フロンティアスピリットウォーズ〜浪漫と脳筋男がゼロから始める傭兵プレイ〜   作:マスターBT

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傭兵業ってなにをすれば良いんだろう?

 ピピッ!ピピッ!っと甲高い電子音が鳴り響き、それが耳元に置かれているスマホからだと微睡の中で思い出した俺は飛び起きながら目覚ましを止める。

 時刻は朝の七時……学生にとって天下の夏休みにも関わらず早起きした部類だろう、俺偉いぞ。

 

「今日はバイト入ってないし、朝飯食ったら《FSW》にログインするかぁ」

 

 幸運にも手に入れた俺の機体《EVOLVER》がショップやスカベンジで手に入れる武器を装備出来ない──正確には搭載されているAIの《シン》が拒否するからだけど──と判明し、ただでさえ傭兵陣営スタートとかいう縛りプレイの中、まさかの装備縛りも追加されてしまったからPS(プレイヤースキル)を上げないとな。

 

「っと、今日は遅いんだな母さん」

 

「おはよう龍斗。実はね、遅いんじゃなくてついさっき帰ってきたのよ」

 

「……また研究でずっと起きてたんだな」

 

「うふふ」

 

 キッチンで口元に手を当てて和かに微笑む俺の母親である『一色 遼子』は宇宙工学取り分け、再使用宇宙輸送システムに関する研究者をやっていてその手の研究にのめり込めば平気で徹夜をし、昼夜が逆転する事を厭わないせいで今日みたいに朝帰りをする事も珍しくないというか、帰ってきてる姿を見るのも珍しいレベルだ。

 

「ほらだって今度、お父さんが宇宙に行くでしょ?私としては序でにお願いしたい事があるからねぇ〜今のうちに調べるだけ調べようと思って」

 

「父さんがパンクしない量にしてあげてよ?」

 

「うふふ」

 

「……父さん、強く生きてくれ」

 

 母さんがニコニコと笑って誤魔化す時は大抵、忠告を無視して凄い量の仕事が父さんに振り分けられる兆候だ。

 まぁ、父さんも父さんで母さんからの無茶振りに喜んでる節があるし、お似合いの夫婦なんだろうな。

 

「朝食作ろうか?財布を持ってるって事はコンビニで買おうとしてたんでしょ?」

 

「いや良いよ。疲れるだろうし母さんはゆっくりしてて」

 

「そう?じゃあお言葉に甘えてゆっくりさせて貰うわねぇ〜」

 

 沸騰したヤカンのお湯をたっぷりとコーヒー豆が入れられたカップに注ぐのを見ながら、俺は家を出た……いつもの事だけど、あの濃さのコーヒー飲んだ後によく寝れるよな母さん。

 

 

 

 

 

「さてと今日は何をしようかな……」

 

 武器は買えないとは言え、機体の修理費用とかは稼ぎたいよな……となるとスカベンジに行くか傭兵業をするかなんだが、トラはまだログインしてないみたいだしどうするか。

 

「あっ、Canariaさんオンラインじゃん。彼女も傭兵やってるって言っていたし、普段何をしてるか聞いてみるか」

 

 えっと『突然の質問すみません。特に依頼とかがない時って傭兵は何をすれば良いんでしょうか?』っとこれで良いかな……って、返信早いな!?

 

「『公募されている依頼を受けてみてはどうでしょうか?バザーの目立つ鉄塔近くにボードあるので、そこから各陣営が出してる不特定多数向けの依頼を受けられますよ』……ほほぅ、公募依頼ってのがあるのか。ありがとうございますって返して早速、見に行くか」

 

 バザーの目立つ鉄塔ってのはあれだな、帰還した時の場所に向かえば良いんだろう。

 今日も相変わらず賑わっている道通りを進んで行けば、すぐに鉄塔に辿り着き辺りをキョロキョロすればすぐ近くに鉄製のボードが地面に刺さっているのを見つけた。

 

「すみません、これって公募が掲示されてるやつで合ってますかね?」

 

「ん?あぁ、新人さんか。そうだぜ、俺達みたいな名が売れてない傭兵が金稼ぎに利用出来る場所だ。てか、珍しいな初期のパイロットスーツのままで傭兵とは。大概、元々所属していた陣営かオシャレした格好なもんだが」

 

「いやぁ……陣営選択しないで初手から傭兵を選んだもんで」

 

「マジかよ!ハハっ、酔狂な奴もいたもんだな。公募に来てるって事はFSはもう持ってんな。んじゃ、金回りがキツそうな新人さんに俺の番を譲ってやるよ」

 

 マジかよスキンヘッドにグラサンとかいう厳ついアバターしてる割に良いおっさんだなこの人!!

 

「ありがとうございます!!」

 

「良いってことよ」

 

 スキンヘッドのおっさんに順番を譲って貰い、ボードにアクセスすれば複数の依頼が視界一杯に表示されてちょっとビビった。

 三つの陣営それぞれから依頼が出てるらしく、正直ほぼ知識のない俺にとってはどれを選ぶのが正解なのか全く分からないが占領戦や防衛戦に参加する系のやつは一旦、辞めておくか。

 

「んー……ん?この反乱軍鎮圧ってのはなんだ?」

 

「そいつは占領戦後に沸くNPCFSの討伐だな。一定確率で占領戦後にポップするんだが、まぁ全滅するまでの間、勝利陣営にデバフを撒くんだ。どの陣営も占領戦後は疲れてるから俺らみたいな傭兵に後片付けを頼むんだよ」

 

「ほへ〜ってわざわざ教えてくれてありがとうございます!!」

 

「良いってことよ!無名同士協力していこうや」

 

 おっさんに教えて貰ったしこの依頼を受けようかな。

 勝利した陣営は帝国陣営で、ポップするのは連合国陣営のFSか……受注しますよっと。

 

『依頼を受注しました。討伐依頼は撃破数に応じて報酬が上がるので可能な限り多くの数を撃破する事を推奨します』

 

「おぉ、チュートリアル出てきた」

 

 撃破数に応じて報酬が上がるのは良いね、俺も操縦の練度を上げたかったし。

 

「よしっ。色々とありがとうございました!」

 

「おう!!」

 

 いやぁ、Canariaさんに続いて良い人に会えて良かったぜ。

 確か出撃する時はメニューで出撃を押せば良いだけだから、ちょっとだけ《シン》のところに行って依頼の説明をしてから向かうか。

 

 

「……よし。行ったな。お前ら、準備しとけよ。新人にこのゲームの怖さってやつを教えてやろうぜ」

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