衛宮士郎をブチ込んでみただけの話inリゼロ 作:nonose
FGOのガチャ最近渋すぎて萎え
屋敷を抜け、木々の隙間を縫うように駆け抜ける。その表情に焦りはない───しかし士郎の駆ける脚には無意識に力が込められる。 同時に、暗闇の中で薄く光跡が見えた。白く光るソレは士郎がこの世界で唯一扱える……スバルとはまた違った《異能》の一つだった。
「──間に合ってくれよ」
そのぼやきと共に、暗闇を駆ける速さと光跡は一段と増していき、村へ向かい始めてから十数分経つ頃には、もう既に士郎は村と屋敷の中間辺りを走っていた。
恐らくこのままであれば、先に村に着いているであろうスバル達に合流するのも……そう遅くはないだろうことは分かる。けれど、問題はそれだけではない。
スバルの言う『悪い魔法使い』とそのスバルを目の敵にしているであろう"レム"の存在が現時点で問題として士郎の行先に待ち構えている。
後者は現状だと何も起こってはいないと信じる他ない。もしいま正にスバルを害そうとレムがしているというのなら現状のままだと確実に『間に合わない』
それなら、目下の問題を『悪い魔法使い』に仮定して考えていた方が心根に幾分か優しい。
────
──
─
鬱蒼と広がる木々を抜け、村へ辿り着いた士郎の目に写るのは随分と普段なら有り得ないだろう程の光が灯った村の姿だった。
周辺を囲うように設置された堀に手をつき身軽に越えながら村内部を見回す。
慌ただしい雰囲気という訳でもなく、怪我人が居たりする様子もない。ただ、普段より少々気落ちしているような表情する人達が多く見える。
丁度。村の中を見回すように歩いている士郎を目についたか、村人の1人が話し掛けてくる。
「いったい次から次へと誰かと思いましたが、良かったエミヤさんだったんですね」
「次から次へと……となると、俺が来る前に誰か来たのか?」
「え、えぇ屋敷のメイドさんと……ほら、新しく来たという執事さん。子供達がよく懐いていた方の」
訝しげに話を掛けてきた村人に、特段気にする様子もなく話を続けさせる士郎に少し村人はたじろぎながらも、先程来ていたスバルとレムのことを話してくれる。
「その2人はどこへ?」
「えぇ……森の中へ行ってしまいました」
「森の中にだと? 何でわざわざそんな所に」
「いえ、実はなんですが───」
──村人曰く、どうやら村の中の子供達が複数人姿を消しているようだった。単にどこかへ悪ふざけで隠れているのならそれで良かったのだが、村人総出で探しても村内部では中々見つけることが出来ず、どうしたものかと……そう思っていた最中、屋敷からあの二人がやって来て「子供達は森の中だ」と言いながら、そのまま向かってしまったと。
既にその話は探索をしていた人間に伝え、彼らも森へと足を運んでいる状態だという。
「……何で菜月はそんなことを知ってるんだ。まぁわかった取り敢えず、現状はまだ子供達は発見出来てないんだな?」
「そうですね……まだ誰も戻ってきてはいません」
「となると、だな。入れ違いになっても良くないか……この村で森の方まで辺りを見渡せる場所ってあるか?」
「辺りを見渡せる場所……ですか? ……えぇと、それなら一応警護用の監視塔がありますが、森まで見渡せるかどうか……」
村人が指差しながら案内するのは村の中央から離れた少し、郊外気味の場所にある監視塔。塔とは名ばかりにその高さは全長で6mあれば良い方ではある。
「…………まぁ大丈夫か。ありがとう、あとはもう大丈夫だ下がっててくれ」
「は、はぁ……?」
そんな所に登って何をするのかと疑問符を浮かべる村人ではあったが、士郎の言う通りその場から離れていく。
道中チラチラと士郎の方を見ていたが、それも直ぐに興味を失せたのか士郎が塔へ登り始めると姿を消し、視線も感じ無くなっていた。
「下から見るとアレだったけど、登ってみると案外大丈夫そうだな」
少し肌寒い夜の風をその身に受けながら塔から森へ視線を巡らせる。本来、普通の人間ならば士郎のいる場所から森を見ようとしても、ただ群生している木が見えるだけ──なのだが、士郎は一頻り見ると次の行動へ移す。
「さてと、久しぶりの実戦だけど錆び付いてないよな───
士郎は着ていた服の裾を捲り、一つ言葉を紡ぐ。
その腕に光が灯る。人体の表皮に見られる筈のない、光の筋が瞬時に走っていく。
「使わせてもらうぞ……」
腕に這う光の筋は、士郎の上腕から右掌へ向かって走っていく──同時に士郎の右手薬指から同じように光が走る。
腕を這っているソレとは違い、一際強く煌々と輝くそれは"指輪"のような形をしていて、そこから逆流するように士郎へと光が伸びていく。
やがて腕の中枢辺りで2つの光が繋がり輝きを増した。
「頼んだぞ」
光が止む、同時にそこには1羽の《鳥》が士郎の周りに飛び回っていた。
月の明かりしかない暗闇の中でも、銀色に輝く小鳥は士郎の言葉を聞き及んだのか、森の方へと飛んでいく。
「魔力の枯渇が心配になるけど、幸い此方は向こうよりかは使い易いし大丈夫か。質の違いなのか何なのか、多分元の世界より神代に近いって事なんだろうけど──こっちも一応準備しておくか」
「──
先程と同じ言葉。然し、同じ現象は起きず現れたのは鳥ではなく人の半身以上の大きさはあろう白塗りの洋弓だった。
青白い光の粒子と共に現れた弓に、本来ならば番としてある筈の矢は無い。
「結局、この形に収まったのが何ともなぁ……取り敢えず、魔法使いとやらがどう動くか──後は、合図次第か」
言葉に返事をするかのように、森の奥で輝く光を見据え、時が来るのを待つのみであった。
◆
「さぁ、どうだ。流石に死んだだろ……」
ポタリ、ポタリと一滴一滴腕から滴り落ちる赤い血で地面を汚しながら安堵の一息をついているのは目立つ髪型の青年であるナツキスバルだった。
彼の目の前にあるのは、先程まで死闘を演じていた相手である犬型の魔獣"ウルガルム"である。
「ハァ……クッソ、痛え、痛えけど良くやった。何も無駄にならずに済んだ」
感じる痛みに食いしばりながらも耐え、虚勢を貼る。傷を負った腕に上着を巻き付けながら本来の目的である村の子供の1人である少女を抱える。
後は村へ帰るだけだ。
成し遂げた。鋭い痛みが未だスバルの脳へ危険信号を流すが、それよりも達成感と奇しくも魔獣へリベンジマッチを果たせたことでスバルの頭は多幸感に溢れていた。
心情、ニヤつきそうになる口元をキツく締めながら、村へ帰るまでは安心できまいと重い腰を上げる。
「とにかく、村に戻って───なんだ?」
視界の隅に捉える。木々の隙間の暗闇に光る何か。
「銀細工の……小鳥?」
ふわり、ふわりと風に縛られることのない羽ばたきで、優雅に空を舞う『コウノトリの騎士』がスバルの目の前に現れる。
「アイツらの仲間……ってぇ雰囲気じゃねぇよな……」
人の気知らず。小鳥は一度スバルの周りを旋空すると落ち着いたようにスバルの横で滞空している。
「危害を加えてくる様子はない、のか」
一先ず、ソレをレムか誰かが捜索のために流してくれた使い魔か何かだと思うことにし、村を目指す為に歩みを進めよう……そう思った時。
目の前の茂みが揺れる。
またこの小鳥のように杞憂なのか、もしかしたら自分を追って来たレムがここに来たのでは……そんな考えが浮かぶ───否である。
噎せ返る、鼻を突く獣臭に自身の呑気な考えを地に叩き伏せられる気分になってしまう。
そこに居るのは救世主でも何でもなく、只々只管に自身を喰らう為に群れをなし現れた"捕食者"だった。
「おいおい、嘘だろ……」
1や10、それどころの話じゃない。いま目の前にある赤い双眸がどれ程の数か──数えるのも嫌になる。
小鳥の銀細工の華麗な輝きとは違い、その飢えた"赤"が心を折りにかかる。
けれど、諦観を感じる余裕さえも与えてはくれない。
いまにも迫るスバルとその腕の中の少女に、スバルが取る行動は少女を敵意から庇わんとせん勇姿であった。
抱えた少女を、地へ降ろしその前で両手を広げる。
何十にも群れを成している獣達に、スバルという"人間"の感情など知る由もない。暗闇から飛び出し、いま正にその無防備な首筋へ牙を突き立てんとする。
「────っ!!」
言葉にもならないような雄叫びを上げ、目の前のモノの誰にも屈してはいないと、その行動の末がハリボテだとしてもただ1人の少女を守る為に威勢を示した。
その行動が、彼の道を変える。
スバルの横で動くことなく漂っていた銀細工の小鳥が、その雄叫びに反応したのかのように突如として動き始め……スバルの喉元へ牙を突き立てんとする1匹の魔獣に特攻したのだった。
健気にも見えるその姿に、思わず手を伸ばしそうになるスバル。
しかし其の感傷も、すぐに塗り替えられることになった。魔獣と小鳥が接触したその瞬間に、突如として小鳥の輝きが増した。
思わず眼を閉じてしまう程に輝かしいその光は森の中を大きく照らし───その次の瞬間。
──小鳥は轟音と共にその身体を爆ぜさせた。
爆発の大きさは然程大きくは無い。目の前に居たスバルが、爆発風に煽られただけなのを見るとそれは一目瞭然だった。
けれども直接その爆発に巻き込まれた魔獣が、頭部からにかけて身体の半分の存在を確認できなくなるほどの威力はあった。だが勿論、そんな爆発が起きれば小鳥は無事では済まず、小鳥の骨子となっていた銀の糸がスバルの目の前に幾数か落ちてしまっていた。
「い、いったい何なんだ……助けて、くれ……たんだよな多分」
けれど、未だ脅威が去っている訳では無い。
事実としてスバルの目の前には、自身らの前で同種が爆破されようとも一切ひるむことなく、淡々と獲物を狙う浅ましい欲を滾らせた、魔獣達が見つめていた。
「──っ、結局まだ脅威は去りきってねぇじゃねぇか」
「そうですね。この状況だと撤退することをおすすめします」
「おゥわっ!? い、いつの間に……」
「つい先程。それにしても時間稼ぎに徹するというお話だった筈ですけど?」
「いや、超頑張った! めちゃめちゃ時間稼いだよ!? 1匹は自力で倒したしな!? 結果はご覧の有様ですよ! 本当にありがとうございましたァ!!」
どこからともなく、相方である青髪のメイドがスバルの隣に現れ少し詰めるように話し掛けて来ていた。
思わず……と言ったように声を出してしまうスバル。
「……ところでレム、俺という足手まといが居ない場合実は1人で全滅狙えたりするか?」
「多勢に無勢。数で押されたらジリ貧です──」
「流石にそりゃそうだよな……」
「───ですが、それは私一人の場合ならです」
どうしたものかと、1人思案し始めていたスバルにレムは付け足し言った。「どういうことか」と、彼が尋ねる前に襟首を掴み後方へ下がる。
瞬間。あわや上空から隕石が降ってきたのではないかと、そう考えてしまう程の轟音がスバルの耳に、レムにも。そしてあの魔獣達にも聞こえてくる。
その音の先には2条の光線が見えた。
いや、そう見えるだけだ。
あまりにも常識外の速度で飛来するその矢が残す、流星の如き光跡がまるで光線のように見えるのだ。
ただ呆然と見ていた。何かも分からずただ、見ていた。
その矢が己を狩る、狩人の一撃だとも知らずに。
先程までスバル達がいた場所から前方。丁度まだ2人がその場に入れば魔獣とスバル達で中間の場になろう所だ。
飛来した2本の矢が突き刺さる。
スバルの目にも一瞬見えたその矢は、到底あのような速度と音を出せるようなものには見えない。
あまりにも荒唐無稽なその光景に、訝しげに目を細めてしまいそうになるが、そこで終わりじゃない。
瞬きの一瞬。その矢が突如"大爆発"を起こす。
辺りの地は抉られ蒸発し、木々は爆発に巻き込まれたものは否応なしにその存在が世界から消える。
爆風に当たっただけでも薙倒され、悠々と生えていた姿は見る影もない。
それは前方に位置していた魔獣も例外では無い。
爆発に巻き込まれそのまま姿を消したモノも入れば、逃げきれず身体の半分だけ、脚だけを無くしたモノもいる。
銀細工の小鳥でさえあれ程の爆発が起きてはいなかった。
その光景に、もしまだあの場所に居たらとそう考えずにはいられなかった。
ヒロイン決め ※候補決め
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