マンハッタンカフェは大人の階段を昇りたい   作:あばなたらたやた

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2話:マンハッタンカフェ

 

サブトレーナーは優雅な微笑みを浮かべながら、一人ひとりのウマ娘と丁寧に目を合わせて握手を交わす。

「好きなものはなんですか?」

「好きなもの? そうだな、甘いお菓子と静かな夜の散歩が好きだよ。君たちの応援も、もちろん大好きだ」

 

 ファンから歓声が上がると、彼は少し照れたように笑い、次の質問に答える。

 

「休日は何をして過ごしていますか?」

「休日はね、ゆっくり本を読んだり、ピアノを弾いたりしてるよ。あとは、新しいダンスの振り付けを練習するのも楽しいかな」

「どんな服が好きですか?」

「シンプルだけど品のあるものが好みだね。白いシャツに黒のジャケットとか、動きやすくて気分が上がる服がいい」

「どんな女の子が好きですか!?」

 

 そして、少し恥ずかしそうに首をかしげて、

 

「どんな女の子が好きかって? うーん……明るくて、自分を大切にできる子が素敵だと思うよ。君たちみたいにね」

 

 ファンたちはその言葉に大興奮。「キャー!」「王子様すぎる!」と叫び声が響き合い、握手会の会場は一層熱気を帯びていく。サブトレーナーはそんな彼女たちに穏やかに手を振って応えつつ、紳士的な態度を崩さない。

 

 握手会での質問が続く中、ファンのウマ娘の一人が目を輝かせて聞いてきた。

 

「サブトレーナーくん、なんでトレセン学園でアイドルをやってるの?」

 

 周囲のファンたちも興味津々で耳を傾ける。サブトレーナーは一瞬目を閉じて考え込むような仕草を見せると、優しい笑顔を浮かべて答えた。

 

「なんでアイドルをやってるか……そうだな、みんなが好きだからだよ。君たちの笑顔を見ていると、僕まで幸せな気持ちになる。だから、もっとみんなを笑顔にしたいって思ったんだ。それが僕のアイドルとしての始まりかな」

 

 その言葉に、会場は一瞬静まり返った後、「うわぁ…」「王子様って本当こういうこと言うんだ…」と感動の声が広がる。ウマ娘たちは目を潤ませたり、頬を赤らめたりしながら、ますますサブトレーナーに夢中になっていく。

 

 彼はそんな反応に少し照れつつも、穏やかな眼差しで「ありがとう、いつも応援してくれるみんながいてくれるから頑張れるよ」と付け加え、握手を続けるのだった

 

 サブトレーナーは握手会を終え、疲れを癒すために休憩室へと向かった。扉を開け、一歩足を踏み入れた瞬間、背後で重い音が響き、扉が閉まる。振り返ると、扉はまるで意思を持ったかのように動かなくなっていた。

 

「何だ?」

 

 部屋の中を見回すと、そこには長い黒髪とミステリアスな雰囲気をまとったウマ娘、マンハッタンカフェが立っていた。彼女は驚いたような表情でサブトレーナーを見つめ、静かに口を開く。

 

「貴方は……」

 

 サブトレーナーは王子様らしい穏やかな態度を崩さず、自己紹介をする。

 

「サブトレーナーです。トレセン学園でアイドルをしてます。上手く説明できないんだが、どうやら閉じ込められたようだ。何か知っているかい?」

 

 マンハッタンカフェは少し目を細め、静かに頷いた。

 

「これは、闇霊による仕業です」

 

 彼女の声は落ち着いているが、どこか重い響きを帯びていた。サブトレーナーが首をかしげると、彼女は淡々と説明を始めた。

 

「闇霊は人に様々な害を与える存在です。恐怖や混乱を引き起こし、心を蝕む。この部屋に閉じ込められたのも、その力によるもの。解決するには、祓うしかありません」

「祓う?」

 

 サブトレーナーが聞き返すと、マンハッタンカフェは一瞬視線を逸らし、微かに頬を染めて続けた。

 

「その方法は……私たちが抱きついて、儀式をすることです」

 

 サブトレーナーは目を丸くするが、すぐに冷静さを取り戻し、状況を整理するように軽く咳払いした。

 

「抱きつく、か。確かに変わった方法だが、君がそう言うなら何か根拠があるんだろう。詳しく教えてほしい」

 

 マンハッタンカフェは小さく頷き、説明を続ける。

 

「闇霊は強い感情や絆に弱い。この儀式は、お互いの信頼と温もりでその力を打ち消すもの。少し……恥ずかしいかもしれませんが、これしか方法がないのです。」

 

 サブトレーナーはしばらく考え込み、ファン想いの王子様らしい決意を胸に秘めて微笑んだ。

 

「分かった。私にできることはするよ。みんなを笑顔にするのが私の役目だからね。さあ、どうすればいい?」

 

 マンハッタンカフェは驚いたように彼を見上げ、やがて静かに目を閉じ、儀式の準備を始めるのだった。

 サブトレーナーはマンハッタンカフェは、闇霊を祓うための儀式を始めるため、休憩室の中央で向き合った。

 

 サブトレーナーは王子様らしい穏やかな笑みを浮かべ、「さあ、始めよう」と静かに促す。マンハッタンカフェは緊張した様子で頷き、ゆっくりと彼に近づいた。

 彼女がサブトレーナーの腕に手を伸ばすと、その指先が彼のしっかりとした筋肉に触れた瞬間、マンハッタンカフェの身体が小さく震えた。サブトレーナーの男らしい体躯——鍛えられた腕の硬さ、広い肩の頼もしさ、そしてアイドルとしての洗練された姿勢が放つ独特の魅力に、彼女の心が一気に揺さぶられる。

 

「っ……」

 

 彼女の呼吸がわずかに乱れ、瞳が潤んだようにかすかに光った。

 

「大丈夫かい?」サブトレーナーが優しく尋ねると、マンハッタンカフェは慌てて目を逸らしつつも、彼の胸にそっと手を置いた。そこには、シャツ越しに感じる熱と、規則正しく響く心臓の鼓動があった。彼女の指先が無意識に彼の胸筋をなぞると、その張りのある感触に彼女の頬がみるみる赤く染まる。

 

「貴方の……この身体……」

 

 言葉が途切れがちになり、彼女の声はかすかに震えていた。

 サブトレーナーは状況を理解しようと彼女を見つめるが、マンハッタンカフェの手はさらに大胆に動き、彼の肩から背中へと滑らせていく。鍛えられた背筋の凹凸を感じるたび、彼女の息遣いが荒くなり、瞳が熱っぽく潤んでいく。

 

「こんなに力強くて、温かいなんて」

 

 彼女の指がサブトレーナー腕を掴むと、その太さとしなやかな筋肉の動きに、彼女の心は抑えきれぬ情欲に飲み込まれていく。

「マンハッタンカフェ、儀式はこれでいいのかい?」

 

 サブトレーナーの落ち着いた声に、彼女はハッと我に返るが、すでに彼の体に触れる快感に囚われていた。彼女の手が彼の腰に回り、引き締まった腹筋の感触に触れた瞬間、彼女の身体が熱を帯び、頭がぼうっとするほどの興奮が全身を駆け巡る。

 

「貴方のこの感じ。たまらない……」

 

 マンハッタンカフェの声は甘く掠れ、普段のミステリアスな雰囲気はどこかへ消え、ただただサブトレーナーの男らしい肉体に魅了された一人のウマ娘としての本能が溢れ出していた。

 サブトレーナーは彼女の異変に気づきつつも、紳士的な態度を崩さず、そっと彼女の手を握り返す。

 

「君が大丈夫なら、それでいいよ。でも……儀式、ちゃんと終えられるかな?」

 

 その優しい言葉さえ、マンハッタンカフェの心をさらに乱し、彼女は彼の体に触れるたび、抑えきれぬ興奮に溺れていくのだった。

 

 

 

 

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