衛宮士郎をブチ込んでみただけの話inリゼロ 作:nonose
早く戦闘出来るとこまで進めたいっすよねぇ
感想、評価ありがとうございます
遅れて申し訳ない
やんややんやと、騒がしくも姦しい朝の食事の時間が終わりを迎える頃。腹が膨れて満足そうなスバルと、久しぶりに人との交流と沢山の会話で楽しそうなエミリアに口火を切ったのは、やはり士郎だった。
「──さて、腹も膨れた。緊張も、まあ解けただろ。ここからは手と口じゃなくて、頭と口を動かす時間だ。この意味は理解してるよな」
「…………歌でも歌うのかって、まあふざけたいところだけど、そうじゃねぇよな…… んん、えーとそれじゃあ改めて自己紹介から、だよな」
スバルはそう言い、自身から名を告げようと口を開こうとした。しかし、視界に捉えたのは、対面に座る士郎からの言葉を止める意思の掌だった。
「あぁ。でもここは言い出しっぺからの俺からだ。他人の名前を聞くならまずは自分から名乗りをあげなきゃな」
士郎のその言葉に、確かにそうだと 口許を緩めて笑うスバル。
「んん、俺の名前は衛宮士郎だ。知っての通り衛宮が苗字で士郎が名前、だいぶ前にこの屋敷で召使い兼雑用係として働いてる。歳は……えーと、確か……20か、そこらだったか? 趣味は……最近はする機会も無くなってるけど、ガラクタ弄ったりだとか、あとはまあ分かる通り料理だな。最近だと、鍛鉄だとかにも手を出してみようかとも思ってたから、機会があればそれもだな」
士郎の自己紹介を聞き終えたスバルは思っていたより、長々と話してくれるものだなと、口を半開きにしながら息を漏らしていた。
「次はそっちの番だぞ」
「……あ、あぁそうだな。えーと……」
言葉に詰まる。この世界に来てから お決まりの巫山戯た自己紹介をしようかとも思ったスバルだったが、自身の自己紹介を終え、真剣な顔をしながら待っている士郎を見ると巫山戯る気概も湧いてこず、口を開き直すのだった。
「俺の名前は……菜月昴。名前の呼び方はそっちと同じだ。昴が名前で菜月が苗字、趣味とかは、まぁ色々だな……裁縫とかはそれなりに出来るって自負してるぜ」
「ナツキスバル……菜月昴ね。よし、覚えたぞ。それじゃあこれからよろしくな菜月」
スバルに対し手を差し出してくる士郎。少し他人行儀なような気もするが、それを気にする男では無いスバルは士郎の右手を握り返したのだった。
右手を握り返したスバルだったが、そこで1つ違和感を感じるのだった。パッと見、見た目ではそうは見えなかったが、どうやら士郎の【右手の薬指には指輪か何かが嵌っている】ようだった。
それ自体は目では見えないのに感触だけ伝わってくる様子に、少し気味が悪くなったスバルは不自然にならない程度に腕を引っ込めるた。
「それでだが、菜月。お前にはやらなきゃ行けないことがまず2つある」
「2つか?」
「取り敢えずはな。まず1つ目は身の振り方を考えることだ。いまの状況だと住むところも、食い扶持もないだろ?」
「天涯孤独の無一文だからなぁ俺は。何にも無い無いだらけだぜ」
「あぁ、だからこそお前はこの世界で生きていくにあたって、まずは自身の立ち位置を確保しなきゃいけない。お前が故郷に帰れる保証は無いからな」
「……っ、そう……だな……」
『故郷に帰れる保証は無い』この言葉はスバルの心に重くのしかかった。異世界に来て、そして何度かの死を体験し忘れていたことだが、元の世界には帰れないという事実をいまここで改めて実感した。
しかし、その言葉に思うところがあるのは偶然にもスバルだけではなかった。隣で聞いているエミリアも、自身の故郷である、時の止まったあの場所を思い出し、少し表情が曇るのだった。
「辛いことを言ってる自覚はある。それでもいまを生きるためには行動は早めにしといた方がいい。取り敢えず、数週間程度ならこの屋敷でも面倒は見てくれるだろ。エミリアのこともあるしな」
どうやら昨日の不備は既に士郎の耳にも入っているようで、エミリアにはその確認を取る。
「そうね、スバルには助けてもらったし。迷惑を掛けちゃったみたいだから、もし困ってることがあったら私からもロズワールに話してみるくらいは出来るかな」
「てことだ。屋敷の滞在後をどうするかだが……アナスタシアさん……のところはムリだな。となると、ラインハルトか、商人のおっちゃん達に話を聞いてみるか」
「──て、おいおいちょっと待てよ! 俺ァ何もそこまで世話になるつもりはないぞ!?」
自身の預かり知らぬところで、士郎に勝手に話を進められるのを何とか止めようと少し声を荒らげる。その様子に士郎はキョトンと、スバルも、エミリアさえも見た事のない顔をする。
「けど、困るだろ?」
士郎の言葉に、今度はスバルが呆然とする番だった。
頭を抱え、息を漏らす。──あぁ、彼はどうしようも無いほどの善人なんだと スバルはそう思い知らされた。
「わぁーた、わーったよ! お前のそのどうしようも無い程の親切バカには飽き飽きだ衛宮、お前のさっきの自己紹介の末文にとんでもない善人だと付け加えとくんだな!」
「そういう意図は無かったんだが」
「傍から見りゃそういうことなの! ダメになっちゃうわ! いやもうダメだけど、ダメなんだけど……自分で言ってて悲しくなってきたな……」
「菜月は、なんて言うかアレだな。テンションの落差が激しいんだな」
「言い返す気力も湧かねぇよ……」
口には出さないものの、心の内では、お前のせいだよと漏らすスバル。
「だが、まぁ衛宮には悪いが俺的にはやりたいことがあってな、悪いんだがお前の案には乗れないというか……」
「歯切れ悪いな? 遠慮せずに言ってくれていいぞ」
「えーと……」
流石のスバルも衛宮の前では申し訳なさが先に出てしまうのか、『実はここで働かせて欲しいんだ』などと先程までの士郎の思いやりでの発言の取り消し、既にこの屋敷で働いている士郎への侮辱になり兼ねない自身の発言は、到底口に出すにはあまりにも無遠慮が過ぎると思い悩んでしまうのだ。
「……っ」
スバルは士郎には何か思い入れがあるのか。この世界へ来てからの楽観さと能天気さは姿を表さない。口から言葉を出そうとしては戻しを繰り返すうちに、スバルの口内は乾いていた。
目の前にいる士郎はスバルの発言を待っている。
急かしてくるようなことはしなかった。
少しずつ時間が過ぎていく。経った時間は短いけれども、スバルにとっては悠久の時のように感じる。たった少しの簡単な言葉を吐くのにも、いまは心の傷があまりにも深いのかもしれない。
不意に部屋の扉が開く。スバルは突然の来訪者に肩を跳ねさせ、扉の方を向く。士郎もエミリアも誰が来たのかと視線をそちらに向ける。
「いぃーやいや、話は聞かせてもらったぁーよ」
突如として部屋へ入ってきたのは道化の意匠をした長身の男、この屋敷の主であるロズワールだ。
彼はにこやかな表情をしながら、士郎、スバル達の前に歩を進める。
「盗み聞きなんて趣味が悪いんじゃないか?」
「この屋敷の主は私、その屋敷で働いているキミももちろん私の物だ。あとは言わなくてもわぁーかるよねぇえ」
ロズワールはつまり、自身のものであるが故に何事の無作法も許されるべきであろうと、そう口にした。
異世界のジャイアニズム極まれりである。
その様子に見たこともないはずである黄金の姿が重なり、ブルリと背筋を震わせた士郎。
「……訴えてやろうか」
勿論のこと、他人に所有されるなぞ御免蒙ると、士郎は徹底的な拒絶の意志を言葉に乗せてロズワールに吐く。
「冗談冗談、冗談8割と言ったところだーぁね」
「残り2割は?」
「勿論、本気だとも」
そう士郎の耳元で囁いてくる。
「ふんッ!」
「グッ……! い、いぃパンチだエミヤくん……身体の内まで良く伝わったよ……」
一瞬、ロズワールの腹部から鈍い音が鳴り、それと同時に苦悶の表情を浮かべ脂汗を垂らしながら、彼は踏鞴を踏んだ。
その様子に驚くのはエミリア、ドン引きしているのはスバルだった。
「たくっ、そんなこと言いながら避けられる癖にわざと受けただろ」
「あっ、バレたかい?」
「ピエロめ」
名演技だっただろうと、飄々とした顔で士郎からスバルへと立ち直る。スバルは突然の突然の思いがけない来訪者と2人の突然のコントに脳が追いつかず、呆けていたが、それもロズワールに声を掛けられたことで正気に戻る。
「どぉーやら、行く先がないみたいだーぁね?」
「……あ、あぁ。まぁ、そうだけど」
「ふむふむ、どうやらそちらのエミヤくんとキミは同郷のよぉーうだ。それなら彼とも今後も親交を深められるだろぉーうから? もし、まだ何も決まって居ないのなら……ナツキスバル君、キミを我が屋敷で雇おうじゃないか」
「………………は?」
「おぉーや、聞こえて居なかったかぁーな?」
「い、いやいや、聞こえてなかった訳じゃねぇ! ただ、願ったり叶ったりっつーか、思ってもみない状況下で言おうと思ってたことが叶いそうでビックリしちまったんだよ……」
「なんだ菜月、ここで働きたかったのか。人助けして、その後の報酬で仕事をくれなんて、まぁ変わってるやつだな」
「それはお前にだけは言われたくねぇって」
相も変わらず身に覚えのない言われをスバルから受ける士郎は首を傾げながらも、ロズワールと話をし始める。この屋敷で働くとなれば、必然的に彼の面倒を見るのは、この屋敷のメイドである姉妹のどちらかか士郎になる。
どうせなら本人が居る、いまこの場で話しておくのが効率がいいのだろう。
突然ロズワールが言い出した、ナツキスバル雇用話だったが本人が望んでいるのならと、話はトントン拍子に進んでいく。仕事の割り振りから、教育担当まで。ロズワール自身も、前回の例──士郎のこと──があるため、その範囲の面倒事についても話を進める。
本人に確認はしてはいないが、まずこのルグニカでの常識は持ち合わせては居ないだろうということ、読み書きが出来ないだろうと言うこと、価値観の相違や、文化の違いがあるであろうと言うこと。
話に出てきた内容は全て、士郎自身が此方に来てから実際に困ったことだ。後者2つに関しては、世界中をあちこち行き回っていた為、それ程苦悩した記憶は士郎には無かったが……スバルは恐らくそうでは無いだろうと当たりをつけて勝手に話がついていった。
「────よし、それじゃあこんなもんか。準備が出来次第、菜月には働いてもらう感じでいいか?」
「かぁーまわないとも! それじゃあ、あとは宜しくねエミヤくん」
屋敷の主は話が終わると同時にそそくさと部屋から姿を消していった。
「それじゃあ菜月、今日からよろしく」
「……え、えぇ……?」
そういうことになった
ヒロイン決め ※候補決め
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フレデリカ
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ラインハルト
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エルザ
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メィリィ
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ペテルギウス