魔神王様、只今異世界へお出かけ中 作:野生の松ぼっくり
私のけつのあなぐらい緩いです
助けてくれ
あとオルムなら出来るやろの精神でスキル生やしたりしてます。まぁこれぐらい原作オルムにも出来るでしょ(適当)
オルムは部屋を出た後、十分も経たずにアリアンとダンカと合流した。
合流したオルムはチヨメから貰った書類を二人に見せる。
「これは……売買契約書?!」
「しかもディエントの領主の名前まである……領主まで加担してたとは……!」
「オルム、いったいどうやってこれを入手したんだ?」
「妙な黒装束の侵入者が居てね。その者から譲り受けた……先に言うが詳細は私にもわからない」
「なるほど……」
三人が話し合っていると、廊下の向こうからドタドタと足音が響き始める。
一分と経たず、廊下の向こうから男たちが姿を現す。
誰も軽装であり、鎧を纏った者はいない。だが各々剣や短剣を抜いており、殺気立っている。
「おい! 居たぞ! こいつらが侵入者だ!」
「殺せ!」
「どうする?」
「決まっているでしょう? ──強行突破よ!」
「炎よ……剣と共に舞い踊れ!」
アリアンは剣に炎を纏わせ、男たちを斬り殺していく。
アリアン、ダンカ。オルムは男たちを瞬く間になぎ倒し、先へと進む。
アリアンとダンカは剣で施設の警備員を斬り殺し、オルムは素手で殺して周る。
もはや隠れる必要が無くなった以上隠密の為に手加減する必要は皆無。瞬く間に先へと進む。
「こっちだ!」
地下にエルフが囚われている事を見つけ出していたダンカの案内の元、地下牢に進む。
地下牢は暗い場所だ。窓の一つも無く月明かりすら入ってこない。
鉄格子の中にはまだ子供と言える年齢のエルフが四人囚われている。
「アリアン・グレニス・メープル! 助けに来たわ!」
アリアンの名乗りに牢獄のエルフ達は立ち上がって反応する。
「メープルの戦士! 来てくれたのね!」
オルムは牢獄の前まで動くと鉄格子を握り、力でこじ開ける。
「彼を信じて! オルム! 転移魔法を!」
「承知した」
オルムはエクスゲートをディエントの街の外まで繋げ、自身は先にエクスゲートの向こうに移動する。
「さぁ。此方へ」
「彼を信じて、さぁ行くわよ!」
アリアンが先導してエクスゲートの中に入ると囚われていたエルフ達もエクスゲートの中に入っていく。
全員が転移したのを確認するとオルムはエクスゲートを閉じる。
「これで任務は終了だな」
とp、ダンカが全員を見て呟く。
たいし、アリアンはどことなく暗い顔をする。
「どうかしたのかね?」
オルムはアリアンに話しかける。
「オルム……追加の契約は出来るかしら」
アリアンの言いたいことをオルムは察する。
「領主に囚われているエルフを助けたいのだろう? 私は構わないとも」
「魔て。領主まで襲撃するのはやり過ぎだ」
行こうとするアリアンをダンカが諫める。
「ですが、私達は人族に囚われた同胞を助けるためにここに来たんです!」
アリアンは力強く、ダンカに向かって叫ぶ。
「……同胞を助けるだけだ。間違っても領主を殺すようなことはするなよ」
「ダンカさん……ありがとうございます!」
オルム! とアリアンは叫び、合わせてオルムはエクスゲートを開く。
「領主の館まで繋いだ。さぁ行こうか」
オルムがエクスゲートの中に入ると遅れてアリアンも中に飛び込む。
オルムが繋げた先は領主の館のバルコニーだ。
バルコニーから館内に入ると直ぐに警備の兵士と落ち合った。
「炎よ、剣と共に舞い踊れ!」
アリアンは精霊魔法を行使し、剣に炎を纏わせる。
そのまま兵士を両断する。
「行くわよ!」
(こいつ凄い勝気だな)
オルムは変な事を考えながらアリアンに追従する。
オルムと比べれば余りにも遅すぎる速度だが、オルムは集中して速度を落とす事でどうにか着いて行く。
「しかし何処に囚われているかわかるかね?」
「わからないわ! けど──」
アリアンがそう言いながら走ると大広間に出る。
広間の奥からは兵士たちが続々と出て来た。
「適当な奴をふんじばって聞き出す! これが最適よ!」
「野蛮だね。だが悪くはない」
アリアンが突撃し、オルムも追従する。
兵たちの練度もそこそこだ。だがエルフの戦士であるアリアンと龍であるオルムからすれば雑兵に近い。
アリアンは炎を纏わせた剣で兵士を薙ぎ払い、オルムは変わらず素手で殴り殺す。
素手とは言っても相手を殴れば相手ははじけ飛ぶ。上半身や下半身の無い死体が溢れかえった。
五分と経たず殲滅は終わり、最期に兵士がたった一人だけ残った。
「さぁ。この館に囚われているエルフは何処?」
「りょ、領主様の部屋だ! あの部屋に囚われている!」
「ふむ。その領主の部屋まで案内してもらおうか」
オルムは片手で兵士の頭部を掴み、引きずる。
「さぁ。案内したまえ」
「こ、こちらです!」
兵士の案内の元二人は屋敷の中を走る、走る。走る。
そうして走る事十分。目的地についたと兵士が叫ぶ。
着いた先は豪華な扉の前だ。両開きのドアでありドアにも彫刻が施されている。
「ご苦労」
オルムはそう言うと力を少々込め兵士の頭部を握る。
兵士の頭はトマトの様に潰れ、眼球だけが地面に転がった。
オルムは手加減してドアを蹴り壊す。
破片が舞い、部屋の中が露わになる。
部屋の中は寝室だった。非常に広い寝室だ。キングサイズのベッドが一台あっても尚余る広さを持つ。
「な、何だお前たちは!」
部屋の中に居た小太りの男──しかも全裸の男はオルムとアリアンを見るなり叫ぶ。
ベッドには二人のエルフが寝かされていた。
「助けに来たわ!」
アリアンが叫びながら部屋の中に突入する。
そして拳を握り、呆けている領主の顔面に向かって殴打。領主は吹き飛ぶ。
「やれやれ……む」
そしてオルムは部屋の左側──ベッドの無い方に目を向ける。
其処には先日オルムがぶっ飛ばしたウドランと呼ばれていた男が居た。
ウドランはこそりこそりと忍び足で動こうとする。
「逃がさんよ」
一瞬でウドランの眼前まで移動したオルムはウドランを壁ドン。
ウドランは奇妙な叫び声と共に気絶した。
「む、しまったな」
そして力を入れ過ぎたのか、あるいは壁が薄かったのか。オルムが壁ドンした壁は崩れてしまう。
「……隠し財産か」
これらもエルフの密売で得た資金だろうか、とオルムは推測する。
持ってかろうか、と心の中の悪魔が語り掛けてくるがこれも非常に重要な証拠だ。残しては置かず持って言っておこうとオルムは決意する。
「アリアン。少し──」
「おら! おら!」
オルムがアリアンと相談しようとアリアンの方を向くと其処には全裸のおっさんのケツを蹴るアリアンの姿があった。
(何かのプレイかな)
もはやそう言う行為をしているとしか思えない絵面にオルムは頭を抱えたくなる。
其処にドタドタと複数の足音が聞こえ始める。
足音が聞こえたアリアンは一度強くおっさんを蹴り飛ばし、剣を抜いて構える。
「アリアン。私は少しやる事が出来た。ここを任せても良いか?」
「え? えぇ。大丈夫よ!」
警備兵の相手をアリアンに任せ、オルムは財宝の処理に移る。
動かしやすいように袋の纏めて縛り、袋を複数作る。
流石に一度に全部持ち運べない為纏める度にエクスゲートで一度転移した場所──ダンカ達が待つ場所に送っておく。
そうする事五分程。殲滅が終わったアリアンが覗いてくる。
「何してるの?」
「財宝を纏めている。これらは領主がエルフの売買に関わっていたという重要な証拠だ。こちら側で確保しておけば後々使えるだろう」
「なるほど……! やるわね、オルム!」
「さて、そろそろ逃げるとしようか」
オルムは囚われていた二人の前まで移動するとエクスゲートを開く。
アリアンが説得すると二人は驚く程簡単に納得し、エクスゲートの中に飛び込んだ。
■
「これは……凄いな」
合流したダンカの第一声はそれだった。
オルムが持ってきた金銀財宝の山を前に、ダンカは絶句するしか無かった。
「これも恐らくはエルフの密売で稼いだ金なのだろうよ。黒い金だ」
オルムがそう言うとダンカは分かりやすく舌打ちをする。
「というか、これだけの量をどう運ぶつもりだ?」
ダンカは至極当然の質問をする。
「こうするつもりだ」
オルムはそこら辺の小石を拾い、スキルを行使する。
ゴーレム作成のスキルだ。
オルムは幾つかこういった変わり種のスキルも所持している。
野生のラスボスが現れた! ではゴーレムの作成などはアルケミストの領域だ。
アルケミストはゴーレムを作るだけでなく武器や防具も作れるし、新しい素材だって作り出す事が出来る。
オルムも多少はそういった事が可能であり、作れる最大レベルのゴーレムは六百となる。
オルムが作ったのは箱型のゴーレムだ。
其処らの石を材料にしたのでレベルは二十程度と雑兵。
外見としては長方形の箱だ。箱の下から四つの人にも似た脚が生えている。
はっきり言って大分外見は気持ち悪い部類だ。
「え、なにこれ」
そして奇妙なゴーレムを見たアリアンが妙なものを見る目でゴーレムを見つめる。
「これはゴーレムという私のスキルで作れる物だ。取りあえずはこれに載せて運ぼうかと思ってね」
オルムはそう言うと財宝をエクスゲートでゴーレムの真上に財宝を移動させる。
そしてゴーレムに命じ、歩かせる。
「……ごめん。気持ち悪い」
「……まぁ、だろうな」
制作者であるオルムもまた気持ち悪さを認めざる負えなかった。
だが、便利性を考えたらこうせざる負えなかった。
これをもって移動するのが平坦な場所などなら良いだろう。だがこの世界の街道というのは整備されてない道が多い。
それ以外にもこの財宝をエルフの元まで運ぶと考えたら密集した木々の中でもある程度動かせるフォルムを求められるだろう、とオルムの要らぬ気づかいの果ての外見である。
「まぁ、これはダンカ殿に譲ろう。好きに使ってくれたまえ」
「正直いらんと言いたいが……まぁ、この財宝は使い道があるからな……」
全員が微妙な気分になりながらも、取りあえずの襲撃は終了した。
「ところで、これの名前は?」
「取り合ず佐藤でいいか」
「……奇妙な名前だな」
ひと段落すると、アリアンは懐から袋を取り出す。
「はい。これが約束の報酬ね」
アリアンはオルムに金貨の入った袋を手渡す。
金貨と言っても人の世界で使われる通貨ではない。エルフが使う金貨である。無論人の世界で使えないことは無いが、余計な注目を集めることは避けられないだろう。
「確かに頂いた」
オルムは袋を受け取ると懐にしまう。
「それで……オルム」
アリアンは何処か言いづらそうに、口を開いた。
「貴方の今後は、何か決めているの?」
「いや? 特に何も決めていないが」
「そう……だったら、私たちと共に来ない? 貴方の力を今後も貸してもらいたいの」
「ふむ……」
オルムは考える。どうするか、と。
別に受け入れてもいい気はする。だが今後も共に行動を共にするとなると少将考えなくては成らない。
ゴーレム作成のスキルを見せているし、エクスゲートも見せているので今更な所はあるだろう。
相手はエルフという長命種。ならば自らの正体を晒すというのはどうか、とオルムは一瞬考える。
オルムは考えが長くなりそうなので体感時間をズラす。
オルムは将来的に拠点を欲している。永遠を生きれる自分が、終生穏やかに暮らせる拠点を。
人の世界から遠く離れ、一人静かに暮らせる場所。
それをエルフなら用意出来るかもしれない、とオルムはエルフに期待する。
体感時間を戻し、オルムはアリアンに返答する。
「それは私としても願っても無い事ではある。だが……その為には私の正体を知ってもらいたい」
「オルムの正体?」
はて、とアリアンは頭にはてなマークを浮かべる。
「だが私の正体を知った君は、二度と私と関わりたくない、というかもしれない。私を蔑み軽蔑し剣を向けるかもしれない」
「……私はそんな事しないわ。貴方の正体を知っても、私は剣を向けないと誓う」
そうか、とオルムは返答しスキルを弄る。
オルムの外見がみるみる内に変わっていく。
肌は青く変わり、頭部のこめかみからは角が生え突き出る。
黄金の瞳の強膜は黒く染まり、瞳は縦に割れる。
「これが私の正体だ」
オルムの真の姿を見たアリアンはたじろぐが、剣を抜くようなことは無い。
この光景を見ていたダンカは剣の柄に手をかけるが、やはり抜きはしない。
「それは……」
「私の正体は私にもわからない。異様に強い力。多様な能力。人知を超えた力に人ではない外見……私が一体何なのか、私自身わかっていないのだよ」
オルムは嘘を言わず、かといって全てを話す事も無い。
「外見を変える能力を持っていたのは幸いだった。そして私は、外見をある程度自由に変えれる。その気になれば老人にも成れるだろう……こんな私は人の世界に居ていい存在ではない」
「そんなことは……」
アリアンは即座に反論出来ない。
人に限りなく近い容姿を持つエルフでさえ長寿に魔法能力という人との差異で迫害され時には奴隷にされるのだ。
人と余りにも違う外見を持つオルムが人の世界で暮らすには難があると即座にわかる。
「子供から老人まで好きに外見を変えれる私は不老に近い。私は人の世界で暮らす事は出来ないのだよ」
「……」
アリアンは無言でオルムを見つめる。
「……そうかもしれない。だけど、貴方の事はエルフなら受け入れられるかもしれない。同じ迫害を受ける身として」
オルムは穏やかに微笑んだ。
「アリアン・グレニス・メープル。私と共にある事が可能かね?」
「可能よ。私は貴方と共に居られる。貴方は同胞を助けるのにその力を惜しみなく使ってくれた。あなたのその身の秘密について私達は絶対に口外しないと誓うわ」
「──改めて、私はアリアン・グレニス・メープル。カナダ大森林の戦士。オルム、里に来る気はない?」
「私はオルム。私の正体を、真実を知るものを求めて旅をしている。そちらの厄介になろう」
二人は堅く、悪手をした。
こうしてアリアンとオルムの長い長い旅が始まりを告げたのだった。