衛宮士郎をブチ込んでみただけの話inリゼロ 作:nonose
最近TRPGとか仕事で時間なかったンゴねぇ
視界に映るソレが果ての無い暗闇と絶望に、挫けそうになった自身の心に一筋の光を落とした。ソレは月明かりのように真っ白で、汚れ一つとない処女雪のようで──その背中は全てを背負うかのように大きく見えた。
「──大丈夫か」
白い外套を羽織り、闇夜に現れた男はそう言う。
誰をも安心させるかのように力強く、けれど何処か優しいその声音に、感じていた不安はかき消され……いまではもう心は安寧の底にあった。
「……お前は……誰なんだ……」
──そう、問う。
男はその言葉を聞き、少し間を置き。視線だけを向け、言った。
「──そうだな。正義の……いや、"ただのお節介焼き"だよ」
◆
「そういや、衛宮って魔法の素質とかあんの?」
唐突にスバルが士郎にそう話し掛けてくる。いま現在2人はロズワール邸である屋敷から離れ、ロズワールの治める領地であるアーラム村へ来ていた。
2人の他にも、レムとラムも来ているという屋敷の使用人総出という豪華なフルメンバーであり、いまは男と女組で別れて食料の買い出し等を行っている最中だった。
そんな最中に、手持ち無沙汰になったスバルが士郎へさっきの質問をしてきたのだ。
「魔法……魔法か。そう言えばだなぁ……」
「まさかの興味ナシ!? 異世界に来たイコール、チートとか魔法とか興味出たりしねぇ?」
「あー……まぁ、そう……なるのか。俺は特に興味なかった、て言うよりはこっち来た時の状況が悪くて、そんなことよりその先を生きるのに必死だったんだよ」
「そりゃそうか……俺はエミリアたんが居たから良かったけど、そっちはそうじゃねぇもんな」
「まぁな。着の身着のまま、こっちに放り出されて困ったもんだったけど……慣れてない訳じゃなかったからな。適当に自給自足で生きてた期間はあったな」
「衛宮って何気に経験則ていうか、出来ること多いよな」
「菜月程じゃないけどな。生きていくのに必要だったり、しなきゃいけない状況で出来るようになったりで、意外と自分からやりたいと思った事のほうが少なかったりするんだ」
「いやいやいや、俺のはただの趣味の延長っていうか、役に立たないものの方が多いから。衛宮のサバイバル術とかもそうだけど家事全般とか、この前とか壊れてた備品とか直してなかったっけ? マジですげぇわ」
「出来ることは出来るようになっときたかったからな。あれもこれもってやってたら、いつの間にか器用貧乏だよ」
「なんでそんな謙虚なん……? 俺の立つ瀬がないんですけど?」
「得手不得手があるだろ。菜月は菜月の出来ることを学んでいけばいいさ」
──言いながら。スバルの話し相手になりながらも食材の見定めも行っていた士郎は露店での買い出しを行いながら、今度は逆に士郎からスバルへ問い掛け話しかける。
「そう言えばって、話の始め方同じになるけど」
「どしたん?」
「そっちの用事はもう良いのか? 今回の買い出しもそもそも、菜月からの提案らしいな。個人的には切れてた食材があったから都合良かったけど」
──士郎が言っているのは、村に来てから買い出しの傍ら、やけに村の人間達と接しているスバルを見てのことだった。
見掛けた村人達、誰1人欠けることなくボディコミュニケーションを謀っていたり。士郎と合流する前なんかは何処か見覚えのある"朝の体操"を村人達に教えてるスバルの姿を士郎は見たばかりだった。
「俺は衛宮のその観察眼に鳥肌立ってるよ……」
「そこまで言われる程か……? あれだけ動き回ってたら俺じゃなくても気がつくぞ。それこそ、あの2人にもお前が何かしたいんだろうってのはバレてると思う」
「マジか……それなりに自然体を装ってたつもりなんだけど。まだまだ甘いか……」
「気にすんな、とは流石に言えないか。あんまり変な行動取ったりしないようにな。俺と違って菜月は自分の足で転がり込んできてる訳だし、もし怪しまれて屋敷のヤツらになんかされても、俺は何もしてやれないからな」
「……重々承知だよ」
不意に視線を逸らすスバルの見る先は、何度目のやり直しなのか。自身の身の内に刻まれた、いくつかの記憶を思い出し無意識に拳を握りしめた。
それは覚悟の現れなのか、きっとこの場を解決出来れば──前へ進めると信じて。決意を新たにする。
──村での買い出しが終わり、4人が屋敷に着いたのは、既に日が傾き空が夕暮れに染まっている頃だった。
「着いた、着いたぞ……よくやった、俺、GJ! マジGJ」などと、ここまで殆どの荷物を抱え村から歩いてきたスバルが自身を褒め讃えていたりもした。
その中、自身の荷物と……少しばかりの屋敷の荷物を持ちながら士郎が呟く。
「かなり時間かかっちまったな」
暗に、スバルにではなくメイドの2人が持ってやれば良かったんじゃないかと言う士郎だったが、当の本人達は素知らぬ顔で「思いやりに決まってるでしょ」とか何とか言いながら、スバルもスバルでそれに同意してしまっていることが救えなかった。
エミリアなら気にしないどころか、持ってあげたら? とか言いそうなもんだけどな……と思いながらも、レムとラムに強く止められ士郎自身もスバルの荷物を持ってやることが出来なかったので、それ以上は強く追及することは出来なかった。
「でもここまで運んだのはマジでスゴくね? 普段とかどうしてんの? 衛宮とかが運んでたりすんのやっぱり」
「ん……? あぁ、そういやぁ菜月は知らないんだったな」
返答と共に士郎が指差すのは、いままで一緒に買い出しに出掛けていた青髪の少女 レムであった。スバルは、何故レムを指差すのか少し疑問顔だったが、すぐにその表情は変わることになる。
スバルが息も絶え絶えになりながら屋敷の前に降ろした荷物を軽々と片手で『ヒョイ』と持ち上げ、そのまま屋敷へと向かっていくでは無いか。その光景を見たスバルは思わず、開いた口が塞がらず……同時にここまでの苦労はなんだったのかと肩を落とすことになる。
◆
「──さて、やるか」
村から屋敷までの道程は短くない。そんな中、今日はスバルが荷物を抱え普段より帰るまでの時間が伸びてしまった。その分、買ってきた食材の鮮度は悪くなる一方だ。
日本の現代社会と違い、魔法という物がありはするが長期保存するにはやや不安が残る。
それに今回、普段なら見ることは無いだろう肉が卸されていた。屋敷内で出すには少々不安が残る為、完全に自分用ではあるが……折角ならばと買ってきたようだった。
「だから、まずは下処理をさっさと済ませちまわないとな……それにしても、何肉なんだろうな。村の近くにはウルガルムが居るらしいけど……犬とか狼に当たるのか? アレは」
あの村周辺では肉が卸されることはまず無い。その理由の1つが士郎が言ったように、村の周辺の森には"ウルガルム"が群生しているから。
ドーベルマン程の大きさの犬型の『魔獣』。通常の動物とは違い、より凶暴で仕留めたとしてもまず食えない。臭みも味の大雑把さもただの畜産や猪や鹿とは比較にならない程の不味さである。
「まぁ……魔獣も工夫次第では食べれない……訳じゃ無いんだろうが、進んで食いたくは無い──というか、まず間違いなくいまより視線が痛いことになるのは確実だな。取り敢えず焼いて食ってみるか」
衛宮士郎、料理に手抜きはしない人間なのは勿論そうだが、パッと見よく分からないモノを食おうとするのは流石日本人だと言うべきだろうか──屋敷の厨房に備え付けられた魔晶石を使ったコンロのスイッチを入れる。
中央にポッカリと大きな穴が空いており、そこから熱を上方へ送り出すタイプのコンロだ。
「異世界に来てから慣れないことも沢山あったけど、1番はやっぱりここら辺だったよなぁ、そう言えば。火加減が何とも絶妙だし」
────
──
─
「塩があればもう少しマシな味になりそう何だがなぁ……ただ焼いただけだと、味的には鶏肉か? 変な違和感あるけど……鶏っぽい味の肉と言えば、カエルとか思いつくけど……カエルっぽくないしな。ホントに何だこれ…………うわっ、臭みが後から来る」
食べたこともないような肉の味に100面相しながらも、現代の万能調味料『塩』に想いを馳せる士郎。
ルグニカ王国は内陸国も内陸国な為、塩の流通は無いに言って等しいほど少ない。士郎の個人的な人脈でも仕入れはあるにはあるらしいが、その値段を聞いただけで士郎もギョッとし、買うのを断念してしまった程だ。
「完全にお貴族様の娯楽品だな、もしくは王族。ロズワールの手を借りるのも吝かじゃないけど……あとが怖いんだよなぁ……でも塩良いよなぁ 」
「まぁ無いものを考えても仕方ない。あるもので美味く作る、それだけだ。よしっ、もう少し考えてみるか」
────
──
─
「結局無難所に落ち着いたな……」
士郎の目の前に広がるのは謎肉で作られた試作品の数々。端から《肉団子》《素焼き》《煮込み》《漬け焼き》等々──
その中でも士郎が1番美味いだろうと感じたのが、漬け焼きである。
「ただコレは……美味い、には美味いけど……現代食に慣れたヤツでギリギリだな。味付けが濃すぎる」
結局、上手いことにはいかず試作された料理の山を前に唸りながら佇む士郎だった。
さて、この残った料理の数々をどうしたものかと、ひとしきり唸り終えた後に考えていたところ。そこに1人の来訪者が現れる。
既に開いている扉をコンコンとノックする音に誘われ、後ろを振り向く士郎の目の先に居るのは呆れた顔をしながら士郎を見るラムの姿だった。
「……えーと、どうした何か用か?」
「…………何か用、か。用は無いけど話を伝えに来たわ」
「それを用と呼ぶんじゃないか……? いいか、それで話ってのは」
「バルスとレムが村へ行ったから今夜の屋敷は私達2人だけで任されることになった。それを伝えに来ただけよ」
「あの2人が村に?」
ラムのその言葉に、思わずといったように声を出す士郎。彼の頭の中にはスバルがこの屋敷に来たばかりの頃の記憶がよぎっていた。レムとの会話、それによるレムの内心の吐露を聞いた日のことだ。
──大丈夫だ
……とは言い切れない。あれで彼女は激情家な部分がある、誰も見ていない。もっと深く言うならば、姉であるラムが見ていない状況下でなら、何をしてもおかしくはないと考えていた。
この屋敷内でなら早々二人きりになるようなことは無かった。それこそ、屋敷の住人が寝静まり意識のない深夜くらいなものだ。だからこそ士郎も"気を付けて”はいた、いたが……。
「まさかこうなろうとは……こりゃ俺も焼きが回ったか、もしくは遠坂のうっかりでもうつったか」
そうつぶやく言葉に、どこからか反論してくる馴染み深いあの赤い悪魔が思考に割り込んできて苦笑いする士郎であった。
「それで、あの二人の用向きは一体なんだ? こんな夜に二人で屋敷から出る用事もないだろう。ましてや今日は……食料の買い出しも終わったばっかだ」
「さてね、バルスが言うには村に悪い魔法使いが居るとのことよ。本当ならレムじゃなくエミヤにしようかと思っていたけれど……あれだけ騒いでいて来なかったのだから仕方がないわよね?」
「それに関しては本当に俺が悪かったと認めざるを得ない、それにしても悪い魔法使いか……」
「何を気にしているのかは知らないけど、ラムは一字一句間違いなくそのままの言葉を言ってるだけに過ぎないわよ。本人が突然そう言いだして、レムを連れて村へ向かった。そこだけは何も変わらない結果よ」
「別に疑ったりはしてはないが……ふむ、気になるな。よし、それじゃラム今夜の屋敷は任せた」
「ハァ……? 何言ってるのか自分で分かってる?」
「そりゃそうだろ。誰かに操られてるわけでもあるまいし……と、そこらにある試作品適当に食べといてくれて良いから!」
「あっ、ちょっと……待ちなさいエミヤ!!」
ラムの制止虚しく、士郎は横をスルリと抜け……やられたと思った時に視線を向けた時にはもう既に遅く、姿を消してしまっていた。
「……これだから男ってやつは。自分の事ばかり、先が思いやられるわ」
ぼやき、ふと厨房の机を見る。そこにあるのは試作品として士郎が作った料理が複数置いてあった。
「…………はぁ、他の2人も呼んで手伝ってもらうしかないわね」
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