アイドルプリキュアの楽曲がちゃんと元ドルオタの自分が反応するレベルのアイドルソングになってるのが嬉しかったですねえ
「あー楽しかった楽しかった」
ジェットコースター、というものには初めて乗った。
と言うよりはこの世のものは大体初体験、思ったよりは楽しめたけど特別楽しいって程でもなかった。
それよりも高所からバッドエナジーを溜め込んでる人間を観測して吸い上げる方が力が戻ってきてる感覚がして気分が良い、今からプリキュアを倒してワタシが世界を支配する未来を想像するだけでゾクゾクしちゃう。
……そう言えば隣に餌がいるの忘れてた、コイツのバッドエナジーもまた吸っとこうかしら……なんかさっきまでは吸ってもすぐ負の感情が出来てたのに少なくなってないコイツ?
「俺も……なんか少しだけ気が紛れたかもしれないよ」
「そうなの?なんか分からない奴ね」
「はは……まあ、俺も自分の事が良く分からないからなあ。成績優秀スポーツ万能、誰もが手本とするような絵に描いたような優等生……でもそれは、母親に構ってほしくて作った虚像に過ぎない。じゃあ本当の俺は?そう聞かれて何か一つでも答えられるだけの『自分』を俺は持ってないんだよ」
「自分の事が良く分からない、ねえ……」
少なくなってる負の感情も気になるけど、一番引っかかったのはコイツの言うそういう発言だった。
『自分』って言うのはワタシには良く分からない、まあ理解する気も無いけど……なんかこう、ヤケに耳に残る、別にどうでもいいはずなんだけれど。不本意でなんかムカつく。ムカつくから口には出さないケド。
「キミは自分の意志で自由にいられて羨ましいよ」
「……そんな事どうでも良くない?貴方だって今から自由になれば良いだけだし。それより次はフリーフォール?ってやつに乗るわよ!ボヤっとせずに着いて来なさい!」
「なんか絶叫マシーン立て続けに乗ってる気がする……気のせい?」
だから何となくそんな話題を出されるのが気に食わなくて誤魔化す。
こんな奴の発言なんか無視しとけばそれで良い、取り留めの無いような事だって言うのに。
それよりも何故か、コイツの手を引っ張ってる方が、コイツと遊園地という場所を楽しんでるように偽装する方が何だか興が乗る。
「うんうん、こっちもジェットコースターに負けず劣らず見晴らしが良いわね」
「うわぁたっかいなあ……」
「高いのは苦手?」
「さあ?こんなのさっきのジェットコースターが初めてだから何とも」
話してる隙にフリーフォールが落下する。
こういうモノだとは聞いてたけど中々爽快感がある、更に言えば上から観測する事においてはジェットコースターよりやりやすい。
バッドエナジーも吸いやすく結構気に入ったかもしれない。
「ふぅ、こっちも中々楽しめるじゃない」
「俺は……好きか嫌いかの段階にはまだ曖昧だけど、無心になって叫べるし嫌いじゃない……と、もしかしたら呼べるかもしれない」
「じゃあ次は……そうね、コーヒーカップなんかも乗ってみたいわ!」
「今度はゆっくり出来そうな乗り物だね」
バッドエナジーも結構吸えたし、ちょっと息抜きに普通に楽しんだって別に良いはず。
ワタシは自分がハッピーならそれで良いんだし、ちょっと遊園地も気に入ってきたし。
「……ってまた絶叫マシーンみたいにしてるううううううう!?」
「アハハ!これ面白いわね!軽く見てたけどケッコーイけるじゃない!」
「ぬわああああああああああああ!?」
しかし遊園地そのものはほぼ知らないも同然だからといって、この適当に近くにあったからという理由で口八丁言って乗ってみた『コーヒーカップ』ってのは、見た目は落ち着いててそこまで面白くもなさそうだったけれど案外面白いと内心何となく気分が上がる。
ハンドルスピードを上げれば上げただけ回転スピードが上がるというのは中々考えられている、遊園地にはワタシが思った以上に面白いものが多いのかもしれない。
「よっと。……あら、貴方あれくらいで酔ったの?ぷっぷー、情けなーい」
「キミは良く……よ、酔わないね……お、俺としてはどっちが上で下かも……」
「鍛え方が違うのよ。……ほら、立てる?」
「ありがとう……ちょ、ちょっと休ませて……」
「仕方ないわねえ」
何度も言うようにコイツ如き置いていっても良い……のだけれど、今は金ヅルだし何より見捨てて目立つとワタシとしては不都合。
決してコイツに優しくしてるとかではない、そう、そんなのぶっちゃけ有り得ない。
「ふぅ……キミって優しいよね」
「優しい?ワタシが?」
「うん。見ず知らずの俺を遊びに誘ってくれたし、色んな楽しい事を教えてくれたし。キミがどう思ってるかは分からないけど」
「……ワタシ貴方の事分かんないわ。変な感性ね」
「まあ、人ってのはそういうものだよ。他人の事なんて分からなくて当然なんだ、俺は母親の事すら良く分からないまま15まで歳を重ねるだけ重ねてしまった」
他人の事なんて分からなくて当然、その言葉にふと脳裏には星空みゆき……ワタシのコピー元となった人間がフラッシュバックする。
彼女は他人では無いはず、コピー元と言うのだから同一個体のはず。
だと言うのに何一つ分からないままだった、他人の幸せの為が原動力だったり、仲間との絆だったり、自分の幸せだけ願って他人の不幸を願わない姿だったり。
何もかも、ワタシには理解不能だった。
「ワタシは自分の事すら分からないわよ」
「それを言うならさっきも言ったが俺だって同じさ。勉学、野球、その他のスポーツなんかも俺は出来る。自慢じゃないけど得意とすら言える。
……でも『何が好き』『何が嫌い』かは何も分からない。ただ『やらないと見捨てられると思ったから』やった」
「じゃ、奇遇ってやつね」
「はは、ほんとそうだね。……俺はさ、羨ましいって思った人がいるんだ。キミに良く似た顔の生徒でさ、運動はちょっと上手いけど勉強は全く出来ない。でもいつも自分以外の為にも、他人の幸せの為にも積極的で……あの人の周りはいつでも眩しかった。なんで眩しいのかすら分からなかったけど……今なら少し、分かるかもな」
ワタシ自身、その言葉が深く突き刺さった事に驚いた、どう考えてもこの街でそんなバカみたいな人間一人しかいないのも含めて。
確かにあの子は眩しかった、眩しかったんだ……その眩しさはあまりにも嫌悪するようなもので、綺麗事に見えて、だから大嫌いだった。
そしてそんなあの子に一度でも負けたのが……何よりもムカついた。
「本当に奇遇ね……ワタシあの子の事、良く知ってるわ。眩しくて嫌いなのよ」
「……名前言わなくても分かるんだ。知り合い?」
「まあ、気に食わないけどお互い知らない仲ではないわ。嫌いだけど。……何がそんなに他人の為に動こうと思ってるのか全く分からない。自分が幸せならそれで良いじゃない、虫唾が走るのよ」
「あれ、そうなんだ」
「何よ、なんか言いたい事あるワケ?」
意外そうな口振りのコイツが妙に腹立たしい。
しかももうバッドエナジーあんまり無いみたいな顔して……本当にもう殆ど無いじゃない、ほんと気に入らないんだから。
「いや、だってキミは俺に手を差し伸べてくれただろ?」
「は?それがなんなのよ」
「だってそれは『他人の為にキミが動いた』事に他ならないじゃないか。機嫌を損ねるかもしれないけれど……そういうところ、何だか似てるなって思って」
「……この世で最も言われたくない褒め言葉だわ。まあ今日に免じて許してやるけど、次は無いわよ」
「はは……ごめんごめん」
ワタシと星空みゆきが似てる?ほんとにコイツの目は節穴なのかしら、それとも視力が悪いのかしら。
今日はバッドエナジー吸い取る事に集中したいのと、遊園地が案外楽しかったから見逃してやるけど……
でもそれはそれとして、なにか仕返しをしてやりたいところね。
ワタシは少し思案して、ピンと来た事を言ってみる。
「それじゃあお詫びとして、お昼は貴方の奢りね」
その顔はほんの少しだけ引きつっていたので、ワタシの勝ちという事にしておこうか。
などと考えながら、何だか軽い足取りだったのは気のせいだと思う事にしておいた。
少年の表の顔
生徒会と野球部を掛け持ちしており生徒会では会計、野球部では副キャプテンを務めていた
常に勉学では学年首席、野球部でもプロ排出経験が多い強豪校からのスカウトを受けるほどの実力の持ち主で誰からも慕われている
だが常に勉学とスポーツそれに社会貢献に目を向けている完璧超人過ぎて遊びには全く目を向けず『友人』と呼べる存在はいない
第一話で出てきた少年のライバル
常に少年と勉学で学年首席争いをしているが全敗中のメガネを掛けた生真面目そうな少年
だがここまで全てのテストで2位であり後ろにピッタリと付けていて尚且つ少年を目標に努力している
運動能力は人並み程度だが理論建ててそれを実行に移すのが得意な為、常に少年と拮抗出来る程度の実力を持っている
生真面目そうな雰囲気とは違い良く学び良く遊んでいる言わば『青木れいかサイド』に位置している