衛宮士郎をブチ込んでみただけの話inリゼロ 作:nonose
この衛宮士郎のルートイメージは、プロローグの冒頭でも分かる通りイリヤ√的なのを想定しています
──衛宮士郎。年齢20 身長は170前後 身体付きは鍛えてあるのか筋肉質 それに反し容姿は童顔 年齢を重ね多少の歳の積み重ねを感じるが 未だ10代だと言われても納得されてしまう顔つき 特に目立つのはその頭髪であり 頭髪は赤毛に所々白髪が混ざる 年齢と顔付きに反して老いを感じる色合いになっている
性格はやや自己犠牲的 他人のために自己を消費し事柄を解決することに不満を覚えないタイプ
ただそれでも昔よりはマシになったというのは本人の談
男であるにもかかわらず屋敷のメイドに引けを取らないほどの家事能力と料理の腕 宮廷や星を獲るようなレストランで出せる程では無いが 日本人ならば誰が食べても どこか安心するような料理を出してくれる
ここまでがスバルの持ちうる"衛宮士郎"という男の情報の全てだった
「…………ちくしょう」
「大丈夫か?」
大丈夫か? と問い掛けたいのはコッチだバカ野郎とスバルは目の前にいる能天気野郎に言い放ってやりたかった。ただそれをしても無意味なことはこの数回でよく 理解していた
スバルには1つ、誰にも持ちえない特殊な力がある
それは【オートセーブ】と【コンティニュー】だ。自身が死ねばセーブ地点からやり直すことが出来る"死に戻り"とも言える力を有していた。だから士郎と初対面である筈のスバルが彼の名を知っていて、尚且つ『前回』で士郎の身に何かがあったから、こうして頭を抱えていたのだ。
だが、それもこれも士郎にとっては知る由もないことであるし知れる事象ではないのだ。士郎にとってはいまがスバルとの初めましてであるし、向こうもその筈だと思っているのだ。
もし、どこかで会ったことがあって忘れていたとしたのだったら謝ろう……そのくらいの認識である。
「まあ、なんだ何で俺のことを知ってるんだ……とか。どっから来たんだとか、まあ色々聞きたいことがあるけど……一先ずは飯を食ってからだな」
話し合いが出来る精神状態では無いことを察した士郎は一旦この場でのスバルとのコンタクトを諦め、時間を開けて、落ち着いてから話を聞くことに決めたようだった。
その為の手段として、とりあえず飯を食って腹が膨れれば多少は気分も晴れるだろう、と考えて朝食を作るためにレムを引き連れて屋敷の厨房へ向かうのだった。
「エミヤくん」
士郎とレムが食事を用意する最中、レムが士郎に声を掛けてくる。
逆にいまのいままでよく声を掛けて来なかったもんだなと思いながら、作業の手を止めることはしない。レムへ視線を向けずに短く返事をする。
「エミヤくんは、魔女教徒なのですか」
──魔女教徒
レムの言うソレは、元の世界で言うテロリスト集団の1種である。目的は不明、何を持って結成されたのかも不明、どれだけの規模なのかも不明。
ただ1つ確かなのは 構成メンバー全てがまともな精神状態をしておらず、まず間違いなく会話が通じる人間達ではない──ということだけは士郎も知っている
この世界に来て少し経った頃に、この屋敷の異界の番人に話を聞き及んでいた。
「なんで急にそんなこと聞いてきたんだ?」
「いえ。単に気になったので聞いてみただけです」
「単に気になったからって聞くような内容でもないだろ。突然お前は殺人者なのか? って聞かれてるようなモンだろそれ」
「それは……そう、ですね。ごめんなさい ですが気になってしまうんです。レムはエミヤくんが自身の口から、そうでは無いと、確証のその一言が欲しいんです。じゃないとレムは──」
不意にレムの方から聞こえる音が止んだ。
「包丁。そんなに力入れてると怪我するぞ」
「……っ すいません」
何となく察してはいた。ラムの様子とは違って、レムの様子が際立って変だったから。
その顔はまるで 殺したい程憎い人間を見つけたかのようだった。あのままではフラストレーションも溜まるだろうし、何より仕事もある。早々に機嫌を直して貰いたいと思った士郎。
だからこうして士郎はレムを連れ出して厨房までやってきたのだ。ラムを残していくことには不安がないとは言いきれなかったが、あの場にはエミリアも、その守護精霊の"パック"も居る。
スバルという人間を見ても、あの2人と1匹に勝てるイメージが湧かない。きっと大丈夫だろう
「なんでそんなこと急に聞いてきたんだ……てのは、まぁ何となくだけど予想は出来る。それを踏まえて言うが魔女教なんて宗教に入った覚えは無いし、何よりあのスバルってやつともさっきが初対面だ」
「それなら……良かったです」
少しして、レムの方から音がまた聞こえだして士郎は安心したのだった。
「ただお前が何かしようって言うなら、俺はそれを止める」
「それは……っ!」
「そうだな俺が止める義理は無いかもしれない。お前にしか分からない何かがアイツにはあるのかもしれない、無いことだらけだけど。まだあいつは何かした訳じゃない……罪を犯してない人間を、お前は殺すのかレム」
「ですが……危険が、及ぶかもしれません。エミヤくんの言う通り、まだ何も起きてはいません。ですけど、何かが起きてからじゃ遅いんです。それじゃあ……遅いんですよ……」
レムは士郎の言葉に激情に駆られそうになる。その顔はいまにも泣き出しそうで、後悔を噛み殺しているかのような表情だった。それでも士郎はレムへ視線を向けることは無い。淡々と口を開きながら作業を進めるのみだった。興味がないとは違うのだろう、ただ"ソレ"を見てしまうと、いまの【衛宮士郎】という人間を保てなくなってしまうからだろう。
ただそれは傍から見れば悪感情を向けられても仕方の無い行動だろう。
だからこそレムは口を開いてしまう
「それに──」
「──エミヤくんに何が出来るって言うんですか」
音が止まったのは、いったいどっちだったのだろうか
◆
コンコンと2度のノック。洒落た木製の扉が子気味の良い音を鳴らし、それに合わせて扉が開かれる。
中に入るのは朝食を持った士郎1人。部屋の中に居るのは多少今朝よりも様子が治まったスバルと、扉を開けてくれたエミリアの2人だ。
どうやらラムは席を外したか、士郎が帰ってくるのを見計らってレムの所へ戻ったのだろう。
「すんすん……今日はエミヤが朝食を作ってくれたんだ。いつもと違って不思議な匂いがする」
「その嗅覚はなんだよ。普段は変なところ鈍感なクセに、一丁前に飯の嗅ぎ分けは出来るのか」
「だってエミヤの作る料理ってルグニカではあんまりない料理でしょ? ロズワールやレムは、えっと……カララギの方の料理に近いって言ってたし」
「そう言えば向こうは日本に近い味なんだったか。カララギの訛りも関西弁だし……まぁいいか。今日はレムの作る方より俺の方が今日のお客さんには、舌にあってると思ってな。エミリアは別に食べたくないなら食べなくても構わないぞ?」
「わー! わー! 食べる! 食べるから! ……もう、エミヤってたまにイジワルなんだから」
「お前が変なこと言うからだろう。ほらさっさと入るぞ。向こうの方で恨みがましそうに、てか腹抱えて涎垂らしてるヤツも居るしな」
「そ、そこまでじゃないだろ!?」
士郎の揶揄うような言葉に、本当に涎を垂らしてないか確認するスバル。服の裾で拭ってみたりしてみるものの特に汚れている訳では無いので、単に士郎に揶揄われているだけだったようだ。
「ははっ、そこまでの元気があるなら多少はマシになったみたいだな? それとも腹が減りすぎて、飯を前に取り繕う暇もなくなったか?」
「ぐっ……否定がしにくい所が、なんとも言えねぇ」
「良いさ良いさ、ほら取り敢えず食っちまえよ。お前にはこっちの料理よりコレだろ?」
そう言いながら士郎がスバルへ手渡したお盆の上には、日本の朝食で見られるようなベーシックな食事だった。現日本と同じような食材……という訳では無いのだろうが、その見た目と匂いはまさに日本の伝統食である『和食』であった。
この屋敷ではロズワールを含め、士郎の作る料理はあまり好まれてはおらず、1人でたまに作る程度なのだが、流石の衛宮士郎と言うべきか。
態々、屋敷から出る給金を叩いて王都まで行き、カララギの食材を仕入れているのだ。
現時点ではまだその段階には至ってはいないが、何れ屋敷の空きスペースを使って自家栽培出来るものはやりたいと思っているようだった。
「今回のこだわりはこの味噌汁だ。味噌……は流石に無かったからな。俺が一から作ったんだよ。やっぱり和食と言えばコレだからな……日本人なら米と味噌汁、あとはまあ漬け物でもあれば最高だ」
「ごくり……前回までは出てくることがなかった衛宮特製、秘伝の味噌汁……まさか味わえることが出来ようとはっ! い、いただきます」
「わぁ、スゴイ何か……色が……」
「飲みたくないなら飲まなくていいぞ?」
「の、飲む……せっかくエミヤが作ってくれたんだもの!」
一応、自身の料理に忌避感を持たれていることは自覚しているので──いつかは慣れて親しんで欲しいとは思ってるが──無理せずに飲まなくても構わないとエミリアのことを心配する士郎。
尤も、飲みたくないなら飲まなくてもいいぞ、は残ったのは代わりに俺が飲むからいいぞの意である。
スバルに関しては、士郎に聞こえない程度にボソボソと喋りながら、生唾を飲み込みその味噌汁の確かなあの味に胸を高鳴らせながら最初の一口を啜る。
「…………くぅ、これだこれこれ!! やっぱり味噌汁ってのはこうだよなぁっ!!」
「うっ、しょっぱい……」
「完全に生活文化の違いだなぁこれは。この様子だと納豆も難しそうか」
「……いま、納豆って言ったか!? あるのか!? あの納豆が!?」
「あぁ、あるぞ。味噌を作るついでに作ったやつが少しだけな……ただまああっちに関しては、よく食べてたようなパック詰めには程遠い味だから食うにはまだ早いかな」
「いや、それでもあるって言う事実を知れただけで感激モンだわっ! マジで!!」
「そこまで喜んでくれるんなら嬉しいものは無いな……で、エミリアの方は口に合わなかったか」
「うぅ、私にはちょっと濃い……かも。ごめんねエミヤ……せっかく作ってくれたのに……」
「まぁ予想はしてたから良いさ。そもそもソレ、元は俺の分だけどな」
士郎のその言葉にギョッとするエミリア。ガタガタと震えながら士郎の方を向く様子に少し吹き出してしまうスバル。
「な、なんでもっと早く言ってくれなかったの!? え、えっえっ……ど、どうしよう。ご、ごめんねエミヤ……!?」
「いやいいんだ。屋敷の人の意見も聞きたかったからな。ラムやロズワールに試食してもらっても良かったんだけど、あいつらは嫌がりそうだし……レムは……まあいまはちょっとアレだしな」
「レム……。レムとなんかあったのか……?」
「ん? あぁまぁ、ちょっとな。て言ってもそんな気にすることでもないから気にしなくてもいい」
その言葉に少し顔を曇らせるスバル。それに口を滑らしすぎたなと反省しながら、未だにあたふたとしているエミリアの分の食事─レムが用意した─を受け渡し、エミリアが飲んでいた味噌汁を受け取り代わりに飲んでいた。
「えっ? は? ……いやいやいや、エミヤそれはお前ライン越えだろ!?」
「……? 何がだ?」
「いや、何がだ? ……じゃっねぇよ!? こともあろうにエミリアの飲んでた味噌汁に口をつけてソレを飲むっておま、お前!?」
「………………?」
スバルが何を言っているのか分からないと言った顔をする士郎と、エミリアもよく分からそうな顔をしながらサンドイッチをもぐもぐと食していた。
その様子を見て完全にアウェーなのは自分の方なのか……? と納得のいかなそうな顔をして、心の中で振り上げた拳を、ゆっくりと下げるのだった。
これに関しては情緒が育ちきっていないエミリアと、そんなことを気にする程でも無い所まで成長している士郎故にではあるため、今回ばかりはスバルの反応が正しくはあるのだが、この2人には通じていなかったようだ。
「残したら勿体ないだろ」
そのスバルに対してこの発言である。
「いや、いいよ……もう。お前ってアレだな、そうやって周りの女子とかタラシてそうだよな」
「人聞きが悪いな。そんなことは……無いよな?」
「知らねぇよ! てか、そこで疑問に思ってる時点で何かしら心当たりがあったんだろ!? そうなんだろ!? クソッ! この世は理不尽だよッ!! ……あぁクソ、味噌汁うめぇっ!!」
「ジェットコースターみたいなやつだな」
「朝から元気よね。さっきまでしょぼくれてたのが嘘みたい」
「俯いているかよりはマシだろ。そりゃ元気なのが1番だ、元気過ぎるのも良くないけどな」
「エミヤとよく話してる獣人の子みたいに?」
「ミミに関してはまだ子供なんだからあんなもんだろ。……そういえば、ミミで思い出した。今度、アナスタシアさんところに飯作る約束してたな。早めに行かないとあの人うるさいんだよな」
「アナスタシアさんって……その」
「あぁ、そういやエミリアと同じ王族候補なんだったか。気のいい姉ちゃんって感じだから忘れてたな。王様ってもっとこう凛としてる感じだと思ってたから、余計にだな」
「……なんかエミヤのそういう所、ダメだと思う」
「横から首突っ込ませてもらうけど、それは完全に同意だわ」
「なんでさ……」
今度はスバルではなく自身がアウェーかと、謂れのない罵倒を受け、つい口癖のように染み付いてしまったその言葉が士郎の口から漏れ出るのだった。
ヒロイン決め ※候補決め
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