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私はこの世に生まれてこの方、世間一般で広く認識されている純愛や、親愛などの極めて一般的である愛され方をされたことがなかったのだと最近気付いた。 私に向けられていた愛は、異常な愛され方であり少々変わった愛だったのだと。 その様なことがあり得るのかと思うだろうが出自から恵まれてはいなかったというのもあるだろう。 親は余り望んでいない状態での妊娠だった為、不都合というのもあったのだろう、そしていらなくなった玩具を捨てるように産まれて間もない時期に私は捨て子になった。 だが、そんな不幸続きだった私にもかなり早めの人生の転機というものが訪れた。 捨てられた私を衰弱死する前に拾い上げ育てようとしてくれた正に命の恩人とも言うべき物好きでもあり、当時の私からしてみると底無しの優しさを持つ美しい白髪の聖人の様な女性がいた。 その女性は、自分のことをノアと名乗り、拾った私のことを長年の間、まるで自身の子供かのように可愛がってくれ、親から注がれなかった愛情により欠けてしまった私の心を埋め直すように、過保護とも言えるような愛情を注いでくれた。 更には本来は違うが、私のことを拾った日を誕生日として、祝ってくれた。 そして、私が六歳の誕生日を迎えた日に勉強に興味を持った私はノアが家に籠もっている時にいつものようにやっていた、研究について手伝わせてほしいと頼み込んだ。 ノアはかなりの時間、回答に渋っていたが当時からほとんど近所の子供とは絡まず、感情の起伏が乏しく、ほとんど我が儘や頼み事を言わなかった私が珍しく興味を持ってやってみたいと自ら頼み込んできたことから、渋々とその頼みを受け入れてくれた。 だが当たり前のことだが、安全第一ということを肝に銘じる事と、研究についてノア以外には誰にも言うなということを念入りに、注意をされた。 そして、研究の手伝いをするに当たって基礎知識が必要だろうと当時六歳の男児にとっては到底理解を示せるようなものではない数式や物質の状態変化の条件など、勉強と云うには末恐ろしいほどの濃密な知識を叩き込まれた。 一度だけ 、ノアに対して勉強が嫌になったときに 「もうこんなむずかしいべんきょうやりたくない!もうやめるッ!!ノアなんて嫌いッ!!」と八つ当たりにも等しい我が儘を珍しく言ってしまった。 だがその我が儘を言ったとき、今まで優しかったノアが嫌いという言葉に反応して一瞬過呼吸になって泣きそうになり、綺麗な蒼玉とも見紛う青色の眼が深淵を宿し深く光が抜け落ちているようにも見えた。 それからはできるだけノアを傷付ける様な言葉を言わないように心がけていた。 そして段々と難しくなっていく勉強に私は着いていけるか不安になっていった。 だが、神は私を完全には見捨ててはいなかったようで、生まれの過酷さの代わりに驚異的な頭脳を授けてくれていたようだった。 私は其れを自覚してからは、みるみるうちに知識を身に付けていった。 ノアからは 「同じ分野の研究者でもここまで覚えの良い人は見たことがないです!本当に貴方は、賢い子ですね!流石私の愛しの子供ですね!!」 とまで言わしめるほどだった。 十分に知識を身に付けていった私はやがて研究についての手伝いを許されるほどとなった。 ここまで来るのには4年間は掛かってしまっていた。 ノアは私に知識を叩き込む間に当然のごとく自身の研究に打ち込んでいた。 始めは研究資料の整理から始まり、たまに資料の補足などを頼まれることがあった。 私は頼まれることに対してこれ以上に無いほど嬉しく思っていた、何故なら今まで私を育ててきてくれた恩を少なからずとも着々と、返すことが出来ていると思えたからだ。 そのことが私は純粋に嬉しくて仕方がなく明日は頼ってくれるだろうか、などと只管に明日が遠足であるかのように胸が躍っていた。 だがこのときの私はまだ気づいていなかった、 ノアからの私への愛が、過保護と言うには収まりきらない程の異常な量の愛情へと変わっていたことに
アルト:主人公であり、ノアの被害者 今の状況を例えると蜘蛛の巣に掛かった獲物 驚異的な頭脳を持つ
ノア:ヒロイン枠 一応アルトに出会って からの六年間は恋愛感情は全く“無かった” (過去形)手伝いをしたいと純粋に恩返しをしようとしたアルトの健気なお願いに墜ちてしまう