フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜 作:マスターBT
あの楕円形の陣形から来そうな攻撃は、先頭のリーダーが狙いを絞って俺が避けた所を取り巻きが狙うか、逆に取り巻きの射撃で俺を誘導してリーダーが一撃確実に与えてくるかって感じか?
しかもああやって纏まる事で接近戦が主軸のこっちのやりたい事を封じてる感じもありそうだな……
「とりあえず機動力で揺さぶるか!」
長い事考えるのは性に合わない!!
端っから逃げる気はない以上、やれる事を全部試して駄目だったらそん時にまた新しく考える方が俺らしいだろ。
『ッッくるぞ!!』
スキンヘッドのおっさんのFSが深く腰を落としながら斧を構えるのと、ほぼ同時に左右の連中が俺へとSMGで弾幕を展開する。
命中精度が高くないのはさっきの逃亡で分かってるが、そのまま突っ込めば向こうの得意レンジに入って蜂の巣になるのは分かりきっている。
『跳躍での回避を推奨』
「俺も同じことを考えてた!!」
走り幅跳びをする要領で踏み込むのと同時にブースターを点火し、一塊となっている連中の上を飛び越え一番後ろにいた奴へと接近する。
『クソッ!!』
「っと!!」
こっちのやり方がバレてる以上、そう簡単にはやらせてくれないよなと着地の勢いそのままにしゃがんで、避けた斧が頭上を通過して行くのを見ながら足払いで転ばせる。
『Obishiro!!』
『ッッ、狙われるぞ!Mutuba!!』
『うおっ!?』
転ばされた状態でよく見ている奴だな!!
仲間意識が高いみたいだから、派手に転ばせれば仲間の心配をして注意が疎かになるだろうって作戦は合ってたが、冷静な奴もいるらしい……良いな、そういうのは嫌いじゃないぞ。
胸部への右ストレートが掠るだけで終わってしまったが、その代わりに転ばせた奴のSMGを蹴り飛ばしてから一度離れる。
『待ちやがれ!!』
「あぶねっ!!」
一発一発コッキングする必要があるとは言え、やっぱりSMGとの精度は較べるまでもないか。
距離が近い事もあって完全には避けきれず、《EVOLVER》の装甲にダメージが入った警告に思わず舌打ちが溢れる。
「金欠なんだぞこっちは!!」
『俺らもだよ!!』
『右側より回り込んできた機体があります』
「了解!!」
スキンヘッドのおっさんのFSが撃ってくる弾丸を避け、ノッキングに入った瞬間に右側から斬りかかってきた奴へと軸を合わせる。
FSの動きからも軸を合わせられて驚いた雰囲気が滲み出ているのがちょっと面白いが、弾丸は兎も角格闘戦の直撃は貰えないからな!!
「やってみるか!!」
目を見開き、タイミングを合わせる事に専念し指先まで伸びきった両手で、振り下ろされた斧を挟み込んで止める!!
『なっ、なにぃぃ!?』
「真剣白刃取りってな!オラァ!!」
相手の内側へとそのまま回り込み、ブースターで加速した勢いでFSを持ち上げ地面へと叩きつける。
『流石ですね開拓者』
「失敗したらヤバかったけどな!」
大きく息を吐きつつ、その場から飛び退く様に避ければライフルの銃弾が着弾し、あと少し判断が遅ければ直撃を貰っていたと思うとまだまだ気を抜けない。
連中、一人一人ははっきり言って強くないけど向こうが割り切った行動をしてくるから意外と立ち回りが難しい。
フレンドリーファイアがあるのはさっき知った事だけど、今も全く厭わずにスキンヘッドのおっさんは撃ってきたしな。
『クソォ……依頼ボードの位置すら分からなかった新人にこうもやりたい放題されるとは我ながら情けねえ!!』
「依頼ボードの事を教えてくれた事だけは感謝してるよ」
『うるせぇ!!じゃあ、とっととその機体を金にさせろや!!』
「嫌だね!!」
向こうからすれば本当にこのゲームの事を理解してない良い鴨が、レア機体背負って現れたって感じで舌舐めずりしてたところに苦戦を強いられて苛立ってるって感じだろうけど、それで相棒を大人しく手渡す程ビビリじゃないんでね!!
十分に分かってくれてるだろうけど、もっと理解させる為にブースターを全開にして勢いよく敵へと突っ込む。
『俺かよ!?』
そうだよ、俺の狙いはSMGを蹴り飛ばされて真っ直ぐ突っ込んでくる俺の勢いを殺す事が出来ないお前だ!!
『逃げろ!!Ohae!!』
俺とアイツとの間に割り込んで盾になろうとしているのかSMGを撃ちながら、走って来るFSが見えるが回り込んで俺を狙った奴が元々、離れていたのと《EVOLVER》とのスペック差のせいで全然、追いつけていないのを視界の端で確認。
装甲値が多少、削られるのを受け入れ斧を構えるFSへと突っ込み、振り下ろされる一撃をスレスレで右に逸れる事で避ける。
『その速度で!?』
「避けれちゃうんだよねこれが!!」
メインカメラを鷲掴みにして、再び地面へと叩きつけ今度は逃げずに両腕を合わせて勢いよく頭部に向けて振り下ろせば、バキャっという音共に頭部がひしゃげた。
こいつらの機体、やっぱり脆いな!整備不足って感じか。
『メ、メインカメラが!?』
『後方より敵機。数は二』
「流石に同時に来たか」
この感じからして数の暴力で追い立てて、新人を潰すってのがコイツらのやり方だったんだろうな。
その基本が通じなくなったから、同時に仕掛けてきたって感じか?
『この野郎!!』
『テメェのせいで赤字確定だ!!』
雪煙を破って左右から現れる手斧に一瞬、ビビったが後方へと飛び退いて避ける。
『一々、動作がデケェのは新人らしいな!!』
「ッッ!!」
流石に挙動が読まれるか!!
俺を大きく下がらせるのが目的だったのだろう、深く振り下ろさなかった連中は着地して体勢を直すより早く距離を詰めてきて大きく手斧を振り被る。
「すまん《シン》!!」
大きく装甲値を削られるのを覚悟の上で、両腕をクロスさせて防御姿勢を取りながら《シン》へと謝る。
彼女の事だから気にしてないでください開拓者と返ってくるのかと思ったが、次の彼女の一言はあまりにも予想外なものだった。
『戦闘区域外から高速接近の機体を確認。接触まで2、1、ゼロ』
──白い羽根が舞い散る。
一体何がと思うより早く、ピンク色のビームが放たれ俺へと手斧を振り下ろそうとしていた敵機が一瞬で爆煙を上げて動かなくなり、手斧は当たる事なく機体ごと地面に叩きつけられた。
『グオオッ!?な、何が起きた!?』
『ボ、ボス!!に、逃げましょう!!』
『あぁ!?こんな状態でにげ……られ……は?……なん、でこんなところに最強が……』
見上げる視線の先には二丁のライフル銃……恐らくさっきの一撃からしてビームライフルを構え、青空に優雅に浮かぶとても機械とは思えない白い翼を持った穢れを知らない純白のFSがいた。
『に、逃げろぉぉ!!最強の傭兵に勝ち目なんかねぇぇよ!!』
動かなくなった機体すら乗り捨てて、スキンヘッドのおっさん達は逃げて行くが正直、そんな事は全く眼中になかった。
俺は……全く目を逸らす事が出来ないほどに最強の傭兵と呼ばれた純白のFSから目を離す事が出来なくなってしまったのだから──そして、それは正解だった。
『……』
「ッッ!!」
純白のFSは一言も発さずに俺へとビームライフルを撃ってきたのだから──!!