最凶のヴィラン大航海時代にトリップしました 作:HIDE X
ゴミ溜で目を覚ましてから今日で1ヶ月。
この1ヶ月あのレンガ造りの建物を拠点に間情報収集を中心で生活していたら、色々と分かった事があった。
まず一つ目、どうやらこの世界は俺の知っている世界じゃないようだ。
俺は個性社会となった現代から、大航海時代という過去に来たと思っていたのだが、どうやら全く違ったよう。
まず、やはりこの世界に個性は存在しなかった。
それだけでなく、ヒーローという役の代わりに""海軍""という組織が。そしてこの世界でいうヴィランの代わりこそが""海賊""そして""革命軍""。革命軍とやらに関しては情報が少なかったが、大体名前の通り世界の""革命""を目指す組織らしい。
革命なんて、どっかの誰かさんを思い出しちまうな。
それともう一つ、この世界は殆どが海に覆われており、世界を縦断する""
どれも新聞だったり、ボロボロになっていた地図を組み直して情報を繋げたものだから断言は出来ないが、こんな無茶苦茶な地形1回地球が消滅したか天変地異が起きたかでしか現代の地形になった説明がつかない。
それに、この世界には大陸がなくほぼ全ての陸が島のみ。しかも島によっては原生する生物も気候も人間の種族も違うという。ミンク族や巨人族、魚人なんかもいるらしい。
いよいよ俺の知らない世界でしかねぇ。という事で俺はここは異世界であると結論をつけた。自分で言っててもバカバカしく思えるが、実際に獣の姿をした人間なんかを見てしまったら信じざるを得ないだろう。
明らかに、個性とは違った力。
ますます面白くなってきたなぁ.....!!
目の前で轟々と燃える黒炎と既に真っ黒に焼け焦げた二つの物体を前に不敵な笑みを浮かべた。
いつものようにスラムで情報収集をしていると、今日も""悪意を持った視線""を感じた。俺はまたかと思いつつ相手の動きを伺う。
最近.....という訳でもないが、俺がガキだからと絡んでくるような輩が多い。いい加減どうにかなんねぇかな。
俺は相手がなかなか仕掛けてこないのを見計らい、一本道の狭い路地へと入っていく。
確かこの先は行き止まりのハズ、このタイミングで仕掛けて来ないはずはねェ...!
狙い道理、男は俺の後を付けてこの路地へと入り込む。そしてナイフを取り出すと一気に接近し、俺の首元にそのナイフを突きつけてきた。
「おいボウズ、死にたくなけりゃ大人しくしてな...!!」
もう何度聞いたか分からないセリフを吐き、麻袋を取り出す男。なるほど、人攫いなァ。さてどうするか...
俺は男の腹に肘を一発入れると、その場から飛び退いた。俺の突然の反撃に反応できなかった男は鳩尾に入った一撃で地面に膝をついた。
「っ〜〜!!!テメェ!!ガキが調子に乗りやがって!!!」
落としたナイフを乱暴に拾い上げこちらへと切りかかろうと走って来る男。そしてナイフが俺の胴体を捉え、振り下ろされる.....が血しぶきが上がる事も、その男が倒れたということもなかった。
頭に?を浮かべた男が自分の握っているナイフを見て驚愕といった表情を浮かべる。
「ナ、ナイフが...!溶けたァ!!?」
ナイフの刀身が溶けたぐらいでわざとらしく驚く男の懐に一瞬で潜り込み、顎に向かって思いっきり蹴りを放った。すると綺麗に放物線を描いて吹っ飛び、脳震盪を起こしたのかそれ以上起き上がってくることはなかった。
男を焼くついでにポッケから財布を拝借して中を見てみると、見たことの無いデザインの硬貨と数枚の札。単位はベリーというらしく、イマイチ価値は分かっていないが、少ない事だけは分かった。
そんなことをしながら路地を抜けると、脇へ続く小道へ入る。その小道を抜けた先には中心街があり、スラムとはまるで別の世界が広がっていた。
人通りが多く小綺麗な建物や出店の並ぶそこは、東京までとはいかずとも、この島では一番栄えている場であった。
ふと、風に乗ってやってきた屋台の料理の匂いに空腹感が襲ってきた。
「腹減ったな.....」
そういえば今日は朝から何も食べていない。
ちょうどいい所にあった肉の串焼きが売っていたので2本購入。店主が串焼きを焼いている間、肉の良い香りに焼いているところをガン見していたら、それに気づいた店主が1本おまけしてくれた。
店主いわく
「ガキはいっぱい食って遊んでればいいんだよ!」
とのこと。この体も悪くねェなと思いつつ焼きたての串焼きを口へ運び、一口。
その瞬間、溢れ出た肉汁に目を見開いた。柔らかくも弾力のある肉の素材に、質素ながらも肉の味を引き立てる程よい塩味。
通常でも美味しいのだろうが空腹である今だからこそ味わえる至高の時間。空腹は極上のスパイスとはよく言ったものだ。
絶対また行こうと店の名前をマークしつつ、早々に串焼きを三本食べ終わった俺は一度スラムの拠点へと戻る事にした。
暇さえあれば情報収集をし、時々身体を動かす為に輩を焼く。そして腹が減れば中心街へ行き飯を食う。そんな生活を続けながら行動範囲を拡大していると、1年経つ頃には自ずと俺の名が浸透してきたらしく、突っかかって来るような奴はいなくなった。なんなら俺を認識すると脱兎のごとく逃げ出すやつがほとんどだ。それでも尚、命知らずな奴ってのは居るもんだがな。
まあ毎度毎度絡まれるよりはマシだが、収入源が無くなるのはキツい。新しく確保しねぇとな。となると、そろそろ旅に出るってのもありだな?まあそしたら、まずは船の確保からか。
海賊船パクるって手もあるが、如何せんガリレオ船の操縦なんてした事ねぇからなあ。
.....航海術の勉強でもするか?時間は余ってるんだし、何より基本的な交通手段が船ってなると、そういう勉強は嫌でもしといた方がいいだろう。思い立ったが吉日。街に本屋があったかは知らないが、ついでに探しに行くことにした。
ある日、俺に絡んできた命知らずな奴らを排除していると、ふと背後に気配を感じて反射的に振り替える。
すると、一方通行である路地の出口にピンクのモフモフを着た3m程の男が立っていた。
そんな男を見て、普通なら「いつの間に」や「誰だ」と思うような所だが、俺の脳内に真っ先に浮かんだ言葉は「どういうファッションセンスしてんだよ」だった。
そんな場違いな事を考えているとは露知らず、その男は口を開いた。
「お前が""黒炎使い""か?」
口ぶりからして、どうやらこの男は俺を探していたらしい。
男が口にしたその言葉""黒炎使い""とはこの世界の俺の通り名のようなもので、他の奴らが勝手に言ってるだけに過ぎないが、一応俺の事なので肯定しておく。
「そうだが、なんだ?お前がこいつらのボスか?」
「いいや、ちげェな」
男に向きながら背後の消し炭共を親指で示すと、男は顔を歪めて否定した。
「そうかよ。んで、随分人の事嗅ぎ回ってたみてぇだが...俺になんか用か?」
「随分と威勢がいいな...!」
「生憎、愛嬌振りまく為にヴィランやってるんじゃないんでな」
互いに膠着状態に陥り、しばらく睨み合っていると皮膚にピリピリとした感覚が走ったが、特に気にする程の事でもない。鋭く相手を見据えていると、男が突然ニヤリと笑みを浮かべた。
「フッフッフッ!気に入った。お前、俺のファミリーに入らないか?」
俺は男の変わりように一瞬たじろぐ。なんだコイツ...
さっきまで敵意マシマシだった相手が急に態度を変えて勧誘してきたら誰だって恐怖だし、何かあるのでは無いかと勘ぐるのは当たり前だ。
「ファミリー.....マフィアのボスでもやってんのか?」
「惜しいな、俺達は""海賊""だ」
「!.....なるほどなァ」
海賊、いずれはこの島を出ようと思っていた俺にとっては願ったり叶ったりだが........コイツを信用していいのだろうか?
コイツは今までのしてきたチンピラ共より、いや最早そんな奴らでは比べ物にすらならないだろう。
そして、コイツが求めているのは確実に俺の個性。まだ""個性である""という事はバレていないだろうが、ホイホイ話に乗ればどうせ使い潰されるのは目に見えてる。
だが、正直俺はヴィランとして活動できるのなら何でもいい。
俺は俺の為なら使える物は何だって使う。
俺の為なら、それが""悪魔""であってもな。
「....一つ、条件がある」
「いいぜ、言ってみろ」
「俺は縛られるのは好きじゃねぇ。自由にやらせろ」
その言葉に、男は一瞬意表を突かれたような顔をし、そして笑いだした。
「フ、フッフッフッ!!いいだろう!だが、場合によっちゃこっちの命令を聞いてもらうことになるぜ」
「緊急時以外での対応はしねぇ。あくまで""協力関係""っつー立場だ。それを受け入れるならいいぜ」
「俺相手に値切りか...おもしれェ...!分かった、緊急時以外は自由にして構わねェ」
随分とあっさり認められた事に拍子抜けしてしまった。自分でも大分無理難題を押し付けた気がするんだがなァ...まあ.....
「...契約は成立だ」
「いい返事を貰えてよかった...!着いてこい、ファミリーを紹介しよう。安心しろお前と歳の近い奴らもいる」
「ガキと仲良しこよしする気はねぇ」
「フッフッ...!お前、名前は?」
「あー.....ユエ、ユエで通してる」
「ユエか.....俺はドンキホーテ・ドフラミンゴだ。これからは""
そう、どこか不気味な笑い声は一人の少年を連れ、薄暗い裏路地へと消えていった。
やっと関わりがもてたぜ
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