最凶のヴィラン大航海時代にトリップしました   作:HIDE X

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最凶のヴィラン、転生する

 

 

 

 

 

「これより、連続焼死殺人事件の犯人黒火 漣(クロビ レン)の死刑を執行する」

 

 

灰一色の殺風景な部屋。その部屋の真ん中にポツリと佇む椅子には全身を厳重に拘束された男が座っていた。

部屋に唯一設置されたカメラスピーカーから無機質な音声のみが響く。

 

 

「何か言い残すことはあるか?」

 

 

静寂、そして

 

 

「......、──────」

 

 

 

 

 

「死刑、執行」

 

 

その声と共に肌にチクリとした痛みが走る。そして男の意識は徐々に闇に染まっていった。

 

 

あぁ、クソみてぇな人生だったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザザーン……ザザーン…………

 

 

聞きなれないその音が遠のいていくのと共に俺の意識は段々と覚醒していった。

 

 

 

 

 

 

…………眩しい

 

 

 

 

 

 

……眩しい?

 

 

 

 

 

 未だぼんやりとした頭ながらその感覚に違和感を覚え、ゆっくりと目を開ける。

 

ぼやけた視界がやがて鮮明になり、そして飛び込んできた光景は……

 

 

 

 

雲一つない晴天とゴミ溜めだった。

 

 

 

 

 

「(まじかよ)」

 

 

上体を起こして辺りを見回そうとした瞬間、とてつもない頭痛に襲われ思わず片手で頭を抑える。

 

 

「(ハッ、死んでも痛みは感じんのか……それとも、ここが地獄か?)」

 

 

だとしたらとんだ笑い話だな。

 

そう嘲笑しながら再度辺りを見回すと、そこは一面ゴミの山。鉄屑や朽ちた木材などの廃材から、ボロ布や生活ゴミに生ゴミ...もはや腐りすぎて元が何なのか分からないような物体からは異臭までしてくる始末。

 

はて、日本にこんな場所あったか?

ゴミ処理場だったとしてもだよな……まあそれはさておき、さっさとこんなとこ出てしまおう。いつまでもゴミに塗れたベッドで寝る気は無い。

 

いい加減立ち上がると、ずっと瓦礫の山に寝てたせいか、はたまた一度死んだせいかは分からないが全身が痛んだ。

体を解し、顔にかかった髪を掻き上げる。

その時、何か自分の体に違和感を覚えた。何やら視点がいつもより低いような…… ?

偶然近くに捨てられていた大きな鉄片が己の姿を映し出していた。それを見て、俺は固まった。

違和感の正体はこれ。

 

なんと、体が10歳のガキ程に縮んでいたのだ。

 

これに大きく舌打ちを零す。

ふざけるなよ。神というものがいるのならぶん殴ってやりたいくらいだ。動きにくいったらありゃしねぇ。つーか人の体に何してくれてんだよ、どこの誰かは知らないがもし会う事があったら絶対に燃やしてやる……!と、信じてもいない神に対して悪態をついたところで、俺はある事を思い出した。

 

そういえば、""個性""は使えるのだろうか。

正直、こんな不法投棄の山みてぇなのができる所がマトモな訳がないだろう、とは長年の(ヴィラン)としての勘か、それとも……。

まあ、こんなガキが街中を一人で歩いているとしたら嫌でも人目についてしまう。ヒーローの厄介になると面倒だ。かと言ってヴィランが身を隠せる様な場所では格好の的にしかならない。少しでも身を守る術を確保出来ればいいんだが……個性まで10代の頃に戻っているとなると、これまた非常に厄介。

そう色々と思案しながら、俺は空中に右手を翳した。

 

 

黒炎(コクエン)

 

 

右手を黒い炎が包み込む。炎はゆらゆらと風を受けるでもなく揺らめいている。それに続けて「黒雷(クロイカズチ)」を発動すれば、黒い稲妻がバチバチと音を発しながら黒い炎と共に右手に纏わる。

そして、おもむろに右腕を振り上げると、先程の大きな鉄片に向かって振り下ろした。すると、その鉄片は鋭い爪で切り裂かれたようにバラバラになり、残骸を黒炎が全て無へと変えた。

その様子を見て俺はニヤリと口角を上げる。

 

 

「どうやら、威力は落ちてなかったみてぇだな」

 

 

 

 

不安定なガラクタの山から、舗装されていなくも人が通れるような道に出た。

ついでに、ここが何処なのか手がかりになりそうなものは無いかと周囲を探索しながら道なりに進んでみるも、一向にそれらしいものは見つからない。というか、人っ子一人も見当たらなかった。

本当に大丈夫か? これ。生ゴミがあったということは無人街(ゴーストタウン)ではないと思うが……そう考えながら歩いていると、いつの間にか目の前には森が茂っていた。

 

 

「(参ったな引き返すか? だが向こうには道なんてなかったような……)」

 

 

先程の記憶を思い出してみると、終始ゴミ溜が広がっており、唯一見つけたこの道はこちらの方向にのみ伸びている。

 

…………。

 

仕方なしに、俺は森の獣道を進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「クッソ……どこだよここ」

 

 

森に入って数時間……いやもしかしたら数分かもしれないが、どこを見回しても木、木、木……密集して生えているため中は薄暗く、時々覗く木漏れ日からまだ昼間であるということしか伺えない。

そのため、今森に入ってどれぐらいの時間が経ったのか、はたまたどっちの方角が正しいのかも分からずにただ森をグルグルしているような感覚に襲われた。

 

そうしてどれほど森にいたのだろうか。まぐれか僥倖か、木々の隙間に何やら人工物らしき物を発見した。それはどうやら建物のようだ。

それを目指し、茂みをかき分けて進んでいくと、何やら薄暗い裏路地へと足を踏み入れた。

 

服に付いた葉を取りつつ様子を伺って見れば、そこは正に""スラム""というような場所だった。

そこら辺のゴミや死骸にネズミやハエが群がり、道端にはボロ布を纏ったホームレスや虚ろな目をし、ガリガリに痩せこけた髪がボサボサの女にそこらで凶器を持ってたむろする男達など。こういった輩共は見慣れているがその中でも大分酷い方だな。

そいつらとできるだけ目を合わせぬように先程見えた建物を目指すと、ソレは案外近くにあった。その建物はレンガで造られており所々ひび割れているものの、きちんと窓もあるためどうやらまだ住めそうである。

壁をよじ登り窓から少し中を覗いてみるが、人が居そうな形跡もない。いざとなったらここを拠点にするのもありかもしれないと考えていると、ふと壁に貼ってあった紙が目に入った。

 

 

SPYDER MILES(スパイダー マイルズ)?」

 

 

英語で書かれているそれは、聞いたことも無い街の名前だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は死んだ。

 

 

死んだ""ハズ""だった。

 

 

 

無差別連続焼死事件の犯人。かつて魔王と謳われた大犯罪者であるAFOに次ぐ最凶最悪のヴィラン。

街を幾つも犠牲に、オールマイトを筆頭とした各国のNO.1、そして日本のヒーロー達と激戦を繰り広げた結果あえなくタルタロス送りとなった。それこそが()、ヴィランの""ユエ""である。

重罪を犯した者にとってタルタロスでは死刑が最も軽い罰となる。本来重罪を犯した者、事件の詳細が明るみに出れば社会を揺るがす影響を与えかねないと判断された者は法的手続きや人権を無視して永久に隔離され、一度入れば二度と日の目を見ないままその生涯を終える。つまり、俺は特例中の特例という訳だ。

恐らくだが、あの判断は俺の個性の危険性を加味しての事だろう。俺の個性の前じゃどんな拘束具でも意味を成さない。どれだけのセキュリティを用意しようが、俺の気分1つであの場を更地にすることだって可能だ。

それが分かっていたからこそ、俺が大人しいうちにさっさと処理してしちまおうって魂胆だったんだろう。

 

 

しかし、何故か俺はこうしてまたこの世に生を受けている。

一度、後発性の個性や幻覚を見せる個性でもかけられたのではないかと疑ってみたが、似たような個性を持ってる奴らを脳内でリストアップしてみても今の状況とは似ても似つかないものばかり。

個性でないとすれば運命なのか、はたまた神のいたずらなのか。どちらにしろ神は俺が嫌いみたいだな。そりゃそうか。

そうくだらない事を考えながら先程拾った新聞に目を通す。すると、気になる記事を見つけた。

 

 

【海賊王ゴールド・ロジャーの公開処刑!!〜大航海時代の幕開け〜】

 

 

新聞の見出しにはそうデカデカと書かれていた。その記事を見て俺は首を傾げる。

 

 

「海賊王…… ?」

 

 

言葉だけ見れば海賊達の王という事になるが……海賊なんて中世かそこいらの話だろう。しかも公開処刑なんぞ今の時代にしてみれば大批判の嵐は免れない。そもそも公開処刑は早々に撤廃されていた気がするが、まさか本当に中世だったりしねぇよな…………?

まさかなと思いつつ、随分と古い新聞だったためそういう事もあるかと軽く気にしないでおく。

他に手がかりになりそうな物はないか、張り紙やらなにやら手当り次第に調べていると、ある事に気がついた。

 

誰も""個性""を使っていない。

 

そりゃあ発動型は見分けが付きづらいが、異形型が一人も見つからないのはおかしい。

異形系は根強く残った異形差別や周囲からの迫害によってこういったスラムに落ちる奴が多い。だからこそいい目印にもなるのだが……。よっぽど姿を隠すのが上手い奴らか、そうじゃなくともスラムで個性を使っている奴が一人も見つからないなんて事は""ありえない""。

 

ふと先程の新聞記事を思い出す。海賊王ゴールド・ロジャー……そんな大層な肩書きを持ってるもんなら歴史の教科書に名前ぐらい出ていてもいいんじゃないか?

 

""スパイダーマイルズ""というどの国にも該当しない地名、中世ヨーロッパのような古い町並み、""大航海時代の幕開け""。

 

 

 

もしかしたら、ここは本当に""過去の世界""か?

 

 

 

個性はつい最近になって見つかったものだ。もし本当にここが過去なんだとしたら、個性が""無い""理由も辻褄が合うのではないか?

 

 

.............

 

 

 

ふぅ、と一つため息を吐いていると、いつの間にか俺の口角は上がっていた。

 

 

 

なぜ俺がこんな時代に飛ばされたのか、そんな事は知らねェが、決めたぜ。

 

 

俺はこの世界で""ヴィラン""として成り上がる……!

 

俺にはこの時代にとってはイレギュラーな""個性""があるんだ。

この時代でこそ、俺の名を知らしめるのさ。

既に""海賊""なんていうヴィラン紛いのモンもいるんだ。たった一人、国を滅ぼすような奴がいたって問題はないだろうよ……!

 

 

 

 

 

 

 

まあまずはこの体をどうにかしなくちゃならねェんだがな。

 

 

 

 

 

 

 




一応補足です。神様という単語が出てきましたが神様転生では無いのでご安心下さい。
これから色々とストーリを展開していくのですが...最初の方多分ダイジェスト気味になるかもしれません。頑張ってその分のストーリーは詰める予定ですが...まあ一応
あとオリ主くんの過去も少しずつ明かされていく...カモ?(気が向いたら書きます)

それでは閲覧ありがとうございました!!
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