フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜 作:マスターBT
見渡す限り枯れ草の一本も生えていない赤茶けた大地が広がるエリア『S-05』
土着陣営である『クトニアス抵抗戦線』がゲーム開始日より、確保を確かなものとしている場所に最強の傭兵へのリベンジに燃えるリュウの姿があった。
「トラの奴から此処に来いって言われてきたけど、俺別に土着陣営って訳じゃないんだよな。突然、撃たれたりしないか?」
『大丈夫ですよ開拓者。彼からは依頼という形で指示を受けていますので今現在の私達はクトニアス抵抗戦線に雇われた傭兵となっており、我々への攻撃はクトニアス抵抗戦線が傭兵に対する信頼を損ねるリスクの大きいものとなっていますから』
「なるほどな」
理解した様な返事をしているリュウだが、《シン》が言うなら平気かと判断しただけでどうして自分が襲われる事が傭兵からの信頼を損ねる結果になるのかは全く理解していなかった。
傭兵は確かに陣営という明確な後ろ盾を持たない存在だが、このFSWというゲームは領地を確保する事に主題が置かれておりどの陣営も日夜、領地を広げる為に戦っているのだが一つの陣営が全てを制圧するには広すぎる領地が存在している為、端的に言って手が足りていない。
そんな彼らにとって傭兵とは練度の当たり外れはあるものの、困った時に使える存在かつ失っても金銭的に懐が痛まないという便利な道具なのだ。
『開拓者を依頼の形で誘い出し、騙し討ちをしたとなれば次から傭兵は彼らの依頼に慎重になるでしょうから』
「騙される方が悪い。みたいな展開にはならなかったり?」
『事例はあります。ですが、そういった騙し討ちに遭うのは悪名高き傭兵の方々です。開拓者の様に右も左も分からない新人相手にはまずしないでしょう』
「なるほどなぁ。まぁ、今後は気をつけるって感じで」
《シン》の忠告が頭に入っているのか入っていないのか、つい先日傭兵からの騙し討ちを受けたとは到底思えないお気楽な返事をし、コクピットから青空を見上げるリュウ。
「……俺も自由に飛び回れたらなぁ」
再現された陽の光を覆い隠す様に手を向ければ、記憶を辿る様に霞のなくなった視界に最強の傭兵が乗るFSが浮かび上がる。
リュウは自分に出来る最大限の動きを以て、戦うことが出来たと自負しておりそこに何一つとして後悔はないものの遮る物が何一つない青空を縦横無尽に駆け巡る姿には憧れを隠す事は出来ないのだろう。
『悪い。遅れた』
「ん?おう、やっときた──えぇ?」
聞き慣れた友の声と共に自分の背後に出現した機体反応に振り向きながら、発した言葉は道中で困惑へと変わった。
『なんだよ。鳩が豆鉄砲食らったみたいな声出して』
「いやあの、トラ?その、お前のって……」
続く言葉をどうしたものかと考えながらリュウは視線をトラのFSの脚部──いや、正確に言うなら
彼のよく知るFSとは異なり、僅かに背が低いトラのFSはなんと脚部が現代兵器である戦車の様なキャタピラとなっており、その上にFSの上半身が載っているというもはや、
『珍しいねリュウがはっきりしないなんて……あ、そうか。タンクの脚部を見るのって初めてだっけ。なら確かに驚いても仕方ないかも』
「お、おう。FSって二足歩行が全てって訳じゃないんだな」
『じゃあ良い機会だしその辺の説明からしようか。FSを構成するパーツは基本的に三つのジャンルに分ける事が出来るんだ』
「ふむ」
『速度が出る代わりに装甲が薄くなる軽量。バランスの良い中量。最も高い装甲を誇る重量。これらを組み合わせる或いは特化させるのがアセンの始まりだね』
『ちなみに私は全てが中量に分類されるパーツで構成されていますよ開拓者』
「ふむふむ。じゃああの最強の傭兵は軽量か?」
完全に翼が生えているバックパックから連想したイメージでしかないけど、女神や天使を連想させる感じで実は重量級でしたってのは正直、違和感が強い。
『そうだね。高速で動き回り被弾をせずに高威力のビーム兵器で撃ち落とすのが目的だと思う』
「なるほどな。つまり、お前のFSが背負ってる馬鹿みたいにデカい砲塔を支えるのがその足……足で良いんだよな?」
いや、改めて見ると本当に馬鹿みたいにデカいなこいつの砲塔。
薄らと記憶してるから多少は小さいだろうけど、昔、小学生頃に歴史の教科書で見た大和型戦艦の砲塔みたいだ。
『俺の信条は知ってるだろリュウ?』
「一撃火力主義って言えば聞こえは良いが、正直言って俺のことを言えないレベルのロマンだと思うぞ」
トラとゲームをやると兎に角コイツは火力を出すことに専念するんだよな。
とあるRPGをやっている時は必ずテンションを最大にした上で、最も火力が出る技を相手が通常攻撃で倒せる時だろうが放つし、格ゲーをやってる時は最大体力が他のキャラより低くても火力が出る奴の最大コンボに執着するし、戦略ゲームをやった時は碌に軍隊を揃えずに高火力兵器を揃えるし……まぁ、そういうロマンを追い求める同類だから一緒にいるんだけどな!
『火力は全てを解決するんだよリュウ。火薬の量がこの世の全て!!直撃一つで相手の機体が地形ごと木っ端微塵になる瞬間が見たくてこのゲームやってるんだから……ってのは一旦置いておいて、脚部に関してはこのタンクみたいにちょっと特殊なのがある。まぁ、説明は見かけた時で良いかな』
基本のやつを使ってる人の方が多いからとトラは続け、ギャリギャリと音を立てながら機体を反転させる。
『じゃあすっかり遅くなったけどチュートリアルをやろうかリュウ』
「おう!頼むぜトラ!」
『逸れない様にこの機体──
荒地を走っているからだろうな……荒野を進むトラの機体ははっきり言って男心を擽られる格好良さを発揮していた。
「うぉぉぉ!?」
『リュウ、今度お祓いに行ったらどうだ!?』
穏やかに終わる筈だったトラとのチュートリアル……それが何故か突如して現れた──
『キュルルルルァァァァ!!!』
──モグラみたいなNPC兵器との戦いになるとはこの時は全く思ってもいなかった。
良ければ感想やここ好き、こんな機体どう?みたいなのとか待っております。