フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜   作:マスターBT

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初めてのフレンド!

「っとなんとか戻って来れたか」

 

 襲って来た奴に勝ったは良いが、どうやって戻るのか分からなかったけど《シン》に訪ねたら──

 

『開拓者であれば帰還メニューが用意されてると思いますよ。あぁ、この機体 《EVOLVER》に関しましては自動的に開拓者のFSハンガーに帰還しますのでご安心を』

 

「FSハンガー?」

 

『はい。開拓者であれば用意されているものです。それが傭兵であろうとも』

 

 ──という事らしいので従って、メニュー欄を弄ってたら帰還メニューがあったのでポチったら開始地点のバザーまで戻って来れた。

 

「おっ、 《EVOLVER》がFSハンガーに戻りましたって通知が出て来た。良かった良かった」

 

 折角、機体を手に入れたのにあの廃工場があった場所に置き去りにしてしまったとかだったら悲しいからな。

 まぁ、他ならぬ《シン》が言っていた事だしさほど心配はしてなかったけど。

 

「トラを待とうかなぁ……戻って来たともゲームから落ちたとも連絡来てないし此処が見やすくて休める場所ないかな」

 

 帰還場所が同じなのかは分からないけど、此処はログインした時と違って目印ですよと言わんばかりの大きな鉄塔が立ってるから待ち合わせ場所の目安になるだろうしな。

 

「帝国陣営の連中ってほんと、戦闘厨だよな。名乗りをあげてから向かってくるとか戦国時代か?」

 

「RPってやつにガチだよなあそこ。まぁ、最強の皇帝とかいう存在が居るから分からなくはないが」

 

「ふっ、ふふっ……やべぇ、食費が消えた……」

 

「やっぱ、時代はパイルよパイル!!」

 

「いーや、両手バズーカだろ!!」

 

 うーん、すっごい賑やかだな。

 適当に歩くだけで色んな話し声がそこら中から聞こえて来て、これだけでもそれなりに楽しいぞ。

 

「うーん……おっ、あそこはカフェか?」

 

 鉄塔の周りをウロウロしながら周囲の会話を楽しんでいると、少し先にレトロチックと言うには少々、錆が目立つが逆にそれがゲームと言えど此処が『戦場』の一角に作られた安全地帯なんだという認識を持たせてくれる珈琲のマークが描かれた看板とカフェが目に入った。

 ザッと見た限り、プレイヤーと思われる人達も屯しているし利用しても問題ないかな。

 

「っと、念の為メッセージを飛ばしておくか」

 

 さっきは鉄塔が目立つから良いかと思ったけど、こうしてカフェまで歩いてくれば人も多いし見逃す可能性も高いと思い直して、フレンド機能からメッセージを送ろうと歩きながら操作をしていたのが悪かった。

 

「えっと……あぁ、これか。此処からトラにっとうおっ!?」

 

「……わっ」

 

 前方不注意のせいでカフェから出て来た人と真正面からぶつかってしまい、お互いにその場で尻餅を付く形となってしまった。

 

「すみません!!前を見てませんでした!!」

 

 慌てて立ち上がってぶつかってしまった人に手を差し伸ばすと、そこには驚くほどの『白』があった。

 地面に広がる純白な髪は何処か、ベールを連想させる華やかさだと感じられたのは彼女が纏うスーツ、恐らくFSに乗る時のパイロットスーツが汚れの一つない真っ白なデザインだったからだろう。

 驚く事にそんな何処までも『白い』彼女は透き通る様な透明感を持っているにも関わらず、差し出した俺の手を見つめる瞳は血を思わせる『赤』で──まるで、物語の中から飛び出して来たかの様な彼女の姿にこの瞬間、間違いなく俺は見惚れていた。

 

「……私も不注意でしたので安心してください。ですが、仮面越しとは言え異性をそんな熱心に見つめる物じゃありませんよ?」

 

「うっ……すみません」

 

 彼女のご尤も過ぎる言葉にもう一度、謝罪を重ねると彼女は面白そうに笑い俺の手を取って立ち上がり、俺より少し背が低いせいかなんとも心臓に悪い上目遣いでジッと見つめられる。

 

「……えっと、そういう貴女もジッと見ている様な気がするんですけど……」

 

「あら、ごめんなさい。ふふっ、初期衣装のままって事はニュービーの方でしょうか?それも初手、傭兵とはチャレンジャーですね」

 

「え、あはい。トラじゃなくて、フレンドにもそう言われましたね。あ、でもFSはさっき、手に入れて来たので!」

 

「へぇ……」

 

 あれ?なんか変なこと言ったかな……目の前の女性プレイヤーの目がスゥッと細くなった様な気もするし、心なしかずっとにぎやかだった周囲のプレイヤー達が静かになってる様な。

 

「えっと」

 

「口は災いの元ですよ新人さん。通常、傭兵が単独でFSを手に入れるには二パターンありますがそのどちらも敵を多く作りますから」

 

「えっ、そうなんですか!?」

 

 トラの奴何も言ってなかったぞ!?

 あー、でも俺と一緒に探索に出る予定だったのが陣地を攻められて、無理になったから攻め込まれてなきゃ探索中に色々と教えるつもりだったんだろうな、アイツが意図的に俺を貶めるとは到底思えないし。

 

「はい。一つは撃墜されたFSを見つけること……これは当然ですけど、以前使っていた方がいらっしゃる訳ですからその方にとっては死活問題です。ある程度、資金に余裕があれば新しくFSを購入するのも手ですが、引き際を悟れない或いは逃げる訳にはいかなかった方がそんな余裕ある訳ありませんので、取り返しに来るんですよ。フレンドと協力したり傭兵に依頼したりして」

 

「あー、なるほど。このゲームで金回りは大変ですもんね」

 

「はい。そして、もう一つですがこのゲームにはスポンサーとなっている企業や個人からコンセプトにあった機体を登場させて欲しいという要望が入る事があるんです。イベントや大会の報酬になってたりする事もあるのですが、スポンサーの方針によってはお知らせも何もなくゲーム内に隠されている場合があるんですよ」

 

 咄嗟にあっと、溢しそうになったのを必死に堪えた俺を褒めて欲しい。

 隠されているという単語を聞いた瞬間、頭に過ったのは《EVOLVER》が待機していたあの地下空間だったのだから。

 アレは何処からどう見ても隠されているという表現がピッタリだし、思い出してみれば襲って来た奴が『レア機体』がどうとか言っていた気がする!!

 

「さて何か心当たりがあると言った風の表情にも見える気が致しますが、私は優しいので問い詰めないであげましょうか」

 

「た、助かります……」

 

「その代わりと言ってはなんですが……」

 

 そう言って彼女は何やらメニュー画面を操作する素振りを見せると、次の瞬間俺の画面に通知が出て来た。

 

《プレイヤー『Canaria』より、フレンド申請が送られて来ました》

 

「フレンド申請?」

 

「そうです。私も傭兵の一人なので貴方の様な新人さんは良い商売相手なんですよ。先程の様に簡単な情報を教える事も出来ますし、伝手が足りないので救援要請を受けやすいですからね」

 

「なるほど……あ、あの先程教えて頂いた情報って、お金払う必要ありますかね……そのちょっと、手元に余裕がないんですけど……」

 

 ブラスターを買った為に俺の所持金は5000Gしかない…… 《EVOLVER》を手に入れたとは言え、売れるパーツとかも拾えて来てないしな。

 あれ?そう言えば何もせずに帰って来たけど、襲って来た奴の機体から何かパクって売れば良かったのでは?

 

「……ふふっ。先程の情報は大した価値もありませんし、折角の新人さんからお金を取るほど私は困窮していませんので今回は無料で良いですよ。フレンドになってくださるのなら」

 

「分かりました!!」

 

 おぉ、この人が優しい人で良かった!!

 もし、此処で金を取られていれば自分の馬鹿っぷりに頭を抱えるところだったよ……

 

「Ryu……良い名前ですねRyuさん。承認してくださりありがとうございます」

 

「いえいえ、俺もCanariaさんみたいな優しい人に会えて嬉しいです」

 

「ふふっ。ありがとうございます。では、私はこれで」

 

 柔和な笑顔を浮かべて去っていくCanariaさんに手を振り別れを告げ、当初の目的通りトラにメッセージを送ってから俺はカフェへと入るだった。

 いやぁ、良い出会いがあって良かった良かった!!

 

 

 

 

 

 

「ふふっ。戦場ではないとは言え、私が誰かとぶつかるまで接近に気が付かないなんて」

 

 嬉しそうに私の手を取り、感謝を告げる彼の顔は何処までも純粋で新人らしい心の底からこの世界を楽しんでいるのが伝わってくる良い表情で私も釣られる形で嬉しくなりました。

 

「けど、そんな彼が私に土を付けた。ふふっ、あはは!!単なる新人が故に何も感じなかったのかそれともこの世界が導いた運命なのか。Ryuさん、貴方の牙が私を愉しませてくれる事を期待しますよ?」

 

 さぁて……今日のところはこの火照りをこれから受ける依頼で冷ますとしましょうか。

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