関わる人全てを曇らせるホシノの同級生   作:フタバ ハクシ

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大事なのは経験ではなく、選択。
責任を負うものについて、話したことがありましたね。
あの時の私にはわかりませんでしたが、今なら理解できます。
大人としての、責任と義務。
そして、その延長線上にあった、あなたの選択。
それが意味する心延えも。
ですから、先生。
私が信じられる大人である、あなたになら、
この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を.....。
そこへつながる選択肢は.....きっと見つかるはずです。
だから、先生。どうか.....


1章 対策委員会の奇妙な1日
ABAKU


「「シャーレ」の顧問先生です。よろしくね」

 

先生が来た。

3年生になっていろいろ変わった。新しくアビドスの一員となってくれた、奥空おくそらアヤネと黒見くろみセリカ。2人とも真面目で学校のことに親身になってくれるやさしくてかわいい僕らの後輩だ。

 

ホシノは月日を重ねるごとにユメ先輩に似てきて、髪も伸びた。発言は入学したての頃とは比べものにならないほど丸くなったし、自分のことを「おじさん」と呼ぶことが多くなった。

 

シロコは初めて見た時からかなり成長して、ほとんど僕と変わらない背丈になった。戦闘能力も、このままじゃ追いつかれるのは時間の問題だろう。

 

ノノミは出会った時からの変化はあまりなく、変わらず優しい。曲者が多い対策委員会の中だと一番常識があるので、いつの間にか委員会の精神的支柱となっている。

 

僕はあまり変わっていない。性格の変化もなければ、背丈も伸びることがなかった。髪型を変えたり、しゃべり方を変えたわけでもなく、相変わらずシロコからは若干舐められているような気がする。

 

そんな対策委員会に、連邦捜査部「シャーレ」の先生が来た。

今朝、シロコがここに来る途中で倒れていた先生を救助し、そのままここに連れてきたらしい。

僕より少し大きい体格に、背中部分を伸ばしている紺色の髪。スーツに身を包むその姿は、スタイルの良さを強調していたが、ところどころ砂で汚れている。

何より特筆すべき点は、ヘイローがついていないということ。

少なくともキヴォトスで生まれたわけではないようだ。

 

「...」

 

ノノミとアヤネが「支援要請が受けられる」と喜んでいる。

ホシノは隣の部屋で眠っているらしく、この部屋にはいない。

セリカが先生の到着を知らせようとホシノのもとへと向かっていった。

 

刹那、銃声が響き渡る。

窓から外を見ると、見覚えのあるヘルメットをした集団が学校の周りを覆っていた。

 

「わわっ!武装集団が学校に接近しています!カタカタヘルメット団のようです!」

 

アヤネがタブレットから得た情報をみんなに伝える。

 

「あいつら...!!性懲りもなく!」

 

シロコが敵意をむき出しにしてそう言った。

 

「ホシノ先輩をつれてきたよ!先輩!寝ぼけてないで、起きて!」

 

セリカが怒鳴り声に近い声でホシノを起こす。

 

「むにゃ.......まだ起きる時間じゃないよー」

 

「ホシノ先輩!ヘルメット団が再び襲撃を!あ、あとこちらの方はシャーレの先生です!」

 

アヤネが状況を簡潔に伝える。

 

「ありゃ~そりゃ大変だね....あ、先生?よろしくー、むにゃ」

 

「ホシノ、しっかりして。学校を守らなきゃまずいよ」

 

「レイヤまでぇ....これじゃあおちおち昼寝もできないじゃないか~、ヘルメット団め~」

 

「すぐに出るよ。先生のおかげで、弾薬と補給品は十分」

 

シロコが銃を構え、窓から颯爽と飛び出す。

 

「手伝ってくれるかな、A.R.O.N.A」

 

銃を構え教室を出る直前、先生がタブレットに向けてそう呟いていたのが、なぜか忘れられない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ~まさか勝っちゃうなんてね。ヘルメット団もかなりの覚悟で仕掛けてきたみたいだったけど」

 

ホシノがへらへらとしながら言う。

 

「先生の指揮が良かったね。私たちだけの時とは全然違った」

 

「これが大人の力....すごい量の資源と装備、さらに戦闘の指揮まで。大人ってすごい」

 

シロコが目を輝かせながら先生の方を見る。

あんな表情をするなんて珍しい。さすがは「シャーレ」の先生と言ったところか。

 

「少し遅れちゃいましたけど、あらためてご挨拶します、先生」

 

アヤネが話を本題に戻す。

 

「私たちは、アビドス対策委員会です」

 

「私は、委員会で書記とオペレーターを担当している1年のアヤネ....」

 

「こちらは同じく1年のセリカ」

 

「どうも」

 

社交辞令のような感じでセリカがあいさつをする。

 

「2年のノノミ先輩とシロコ先輩」

 

「よろしくお願いします、先生〜」

 

「さっき、道端で会ったのが、私」

 

「....あ、別にマウントを取ってるわけじゃない」

 

少し恥ずかしそうにしながらシロコは訂正した。

 

「そして、こちらが委員長と副委員長の」

 

「3年のホシノ先輩、レイヤ先輩です」

 

「いやぁ〜よろしく、せんせーい」

 

「先生、よろしく」

 

自然と声が少し低くなる。

僕の直感が「この人は危険だ」と警報を鳴らしているからだ。

ユメ先輩が悪い大人に搾取されているのを間近で見ていたからだろうか、僕は大人という生き物を信用できなくなっていた。

大人は無知で純粋な子供を当たり前のように騙す。

自身のエゴと利益のために、巧妙で、甘い言葉を用いて。

大人はそういう生き物だ。僕はそう割り切っていた。

 

「みんな、紹介ありがとう」

 

「ところで、対策委員会は何をする委員会なの?もう少し詳しく聞きたいな」

 

優しい声色で先生は尋ねる。

 

「そうですよね、ご説明いたします。対策委員会とは.....」

 

そこからは、対策委員会の生い立ちなどをみんなで先生に説明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさい。皆さん、お疲れ様でした」

 

「ありがとう、アヤネ。先生とアヤネのおかげで戦いやすかったし、すぐに片付けることができた」

 

僕はアヤネと先生に感謝の言葉を述べる。

あの後、戦力を消耗し疲弊しているヘルメット団の拠点を叩き、近くにあったアジトを壊滅させることに成功した。

あまり認めたくはないが、先生の的確な指示のおかげでとても戦闘がスムーズに済んだ。

 

「みんなのおかげだよ。私は大人のくせに、みんなの陰に隠れて指揮することしかできないから...」

 

「何言ってるのさ先生、先生がいなかったら今頃アビドスはヘルメット団に占領されてたよ〜。ほんとにありがとねぇ〜」

 

ホシノが貼り付けたような笑顔で先生に礼を言う。

 

「ん、これでやっと、重要な問題に集中できる」

 

「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!!」

 

「ありがとう、先生!この恩は一生忘れないから!」

 

セリカが元気よく感謝を伝えた。

 

「....借金返済って?」

 

先生が疑問を投げかける。

 

「あー.....そういえば言ってなかったっけ」

 

僕が口を開く。対策委員会の成り立ちは大体みんなが説明してくれたけど、この学校が抱える一番の問題については誰も触れていなかった。

 

「ちょ、ちょっとレイヤ先輩!」

 

セリカが続く言葉を遮ろうとする。

おそらくセリカの言いたいことは、「信用できない大人に私たちの秘密を打ち明けなくない」といったことだろう。僕もノノミやアヤネよりセリカの意見に賛成だ。

先生は部外者だ。ここアビドス高等学校のみんなとは違い、廃校になっても路頭に迷うことはない。

そんな人間がこの学校が抱えている問題を本気で考えてくれるとは思っていない。

でも、これはチャンスだ。

この大人が僕たちの秘密を知って、どのような行動を取るか。僕たちに有益な行動を取ってくれるのなら利用し、邪魔ならば消せばいい。

 

「僕たちじゃ正直しんどい問題でしょ。大人の力を借りてもいいと思うんだけど」

 

「そうだよセリカちゃん。わざわざ隠すことじゃあるまいし」

 

ホシノが僕の意見をフォローしてくれる。

 

「でも、先生は結局部外者じゃない!」

 

セリカはそれでも納得できないようだった。

 

「現状、これしか打開策がない。このままじゃ、本当に廃校になる。それともセリカはほかに何かいい案があるの?」

 

「そ、それでも!この学校の問題は、ずっと私たちだけで何とかしてきたじゃん!なのに今更、大人が首を突っ込んでくるなんて!!」

 

「私は認めない!!」

 

その言葉を言い残し、セリカは教室を出て行ってしまった。

 

「セリカちゃん!?」

 

アヤネがセリカを呼び止めようと声を上げたが、セリカに届くことはなかった。

 

「私、様子を見てきます」

 

ノノミがセリカの後を追って教室を後にする。

 

「...先生」

 

僕が呼ぶと先生はとてもまっすぐな目つきでこちらを見つめる。

絶対に暴いてやる。その顔の奥に隠している、お前の本性を。

僕は右拳を強く握りしめた。

 

「この学校には、かなりの額の借金がるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの大人、信用できると思う?」

 

夕暮れが始まってからかなりの時間が経ち、あたりが次第に暗くなった学校。

その屋上で僕はホシノに疑問を投げかけた。

 

「審議中かな。だけど、今の先生は信用できないね」

 

「私たちに協力的な姿勢は見せてくれたけど、まだあれだけじゃ信じることはできないかな」

 

あの後、僕たちは先生にこの学校が何故借金を抱えているのか、どうして借金を背負うことになったのかを説明した。

先生はとても真剣な眼差しで話を聞き、聞き終わると「私も委員会の一員としで頑張るよ」と言っていた。

 

「口だけなら何とでも言える。特に大人の言葉は信用できない」

 

「...レイヤも大概大人が嫌いだよね」

 

「ホシノほどじゃない。突然来た部外者を怪しむのは必然だと思うけど」

 

「確かにね。ひとまずこのまま先生の行動を待つのがいいんじゃないかな」

 

「ホシノはそれでいいの?もしあの大人が他の組織に情報を売ったり、内部からアビドスを破壊しようとしていたら?」

 

「その時はその時じゃない?もしそうなったらレイヤが守ってくれるでしょ?」

 

「...信用してくれるのはうれしいけど、ホシノは甘すぎる。取り返しのつかないことになってからじゃ遅い」

 

もし本当にアビドスを壊そうとしているのなら、早急に消す必要がある。

あの大人が砂漠で会った機械たちとつながっている可能性だってある。

ホシノがしないなら、僕があの大人の本性を暴けばいい。

僕はホシノに背を向け、校舎に繋がるドアに手をかけた。

 

「...今のレイヤ、昔の自分を見てるみたいだよ。変わったね」

 

うるさい。わかってる。だけど僕はユメ先輩みたいにアビドスを守れない。

ホシノはユメ先輩みたいにできるけど。僕はそうじゃないんだ。

 

「...それはホシノも一緒でしょ」

 

僕はそう吐き捨て、屋上を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生、この後時間ある?」

 

先生宛のモモトークにメッセージを送る。

 

「うん。どうかした?」

 

「来てほしい場所があって。来てくれない?」

 

「分かった。すぐ向かうね」

 

僕はそのメッセージを確認した後、スマホをポケットに入れた。

呼んだ場所はアビドスで有名なスラム街。そこに先日撃退したヘルメット団が住み着いたという情報を手に入れた。

そこに先生を呼び出して、ヘルメット団に誘拐してもらう。ヘルメット団は僕たちに関する情報を欲しがっているはず。

人間は命の危険に晒されると本性を現す。それは大人とて変わらない。

今際の際で僕たちを売るのかどうか。それが僕の考えた先生の本性を暴く方法だ。

 

「その仮面、いつまでもつかな」

 

僕は独り言を発し、建物の陰に隠れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、君たち....解放してくれない?」

 

あの後、無事にヘルメット団に捕らえられた先生は、使われていない工場に捕らえられている。先生は目隠しをされていて、ここがどこかわかっていないようだ。

僕は気づかれないように忍び込み、大きな機械の後ろに隠れている。

 

「解放すると思ってんのかよ!!オマエ、アビドスにいた先生だろ!!」

 

赤い服のヘルメット団員が先生に喋りかける。右手にはアサルトライフルを装備している。

赤い服以外にも16人、武器を装備している。

 

「そうだけど....私を捕まえて何をしたいのさ」

 

少し怖いのか、先生は声が震えている。

椅子に縛られている先生は何とか逃げ出そうとしているのか、腕と足を動かして解こうとしている。

逃げ腰で、とても情けない。

 

「簡単だよ!!誰かひとり、ここに呼べ!!」

 

「,,,どういうこと?」

 

「アビドスの生徒をひとりここによんで、ここにいる全員でボコボコにするのさ!!」

 

「さすがにここにいる全員でかかれば勝てねえだろ!!」

 

「...なるほど。一人ずつ倒してアビドスを乗っ取ろうと」

 

「言うことを聞くならお前の命は助けてやる!!断ったら....お前の顔に穴が開くことになるぜ!!」

 

「選択肢がはいとYESしかないみたいなのやめようよ...」

 

今の先生はまさに四面楚歌。売れば僕がこのチンピラごと消し、売らなければヘルメット団に殺される。

さあどうする先生。

 

「ふふっ」

 

先生は何故か少し笑った。命の瀬戸際で頭がおかしくなってしまったのだろうか。それとも、命が助かることに安堵を覚えた故の笑顔なのだろうか。

 

...やっぱり大人はこんなものか。

僕は銃を取り出し、掃除・・の準備を始めた。

 

「断る。あの子たちは私の大切な生徒だ」

 

「...はっ?」

 

予想外の返答につい声が漏れる。

驚きのあまり先生の方を見てしまった。先ほどまでの震えた声とは違い、力強い声で拒絶していた先生の表情は、とてもまっすぐな目つきをしていた。

 

「あの子たちは学校が抱える問題に対して真剣に向き合っている。私ですら目を背けたくなるようなことを、あの子たちは諦めずに解決しようとしている」

 

「君たちのような不良にあの子たちを傷つける権利はないよ」

 

そう言い切った。

先生はこの状況で自分の命と僕らを天秤にかけ、自分の命を懸けて僕たちを守ることを選んだのだ。

断れば自身の命の保証がないといわれても、それでも僕たちを選んだ。

 

「...そうか、残念だよ、先生」

 

赤い服の団員が銃口を先生の頭に向ける。

 

「生徒を守って死ねるなら本望だよ」

 

先生は笑いながらそう答えた。

 

「クソッ!!」

 

僕はリュックに忍ばせていた閃光手榴弾スタングレネードのピンを抜き、先生たちの方に向かって投げる。

 

「じゃあな、せんせ」

 

バンッ!!

 

凄まじい音と光が工場の中を包み込む。その瞬間に僕は物陰から飛び出した。

 

怯んでいる相手に向かって正確に1発ずつ、銃弾を打ち込んでいく。首元に打ち込めばヘイローがあるとはいえ気絶するほどの痛みを与えることができる。

 

「な、なんなんだ!!」

 

「何も見えない!!....がっ!」

 

邪魔だ、どけ。

僕はそこにいる大人と話がしたいんだ。

お前たちに興味はない。消えろ。

 

「な、何なんだよお前!!」

 

1人残された赤い服の団員は怯えた様子で僕を見ている。

他の団員は全員気絶して意識はない。あとはこいつを片付けるだけ。

 

「名乗るようなものじゃない。じゃあね」

 

そう言って僕は銃のトリガーを引いた。

 

「...はぁ...」

 

ひとつ、問題が片付いた。

 

「....」

 

僕は静かに先生の元へ近づく。

 

「...何が、あったの?」

 

何も言わず、僕は縛られている縄を解く。

解ききった後、先生の目隠しも外してやった。

 

「...レイヤ...君が....助けてくれたの?」

 

「.....して」

 

「うん?」

 

「どうして!!!あいつらの提案を飲まなかった!!!!」

 

僕は叫び声とも取れるほど大きな声で、先生を問い詰める。

 

「お前は僕らとは違う!!銃弾を受ければ簡単に死ぬんだぞ!!!」

 

理由をわかっていても、理解できない。

なぜだ。

なぜだ。

なぜだ。

 

「...どこから聞いていたのかな」

 

先生は毅然とした顔で僕に尋ねる。

 

「最初から全てだ!!先生を攫わせるよう仕向けたのも!!」

 

「僕の質問に答えろ!!!なぜだ!!!」

 

出会ってまだ数日しか経ってない子供のために命を張るなんて馬鹿なことを、何でしたのか答えろ。

 

「...簡単だよ。先生として、生徒を守る行動をした。ただそれだけだよ」

 

わからない。

なんで。

なんで。

なんで。

 

「大人は自分の利益のために他人を陥れる生き物だ!!それはお前も変わらないはず!!」

 

それを聞いた先生は少しハッとして、慈愛に満ちた、かわいそうな子を見るような目をしていた。

 

「....レイヤは、悪い大人をいっぱい見てきたのかな」

 

「そうだ!!そしてお前もきっとそうだ!!」

 

その時だった。

先生が僕に向かって飛び込んでくる。

気づけば先生は僕のことを力強く抱きしめていた。

 

「...これで、どうかな」

 

「っ....はなせぇ...」

 

先生は僕の頭を優しく撫でる。簡単に振り払えるはずなのに、どうしてだろうか、うまくいかない。

 

「レイヤはきっと、とても辛い過去があるんだよね」

 

「それが原因で、大人を信じられずにいる」

 

「知ったような口を....!」

 

黙れ。僕の過去も、ユメ先輩のことも知らないくせに。

お前は大人だ。悪い生き物だ。

 

「私はね、いつでも生徒の味方でありたいと思ってる」

 

先生は近くにあったハンドガンを手に取った。

 

「これ、握って」

 

言われるがまま僕はハンドガンを右手で握る。

先生は額に銃口を向けさせる。

 

「....何のマネだ」

 

「今ここで、この引き金を引いてもらっても構わない」

 

「生徒のために命を捨てる覚悟は、とうの昔にできてる」

 

僕は銃の引き金に指をかける。

 

 

 

 

でも、撃てなかった。

撃とうとしても手が震えて上手く握れない。

さっきのあいつらとこいつに何の違いがある?

僕にとっては両方邪魔者だ。

そのはずなのに、この大人の顔を見るたびにあの人の顔が、

ユメ先輩の顔がちらつく。

先輩と重ね合わせてしまって、僕は撃つことができなかった。

右手からハンドガンがこぼれ落ちる。

 

「....あなたは....似てる....」

 

「誰に?」

 

「僕の...尊敬する先輩に...」

 

再び先生は僕のことを抱きしめる。

 

「...認めてもらえたってことでいいのかな」

 

「...ごめんなさい、先生。あなたを試すような事をして、あなたを、危険に晒すような真似をして」

 

僕は先生の身体を強く抱きしめる。

 

「そうだね。先生として言わないといけない小言はたくさんあるけど....」

 

「...今は、このままがいい。でしょ?」

 

「....」

 

静かに僕は首を縦に振った。

 

大人は裏切る生き物だ。それは今も変わらない。

でも、この人は、先生は他の大人とは違う。

何が違うのかはよくわからない。

でも、この人になら僕たちの学校を、ホシノを任せられるかもしれない。

あぁ、駄目だ。考えすぎで眠たくなってきた。

先生の身体、とてもあたたかい。

 

「...あれ?眠たくなってきちゃった?」

 

「...ん」

 

「そっか...助けてくれてありがとう。おやすみ」

 

ホシノ以外に「ありがとう」なんて久しぶりに言われたなぁ。

薄れゆく意識の中、僕はそんな事を考えていた。




先生
本名⬛︎⬛︎ ⬛︎⬛︎
身長165センチ
髪の色 紺色
髪型 ウルフカット
とても優秀なシャーレの先生。生徒のためなら命を捨てる覚悟でいる。
⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎の姉。
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