守護刀と境界戦線 作:寝る子は粗雑
これは、あるかもしれない
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その大規模な侵攻は、未来視をすり抜けたバグの様な形で引き起こされた。
最前線であったそこで、二人の攻撃手が必死に迫りくるトリオン兵の群れを切り裂き押し留めていた。
「……ッ、キリが無いな」
戦闘大好きな太刀川をして、冷や汗を流す程の数の群れ。
巨大な
状況を見て、太刀川は同隊の出水をエラー範囲の外で緊急脱出させ逃がしていたのだが、もう一人を逃がし損ねていた。
「ぐっ…………!」
苦悶の表情と共に、どうにかトリオン兵を斬り伏せて距離を取る竹叢雲助。
同隊の冬島や当真の援護は、ここには無い。緊急脱出が出来ない以上、機動力の無い狙撃手や工作兵がこの場に居ても守る対象が増えるだけになってしまうから。
止まらないトリオン兵。削られ続ける現状に、最悪の状況が頭を過る。
押し込まれ、竹叢の左腕が飛んだ。トリオンが溢れ出し、加速度的に状況は悪くなる。
「離脱しろ!竹叢!お前、グラスホッパー入れてただろ!」
「…………」
「竹叢!」
「…………太刀川さん」
静かな声だった。この荒れ狂う戦場の中で、小さな声だが、しかしハッキリと響いた。
「このままだと、全滅します」
「だから――――ッ!お前、まさか……!」
トリガーオフ。小さく聞こえ、戦闘体が解除される。
「今なら、出来る気がするんです」
「待て!」
「この状況が、迅さんの未来視を上回った結果なら既存の戦力だけじゃダメです」
「話を――――」
「これが、最善なんです」
止まらない。相対したトリオン兵を切り捨てて振り返った太刀川の目に飛び込んできたのは、穏やかな笑みを浮かべる少年の姿だ。
その体が、淡く光る。右手に握られたトリガーに、
反射的に弧月を落として、太刀川は手を伸ばした。
指先が、触れる。
「だから…………勝って」
願いは一つ。
少年は消え去り、残されたのは一つの黒いトリガーだけ。
「…………馬鹿野郎」
奥歯を噛む。拳を握る。
それでも、太刀川はもう片方の手に握ったソレを見下ろした。
不思議と、手に馴染んだ。まるで、生まれてからずっとその手に在ったかのような安定感があった。
「――――行くぞ、竹叢」
ノーマルトリガーを解除して、目の高さに新たな黒トリガーを持ち上げ太刀川は目を見開く。
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黒トリガー名“叢雲”
A級隊員、竹叢雲助が作成した黒トリガー。
トリガーホルダーは、掌に収まる大きさの円盤。
トリオン体に換装する事で、この円盤が換装者の胸の中心に装着され効果を発揮する。
性能
トリガー換装者に対して
例
太刀川の場合
二刀流+旋空の様なブレード拡張能力、機動力強化、自動防御可能なシールドの精製
当真の場合
ボーダーの狙撃トリガーの性能を全て合わせて上回る性能の狙撃銃と自動防衛、自立機動能力の確保
影浦の場合
弧月以上の耐久力を持つスコーピオンの特性を持つ刃、感情受信によるピンポイント防御、無感情攻撃への防御
もう一つの特徴は、トリオン能力の低いオペレーターでも起動、戦闘力のあるトリオン体への換装を可能とする事
この場合、対物理、対トリオンに対する絶対的な防御力と逃亡用の機能が発動するようになる
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少年の選択は、戦況の打破という観点では間違っていなかった
湯水のように沸いていたトリオン兵はなます斬りにされ、ゲートは一刀両断されて閉じられた。
死傷者も最低限。不意打ちの様な侵攻であったが、被害は最小限に食い止められたと言えるだろう。
だが、彼の喪失は多くの人々の心に傷を残す事になる。
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恐らく、最悪な未来の一つ。観測した瞬間、迅は全力を持ってこのルートを叩き潰す
そうしないと城戸派(ネイバーぶっ殺勢力)が数倍に膨れ上がり、馬鹿でかい戦争が起きかねないから
誰も幸せにならない