いんじゃない?」

 

 完成をポチッとするのと同時に今まで、半透明だった腕がしっかりとした実体になり視界がほんの少しだけ狭くなった。

 あれ?これもしかしなくても仮面つけてのプレイって一種の縛りプレイでは?てか、こんなところまでリアリティを再現してるとか凄いなこのゲーム。

 

『なるほど。Ryu様はその様なお姿をしていたのですね。大変、格好いいかと思います』

 

「多分、汎用セリフなんだろうけど格好いいと言われて悪い気はしないな」

 

『それでは欲望蠢く世界へ──貴方様が望むものをどうかその手に』

 

 ナビが微笑むのと同時に再び、視界が眩しい光に包まれると次に目を開いた瞬間には少々、荒れ果てているものの金属製の建物が建て並ぶ場所に立っていて、後ろを振り向けば多分俺が乗ってきたという扱いなのか煙をモクモクと吐いている小さな宇宙船があった。

 

「おぉ……虎之助が言っていた全てのプレイヤーが集まるバザーってのが此処か」

 

 作中の設定的には此処は所謂、闇市みたいな場所でどの陣営も不足気味の物資を補う為に暗黙の了解で非戦闘地域に設定されているとかいう。

 確かに色んな格好をしたプレイヤー達が歩いていて、さっき見た連合国や帝国、土着組織のマークが入った者達が会話してたりするし本当に非戦闘地域らしいな。

 

「っと、そうだった。ゲームを始めたら虎之助にメッセージ飛ばせって言われてたな。確かアイツのプレイヤーネームは『Torabaku』だったな……おっ、あったあった」

 

 プレイヤー検索からメッセージを飛ばせばすぐに既読というマークがついた。

 

『プレイヤーネームRyuって分かり易いな。多分、宇宙船の前から動いてないだろうけど、念のため容姿を教えてくれ』

 

「前髪に赤いメッシュ入れてて、目元を隠す赤い仮面を付けてるっと。お、既読ついた」

 

 少しだけ待っていると人混みの中から、色黒のガタイが良いやつがこっちに向かって歩いてくる。

 もしかしなくてもアレだな?頭の上にある文字に『Torabaku』って書いてあるし……アイツ、リアルと全然違う容姿にしたんだな。

 

「リュウで合ってるか?」

 

「おう。そういうお前はトラだよな」

 

「その呼び方間違ってない様だね。にしてももう少しアバター弄れよ。仮面で隠れているとは言え、ほぼリアルじゃん」

 

「いやだってキャラクリとか苦手だし……」

 

 盛大に溜息を吐かないでくれ。

 俺はその辺に拘るよりも早く、FSを使ってみたいと思ったの!

 

「はぁ……まぁ、だろうなぁとは思ってたけど。えーっと、所属陣営は……もしかして傭兵を選んだのか?」

 

「あぁ、うん。俺がそういう浪漫好きなのトラならよく知ってるだろ?」

 

「……あのな、このゲームを教え時に説明したよね?最初から傭兵はFSが初期から与えられないから大変だって!!帝国辺りにしとけって!!」

 

「……あれ?そうだっけ?」

 

「この浪漫馬鹿」

 

 この後、盛大に呆れているトラからもう一度説明を受けて俺は今、自分が置かれている状況を理解した。

 どうやらこのゲームは新兵という扱いで始まるらしく、最初に所属する陣営を選ばないとこの星に流れ着いたFS乗りの適性がある者として扱われるみたいで他の陣営みたいに初期からFSを持てず、自力で用意するところから始まると。

 

「一応、その分初期投資に回せる金額が他のプレイヤーよりも多いが、FSを買える訳じゃないからね。生身で戦場に出てスカベンジするところから始まるよって説明したんだけど……」

 

「ハハッ、すっかり忘れてた!!まぁ、方法が無い訳じゃないならいけるっしょ!!という訳で、スカベンジとやらの方法を教えてくださいトラ大先生!!」

 

「頭痛がしてきたよ……まぁ、君を誘った手前、放り出す訳にはいかないか。んじゃ、色々と教えるから着いてきて」

 

「了解!!」

 

 ──こうして、俺のFrontier Spirit Warsは盛大に第一歩を踏み外してから始まるのだった。




 ロボット物やVRMMOは読むけど、書くのは初めてなので、気になるところとかあったら感想とかで色々と教えてくれると嬉しいです。勿論、ここが良かった!!とかもくれるとめっちゃ嬉しい。
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