フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜   作:マスターBT

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チュートリアル1:武器を手に入れよう

「とりあえず武器がいるかな」

 

「武器?FS相手に人が持てる様な武器が通じるのか?」

 

「違う違う。同じくスカベンジをしてる奴用だよ。Ryuみたいに何も考えずに傭兵選んだ奴とか金不足で機体の修理が出来ないから売れる物探しに来てる奴とかいるからさ」

 

 ほー、思っていたより資金手繰りはしっかりしないと駄目そうだなこのゲーム。

 恐らくちょいちょい、このバザーでさっきから見かける下を向いてたりブツクサ言いながら歩いてる人辺りがトラの言う後者に当たるんだろうな。

 

「なるほどね。にしても随分と怪しいテントばっかりの店構えだけど向こうのちゃんとした店構えじゃなくて平気なん?」

 

「あっちは純正品売り場だからね。傭兵である君が利用するならこっちの方が良い。向こうで買い物をすると売店NPCが下を見て相場の五倍あたりの値段をふっかけられると思うから」

 

「おおう……覚えておくわ」

 

「まぁとは言っても実際に差がある訳じゃない。自分達の肩書きにリアリティを持たす為の演出ってやつだよ」

 

 凝ってるなぁ……確かに立場がちゃんと約束されている陣営と何処の馬の骨かも分からない傭兵相手どっちと商売したいかって言われれば前者な気がするわ。

 

「念の為フレンドの傭兵に売り場を聞いておいて良かったよ」

 

「そう言えばトラは土着のクトニアン側だもんな。普段はあっちで買い物か」

 

「そうだよ。ま、俺の話は後で幾らでも出来るから……着いたぞ此処だ」

 

 トラが立ち止まった場所はこのテントだらけの店の中でも一番大きなテントで、火が灯ったランタンで明るさを確保しているせいか少しだけ中がオレンジ色している店だった。

 店の名前とかないのかな?大きいとは言え、テントだけって次来る時に確証が持てなくて困るんだけど。

 

「おぉ、凄いな!!」

 

 結局、店の名前を示す様なものはなく、トラと一緒にテントの中に入って目に飛び込んできたのは所狭しと並べられている銃達で中央には顔が傷だらけの爺さんが片膝を立てて座っているという如何にもな光景だった。

 

「……らっしゃい。そっちのにいちゃんは傭兵だな。見てけよ」

 

「うす」

 

 凄いな……別に銃のマニアでもなんでもないけど映画とかで見たことある様な形をした奴もいっぱいあってどれが良いのかめっちゃ迷う!!

 此処はトラに聞いてオススメを用意して貰うか?いや、折角の一番最初に持つ事になる相棒だ俺の直感で選んだ方が良いだろう。

 

「あー、求めてないかもだけど一応言っておくね。RyuはFPS経験とかないから選ぶのなら向こうの光線銃が良いと思うよ。銃弾を使う馴染みある銃はゲーム側が補正してくるとは言え、反動とかも結構リアルだから。その点、光線銃は狙ったところに真っ直ぐ飛ぶからさ」

 

「おー」

 

 おっ、なんだこの銃面白い形状してるな……ほー、マシンガンに分類されるのにハンドガンの弾でも撃てるのか、コスパ良さそうだな。

 大口径っても浪漫だよなぁ!!ズドンっと一発で敵を撃ち倒すとか格好良くね?

 

「駄目だ聞いてない……」

 

 どの銃も格好良くて迷うなぁ。

 こっちは随分とメカメカしいデザインが多いんだな……種別は光線銃で事前にチャージしたバッテリーが所謂、マガジン扱いとなって使うタイプか。

 こういうのって宇宙で使われるイメージだったけど、大気がある惑星でも使えるだな。

 

「ん?コイツは」

 

 パッと見た瞬間はレールガンってやつかと思うぐらいには特殊な形状をした銃を手に取ってみる。

 なんだか分からないけど、二本の棒に挟まれる様にこの銃の中央にある丸い球体はパチパチと光を放ちながら浮いていてどういう原理で動くのかさっぱり分からない銃だな。

 

「それが気になるの?」

 

「あぁうん。なんかほら、面白い形状じゃん?」

 

「その槍みたいな銃は『ブラスター』シリーズの最新作で結構癖があるよ。先ず、トリガーを引いてもすぐには弾が出ずに中央の球体へとエネルギーが集まり、クルクルと回転が激しくなる。そうして二秒後ぐらいにやっと光線が出るんだけどその威力はFSの弱点に当てる事が出来れば耐久力を少しだけ削る事が出来るほど強力だよ」

 

「おー!良いじゃん!!これ買うわ。おっちゃん、これいくら?」

 

「1.5M(メガ)G(ゴルド)だ」

 

 たけぇ!……リアルマネー換算で1万5千円って事かよ。

 初期金額として2MGあるとは言えほぼ全てが消し飛ぶ事になるとは……いやでも、買うと決めた以上男に二言はねぇ!

 

「買った!!」

 

「なんだろう。Ryuが金欠に陥る未来が見える気がする」

 

「やめろやめろ俺もそう思ってんだから……ん?おっちゃん、この充電パックっての買った覚えはないけど」

 

 購入履歴の中にある充電パック×2を買った覚えはないし、取引金額も1.5MGで変わってない。

 何かサービスでもしてくれたのかと思ったけど、俺の顔を見てきた店主の表情が露骨に『お前何言ってるんだ?』って感じで眉を顰められたから違うんだろうなこれ。

 

「……銃だけ買って弾薬持たない馬鹿が何処にいる。うちの値段は弾薬(ソレ)込みだ」

 

「あー、なるほど。ありがとうございます!!」

 

「おう」

 

 そういや銃の事ばっかりで弾の事を全く考えてなかったわ危ねぇ危ねぇ。

 

「本当はこの後、防具も少しくらい買いたかったんだけどその所持金じゃ無理だねぇ」

 

「マジか。まぁ、当たらなきゃ大丈夫っしょ!」

 

「何処からくるのその自信……はぁ、まぁいっか」

 

 トラの呆れ返ったため息と共に画面にフレンドから贈り物が届きましたと通知が入り、開いてみればそこには目の前にいるトラからのプレゼントで対光線マントって書かれた防具が送られてきていた。

 

「最近、使ってないからね。あげるよ」

 

「いやほんと、何から何まですまねぇなトラ」

 

「別に良いよ。先にゲームを始めてるからこそのお節介だし」

 

 うーん、こういうところが良いやつなんだよなぁ。

 集ってるみたいでちょっとばかり不安にはなるけど、他ならぬトラ自身が全く気にしてないし今はこの優しさに甘えよう……いつか恩返し出来る日が来ると良いんだが。

 

「装備してみたら?」

 

「ん。そうだな」

 

 ウィンドウを出して、装備から対光線マントとブラスターを装備してみる。

 対光線マントってのはポンチョみたいな感じになるんだな、それで銃は背中に背負う感じになると。

 

「うーん……仮面のせいで不審者感が凄い」

 

「そうか?俺は結構気に入ってるぞ!ヨシッ、じゃあ早速俺のFSを探しに行こうぜトラ!!」

 

「そうだね。それじゃあスカベンジの基本を説明するんだけどって、ごめんちょっと通信が入った」

 

 トラのアバターの前に通話中という文字が出てきて、トラがどんな会話をしているのか聞き取れなくなったって事は防音システムみたいなものか?同じ陣営か通信相手が許可した相手しか通話出来ないみたいな?

 なんかトラが真剣な表情になってる気がするし、もしかしてこの通話長いか?

 

「さてどうしようかな」

 

『占領戦速報。クトニオス抵抗戦線所有領S-26エリアにスペース帝国が攻め入りました。繰り返します──』

 

「ん?クトニオス抵抗戦線ってトラが所属している土着陣営だよな。あー、つまりこの通信って」

 

「ごめん!Ryu!!ウチが攻め込まれたから守りに行ってくる。スカベンジは直近で戦闘があったエリアに行けるからマップを開いて向かって!!」

 

「おう。此処までありがとうなトラ!」

 

「じゃあ、行ってくる!!終わったらメッセージ飛ばすから!!」

 

 やっぱ、占領戦はこのゲームの重要な要素なんだな……お、トラの姿が消えた。

 マップを開いていたみたいだし指定座標にワープする機能でもあるんだろう、俺にもマップを開けって言ってたし。

 

「さてさて……何処に行こうかな」

 

 この世界は巨大な円形上でさっき、放送でS-26とかなんとか言っていたけどSってのはSouth──つまり、南を意味する頭文字で実際にこの円形フィールドの南側はクトニオス抵抗戦線の領地を示す緑色で多く染まっている。

 で、多分このマップにあるマス目を数える感じバザーがある場所をゼロとして南の方向に26マス進んだところが今の戦場なんだろうな剣と剣がぶつかり合ってるみたいなマークが出てる。

 

「……お?此処行けるのか」

 

 帝国領にあるE-56、昔は使われていた廃工場が点在してる場所らしいけどそこにスカベンジ可能なドクロマークが出ている。

 多分、死体漁りとかをイメージしてドクロマークなんだろうなコレ……

 

「俺がログインする一時間前くらいに終戦した場所っぽいしなんか運命感じるな。行ってみるか」

 

 ドクロマークをタッチすると、『スカベンジを開始しますか?』と聞かれたので『はい』を選択すると視界が真っ黒になり、暫くお待ちくださいという文字と共にゲージが出てきて、それが一杯になった瞬間視界が広がる。

 

「おぉ、本当にワープしたすげぇ」

 

 さっきまで居たバザーとは違うボロボロになった工場施設と、黒煙をあげるFSと思われる残骸が少し遠くに見えるボコボコした地面が広がる景色にテンションが上がるのを自覚した。

 

「よーし、待ってろよ。まだ見ぬ俺のFS!」

 

 意気揚々と初めの第一歩を踏み出した刹那、頭のスレスレを銃弾が掠めていった……え?

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