フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜   作:マスターBT

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衝撃の事実

「ほんと君の豪運には驚かされるよRyu……」

 

「その反応からしてやっぱり《EVOLVER》ってスポンサーが用意したレア機体なのか」

 

「そうだね。あの廃工場エリアに地下エリアがあるなんて聞いた事ないし、話を聞く限りじゃあ世界観に沿った案内があったんでしょ?うん。全部が普通じゃないね」

 

「そっかぁ……」

 

 戦いが終わったばかりだって言うのに俺が《EVOLVER》の事を教えたせいで、屈強な外見のトラのアバターの眉間にはクッキリとした皺が寄って疲れもあるんだろうけど年上に見えて落ち着かないなぁ。

 

「あ、そういや占領戦は勝てたのか?」

 

「あぁ。無事に勝てたよ。制限時間である二時間までかかったけどね」

 

「ほー……え、二時間もかかるの?」

 

「途中で撃墜されればそこで終わりだけどね。ほら、開戦直後だと参加出来ない人とかもいるしその辺も戦術の一部らしいよ。まぁ、拘束時間が長いから嫌がる人も居るけどね」

 

 まぁ、最大で二時間も拘束されるのなら嫌な人も居るだろうなぁ。

 俺みたいに好きなことしたい!!ってタイプは陣営所属に向いてないプレイヤーなんだと再認識したよ。

 

「色々と手当てがあるってのはメリットだよ。確かにRyuには向いてないかもだけど」

 

「心の中読まなくでくれるか?トラ」

 

「分かりやすい君が悪い……うーん、やっぱりゲーム内の食事は美味しくない……これじゃあただ苦いだけの泥水だよ」

 

「格好つけてブラックコーヒーにするからじゃないか?ほれ、カフェオレはまだ飲める味だぞ」

 

 トラとの待ち合わせ場所にしたカフェにはフルダイブのゲームらしい食事が用意されていて驚いたけど、一口注文したBLTサンドを食べて理解した。

 食事のデーターが足りないのか、敢えてなのかは分からないけど雑な味付けで珈琲なら取り敢えず苦く、俺が食べたBLTサンドなら塩っぱくといった感じで複雑な味付けが全く再現出来ていない。

 

「甘いんだよねカフェオレ……」

 

「この大人舌め」

 

「Ryuがお子様舌なだけだと思うけど。まぁ良いか……《EVOLVER》だっけ?俺も一目見たいからFSハンガーに招待してよ」

 

「良いけど……どうやってやるんだ?」

 

「FSを手に入れたからメニューに新しくFSハンガーってのが出現してると思うからそこを開いてみて」

 

 言われてた通りにメニューを開いてみれば、どうやら見落としていたらしいところにFSハンガーという項目が出現しており選択してみるとソロで向かうかフレンドを招待するかという選択肢が出てきたのでフレンドである『Torabaku』を招待してっと……あ、『Canaria』が出撃中になってる。

 

「お、招待来たね。じゃあ行こうか」

 

「おう」

 

 トラが了承した瞬間、視界が一瞬暗くなり次の瞬間には《EVOLVER》と出会った時に見たあのCTスキャンの機械みたいなものが置かれてる場所に来ており、その横に《EVOLVER》が待機していた。

 

「おぉ、あの廃工場じゃん」

 

「……レア機体ってFSハンガーまで特別仕様になるのか。どうしよう、途端にRyuが羨ま妬ましい存在に思えてきた」

 

「多分本音と建前が逆だと思うんだトラ」

 

「当たり前でしょ。今更Ryu相手に建前とか……ふっ」

 

「鼻で笑うのは違くない?ねぇ??」

 

 基本的に良い奴なんだけど、時折トラってこう辛辣なんだよなぁ……そういう態度を見せても嫌われないと思われるのかもしれないけど。

 

『おや、開拓者。ご友人ですか?随分と仲が宜しい様ですが』

 

「よっ、《シン》その推測は合ってるよ。コイツはトラって言って俺の友人だ」

 

『なるほど。覚えておきますトラ友人』

 

 俺の事を開拓者って呼ぶからだろうけど、トラ友人って癖のある呼び方だなって、なんか隣のトラが口を大きく開けて固まってるんだけどどうした?

 

「おいトラ──」

 

「喋るFSなんて初めて見たよ!?しかもすっごく自然だったし!!レア機体って通常とは異なるという触れ込みだったけど、まさかここまで違うなんて……BAN覚悟でMODを導入してた人達が知ったら嫉妬で死んじゃうんじゃないかな」

 

「興奮してるのは分かったから落ち着いてくれ。何も聞き取れん」

 

『一呼吸もありませんでしたね。トラ友人、早口の天才でしょうか』

 

「《シン》独特のボケを挟まないでくれ。ツッコミが一人は疲れるから」

 

 結局、その後何やら興奮した様子のトラが落ち着くまで三分ほどかかった。

 何が大変だったかって、《シン》が低音大人系の女性ボイスの割に子供かってくらい此方の言葉に反応するもんだからその度に、AIとしての完成度が高いとかなんとかトラが歓喜して止まらない事だった……リアルではAIに関して勉強してる奴だから仕方ないかもしれんけど、専門用語が飛び出すのは着いていけないからさ……

 

「んんっ、ごめん。ちょっと取り乱したよ」

 

「あぁ……うん……そうだね……」

 

『トラ友人との会話はとても有意義でした』

 

 あれぇ?《シン》って俺のパートナーだよね?トラとの相性の方が良さそうな気がするんだけど??

 

「そう言って貰えると嬉しいよ。AI開発に熱心な企業となると『ムーンコーポレーション』かなこの機体の出資先は……あの会社の企業理念はより良き人類のパートナーだったしゲームを通して学習させるつもりかも」

 

『トラ友人?』

 

「あぁ、ごめんごめん。リアルの話はメタいよね。Ryu、実際使ってみてどうだったの?《EVOLVER》は」

 

「……《EVOLVER》はあげないぞトラ……!!」

 

「えぇ、突然なにどうしたの?戦闘以外で他人のFSを奪う手段はないから安心して」

 

「むぅ……海より広い俺の器で許してやろう。んでなんだっけ使い心地だっけか。武装が無い事以外は良かったぞ」

 

 まぁそもそも俺は他のFS使ってないから《EVOLVER》以外の操作性とか知らんのだけど、大体思った感じに動いてくれたし襲ってきた相手にぶっつけ本番で勝てたし良いんじゃないのって感じだが。

 

「……え、武装ないの?」

 

『当機には何処の馬の骨が作ったのかも分からない武装は不必要ですので』

 

「ん?なぁ、《シン》?それって、俺が金を稼いだりスカベンジして手に入れた武装を追加で載せるつもりもないって事か?」

 

 いやいや、まさかそんな事ってないよな?

 これから先もずっと拳と蹴りだけでこのFSW(このゲーム)をやらなければならないと??──そんな事はないと信じたい祈りを込めながら《EVOLVER》のイケメンフェイスを見上げる。

 

『その通りですよ開拓者』

 

「嘘だろぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「わぁ……」

 

 膝から崩れ落ちた俺の背中にポンッと置かれたトラの手が妙に暖かく感じました……レア機体を手に入れた代わりに縛りプレイってマジ?

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